創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

関連ネタ

誰もが利用するダーウィニズム


J.H.ブルック「科学と宗教」によれば、19世紀にはキリスト教を含め、様々な立場の人々がダーウィニズムを自分の主張の補強に使った。
  • 自由放任の資本主義
人類が自然そのものの選択力を介して出現したとすれば、かくも有益な結果を生み出したプロセスに干渉するどんな論拠が有りうるのか。社会に関する社会主義者の諸概念が根本的におかしいという結論に行き着くのは必定だった。(p.316)
  • 社会主義
後にダーウィン主義的社会主義という考え方を表明した社会主義者ケア・ハーディが依拠したのは、思いやりのある成員を最も多く含む共同体こそ最も栄えるだろうというダーウィンの言明であった。(P.319)
  • Paleyの設計説
浪費、苦痛、苦悩は創造プロセスにつきものであるからこそ、そこに新たな合理性を賦与しうるのだ。自然神学は、ダーウィニズムによってうるさい反論をかわすことができると論じたのはグレイだけではない。イングランドでは、適応を設計の証とするペイリーの個別創造説は複数の設計者を想定するに等しいというヒュームの反論を免れないことを、フレデリック・テンプルが認めていた。しかしながら、ダーウィンの進化論を潜在力が高等生物において顕在化されてゆく統一プロセスとして解釈するならば、一人の設計者にゆきつくはずだと、彼は示唆した。(p.343)
  • 神学的自由主義
ダーウィニズムに影響された神学に彼[ライマン・アボット]がいくつかの利点を認めたのは明らかである。その一つは罪に関する伝統的な考え方を現代用語で述べ、不道徳な行為は獣性への逆行なりという古びた諺に新たな意味合いをもたらすことであった。(p.339)
  • マルクス
ダーウィンが伝統的な目的論の概念を破棄し、命じる意思とは独立した、無意識的な諸力の相互作用の一つへ生命の歴史を変換したからである。それは、非人間的な社会経済的諸力が人間の歴史を形成したというマルクス自身の歴史観と共鳴した。(p..318)

これは同時に、様々な立場の人々がダーウィニズムを敵視することにもつながる。左翼の反進化論と呼ぶべきものまで存在する。





コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

サブメニュー

kumicit Transact


管理人/副管理人のみ編集できます