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完璧な幸せを手に入れる方法がどこかにあるにちがいない


現在の自分たちが生きている社会・文明が間違っていて、この地上のどこかに、あるいは過去に、あるいは未来に、もっと"幸福"な世界があるのではないかという思いは、古来より存在している。

おそらく、それは進化の過程で獲得した形質によるものだと考えられている。それについて、Daniel Nettleは進化心理学の一般向け解説本で次のように書いている:
われわれが進化によってプログラムされているのは幸福そのものではなく、なにが幸福をもたらすかをめぐる信念であり、幸福を追いかけようとする性癖です。(p.25)

なぜわたしたちは、どこか別の時代、別の国、あるいは別の生活様式のほうが、自分たちの生活より幸せに違いないと思いこんでしまうのか? ... もし幸福追求の体内プログラムが、わたしたちに最適なものごとを探させるために存在するのだとしたら、どこか別の場所により良いものが存在するかもしれないという可能性に敏感になるのは、言ってみれば当然です。常に地平線を見わたして、より良い環境、より良い社会システム、より良い行動様式を見つけようとするからです。そして、本当にすばらしいものが目の前にあらわれたときのために、常に不満の余地を残しておくのです。
...
わたしたちの体内に埋めこまれた幸福追求のプログラムは、今より良さそうな別の選択肢を発見させて、そこで終わりではありません。わたしたちがそれを追求するよう仕向けなければならないのです。だから、まずは高い地位や安らぎ、セックス、美貌などに関する情報をすばやく察知し、「これらを手に入れさえすれば、もっともっと幸せになれるよ」と心の声でささやくのです。... 人はそれらを欲しますが、いったん手に入れてしまうと、今度は別のものへの欲求に心を奪われてしまいます。(pp.74-76)

[Daniel Nettle (山岡万里子 訳): Happiness - The Science behind your Smile (目からウロコの幸福学)]
そして、「どこか別の時代、別の国、あるいは別の生活様式のほうが、自分たちの生活より幸せに違いない」という思いは、少し形式を変えれば「完璧な幸せを手に入れる方法がどこかにあるにちがいない」という思いにもなる:
ちまたに出まわる幸福の処方箋は、なにも書物にかぎりません。ありとあらゆる療法(セラピー)、ハーブ製品、スピリチュアル技法の数々。くわえて、宣伝広告のたぐいが描く、新商品を幸せそうに使う幸せそうな人々----。ほとんどはその効果が実証されていない、もしくは検証不可能であるにもかかわらず、これらの商品はおそろしくよく売れています。... こういったセラピーや技法をいとも簡単に信じてしまうのは、完璧な幸せを手に入れる方法がどこかにあるにちがいないと思っているからです。(pp.164-165)

[Daniel Nettle (山岡万里子 訳): Happiness - The Science behind your Smile (目からウロコの幸福学)]
「いとも簡単に信じてしまった」ことの多くはハズレだ。ホメオパシーによる医療ネグレクトのように時には死を招く。

それでも、人は「完璧な幸せを手に入れる方法がどこかにあるにちがいない」という思いに突き動かされ続けるようだ。






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