The"BellKnight series"

「はぁはぁ、ぜぃぜぃ」
「なんだもうヘバったのか」

アメリィの言葉に無極は言葉を返せない

「はぁはぁ、ぜぃぜぃ」
「全く、鍛錬不足だ」

続けるアメリィにカサシスクが言う

「あたしに運ばれているお前が言うな」

二人は漆黒の魔王がいる城に突入し
かなりの速度でフロアを上がってきていた

「一体この城、どこまで広いのやら」

壁に手をついて呼吸を整えながら無極が言う
同じく体力を消耗しているカサシスクも
肩で息をしながら無極の言葉に頷いた

「グルルル」
「漆黒獣か」

背後から聞こえる足音に二人は構える
少しずつ増えていく足音
今までに聞いた事のない数に増幅していく

「おいおい、なんなんだよこの数は」

足音から敵の数を把握出来ない程に
大群の漆黒獣が闇の中からこちらに向かって来ている
アメリィを握るカサシスクの手に力が入る

「この数、一匹ずつ相手に出来る数では無い」

そう言うと無極はカサシスクの前へ出た

「おい侍!何するつもりだ」
「ここは拙者に任せてもらおう」

アメリィの言葉にそれだけ返すと
無極は静かに構え瞳を閉じた

「烈・空・閃」

「倭姫命(やまとひめのみこと)ッ!!!」

瞳を見開き刃を手前に切り開いた
刃の太刀筋から前方へ衝撃が走る

「なんだこの衝撃っ!!やべぇ!」

アメリィが叫ぶと同時にカサシスクの髪の毛が激しく揺れる
思わずカサシスクは腕を顔の前にあげ衝撃から身を防いだ
前方に発生した衝撃はそのまま漆黒の中へと向かう
衝撃が敵に到達し、漆黒獣の断末魔による合唱を背に
武器を鞘に収めながら無極が再び瞳を閉じて言った

「烈空閃、倭姫命(やまとひめのみこと)」
「言魂撃という戦闘術、
 言葉を武器にするその技を
 我が剣に乗せて放つ必殺剣でござる」 

無極の必殺剣で発生した衝撃のなごりが風となり
束ねているカサシスクの金色の髪の毛を揺らした

そのまま無極は顎に手をあて続ける
「一つ、不審な点がある」
その言葉にカサシスクも頷いた
「あたしもだ」

そのまま二人は後ろを振り向く

「先程から敵の攻撃が全て――」
無極の言葉の続きをカサシスクが奪う
「背後からだ」

通常、敵の拠点に攻撃を仕掛けた場合
セオリー通りに考えれば敵は正面から出てくる
アリの巣で例えるなら
女王アリを守るアリ達が侵入者を排除する様にだ
なのに今、自分達に仕掛けられる攻撃は全て反対
これではどちらが城の主なのか分からない

不審そうな表情を浮かべる二人に
上から大きな爆発音が聞こえる

二人は互いに顔を見合わせる

そのまま駆け出す二人
階段を見つけ、上りながらカサシスクが言う

「先客だ」


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