創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

関連ネタ

ポーの法則(Poe's Law)


以下は、2014/04/15時点のRational Wikiの"Poe's Law" の訳です。

ポーの法則

ポーの法則[ 1 ]とは:
Without a winking smiley or other blatant display of humor, it is impossible to create a parody of Fundamentalism that SOMEONE won't mistake for the real thing.

ウィンクスマイルや露骨なユーモア表現がなければ、誰かが本物だと勘違いしない、原理主義のパロディを作れない
というものである。

ポーの法則は、原理主義(より一般的には、任意の常軌を逸した理論)のパロディと本物は、いずれも同様に正気とは思えないので、パロディと本物を区別できないと指摘する。逆に本物の原理主義は、原理主義のパロディと簡単に勘違いされる。たとえば、フレッド・フェルプスは徹頭徹尾、同性愛嫌悪すぎて、主流の同性愛嫌悪の評判を落とそうとするリベラル派の高度な偽装だと考える、保守派がいるかもしれない。

歴史

ポーの法則は2005年8月にNathan Poeによって作られた[ 2 ]。この法則は、ChristianForum.Comの創造論対進化論のフォーラムで生まれた[ 3 ]。そのようなフォーラムには、大量の創造論パロディが投稿され、これらのパロディ投稿の後に、多くの場合、少なくともユーザ1名が本物の投稿だと考えて、怒りと個人攻撃の投稿を開始する。Nathan Poeはこのパターンを整理して、次のような形の法則にした。
Without a winking smiley or other blatant display of humor, it is utterly impossible to parody a Creationist in such a way that someone won't mistake for the genuine article.

ウィンクスマイルや露骨なユーモア表現がなければ、誰かが本物だと勘違いしない、創造論者のパロディを作るのは不可能だ
この法則は受けがよく、次第にインターネットミームとして広まっていった。時間とともに、この法則は創造論パロディ限定から、宗教・世俗・狂気の宗教を問わず、あらゆる原理主義のパロディへ拡大していった。
これ以前の用例

Nathan Poeのバージョンが原典となったが、Usenet全盛期の頃から同じ考えを提示した例が2つあった。1983年にJerry Schwarzは、スマイリーシンボルを付けずに風刺記事を投稿すると、投稿者自身にとっては風刺であることが明らかであっても、真に受ける人が出てくる[ 4 ]。Alan Morganは2001年に、よくできた釣りは狂人と区別がつかないと述べた[ 5 ] (Note Arthur C. Clarke's Third Law.)。
概念の拡張

もともと、この法則は誰かが原理主義のパロディを本物と勘違いすると主張していた。すなわち、「鳥が猿を生まないから、進化論は間違いだ」という風刺コメントを投稿すると、高確率で、冗談だとわからずに、真剣にその投稿者がいかに愚かであるかを説明する投稿者が現れる。しかし、この法則の用法が拡張され、今では「ポー」はネット上のパロディすべてと同義になった。基本的には、この法則は、次の3つの似て非なる概念を含むようになった。
  • 少なくとも一人はパロディ投稿を本物だと勘違いする
  • 誰も、大量のパロディ投稿と本物を区別できない
  • 原理主義にとりつかれていない人は誰でも、原理主義の真剣な表現をパロディだと勘違いする
たとえば、ポーの法則はエクストリームな原理主義者だけでなく、エクストリームなリベラリズムやエクストリームな慈善主義やエクストリームなファンやエクストリームな環境保護主義やエクストリームな愛にも適用される。誰も否定的に反応しなくても、原理主義者の暴言に対して「ポーの法則」だと言いたがる人々が多いことが、このような概念の拡張が起きた理由である。そして、多くの真剣な投稿が「ポーの法則」と呼ばれ、あらゆるパロディが「ポーの法則」と呼ばれるに至り、法則の意味が拡張された。

しかし、ポーの法則の標準的定義は拡張された用法を包含するように改訂されておらず、本物の「ポーの法則」原理主義者はその用法が間違っていると言うかもしれない。ただし、その反論はパロディかもしれない。
ポー

名詞としての「ポー」はポーの法則とって同様に広まっている。ポーは、ポーの法則を引き起こす人や投稿やニュースのことを指す。多くの場合、正統だと受け取られた人や投稿が、実際にはおそらくパロディだというときに使えわれる。従って典型的な用法は、Landover Baptist ChurchやChristWireのリンクした投稿があったときに「it's a Poe, guys, don't be so stupid (それはポーだ。真に受けるなよ。)」
ポーのコロラリー
It is impossible for an act of Fundamentalism to be made that someone won't mistake for a parody.

誰かがパロディだと勘違いすることがないように、原理主義者が行動することは不可能である。
ポーの法則の主たる帰結は逆の現象について述べている。すなわち、原理主義者の投稿が信じがたいものに見えるので、合理的な人々は誠実に、原理主義者が自身の信念のパロディを言っているのだと考える。そのようなことに前例がないわけではない。今ではRay Comfortは「バナナ論法」をインテリジェントデザインへの突っ込みコメディとして(風刺だとして)使っている。ポーのコララリーは2008年7月にUrban Dictionaryに投稿された[ 6 ]。このコロラリーは、ポーの法則を学習・経験していて、エクストリームな見方は何であれパロディーだろうと思う場合に適用される。
ポーのパラドックス

ポーのパラドックスはポーの法則のさらなるコロラリーで、不健全なレベルのパラノイアで起きる。ポーのパラドックスとは:
In any fundamentalist group where Poe's Law applies, a paradox exists where any new person (or idea) sufficiently fundamentalist to be accepted by the group is likely to be so ridiculous that they risk being rejected as a parodist (or parody).

ポーの法則が適用されるどんな原理主義グループにも、グループが受け入れるに十分に原理主義である新人や新たな考えには、あまりに奇妙すぎてパロディだと拒絶されるリスクが存在する。
このポーのパラドックスは最初RationlWikiの編集者で、今では著名なブロガーとなっている"The Lay Scientist"が、Conservapediaでの編集権管理をめぐるパラドックスを描写するのに使った。
Any new member of the CP project who's not as Conservative as them is liable to be chucked out. However, any new member who is as Conservative as them is in serious danger of being called a parodist, and chucked out. Is this the first living example of a Poe Paradox?[ 7 ]

Conservapediaプロジェクトのメンバーと同等に保守的でない新人は追放される。しかし、同等に保守的な新人は、パロディストだと呼ばれて追放される危険性が存在する。これがポーのパラドックスの最初の実例である。
実験

2009年に発表されたThe Ohio State University School of Communicationの調査で、ポーの法則を支持する証拠が見つかっている[ 8 ]。彼らは322名の被験者の政治的保守度・リベラル度を測定した。そして、研究の被験者たちは、The O'Reilly Factorのようなテレビの保守コメンタリーのパロディである、Comedy Central cable networkで放送されているThe Colbert Reportの一部を見せられた。被験者の中で保守的な人々は、「The Colbert Reportの司会者であるStephen Colbertを本当にリベラルを軽視し、ものごとについて保守的態度を表明している」と回答する傾向があった。リベラルな人々は、番組をパロディ作品だとみなし、Stephen Colbertは自身の本当の考えを述べているとは見なさなかった。奇妙なことに、この研究の被験者の中ではリベラルな人々も保守的な人々も、統計的に有意差なく、Stephen Colbertはユーモラスだと見ていた。この研究はポーの法則の検証を直接あるいは意図して行われたものではないが、その結果はポーの法則が予測することと、よく一致していた。
The Onion

特に原理主義やエクストリームな見方でなくても、パロディや風刺記事が本物と間違われることがある。これはおそらく、ウィンクスマイルマークさえも誤解されることがあることを証明している。最も有名な例は、"America's Finest News Source, The Onion"によるものだろう。その作品がライバルCNNの評価を高めていることは、もちろん何の役にも立たない。ブログLiterally Unbelievableは、FacebookでOnionの記事が真実だと受け取られた例を報告しているが、それはソーシャルネットワークを超えて広がっている。

2012年にイランのFars News Agencyが、Onionoの"Gallup Poll: Rural Whites Prefer Ahmadinejad to Obama"(田舎の白人はオバマよりアフマディネジャドを選好)という記事を取り上げ、ほぼデッドコピーして報道している。Onionはこれを捉えて、自分自身の記事を修正して、"For more on this story: Please visit our Iranian subsidiary organization, Fars."(詳しくは、我々のイラン支局であるFarsのサイトを参照のこと)と追記した

Fox Newsの関連会社のひとつFox Nationは、バラク・オバマ大統領が米国を叱る75000語のメールを書いたという記事を投稿したが、ニュースソースはOnionだった。これが愚かなのは、75000語といえば、中編小説The Catcher in the Rye or Lolita級の長さなことである。

2011年の記事"Planned Parenthood Opens $8 Billion Abortionplex"は、中絶の悪に対するパラノイアがこの記事は本物だと思わせられたブロゴスフィアの多くの人々に、受け取られた。共和党John Fleming連邦議員(ルイジアナ州選出)はこの記事に騙された。

America turning 2014 years old (米国2014歳)

Huffington Postは、Twitterの何人かのユーザが1月1日に、新年ではなく、"America's Birthday"を祝おうとしていると報道した。その記事が投稿されると、該当ユーザたちにはヘイトコメントの洪水が押し寄せ、少なからぬ死の脅迫がなされた。これらのユーザがヘイトの洪水に気づくと、それがジョークであることを明確化し始めた。そのうちの一人がHuffington Postに「私のそれがジョークか否か確かめると言う良識を発揮せずに、私のAmerica turning 2014ツイートを使用した。今や私に、殺すとか、頭を吹き飛ばすとか言ってくる人々が多くいる」とメールした[ 10 ]。Huffington Postは記事を修正し、当該ユーザ名にぼかしをいれた。

受容と用法

ポーの法則は、懐疑論者および科学を基礎とするWeb2.0コミュニティに最も広まっている。多くのブログやフォーラムやWIKIで、原理主義者に対応する際に言及される。原理主義者の暴言が投稿され、人々が先を争って「それはポーの法則だ」と反応しようとしたときに使われる。最初にポーの法則だと言った者に、優先権が与えられる。非常に疑わしい暴言にリンクする際に、「ポーの法則の逆襲」あるいは単に「ポーの法則」と前置きされる。

Web2.0の外側では、ポーの法則はほとんど知られておらず、おそらく使われることもない。ポーの法則についてのWikipedia項目は2度にわたって削除された[ 11 ]。しかし、The Telegraph.の記事で言及されて以降は、法則リストには載せられている。





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