東方キャラとウフフにイチャつくまとめ

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幻想郷。忘れ去られた者達が行きつく、最後の楽園。
妖怪だとか、悪魔だとか、神様だとか、今では空想の者であると断じられてしまったモノ達が居を構える、静かな世界である。
○○がそこで生活するようになったのは、かれこれ二年前。
始めは右も左分からず、常識そのものの食い違いに四苦八苦したものの、二年も過ぎればいいかげん慣れる。
春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て。ここでは、現代社会では無くなりかけている当たり前のことが、今もしっかりと機能している。
小さな騒動が起こったのは、そんな当たり前のことを二回繰り返したときのことだった。

春が来たと思ったら、夏だった。

この言葉を聞いた人は、何を言っているのだろうかと○○のことを見るだろうが、○○にとっては、別に変な意味で言ったわけではない。
春が来たと思ったら、夏だった。
何のことは無い。首を長くして待ち望んでいた春がやってきて、やれ花見だ、宴会だ、と騒いだと思ったら、
次には初夏を思わせる陽気な日差しがここ一週間程続いているだけの話だ。
○○にとっては、ああ、春が短かったな、という程度の認識であったが、どうもここの住人にとっては違うらしい。
これは異変だ、春を奪う異変だ、と騒ぐのは妖怪やら人間やら何やら。一部の妖怪や神様は、むしろ騒ぐ人達を見て楽しんでいたりする。

「さあ、一気に行こうぜ」

そう啖呵を切って飛び出していったのは、尖がり黒帽子が似合う金髪の少女、霧雨魔理沙。
人間でありながら魔法を極めようと日々努力を続ける、種族『人間』の少女である。
だが、彼女が行う魔法は、最早人間の域を大きく超えている。いや、魔法だけではなく、常人とはやることなすこと凄まじい。
魔法を極める為に大商人の娘という地位を捨てて家を飛び出し、人を死に至らしめる瘴気が渦巻く魔法の森にて居を構え、
霧雨魔法店という魔法具専門店を開店するのだから、そのバイタリティの凄さを想像させる。
ただ、本人は自身の修行に忙しいらしく、霧雨魔法店は実質開店休業状態であるあたり、
彼女の無鉄砲さと計画性の無さが見え隠れしているのは、この際愛嬌だろう。
そのじゃじゃ馬娘は、颯爽と箒に跨ると、○○と霊夢に手を振って、目にも止まらぬ速さで晴天の中へ消えていった。

「はあ、全く、これは異変じゃないって、何度言ったら聞いてくれるのかしら」

溜息を零して小さくなっていく友人を見あげたのは、紅いリボンに脇が開いた特徴的な衣装を身に纏った少女、博麗霊夢。
幻想郷の調停者としての役割を持つ、博麗の巫女にして、楽園の素敵な巫女と通称されている少女である。
一部では、ぐうたら巫女と言われているのを、彼女は知らない。
よく言えば冷静沈着、悪く言えば無関心、普通に言えば唯我独尊を地で行く少女は、一つ、欠伸をしてから大きく伸びをした。
ふわりと、風が頬をくすぐる。確かに日差しは強く、春にしてはあまりに暑いが、風は程良く冷たいので、そう気にならない。
むしろ、これはこれでバランスが取れているんじゃなかろうかと○○は首を傾げた。
今日は天気がいい。挨拶がてら、霊夢が住む博麗神社に顔を見せたと思ったら、この事態である。
騒ぐのが大好きな人達は我先にと飛び出していき、それを楽しむ人たちが後に続く。
○○が我に返ったときには、うっとうしいぐらいに喧騒としていた境内は、まるで初めからそうだったかのように静まり返っていた。

残ったのは、境内の至る所に落ちている開いた酒瓶と、酒の臭い。

なるほど、酒が入っていたのか。
ようやく事態を呑みこめた彼は、一つ頷いて納得すると、先ほどから何度も横目で視線を送ってくる霊夢の元へ足を進めた。
下手に無視すれば、後でどうなるか分かったものではないからだ。

「……で? 俺は何をしたらいい?」
「とりあえず、落ちている酒瓶を纏めて、境内を掃いてちょうだい」
「はいよ。それで、霊夢は?」
「お茶飲んで、あなたを見守っているわ」
「おい」
「冗談よ。部屋の中を片付けるのよ。外は任せるわよ」
「はいよ」

もちろん、やることは一つ。境内の後片付けである。




ようやく一通り綺麗になったのは、お昼を少し回ったあたりであった。霊夢が用意した簡単な昼食を済ませ、彼が淹れたお茶で一息。ほう、と二人はため息をはいた。

「やっぱり、○○が淹れてくれるお茶は美味しいわね」
「お世辞でも嬉しいよ」
「あら、私がお世辞を言う人間に見える?」
「見えん」

こつん、と頭を叩かれた○○は、欠伸をしながら、隣でお茶を啜る霊夢を見下ろした。
○○よりも頭一つ分小さいせいで、彼女の旋毛がよく見える。艶やかな黒髪が、春の日差しを緩やかに反射している。
ちょっとしたことで折れてしまいそうなほどに細い首筋にはうっすらと紅潮し、間に見える鎖骨は、彼女の華奢さを強調させているように彼は思えた。
博霊の巫女伝統の衣装だという、肩から先が切り取られた特徴的な衣装が、静かな風と共にパタパタと揺れる。
そのたび、脇口から見える胸部を覆うサラシが露わになる。
酷く目に毒だ、と彼は思った。悪い意味ではなく、良い意味で。いや、この場合は悪い意味の方だろうか。
この場に魔理沙や他の誰かがいるのであれば、また違った見方が出来たかもしれない。
しかし、魔が悪いことに、今は霊夢と○○の二人だけ。そう、二人だけ。
しかし、こうして見ると、意外と霊夢の胸は大きいなぁ……。
ブラジャーよりも薄い布で巻かれたサラシは、乳房の大きさを想像させた。サラシの上からでも分かる形の良さ。
よく見れば、サラシにも汗が幾分しみ込んでいるようで、うっすらと谷間の辺りが色濃くなっていて、
霊夢の秘密を覗いてしまったかのような背徳感が、背筋を走った。

うわ、やばい。

ピクン、と、今まで大人しくしていた相棒が、やる気を出し始めたのを、彼は自覚した。ドクン、ドクン、と脈動を始めた部分に焦りを覚える。
○○の知り合いは、何故か○○の機微に敏い。喜怒哀楽はもちろんのこと、彼自身ほんの僅かに目を引いたモノですら、彼女達は悟ってしまうのである。
とくに、隣に居る博麗霊夢に至っては、最早『○○のことが分かる程度の能力』でも持っているのかと疑ってしまうぐらいによく気付く。
本人はただの勘だと話しているが、その勘の的中率が10割なのだから、もはやそれは覚りの領域だろう。
それはもう、あまりの察知の良さに、思わず引いてしまうぐらいに凄い。
静まれと念じれば念じるほど、御無体なと言わんばかりに聞かん棒になっていく分身を感じて、彼は素知らぬ顔で顔をあげた。

「二人きりね」

途端、狙い澄ましたかのような言葉。そのとき、彼は自身の心臓が3回程叫んだのを自覚した。

「そ、そうだね」

どもってしまったことに内心冷や汗を掻きつつも、表情だけは変えない。
しかし、どもってしまった時点で、霊夢からそのことを突っ込まれるのは明白の理。なので、どんなからかいにも対処できるように身構える。

「…………」

しかし、いつもと違い、霊夢は再びお茶を啜ると、ほう、と溜息を吐いただけだった。空になった湯呑を盆の上に戻すと、眠そうに瞼を閉じた。

………………。

一分、二分、三分。沈黙の時間が流れる。
もしかして、眠くて気付いていないのだろうか?
その考えが脳裏に浮かべば、自然と肩の力が抜ける。依然、股間は固くなったままだが、多少の余裕を感じ始めた○○は、一つ、伸びをしようと背筋を伸ばして。

「ねえ、○○」
「な、にかな?」

全身が石像と化したのを、○○は実感した。しかも、霊夢はそんな○○の様子を気にも留めず、眠たそうにくっ付けていた瞼を薄く開いた。

「お風呂入りましょう」
「……んん?」

石像が、金剛石に進化した。
霊夢は横目で○○を見つめる。薄く開かれた瞼から覗く胡乱げな瞳が、○○を射止める。薄く紅潮した頬と相まって、せっかく手に入れかけていた余裕が、裸足で逃げていった。
お風呂入りましょう。お風呂入ります、じゃなくて、入りましょう。確認じゃなくて、それは誘いで、つまり、霊夢は○○と一緒に……。

「言い方を変えるわ。セックスしましょう」
「……え?」

もはや、○○の身体は夢想封印を掛けられたかのように動かない。そんな○○を尻目に、霊夢は巫女衣装を肌蹴ると、サラシで覆われた胸部を露わにした。
ふわっと、香るのは、霊夢の汗の臭いと、服に沁み込んである香の匂い。
プルンと揺れる膨らみは、行為への期待か、その頂点をサラシの上からでも分かる程度に、固く尖っていた。

「そんなふうに見られちゃったから、私も興奮しちゃったわ」

あ、バレテいましたか。その言葉が、喉奥でへばりついて出てこない。○○はただただ、生唾を飲み込んで、股間を固くさせるばかり。

「ねえ、いいでしょ?」

潤んだ瞳が、鼻筋が、唇が、触れんばかりに○○へ近付く。香る霊夢の吐息に彼は心臓を激しく鼓動させて、一つ、首を縦に振った。


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