ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

はじめに

「短時間」で「気軽に遊べる」かつ「有名な神話生物に触れる」シナリオを目指しました。
どどんとふ使用で3時間前後で終わります。自身は「居酒屋で飲みながらわいわい楽しむ」つもりで作成しました。
パニック系脱出ものです。道筋は一本ですが、進み方によっては違うエンディングが待っています。
難易度の調整は、モンスターの数や後述の《拒否症状》を強めにしたり、NPCを足手まといにすることで簡単にできると思います。
また、このシナリオを起点としてキャンペーンにつなげるのもありかもしれません。
基本的に、探索者が怪異に遭遇し、そこから脱出するだけの短いお話です。

推奨技能は「目星」「聞き耳」があればOK。
戦闘は発生しますが、行動次第で全て回避可能です。
戦闘をしたい方は戦闘技能を、戦闘を回避したい方は「隠れる」「忍び歩き」などを取得するとよいでしょう。


◎シナリオの流れ
バスの中で夕食
  ↓
海ほたるで休憩
  ↓
海底トンネルで大地震発生
  ↓
車両を降りて徒歩で避難(☆)
  ↓
避難場所である「風の塔」を目指す。到着できればクリア。

☆徒歩で避難している間に2つのイベントが発生する。セッションの時間に合わせて増減可能。
1.深き者との遭遇(戦闘)。技能によって回避可能。戦っても回避しても、最後は大勢の深き者に追われることになる。
2.バスで食べた夕食の中に「クトゥルヒ」が混入しており、それが原因で幻聴・幻覚に襲われる。吐き出せば解決する。

風の塔は換気口、災害時の避難場所であると同時に、背景で記述した「時空の狭間」の封印装置である。
このため、「深き者」は風の塔に近寄ることができないので、風の塔にたどり着きさえすれば命は助かる。
また、探索者がバスの中で食べてしまった異形が風の塔の封印を嫌い、幻聴・幻覚を催す。
POW*5の判定に負けると風の塔に近寄れなくなってしまうが、食べたものを吐き出すか、誰かに運んでもらえれば問題は解決する。

背景

東京と千葉をつなぐ海底トンネル「東京湾アクアライン」は、建設工事中に工法の見直しを余儀なくされた。

1971年当初の構想では、川崎側と木更津側の両サイドが海上を走る橋梁構造、中央部が海底トンネルとなる予定だった。
全ての区間で橋梁構造を採用すると大型船舶の航行に支障をきたすだけでなく、
羽田空港を離着陸する航空機の障害となるため、それらの「通り道」として中央部を海底に沈めたのだ。
しかし、1985年になって計画に大幅な修正が施された。
当初予定されていた海底トンネルの位置が中央部だけでなく、川崎側まで延長されたのである。(ここまでは史実です)

これは1日に1300隻以上あるといわれている船舶の航行ルートの7割が川崎側に集中していたこと、
川崎の地盤が緩く、橋梁を作るより海底にトンネルを作成した方が安価であることが主な理由とされている。
ところが、この大幅な計画変更は、経済・貿易的な事情によるものではなかった。
当初の計画に従い調査に入った技術者たちは……とんでもなくおぞましいものを発見してしまったのだ。

それは空間の歪みであり、暗黒の都市ルルイエへと繋がる迷路であった。
運悪く迷い込んでしまった技術者は一人残らず発狂した。そうでない者も、大いなるクトゥルフの夢を見て大半が発狂した。
深き者や落とし子と遭遇し、病院送りになった者、行方不明となった者も決して少なくはなかった。
当事の資料は当事の内閣調査室に吸い上げられ、調査に入った設計コンサル、実際の施工にあたった建設会社にも残っていない。

現地調査は、途中から、技術者に加えて、専門の「対策チーム」が入った。
工法の大幅な見直しは、これら対策チームからの提案にそったものである。
結果として、トンネルの開始位置が川崎側へと変更となり、中心部には「海ほたる」と呼ばれる人工島が設置された。
トンネルの中心部には換気島として「風の塔」が出来た。「海ほたる」と「風の塔」、
そして川崎側から繋がるアクアトンネルは東京湾の海底に存在する「空間の歪み」を塞ぐ封印として重要な役割を果たしている。

探索者たちはこのトンネル内で地震に襲われ、立ち往生を余儀なくされる。
「風の塔」か「海ほたる」に移動し、救援を待つことになるが。
どちらを目指しても「深き者」に遭遇する。下手をすればルルイエに招かれてしまうかもしれない。この脱出はまさしく、命がけなのだ。

導入 東京湾アクアライン

探索者は全員、団体客として観光バスに乗っている。
探索者全員が知り合いのほうが楽なので、事前に関係を設定しておくことを推奨。
東京を出発し、アクアラインを経由して木更津方面へ。
果物を狩り、海の幸を食べ、牧場を見学し、一日のツアー日程を終えた帰り道。
窓の外を見ると陽が傾き始めていて、今あなた達は団体客としてバスに乗っています。

※東京湾アクアラインは実在する有料道路だ。バスガイドがRP上で当該設備について説明をするとバス旅行の雰囲気が出るだろう。
 詳細な内容は割愛するが、アクアラインや海ほたるパーキングエリアのホームページを参照すれば十分に資料は揃うはずだ。

バスガイドが全員に夕飯としてお茶とおしぼり、お弁当を配りはじめました。東京湾アクアライン名物の「海ほたる弁当」だ。
中身は新鮮なマグロ、サーモン、エビ、タコ、イクラ、ウニなどの豪華海鮮ちらし寿司に、ホタルイカの沖漬け、明太出し巻き、筑前煮などが入っている。
お土産として、同じく海ホタル名物「竜宮そうめん」「ウミホタルストラップ」も一緒に配布された。
開始して暫くは探索者同士の雑談。ある程度馴染んできたところでバスガイドがアナウンスをする。

※このシナリオは、「全員が弁当を食した」という前提のもとに構築されている。
本シナリオを最後まで読んだ後、「弁当を食していない者(後述する拒否症状が出ない者)」が混在するケースでの運用が難しいと感じた場合は、
物語の導入を「全員が弁当を食べた直後」から開始するといい。疑い深いPLが混在する場合などにおすすめである。


◎バスガイドのアナウンス
みなさま、本日は「にゃるツアー企画:初秋のシークレットバスツアー」にご参加いただき、ありがとうございます!
この車両は、間もなく海ほたるに到着しま−す!
休憩を挟みますので、1時間後には戻ってきてください。
現在時刻が17時ですから、18時までにはお戻り下さいね。

海ほたるにて

KPは探索者たちを、海ほたるに立ち寄らせる。
観光バスなので上記アナウンスのように、トイレ休憩もかねて立ち寄る流れとするのが自然だろう。
飲食店や売店ではホタルイカの製品がイチオシになっている。また、屋上の展望台も人気スポットの一つだ。
特にホタルイカの粉末を練りこんだせんべいは夜間で僅かにだが発光するようで、人気があるようだ。
(※誤解されがちだが、ホタルイカとウミホタルは全くの別物。ホタルイカは食用可能な光るイカで、ウミホタルは発光する微生物)

実はここで提供されている「ホタルイカ」の一部と「タコ」は、クトゥルフの落とし子たち。
クトゥルヒの最も小さなタイプ(タコと同じくらいのサイズ)。
アクアラインが開通して暫く封印されていた「空間の歪み」が近年の地震で大きくなり、地上まで眷属が漏れ出してきたという…。
海ほたるが利用している水産卸業者が、
利益をあげるためにホタルイカとよく似た形状で味もよく似た「小さなタコ」をホタルイカと偽って出荷していた。
「佃煮」のよう加工調理されており、一般人が一見して判別するのは難しい。
それと知るには【生物学】か料理関係の知識が必要だろう。職業が飲食店や料理人であれば知識で判定をかけても構わない。

◎屋上展望台
誰か一人は必ず行ってほしいので、観光に行くことを強く勧めること。
誘導が難しいと感じた場合は、バスガイドが旗を持ち、バスの乗客を展望台までつれていく。
そこでトイレと売店の場所を案内して、集合時間を通達し、解散してもいいだろう。

では、あなた達は幸せの鐘がある展望台に来ました。展望台からは東京、千葉、神奈川の東京湾に面した沿岸部が見渡せる。夕暮れ時の夜景が美しい。
東京方面にはビルの群が、千葉方面には大きな港と、そこから荷揚げするためのクレーンが見えた。空には飛行機も見える。成田空港に向かっているのだろう。
神奈川方面は目を向けると、海の中に白い塔のようなものが立っていることに気がついた。

◆目星:海から塔が生えている。遠目にも認識できるということは、実際はとても大きな建物なのだろう。もしかしたらちょっとした島くらいの大きさはあるかもしれない。
◆アイデア:海底トンネルと関係があるのではないかと閃く。そして、それらがわかりそうな資料は観光案内としてこの建物の目に付くところにあるのではないかと思い至る。
◆博物学:特別に調べる必要はなく、換気装置として「風の塔」の存在を認識する(※風の塔についてを参照)

-+-+-+-+ 観光案内パンフレット -+-+-+-+

観光案内のパンフレットとして提示してもいいし、バスガイドが現場に同行しているなら彼女の口から語らせてもいい。施設の職員や親切な旅人は知っているかもしれない。

・風の塔について
アクアライン走行中は見えないが、トンネルの真ん中に「風の塔」という人工島がある。 この人工島の広さは東京ドームがすっぽり入ってしまうくらいの広さで、塔はアメリカ・ニューヨークにある「自由の女神」と同じくらい(高さ:90m)。 風の塔はトンネルの換気が主な役目だが、トンネルの火事や事故の時の避難所の役目、火事の時の消火水槽などの役目を備えている。

・アクアトンネルについて(この情報を取り漏らした場合、機械修理、電気修理の技能所持者がいれば「知識」で補う事ができる)
ウミホタルパーキングエリアを境に、東京湾アクアラインは橋からトンネルに切り替わる。海底を走るアクアトンネルは、シールド工法が採用された。シールド工法の特徴として、トンネルの断面は円状になる。アクアトンネルはこれを利用し、点検車や緊急車両などが通る管理用道路や光ファイバーなどの通信ケーブルを設置した。火災発生時には下層部の気圧を高めて煙の侵入を防ぎ、スロープで降りられる避難路としても機能する。そして、それらはすべて風の塔に繋がっている。


◎トイレ、売店などで情報収集(目星や聞き耳など)
清掃員1「それにしても…、いくらたくさんとれるからってアレはないよねー」
清掃員2「まぁこんなご時勢ですし、やりたくなる気持ちはわかりますけどね」
清掃員1「うーん、偽者掴まされても、分からないもんなのかなぁ」


◎そのほかありそうなこと。
◆聞き耳:成功すると、タコ大量発生のニュースが耳に入ってくる。近年まれに見る豊漁らしい。
◆目星orアイデア:ホタルイカ系の土産物を買って調べると、ホタルイカに奇妙な違和感を覚える。
◆生物学:ホタルイカ系みやげ物について生物学で調査をすれば、それが偽物だとわかる。どちらかというとこれはイカではなくタコに近いが、見たことがない新種の生物のように思える。
◆店の人への聞き込み(言いくるめ、心理学等):食品の偽装に関連する話。疑ってかかるなら情報を出してもいい。


◎バスに残るものがいれば聞くことができる。全員でかけた場合は帰り際に聞き耳をさせる。
同じバスに乗車していた観光客の一人が、バスガイドと争っている。
内容をはっきりと聞き取ることはできないが、乗客が怒っており、ガイドが宥めているようだ。
探索者たちが近づいてきたことでガイドは慌てて乗客を車両の裏手に引っ張っていき、頭を下げている。
運転手が出てきて「間もなく発車します、ご乗車下さい」と事務的に促した。

☆聞き耳
「さっきアンタたちが出した弁当だけどね。
 あれホタルイカ弁当ってかいてあったくせにホタルイカが入ってなかっただろう。
 素人だからって舐めてんじゃないよ。こっちだってそれくらいの見分けはつくよ!」

緊急地震速報


◎走行開始と同時にアイデア 
成功した探索者は、走行中の振動とは違った「揺れ」を感じた。

海ほたるでの休憩を終え、川崎側の出口に向かい、海底トンネルを走り出っている最中。
同乗者たちの携帯電話から一斉にアラームが鳴り響いた。
「緊急地震速報です。緊急地震速報です」
警戒音が鳴り響いてから数秒もしないうちに、地面から突き上げるような揺れを感じた。
座席から振り落とされるほどの激しい振動、空中に投げ出されたかのような浮遊感の後。
引き裂く悲鳴のようなブレーキに、窓ガラスが割れた音が混じる。
鳴りっぱなしのクラクションは、このバスだけでなく、周囲の車からも聞こえてくるようだ。

幸いにもバスは事故を起こすことなく、奇跡的に、スリップしただけで停止した。
だが周囲には、ハンドルを切り損ねて壁に激突した車、追突事故を起こしている車両などがあちこちに散見される。

◆車両事故
アイデアに成功している→CON*5で判定。成功したらノーダメージ。失敗したら1d3のHP減少。
アイデアに失敗している→CON*5で判定。成功したら1d3のHP減少。失敗したら1d6のHP減少。

車両を降りる


車両に出て避難経路を探すのが本筋。
難易度を高くするなら、バスの乗客やバスガイドが怪我をしており救助する必要性を訴える。背負って移動になるので行動を制限できる。
難易度を低めにするならバスガイドは既に死亡しており、ほかの乗客は勝手に逃げている。SANチェック(1/1d4)が生じるものの行動に支障はない。

車両に残り救出を待つ、と宣言したプレイヤーがいた場合、そのキャラクターの行動は一番最後に回して「深き者」に襲わせる。
「深き者」単体との戦闘で勝つ、ないしはDEX対抗で成功すれば、ほかの探索・脱出に加わることができるが…
集団に囲まれ発狂する、拉致されるなど、無残な最後を演出してもいい。

トンネルの内部は薄暗い闇で満ちていた。地震の影響で照明の何割かが死んでいる。
ただ、車のヘッドライトなどがあるので、完全な闇ではない。どこからともなく焦げ臭いにおいがした。

◎出そうな情報
◆外に目星:避難経路の表示「風の塔」を示している。避難通路に向かう扉を見つける。
◆中に目星:周囲に落ちている物を拾うことができる。ゴルフクラブや、金属バットあたりはありそう。車載の懐中電灯などもあるかもしれない。
◆アイデア:人が海ほたる側から川崎側に移動している。そういえば海の中には「白い塔」があったような…?
◆知識、幸運など:風の塔について情報を得ていた場合は、その存在を思い出す。東京ドームほどの大きさがあり、換気設備だが、緊急時の避難場所にもなっている。避難場所として最適だろう。

風の塔へ向かう

◎点検用の扉
鍵がかかっていてあかない。地震で誤作動を起こしたようだ。
《鍵開け》ないしは鍵を探して持ってくる必要がある。
鍵を探す場合はもう一度、見通しのいい場所で目星をする必要がある。

◆目星
→成功:点検用車両を発見する。内部は無人だが、座席には鍵が落ちていた。
→失敗:点検車両発見。中で息絶えている人の係員を発見する。
    死体の破損が酷く、鍵を探して漁ればぼろりと腕が捥げて落ち、飛び出しかけていた眼球が顔から零れ落ちた。(0/1D3)

点検用扉を使用し、道路の下に設置されている点検用通路を利用すれば一直線で風の塔まで移動できる。
海ほたるに戻りたい場合は、最期に記した「海ほたるに戻る場合」を参照する。
なお、避難通路を使用せずトンネルを歩いていった場合は進路の車のガソリンに引火し、突如として爆発。炎と煙に巻かれ、別の経路を選択せざるをえなくなる。

全員が足を踏み入れたそこは、点検用通路を兼ねた避難路だった。
三人程度ならば並んで歩けるだろう。天井にはジャンプしても届きそうに無い。
非常用の明かりがついているが、破損している箇所もあり全体的にうす暗い。

観光バスで「お弁当」を食べている(アクアラインの休憩所でタコ・イカを食べている)探索者は歩きながら腹痛や吐き気を覚える。
POW*5で判定し、成功したら動き出せるが、失敗すると海ほたる側から不思議な声をききそちらに向かって歩き出してしまう。
これは腕を引くなど、簡単な刺激で目が醒める。基本的に全員食べている前提でスタートして問題ない。

◎トンネル内部で聞き耳
→成功:通路の先から、男の悲鳴が聞こえた。「助けてくれ!」「化け物が!」という単語のほかに、争う気配を感じる。

人が襲われていることがわかる。近づくと「深き者」を発見する(1/1D6)。
聞き耳に成功した場合、次の「深き者」と遭遇した際に身を隠す、不意打ち、身をかわす、などの行動を起こすチャンスがうまれる。
もちろん、隠れたまま速やかに通り過ぎてもいい。難易度を低くするならNPCを見捨ててもペナルティはないが、難易度が高い場合はNPCを食らった「深き者」が仲間を呼ぶ。
倒すか、隠れてやりすごすと、深き者の仲間たちが気づいて集団で追ってくる。
風の塔に近づくと自然といなくなる(風の塔に刻まれた封印を忌避しているため)。
ここで多数の深き者を出し、大人数で追いかけてパニックを誘うと愉悦。

※深きもの※(基本は1体。難易度に応じて数の調整や技能値の可能)
HP:13 MP:10 ダメージボーナス:1D4
STR14 CON10 SIZ16 INT13 POW10 DEX10
装甲:1ポイントの皮膚と鱗
武器:カギ爪(25〜75%) 1D6+1D4 ハンティングスピア(25〜75%) 1D6+1D4

風の塔到着


点検用通路には道筋を示すように「風の塔」の表示があった。
その表示に従い歩くうちに、探索者はまた奇妙な違和感に襲われる。腹痛・吐き気のフラグ。
POW*5の判定をかけ、失敗するとそこから一歩も動けなくなる。
対処法としてオーソドックスなのは、弁当を吐くことだが、苦しむ仲間を担いで持ち運ぶなどしてもいい。
解決策は自由に提示してもらって構わない。
弁当を吐き出した場合、その中身を検分すると触手を発見できる(1/1d6)。

動けずにいる探索者のもとに、背後から「深き者」の群が追いかけてくることで危機感を煽る。
ただし彼らは「風の塔」を忌避しているので、塔に近づくほど動きが鈍くなり、最期は姿を消してしまう。
追っ手を気にする探索者がいた場合は目星などでそれらの情報を出してもいいだろう。

塔の近くまでくると、誘導のランプが見える。ほかの避難者の姿も見えた。
「風の塔」に入ると、他の避難客の姿もありほっと一息つくことができる。
みなざわざわと落ち着かないが、誘導している係員の姿もあり、全員、地上を目指し階段を上る。
地震でひび割れたのか、外壁の一部がはがれ落ちている。はがれおちた場所には星を象った模様が刻まれているようだ。

◎古き印
◆目星:複雑なそれは何かの魔法陣のようにも感じられる。
◆アイデア:その印から不思議な力を感じる。それが急速に力を失いつつあることに気づく。
◆オカルト:おぞましくも邪悪な何かを封印しているものだと感じる。みやげ物などを持っている場合は、手荷物のおぞましさのあまりその場で捨てたくなるだろう。


地上に到着してしばらくすると、救援のヘリがやってきました。
大きな地震だったが津波の心配はないようだ。周囲を見渡すと、異常な程にあかるいことに気がつく。
そこには夜に光る大量のウミホタルが発生していた。
目星や、アイデア、オカルト、神話技能などに成功すると、それがおぞましい何かであること、
この建物の周囲2m程度から結界でもあるかのように近寄ってこないこと、などががわかる。
渡す情報はKPの任意。

救援隊と入れ違いに民間人がヘリに乗せらている。
救急隊員の鮮やかなオレンジとは異なる、黒ずくめの装備で身を固めた男達を発見する。
遠巻きにしか見ることはできなかったが…?

◆ここで必ず「目星」をさせる
隊員の腕章に「古の印」を発見する(=彼らはこの現場に再封印に来たメンバー)
探索者の中でタコ・イカを食べている者がいた場合は、腕章を持った人間が気づいてお守りの札を渡してくる。
最低でも三日は持ち歩き、寝るときも枕元に置くように説明される。

エンディング


風の塔にたどり着いた探索者はみな、全員無事に自宅に戻ることができた。
翌日のニュースで、海ほたるは全壊、生存者ゼロだと判明。
大きな地震だったわりに被害は局地的で、「海ほたる」のみが壊れたといっても過言ではない。

被害状況を知らせるニュース、ラジオ、新聞では、同じ枠内で「地震の影響か!?発狂者多発」という情報を流している。
地震がおきた翌日以降、謎の発狂者が急増しているようだ。
昼間に突然叫びだし泡をふいて倒れた者もいれば、夜中に飛び起きて全身をかきむしり救急車で運ばれた者もいる。
いずれも発狂者に関連性はみられず、何が原因かは分かっていない。
更に同じ枠内で「入水自殺者多発」という知らせも入る。
何の前触れもなく、海に飛び込む者が後を絶たないらしい。
沿岸部では注意を呼びかけており、警察だけではなく自衛隊も出動し、警備にあたっているという。
 
それらのニュースを見た(新聞を読み終えた/ラジオを聞きおえた)後、探索者たちはその日の夜に夢を見る。


――なにものかの眼前に引きずり出され、祭壇の前で膝をつき頭を押さえつけられている。
己の腹部が徐々に膨れ上がり、腸が内側から何者かに食い荒らされる激痛に声にならぬ悲鳴を上げた。
ぱんぱんに膨れた腹部は風船がわれるように破裂し、食い散らかされた腸とともに、無数の触手が飛び出す(1d10/1d20)。
これがニュースで報じられている同時多発発狂のからくりである。
出口で「お札」をもらっていると、腸が膨れたところで札が発光し、探索者の精神を無事に戻してくれる(1/1d6)。
難易度を高めに設定しているなら、そこで顔をあげると大いなるクトゥルフを見てしまい(1d10/1d100)となる。

☆さらにその後の話(シナリオフックという名の余談)
風の塔の封印は、ヘリから降りてきた特殊部隊によって修復されるだろう。これによって異常事態は徐々に沈静化する。
だがしかし、漏れ出した「何か」がこの世界のどこかに残るかもしれず、それを始末しなければならないかもしれず、
専門技能を備えたプロフェッショナルたちによる「再封印」の物語が発生するかもしれない。

番外編「海ほたる」に戻ろうとした場合


◆聞き耳or目星
→成功:悲鳴が聞こえ、争う気配を感じる。もしくは人が何者かに襲われている姿を遠めに見る。
    技能のどちらかに成功した場合、次の「深き者」と遭遇した際に身を隠す、不意打ち、身をかわす、などの行動を起こすチャンスがうまれる。

→失敗:悲鳴が聞こえる。状況はわからない。そのまますすむと、「深き者」に発見されてしまい、追いかけられる(0/1D6)。
    風の塔方面に逃げれば逃げ切れる。倒せば強引に突破することができる。

もしその先に進んだ場合は「海ほたる」に戻ることができる。

そこには同じように逃げてきた人間たちがいた。
周囲を見渡すと、やけにあかるい。ホタルイカの大群が集まってきているのだ。
否、それは、水中を漂うだけでなく、柱や壁を這い上がり、徐々に建物をとりかこんでいく。
やがて探索者たちは建物ごと、美しくも不気味な青い光にのみこまれるだろう――。

→探索者ロスト

最期に

▼利用可能範囲
・TRPGセッション(生配信等での使用も可)
・リプレイ動画(収益の発生する動画サイトについても可)
・その他、リプレイの公開は媒体を問わず自由

▼禁止事項
・二次配布・販売・譲渡(加工後であっても厳禁)
・自作発言
・政治活動・ヘイト目的・誹謗中傷目的での使用
・公序良俗に反する目的での使用

▼その他
・当素材を使用したことによるすべてのトラブルや不利益に当方は一切の責任を負いません。
・シナリオの著作権は作者に帰属します。
・セッション時の改変は自由に行って構いません。改変後の再配布は不可とします。
・本利用規約について、予告なく変更する場合がございます。ご了承ください。
・その他不明点がございましたら、TwitterID:bu_budogまでお問い合わせください。
・本作を起点としたキャンペーンシナリオ(=続編)を作成し、同人誌でまとめました。観光バスは「脱出」という名義で、加筆修正し「越智満高等学校新聞部シナリオ集vol.2 ウミホタル」という本に収録しております。このページは今後もこのまま残しておきますので、ご自由にお使い下さい。

このページへのコメント

素敵なシナリオをありがとうございます。身内の卓にて使用させていただきます。

0
Posted by TKG 2023年04月12日(水) 20:14:42 返信

僕はクトゥルフが大好きな中学一年生なのですが、
友人達との身内セッションとしておかりします。

0
Posted by 名無し 2023年01月07日(土) 13:47:52 返信

面白そうなシナリオです。
お借りいたします。

1
Posted by 名無し(ID:KlLQQRHfdQ) 2022年11月03日(木) 11:39:13 返信

とても面白そうなシナリオに心惹かれました。友人とセッションする際、こちらのシナリオをお借りします。

0
Posted by ももはる 2022年08月19日(金) 00:01:30 返信

身内でのセッションに使うシナリオとしてお借りいたします。

1
Posted by kesigomu 2022年06月25日(土) 22:43:47 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

Wiki参加者情報

どなたでも編集できます