創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

創造論ネタ

ヨシュアの長い日


「ヨシュアの長い日」とはヨシュア記10章12-13節にある次の記述のこと:
主がアモリ人をイスラエルの人々に渡された日、ヨシュアはイスラエルの人々の見ている前で主をたたえて言った。「日よとどまれギブオンの上に/月よとどまれアヤロンの谷に。」日はとどまり/月は動きをやめた/民が敵を打ち破るまで。『ヤシャルの書』にこう記されているように、日はまる一日、中天にとどまり、急いで傾こうとしなかった。

[ John Martin:"Joshua commanding the sun to stand still" (1816)

これは天動説の根拠ともされ、天動説を支持したMartin Lutherも「聖書は我々に、ヨシュアが地球ではなく太陽にとどまるよう命じたと告げていると述べて、コペルニクスをアフォ呼ばわりしている。

創造論者の「ヨシュアの長い日」

創造論者たちは実際に「ヨシュアの長い日」があったと考えている。ただし、その実現方法は複数あり、確定していない。

Russel Griggによれば以下の説がある:
  1. 神は奇跡を使って、太陽光と月光を何らかの形で屈折させ、カナンの地を丸一日間照らした。
    1. ヨシュアが必要だったのは光であって、自転の停止ではない
    2. 「昼も夜もやむことがない」(創世記8章22節)というノアとの約束に反しない
    3. 「主は日時計の影、アハズの日時計に落ちた影を十度後戻りさせられた」(列王記下20章11節)ことが「バビロンの諸侯が、この地に起こった奇跡について調べさせるため、使節を遣わした」(歴代誌下32章31節)のようにパレスチナだけに起きたようにみえる。
  2. 地軸の揺らぎが起きた(火星と地球は今より近かったので、そのようなことも起こせた)
  3. 自転が減速した
    1. 神は、津波が起きないように海洋もいっしょに減速させた。地上の物体が宇宙へ飛ばされないように地上の物体もいっしょに減速させた。地球内部の摩擦熱も抑制した。

太陽光と月光を屈折させるのが神による介入が最小規模で済む(それでもエネルギー保存は守りきれない)が、それでは「日はとどまり/月は動きをやめた」ことにはならないだろう。

「地軸の揺らぎ」は、自然現象として「ヨシュアの長い日」が起きたことにすることで、「エネルギー保存」と折り合いをつけようとしたものと思われる。でも、これは事後に火星の軌道を現在の位置へと改変するとか、「地軸の揺らぎ」の地上への影響をキャンセルするとか、結局のところの神による超自然的介入を必要とする。

そして、自転を減速させる場合は、減少する遠心力も補っておかないと、赤道から極へ大気と海洋が流れ込む。他にも色々と神は宜しくやっておくことがあるだろう。何にせよ、物理法則の一時的改変や、エネルギー非保存などが必要になり、「創造7日目からはエネルギーが保存する」という建前と折り合いがつかない。

ということで、エネルギー保存を守るべく自然現象としてノアの洪水を起こす方法を探求する創造論者たちだが、「ヨシュアの長い日」は大なり小なり「奇跡」を必要としているようである。

NASAは「ヨシュアの長い日」を証明しない

なお、都市伝説として「NASAはヨシュアの長い日を証明した」といのうがある。

これについて、「創造論者が使ってはいけない論」に「NASAはヨシュアの長い日を証明した」にあるとおり、創造論者たちはこれを否定している。






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