最終更新:ID:+fzIm76OFw 2017年04月30日(日) 01:34:31履歴
『剣が奪った、剣だけの国』
生まれた時から、その子供は「よそ者」と呼ばれていた。
馬に乗る異邦人から土地を奪われた父と母、流れついた先で生まれた子。
この土地で生きるには、認められるには、戦うしかない。
その子は幼い時より馬を駆って戦場を駆け巡り、剣を触れるようになってからは敵の剣の先に立った。
力を付けていった子供。その子供を求める者は、いつだってその子の剣を求め、子供に人を殺すことを求めた。
子供は認められる為に彷徨い、命じられるままに人を殺した。
だが、奴らは子供を仲間と認めてはいなかった。
子供に向ける視線は畏怖と畏敬。いつしかその子は、剣、という異名で呼ばれていた。
そうして子供の心は死んでいき、俺が、戦う為に作られた。
俺は剣だ。この体は剣の柄から生えた、剣を振るう為の肉体だ。剣そのものだ。
人の心に触れるより、剣で人の肉に触れたことの方が多く。人の温かさを手で感じるより、剣から伝う血の熱さを感じたことの方が多い。
そうやって生きていた剣の生涯の果てに、今がある。
俺はこの国においても、「よそ者」だった。その為に俺は、この世界で一人となった。
俺を求める奴らはもういない。だが、俺は生きている。そして俺を害する敵も・・・。
俺にここ以上の居場所はない。ここはあの子にとっての地獄であり、俺にとっての天国。
そう、ここが俺が生きるべき土地なのだ。俺だけの国なのだ。
生まれた時から、その子供は「よそ者」と呼ばれていた。
馬に乗る異邦人から土地を奪われた父と母、流れついた先で生まれた子。
この土地で生きるには、認められるには、戦うしかない。
その子は幼い時より馬を駆って戦場を駆け巡り、剣を触れるようになってからは敵の剣の先に立った。
力を付けていった子供。その子供を求める者は、いつだってその子の剣を求め、子供に人を殺すことを求めた。
子供は認められる為に彷徨い、命じられるままに人を殺した。
だが、奴らは子供を仲間と認めてはいなかった。
子供に向ける視線は畏怖と畏敬。いつしかその子は、剣、という異名で呼ばれていた。
そうして子供の心は死んでいき、俺が、戦う為に作られた。
俺は剣だ。この体は剣の柄から生えた、剣を振るう為の肉体だ。剣そのものだ。
人の心に触れるより、剣で人の肉に触れたことの方が多く。人の温かさを手で感じるより、剣から伝う血の熱さを感じたことの方が多い。
そうやって生きていた剣の生涯の果てに、今がある。
俺はこの国においても、「よそ者」だった。その為に俺は、この世界で一人となった。
俺を求める奴らはもういない。だが、俺は生きている。そして俺を害する敵も・・・。
俺にここ以上の居場所はない。ここはあの子にとっての地獄であり、俺にとっての天国。
そう、ここが俺が生きるべき土地なのだ。俺だけの国なのだ。
『3人に勝てるわけないだろ! in狂気の山脈』
「ぬぅぅわぁぁぁん! やっと帰れたもう!」
「帰れた・・・」
「何百年もすげぇキツかったゾ」
「でも帰れたんスね。おまたせ、世界」
「あ、おい待てい。といっても、ここは何処だゾ」
「えっ・・・やめてくれよ・・・」
「何かすげぇ寒いゾ・・・寒くない?」
「えっ、これは・・・何か一面雪景色なんですけど・・・寒いですね、これは寒い」
「あっ、ふーん・・・道理でねぇ・・・あのさぁ・・・」
「これはどこだかわかんねえなぁ・・・お前どう?」
「知るわけねぇダルルォ!?」
「はえ〜すっごい絶望感。なんてこったよ」
「あれから結構歩いたが・・・オイ、冷えてるか〜?」
「大丈夫っすよ、バッチェ冷えてますよ。死がすっげぇ近くなってる、はっきり分かんだね」
「あ、アレ・・・多分洞窟だと思うんですけど」
「ああ〜いいっすね〜。じゃけん全力で行きましょうね〜」
「おっ、そうだな」
「はーい、よーいスタート」
「入って、どうぞ」
「はえ〜、中はすっごい大きい・・・もう安心ですね」
「嘘つけ絶対危険だゾ。何か変な生き物の死体があるゾ」
「ホラ、見ろよ見ろよ」
「やだよ。・・・何で見る必要なんかあるんですか」
「イソギンチャク? 植物? これもうわかんねぇな」
「あとここさぁ・・・奥・・・あんだけど、見に行かない?」
「あ、そっかぁ行きてえなぁ」
「そんなことしなくていいから」
「大丈夫だって安心しろよ〜。ほらいくどー」
「そうだよ。見てないでこっち来て、お前も入ってみろよ」
「だから怖ぇっつってんじゃねえかよ・・・・ダメみたいですね・・・しょうがないね」
「ぬぅぅわぁぁぁん! やっと帰れたもう!」
「帰れた・・・」
「何百年もすげぇキツかったゾ」
「でも帰れたんスね。おまたせ、世界」
「あ、おい待てい。といっても、ここは何処だゾ」
「えっ・・・やめてくれよ・・・」
「何かすげぇ寒いゾ・・・寒くない?」
「えっ、これは・・・何か一面雪景色なんですけど・・・寒いですね、これは寒い」
「あっ、ふーん・・・道理でねぇ・・・あのさぁ・・・」
「これはどこだかわかんねえなぁ・・・お前どう?」
「知るわけねぇダルルォ!?」
「はえ〜すっごい絶望感。なんてこったよ」
「あれから結構歩いたが・・・オイ、冷えてるか〜?」
「大丈夫っすよ、バッチェ冷えてますよ。死がすっげぇ近くなってる、はっきり分かんだね」
「あ、アレ・・・多分洞窟だと思うんですけど」
「ああ〜いいっすね〜。じゃけん全力で行きましょうね〜」
「おっ、そうだな」
「はーい、よーいスタート」
「入って、どうぞ」
「はえ〜、中はすっごい大きい・・・もう安心ですね」
「嘘つけ絶対危険だゾ。何か変な生き物の死体があるゾ」
「ホラ、見ろよ見ろよ」
「やだよ。・・・何で見る必要なんかあるんですか」
「イソギンチャク? 植物? これもうわかんねぇな」
「あとここさぁ・・・奥・・・あんだけど、見に行かない?」
「あ、そっかぁ行きてえなぁ」
「そんなことしなくていいから」
「大丈夫だって安心しろよ〜。ほらいくどー」
「そうだよ。見てないでこっち来て、お前も入ってみろよ」
「だから怖ぇっつってんじゃねえかよ・・・・ダメみたいですね・・・しょうがないね」
『偽りの関係、旅の果て』
モリグナの9人の魔女、アルシンダ。
私の旅の始まりは、逆さアンクのアルドゥアン、彼との出会いからだった。
故郷を出て、海を渡ったばかりの15の小娘。ひ弱な魔女。
そんな私を彼は殺さず、手の甲の印にも深く言及せずに、見逃した。
そんな彼を私は慕い、彼の旅の目的にも深く言及せずに、彼の後を追う。
・・・愚かだった。見逃してくれた彼の情けを、分かっていなかった。
彼と、その仲間との付かず離れずの旅。魔女と、魔女殺しの者達との、偽りの旅。
火の熱さと鉄の冷たさ、人の強さと人の弱さ、この世界の美しさと醜さ。過酷な旅の中で多くのものを見せられた、見せてくれた。
何度も死を予感したが、それでも楽しかった。旅の中で、私は彼らのために力を使うことに喜びを感じていた。
数年の旅を経て、彼らは海を渡った。私の故郷へと。
私はこの地に留まることを選び、一人での旅。
私は分かってなかった。愚かだった。私が見逃されたから、故郷の姉妹らが彼らの手にかかるはずはないと思い込んでいたのだ。
彼とのあるべきでなかった協力関係、偽りの信頼は、一族の死を予感させないほどに私の目を曇らせていた。
結果は、私の親族は死んだ。私達の生き方や術を邪教のものと認めたアルドゥアンの、あの手によって。
私と彼との関係は、あるべき形に成った。
本来の関係に戻り、命の奪い合った。そして彼の首は落ちた。
戦いの果てに残ったのは、例えようもない孤独感だけだった。
私は彼の首を持ち去ろうとした。孤独を埋めようとした。
そんな私を、彼はリンボの果てに送り込んだ。ここから出たければその力を使えと彼は言って、私はここから出るためと死力を尽くした。
私達の関係は、奇しくも以前の関係に戻った。偽りの関係に。
私は何度も敗北の泥を舐め、そして人生の幕を、自らの指で閉じた。
だが・・・
そして・・・
ようやく・・・還ってきた。故郷へ。
肉体を失った私には、この吹雪すら心地良い。
雪に足跡も残さず、私は白い夜の森を歩いていく。
彼も今頃、故郷に還っているのだろうか。この偽りの関係は、まだ続くのだろうか。
そんなことを考えながら、ゆっくりと私は、闇に溶けていった。
モリグナの9人の魔女、アルシンダ。
私の旅の始まりは、逆さアンクのアルドゥアン、彼との出会いからだった。
故郷を出て、海を渡ったばかりの15の小娘。ひ弱な魔女。
そんな私を彼は殺さず、手の甲の印にも深く言及せずに、見逃した。
そんな彼を私は慕い、彼の旅の目的にも深く言及せずに、彼の後を追う。
・・・愚かだった。見逃してくれた彼の情けを、分かっていなかった。
彼と、その仲間との付かず離れずの旅。魔女と、魔女殺しの者達との、偽りの旅。
火の熱さと鉄の冷たさ、人の強さと人の弱さ、この世界の美しさと醜さ。過酷な旅の中で多くのものを見せられた、見せてくれた。
何度も死を予感したが、それでも楽しかった。旅の中で、私は彼らのために力を使うことに喜びを感じていた。
数年の旅を経て、彼らは海を渡った。私の故郷へと。
私はこの地に留まることを選び、一人での旅。
私は分かってなかった。愚かだった。私が見逃されたから、故郷の姉妹らが彼らの手にかかるはずはないと思い込んでいたのだ。
彼とのあるべきでなかった協力関係、偽りの信頼は、一族の死を予感させないほどに私の目を曇らせていた。
結果は、私の親族は死んだ。私達の生き方や術を邪教のものと認めたアルドゥアンの、あの手によって。
私と彼との関係は、あるべき形に成った。
本来の関係に戻り、命の奪い合った。そして彼の首は落ちた。
戦いの果てに残ったのは、例えようもない孤独感だけだった。
私は彼の首を持ち去ろうとした。孤独を埋めようとした。
そんな私を、彼はリンボの果てに送り込んだ。ここから出たければその力を使えと彼は言って、私はここから出るためと死力を尽くした。
私達の関係は、奇しくも以前の関係に戻った。偽りの関係に。
私は何度も敗北の泥を舐め、そして人生の幕を、自らの指で閉じた。
だが・・・
そして・・・
ようやく・・・還ってきた。故郷へ。
肉体を失った私には、この吹雪すら心地良い。
雪に足跡も残さず、私は白い夜の森を歩いていく。
彼も今頃、故郷に還っているのだろうか。この偽りの関係は、まだ続くのだろうか。
そんなことを考えながら、ゆっくりと私は、闇に溶けていった。
『教会にて』
神「どうぞ・・・大した持て成しもできなくて、申し訳ない。見ての通り、私はお金とは無縁の人間でね」
博「俺ぁ昔はゴロツキだったもんでね、これくらいの方が落ち着くってもんよ・・・ところで神父の旦那、今朝の新聞は見ましたかい?」
神「いや、見てないな。何か面白いニュースでもあったのかい?」
博「大英博物館に盗みが入ったって話だ」
神「それは大変だ。英国の宝を盗もうとする輩がいるのは、嘆かわしいことだね。今度ジェイムズ君や、ガイア君に聞いてみるよ、彼らは何かと情報通・・・」
博「盗まれたのはアルドゥアンの首と、彼の剣だけだぜ」
神「・・・彼に聞いたら、今度こそ縁を切られそうだね。ガイア君も・・・逃げるだろうなぁ」
博「ああ、そうだ旦那。彼女はまだ見つかってないんですかい?」
神「・・・ツァイ君のことかね?」
博「俺も失踪する直前に顔を見たクチだからよ。気にならないって方が無理な話よ」
神「・・・彼女は帰ってくる。そう信じているよ」
博「ん? 面白ぇ言い回しですね旦那。まるで・・・」
神「エドワード君の受け売りだよ。彼はあれ以来、元気が無いのが心配だが・・・私も彼の言葉を信じたい」
博「ほー・・・まぁ、良くは分かんねえが、無事だと良いな」
博「・・・へへっ、ところでよぉ、旦那」
神「どうしたんだい? 急に態度を変えて」
博「さっきも言ったように、展示室の目玉になるはずだったものが盗まれたんだぜ? なぁ旦那、他にアルドゥアンの遺品とか、持ってないかい?」
神「・・・実は、彼が書き記したって本をつい最近まで持ってたんだ」
博「ほんとですかい!? い、今はどこに!?」
神「君と初めて出会う数日前にね・・・譲って欲しいと掛け合ってきたんだ」
博「な・・・なにぃ!? 誰だぁそいつぁ!?」
神「アイルランドから来た、お医者様だよ。女だてらに、私の友人の病気に効く薬を持ってきてくれてね、料金代わりに欲しいと言ってきたんだ」
博「かあ〜・・・もったいねぇ! で、そいつの名は!? アイルランドに行ってでも見つけねえと」
神「背に腹はかえられないってね・・・名前はたしか、アルシンダ、と言ってたっけかな? ここに来るまでに随分苦労したって笑ってたよ」
神「どうぞ・・・大した持て成しもできなくて、申し訳ない。見ての通り、私はお金とは無縁の人間でね」
博「俺ぁ昔はゴロツキだったもんでね、これくらいの方が落ち着くってもんよ・・・ところで神父の旦那、今朝の新聞は見ましたかい?」
神「いや、見てないな。何か面白いニュースでもあったのかい?」
博「大英博物館に盗みが入ったって話だ」
神「それは大変だ。英国の宝を盗もうとする輩がいるのは、嘆かわしいことだね。今度ジェイムズ君や、ガイア君に聞いてみるよ、彼らは何かと情報通・・・」
博「盗まれたのはアルドゥアンの首と、彼の剣だけだぜ」
神「・・・彼に聞いたら、今度こそ縁を切られそうだね。ガイア君も・・・逃げるだろうなぁ」
博「ああ、そうだ旦那。彼女はまだ見つかってないんですかい?」
神「・・・ツァイ君のことかね?」
博「俺も失踪する直前に顔を見たクチだからよ。気にならないって方が無理な話よ」
神「・・・彼女は帰ってくる。そう信じているよ」
博「ん? 面白ぇ言い回しですね旦那。まるで・・・」
神「エドワード君の受け売りだよ。彼はあれ以来、元気が無いのが心配だが・・・私も彼の言葉を信じたい」
博「ほー・・・まぁ、良くは分かんねえが、無事だと良いな」
博「・・・へへっ、ところでよぉ、旦那」
神「どうしたんだい? 急に態度を変えて」
博「さっきも言ったように、展示室の目玉になるはずだったものが盗まれたんだぜ? なぁ旦那、他にアルドゥアンの遺品とか、持ってないかい?」
神「・・・実は、彼が書き記したって本をつい最近まで持ってたんだ」
博「ほんとですかい!? い、今はどこに!?」
神「君と初めて出会う数日前にね・・・譲って欲しいと掛け合ってきたんだ」
博「な・・・なにぃ!? 誰だぁそいつぁ!?」
神「アイルランドから来た、お医者様だよ。女だてらに、私の友人の病気に効く薬を持ってきてくれてね、料金代わりに欲しいと言ってきたんだ」
博「かあ〜・・・もったいねぇ! で、そいつの名は!? アイルランドに行ってでも見つけねえと」
神「背に腹はかえられないってね・・・名前はたしか、アルシンダ、と言ってたっけかな? ここに来るまでに随分苦労したって笑ってたよ」
皆様! テスト卓お疲れ様でした!
お陰様で無事(まだ半分だけど)、シナリオを投稿することができました!
『王の器』が二人もいたり、自己を狂気へと追い込みまくるダイスロールする奇術師がいたり、神話生物よりの子がいたりしましたが、無事シナリオは全員(?)生存することができました。
ツァイのロストについても、アルドゥアンがセドリックを倒せば、彼の力で無事に戻れるかもしれないので、ロスト処理すべきかどうか迷いました。
しかしツァイは神話生物と縁深い探索者である為、神話生物駆逐マンなアルドゥアンが無事に生かしてくれるかを考えると・・・というのが自分の結論です。このまま神話的存在になるのが良いかなって。
さてさて、これからも何かとお付き合いいただければ嬉しい限りです。データ集もガンバリマス。
それでは改めまして、皆様本当にありがとうございました!
お陰様で無事(まだ半分だけど)、シナリオを投稿することができました!
『王の器』が二人もいたり、自己を狂気へと追い込みまくるダイスロールする奇術師がいたり、神話生物よりの子がいたりしましたが、無事シナリオは全員(?)生存することができました。
ツァイのロストについても、アルドゥアンがセドリックを倒せば、彼の力で無事に戻れるかもしれないので、ロスト処理すべきかどうか迷いました。
しかしツァイは神話生物と縁深い探索者である為、神話生物駆逐マンなアルドゥアンが無事に生かしてくれるかを考えると・・・というのが自分の結論です。このまま神話的存在になるのが良いかなって。
さてさて、これからも何かとお付き合いいただければ嬉しい限りです。データ集もガンバリマス。
それでは改めまして、皆様本当にありがとうございました!
静かな夜だ。
珍しく、領民も剣士も空飛ぶ生き物も、襲ってこない。
人の気配は、背後の民家の中だけ。民家の中で、悪魔狩りの男と槍兵が話し合いをしている。
自分には関係のない話し合いだったので、民家を出た。民家の壁に背中を預け、夜空を見上げる。
この世界で初めて悪魔狩りの男と顔を合わせた時、いきなり殺されそうになった。
自分の奇妙な気配に、悪魔狩りの男は反応したらしい(その気配とやらは自分自身にはよく分からないのだが)。
それに、盾を持っていたのもまずかったのだろう。盾持ちの青年を殺して盾を奪った、と誤解させたようだ。
危うく殺し合いに発展しかけた。殴り合いの攻防の末、目と目を合わせた瞬間を思い出してもらい、事なきを得る。
本当に何というか………戦士という輩は物騒な連中ばかりなのだろうか?
生と死の狭間に身を置くせいだろうか。
戦場に立つ人間は皆似ている。似たような狂気に侵されていく。
武器を振るう喜び。命のやり取りをする快楽。相手の全てを奪う全能感。血の匂いを待ち望む渇望。
殺意を向けられているからこそ、今を生きている、と感じる―――相手を想うその様は、まるで恋心のようだ。
攻撃に不慣れで、護りに長けた、盾持ちの青年の事を思い出す。
あの盾持ちの青年も、結局最後は、戦いを望んだ。
―――青年が本気で願っていると分かってしまったから。
だから止められなかった。止めることが出来ないのが、ただ悲しかった。
それとも戦う人間にとって、殺される時を選べる、殺してくれる相手を選べる―――というのは、涙が出るほど幸福な事なのだろうか………?
願いが成就した時、残された男はどうなるのだろうか。
不器用な主従だと思う。馬鹿だ、とも。
この世界は、神の力で守られた世界だ。神とのつながりが断ち切られれば、この世界は中身もろとも消滅する。
その時、悪魔狩りの男は何を望むのだろう?
あの時はたくさんの協力者がいて、切り札も有った。今の自分は一人で、持ち物は我が身一つだけ。
自分は、男の願いを叶えてあげる事は出来るだろうか?
周囲に生き物の気配はない。
街の通りは静まり返っている。
街のあちらこちらに人々の営みの名残りが残されている事が、かえって過去を浮き彫りにする。
人の営みを眺めるのが好きだったので、人がいない街の様子は少し寂しい。
背後の民家の扉が開き、悪魔狩りの男と槍兵が出てきた。話し合いは終わったようだ。
脇を通り過ぎざま、悪魔狩りの男がチラリと視線を寄越す。視線がまじわるが、すぐに離れる。交わす言葉はない。
ゆっくりと壁から背を離し、二人の後に続く。
―――城で彼が待っている。
家族の事を忘れ果てても、決して忘れる事のなかった彼の主がやって来るのを、彼は待っている。
帰還を知らせる鐘は鳴ってしまったのだ。
―――静かな夜だ………少なくとも、今この瞬間だけは。
じきに、いつも通りの殺戮の夜が始まるだろう。
珍しく、領民も剣士も空飛ぶ生き物も、襲ってこない。
人の気配は、背後の民家の中だけ。民家の中で、悪魔狩りの男と槍兵が話し合いをしている。
自分には関係のない話し合いだったので、民家を出た。民家の壁に背中を預け、夜空を見上げる。
この世界で初めて悪魔狩りの男と顔を合わせた時、いきなり殺されそうになった。
自分の奇妙な気配に、悪魔狩りの男は反応したらしい(その気配とやらは自分自身にはよく分からないのだが)。
それに、盾を持っていたのもまずかったのだろう。盾持ちの青年を殺して盾を奪った、と誤解させたようだ。
危うく殺し合いに発展しかけた。殴り合いの攻防の末、目と目を合わせた瞬間を思い出してもらい、事なきを得る。
本当に何というか………戦士という輩は物騒な連中ばかりなのだろうか?
生と死の狭間に身を置くせいだろうか。
戦場に立つ人間は皆似ている。似たような狂気に侵されていく。
武器を振るう喜び。命のやり取りをする快楽。相手の全てを奪う全能感。血の匂いを待ち望む渇望。
殺意を向けられているからこそ、今を生きている、と感じる―――相手を想うその様は、まるで恋心のようだ。
攻撃に不慣れで、護りに長けた、盾持ちの青年の事を思い出す。
あの盾持ちの青年も、結局最後は、戦いを望んだ。
―――青年が本気で願っていると分かってしまったから。
だから止められなかった。止めることが出来ないのが、ただ悲しかった。
それとも戦う人間にとって、殺される時を選べる、殺してくれる相手を選べる―――というのは、涙が出るほど幸福な事なのだろうか………?
願いが成就した時、残された男はどうなるのだろうか。
不器用な主従だと思う。馬鹿だ、とも。
この世界は、神の力で守られた世界だ。神とのつながりが断ち切られれば、この世界は中身もろとも消滅する。
その時、悪魔狩りの男は何を望むのだろう?
あの時はたくさんの協力者がいて、切り札も有った。今の自分は一人で、持ち物は我が身一つだけ。
自分は、男の願いを叶えてあげる事は出来るだろうか?
周囲に生き物の気配はない。
街の通りは静まり返っている。
街のあちらこちらに人々の営みの名残りが残されている事が、かえって過去を浮き彫りにする。
人の営みを眺めるのが好きだったので、人がいない街の様子は少し寂しい。
背後の民家の扉が開き、悪魔狩りの男と槍兵が出てきた。話し合いは終わったようだ。
脇を通り過ぎざま、悪魔狩りの男がチラリと視線を寄越す。視線がまじわるが、すぐに離れる。交わす言葉はない。
ゆっくりと壁から背を離し、二人の後に続く。
―――城で彼が待っている。
家族の事を忘れ果てても、決して忘れる事のなかった彼の主がやって来るのを、彼は待っている。
帰還を知らせる鐘は鳴ってしまったのだ。
―――静かな夜だ………少なくとも、今この瞬間だけは。
じきに、いつも通りの殺戮の夜が始まるだろう。
ツァイ役の見学初心者ひなです。この度は楽しい時間&楽しい戦闘をありがとうございました〜!!
本当に戦闘が楽しかった……!!! 大満足!!!
脳筋ではありますが、普段は盾役に回ることが多いので、攻撃役を担当するのはちょっと新鮮でした。攻撃役での動き方はまだまだ修行が必要そうです。
テスト卓に参加するの初めてでした〜。今回のログがKP様のお役に立てるといいなぁ〜。
大事故や犠牲者を出すことなく、無事、皆でクリアすることが出来てよかったです!!
またいつかお会いする機会が有りましたら、よろしくお願い致します。
四津谷案山子様、アイ様、鶏肉様、留由浜師若様、ありがとうございました!!!
本当に戦闘が楽しかった……!!! 大満足!!!
脳筋ではありますが、普段は盾役に回ることが多いので、攻撃役を担当するのはちょっと新鮮でした。攻撃役での動き方はまだまだ修行が必要そうです。
テスト卓に参加するの初めてでした〜。今回のログがKP様のお役に立てるといいなぁ〜。
大事故や犠牲者を出すことなく、無事、皆でクリアすることが出来てよかったです!!
またいつかお会いする機会が有りましたら、よろしくお願い致します。
四津谷案山子様、アイ様、鶏肉様、留由浜師若様、ありがとうございました!!!
「・・・・・・・ハハハハハハハハ!」
「うわあああああああああ!」
自分の声で私は目を覚ました。
またあの世界に・・・?
いや、今のは夢だった。
あの世界からもどり、約束を果たした後、家に戻り床へ就いた。
そして目が覚め、別の場所へ飛ばされるわけでもなく、同じ場所で寝ている。
だが私が今見たあの光景は、間違いなくあの世界だった・・・
では、今の光景は誰が見ていた光景だったのだろうか・・・?
ああ、そうか また彼の見ている光景を瞳を通して見ていたのだ、そして、彼はついに還ってきたのだ。
いつ終わるか分からない、最後の戦いを終わらせるために、還ってきたのだ。
夢は戦いの途中で途切れてしまい、それ以降は床に就いても夢を見ることは無くなった。
ああ良かった、もうあのおぞましい光景を見なくてすむ、という安堵の気持ちと同時に
あの夢の結末はどうなったのか、そしてあの約束はどうなったのか という思いも出てきた。
約束・・・そう 最後に彼女と約束をしたのだ。
「全てが終わったら、帰ってきてほしい」という約束。
今思えば一方的な約束だったかもしれない。
だが彼女はいずれ戻ってくる、そうに違いない。
だが何時もどる?あの戦いはいつ終わる?
・・・そうだ、「あの場所」で待とう。帰ってくるならばあの場所だ。
私は着替えもそこそこに家を出て、「あの場所」へ向った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「師匠、60歳の誕生記念公演 お疲れ様でした!」
弟子の一人が、舞台から降りてきた私に声をかけてきた。
一連の出来事から早や30年、足腰にもがたが訪れ、歳相応に動きも鈍くなり、
舞台に上がれるのもあとどれほどか・・・と考える事も多くなった。
だが、多くの弟子や後援者に支えられ今も奇術師として舞台に立ち続けている。
「では師匠、この後は記念パーティーの方へ・・・」
そう予定を告げられ、弟子たちが支度をはじめた。、
「そうか、私を祝ってくれるパーティーか・・・うれしいことだ。
だが、パーティー開始はたしか夕刻だったね?
私は行くところがあるので、先に行っててくれ。時間までには向うから。」
そう告げると、私は劇場を出て「あの場所」へ向った。
あの夢を見て以来私はその場所に立ち、待ち続ける。
舞台のある日もない日も、そこを訪れて私は待ち続け、すでに日課となっていた。
「あの夢の結末を知りたい、そして約束した彼女とまた会いたい」と、待ち続けた。
「もう現れないんじゃないか?」「もうやめよう、待つのは無駄だ」そう思った時期もあった。
だがそのたびに、「いやいや、仲間を見捨てるのか?そんなことはしていけない!」
と思いなおし、待ち続けて数十年が過ぎた。
そして、今日も会うことはできなかった。
「しょうがない、明日こそは戻ってくるだろう、
見届けたら戻る と約束したのだ」
と「その場所」を後にした。
これからも待ち続ける事だろう、全てを終えて帰ってきた彼女とまた会えることを信じて・・・
「うわあああああああああ!」
自分の声で私は目を覚ました。
またあの世界に・・・?
いや、今のは夢だった。
あの世界からもどり、約束を果たした後、家に戻り床へ就いた。
そして目が覚め、別の場所へ飛ばされるわけでもなく、同じ場所で寝ている。
だが私が今見たあの光景は、間違いなくあの世界だった・・・
では、今の光景は誰が見ていた光景だったのだろうか・・・?
ああ、そうか また彼の見ている光景を瞳を通して見ていたのだ、そして、彼はついに還ってきたのだ。
いつ終わるか分からない、最後の戦いを終わらせるために、還ってきたのだ。
夢は戦いの途中で途切れてしまい、それ以降は床に就いても夢を見ることは無くなった。
ああ良かった、もうあのおぞましい光景を見なくてすむ、という安堵の気持ちと同時に
あの夢の結末はどうなったのか、そしてあの約束はどうなったのか という思いも出てきた。
約束・・・そう 最後に彼女と約束をしたのだ。
「全てが終わったら、帰ってきてほしい」という約束。
今思えば一方的な約束だったかもしれない。
だが彼女はいずれ戻ってくる、そうに違いない。
だが何時もどる?あの戦いはいつ終わる?
・・・そうだ、「あの場所」で待とう。帰ってくるならばあの場所だ。
私は着替えもそこそこに家を出て、「あの場所」へ向った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「師匠、60歳の誕生記念公演 お疲れ様でした!」
弟子の一人が、舞台から降りてきた私に声をかけてきた。
一連の出来事から早や30年、足腰にもがたが訪れ、歳相応に動きも鈍くなり、
舞台に上がれるのもあとどれほどか・・・と考える事も多くなった。
だが、多くの弟子や後援者に支えられ今も奇術師として舞台に立ち続けている。
「では師匠、この後は記念パーティーの方へ・・・」
そう予定を告げられ、弟子たちが支度をはじめた。、
「そうか、私を祝ってくれるパーティーか・・・うれしいことだ。
だが、パーティー開始はたしか夕刻だったね?
私は行くところがあるので、先に行っててくれ。時間までには向うから。」
そう告げると、私は劇場を出て「あの場所」へ向った。
あの夢を見て以来私はその場所に立ち、待ち続ける。
舞台のある日もない日も、そこを訪れて私は待ち続け、すでに日課となっていた。
「あの夢の結末を知りたい、そして約束した彼女とまた会いたい」と、待ち続けた。
「もう現れないんじゃないか?」「もうやめよう、待つのは無駄だ」そう思った時期もあった。
だがそのたびに、「いやいや、仲間を見捨てるのか?そんなことはしていけない!」
と思いなおし、待ち続けて数十年が過ぎた。
そして、今日も会うことはできなかった。
「しょうがない、明日こそは戻ってくるだろう、
見届けたら戻る と約束したのだ」
と「その場所」を後にした。
これからも待ち続ける事だろう、全てを終えて帰ってきた彼女とまた会えることを信じて・・・
エドワード役の留由浜師若です、この度のすばらしいセッションへ自分も参加する事ができ大変満足しています。
KPの四津谷案山子のシナリオ「Deadlock」続編となる今作からの参加となりましたが、
前作を知らなくても参加が出来るすばらしいシナリオだったと思います。
肝心のエド君は、戦闘中魔法によって行動不能になったり、見せ場で噛んだりと、いろんな意味で目立つキャラになってしまいましたが、
約束を取り交わすやりとりや、使命を受ける立場になるなど、ある意味中心人物的役割をさせていただき、光栄でした。
途中非常に困難な場面もありましたが、無事テストを終え生還することができ、良かったと思います。
またいつか皆様とお会いする機会が有りましたら、その時もよろしくお願い致します。
四津谷案山子様、見学初心者ひな様、、鶏肉様、アイ様、お疲れ様でした、そしてありがとうございました。
KPの四津谷案山子のシナリオ「Deadlock」続編となる今作からの参加となりましたが、
前作を知らなくても参加が出来るすばらしいシナリオだったと思います。
肝心のエド君は、戦闘中魔法によって行動不能になったり、見せ場で噛んだりと、いろんな意味で目立つキャラになってしまいましたが、
約束を取り交わすやりとりや、使命を受ける立場になるなど、ある意味中心人物的役割をさせていただき、光栄でした。
途中非常に困難な場面もありましたが、無事テストを終え生還することができ、良かったと思います。
またいつか皆様とお会いする機会が有りましたら、その時もよろしくお願い致します。
四津谷案山子様、見学初心者ひな様、、鶏肉様、アイ様、お疲れ様でした、そしてありがとうございました。
事件から数日後、封書が届いた。
傷もあらかた癒え、趣味の歴史研究を再開しようという矢先のことであった。
ジェイムズ・フレミングはやむなく、書きかけの中世史の論考のための筆を置き、変わり者の上司のもとへと向かった。
ロシア・ドイツ・フランスとの植民地問題解決のために、各国へ飛ぶこと。
困難なミッションだが、空飛ぶ怪物や物騒な騎士たちに襲われる危険がないだけマシだとすら思えた。
いつも通り、ジェイムズは異論を差し挟むことなく命を受け取る。
特に信心深いわけでもなかったが(いや、そもそもこれまでの経験はキリスト教的価値観を一変させる程度のインパクトは十二分にあったわけだが)、
ジェイムズは任務達成の祈願を兼ねて教会を訪れた。
「いやいや、トラブルメイカーの神父がいる教会に、そういった目的で訪れるのは逆効果なのでは」
自問してみても適切な回答は浮かばない。いや、この際あの神父には文句の一つでも言ってやろう。
自分の行動をそう合理化したところで、ジェイムズは教会の扉を開けた。
しかし、また新たな事件を届けてくれるのではないか、という昂揚にも似たものを感じていたことも否定できない。
ト書き
ジェイムズは扉の中へと消えていく。
カメラは引きの画を写しながら、見通しの悪い霧の都の全容を捉え、夜だけしかなかったかの国を思い起こさせる。
ビッグ・ベンの鐘が鳴り響き、英国博物館のあたりがわずかに光を放ち、幕を閉じる。
傷もあらかた癒え、趣味の歴史研究を再開しようという矢先のことであった。
ジェイムズ・フレミングはやむなく、書きかけの中世史の論考のための筆を置き、変わり者の上司のもとへと向かった。
ロシア・ドイツ・フランスとの植民地問題解決のために、各国へ飛ぶこと。
困難なミッションだが、空飛ぶ怪物や物騒な騎士たちに襲われる危険がないだけマシだとすら思えた。
いつも通り、ジェイムズは異論を差し挟むことなく命を受け取る。
特に信心深いわけでもなかったが(いや、そもそもこれまでの経験はキリスト教的価値観を一変させる程度のインパクトは十二分にあったわけだが)、
ジェイムズは任務達成の祈願を兼ねて教会を訪れた。
「いやいや、トラブルメイカーの神父がいる教会に、そういった目的で訪れるのは逆効果なのでは」
自問してみても適切な回答は浮かばない。いや、この際あの神父には文句の一つでも言ってやろう。
自分の行動をそう合理化したところで、ジェイムズは教会の扉を開けた。
しかし、また新たな事件を届けてくれるのではないか、という昂揚にも似たものを感じていたことも否定できない。
ト書き
ジェイムズは扉の中へと消えていく。
カメラは引きの画を写しながら、見通しの悪い霧の都の全容を捉え、夜だけしかなかったかの国を思い起こさせる。
ビッグ・ベンの鐘が鳴り響き、英国博物館のあたりがわずかに光を放ち、幕を閉じる。
このたびは「帰還の鐘」へ参加させていただき誠にありがとうございました。
卓中では豆鉄砲をチマチマ撃ち続ける地味なことをやっていましたが、地味なりに皆さんのサポートができたような気がします。
PCやNPCの決断を尊重して自分では何も決めないという卑怯な立ち位置だったような気もしますが…( ◜◡`)
大怪我を負い、途中ではロストも覚悟していましたが、無事生還できたのは皆さんのおかげです。
またご一緒する機会がありましたらどうぞよろしくお願いします。
卓中では豆鉄砲をチマチマ撃ち続ける地味なことをやっていましたが、地味なりに皆さんのサポートができたような気がします。
PCやNPCの決断を尊重して自分では何も決めないという卑怯な立ち位置だったような気もしますが…( ◜◡`)
大怪我を負い、途中ではロストも覚悟していましたが、無事生還できたのは皆さんのおかげです。
またご一緒する機会がありましたらどうぞよろしくお願いします。
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