ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

ver 1.1 -- 製作:こんぶ

キーパリング難易度:☆☆☆(複数タブ前提、戦闘処理あり)
プレイヤー難易度:☆☆☆(不定の狂気、戦闘による死亡の可能性あり)
プレイ時間:15〜20時間(テストプレイにて20時間)

概要

はじめに

本シナリオの主役は人間(と亜人)であり、
探索者達は政治家達のスキャンダルを抑えて失脚させるついでに神話の鱗片に触れることになります。
そのため、コズミック・ホラーが好きな人には楽しめない内容となっております。

また本シナリオは2014年5月現在、テストプレイ1回を経て改良した段階でありまだまだ不完全です。
「脳内当てゲーム」に陥る可能性はテスター達の協力を得てなるべく潰しましたが、
探索者達の行動次第では致命的な情報不足に陥る可能性が存在します。

改変等は自由です。コズミック・ホラーよりはシリアスな人間ドラマが好きだぜ!って方は是非遊んでみてください。

タイトルについて

本シナリオは、クライブ・カッスラー原作「死のサハラを脱出せよ」(以下、"原作"と呼称)に着想を得て、
クトゥルフ2010収録シナリオ「奇妙な共闘」を魔改造したシナリオです。
原作を踏襲して、戦闘艦艇やヘリとの戦闘、スパイアクションを盛り込んであります。
なんで舞台が群馬なのかって? 河川があって、神話的な何かが存在してもおかしくない
(ネット上のジョーク「グンマー」の影響)のは群馬だけだ!と確信したからです。(群馬県民の皆さんごめんなさい)

舞台設定

現代日本、群馬県。
本シナリオにおける群馬県には、核融合炉を利用した汚染物質処理施設(原作における太陽光集光炉)と
大運河たるトネ・リバーが存在しています。
日本政府は世界中から汚染物質を受け入れ、処理代を徴収しています。
汚染物質の搬入経路は、太平洋からトネ・リバーを上り上流域の荷揚げ場で陸揚げし、
そこから鉄道輸送で山奥の処理場まで運びます。
この鉄道は汚染物質運搬と自衛隊の移動専用で、列車にはテロ対策として武装が施されています。

また、この世界には「国連海軍」「国連海中海洋機関」といった架空の組織が存在します。

あらすじ

2つの事件が日本を騒がせています。
1つ目は赤潮。
日本列島の太平洋側で起きている。最初はトネリバー河口から始まり、爆発的な勢いで広がっている。
拡大した赤潮は海中の酸素を吸い尽くし海の生物を死滅させる、と騒がれている。
この赤潮からは大量の汚染物質が検出されたため、汚染物質処理場の関与が指摘されたが
処理場と海を繋ぐ水路はトネリバー以外に存在せず、そのトネリバーの水からは
汚染物質が検出されなかったため、政府は無関係を主張し、貨物船から落ちた汚染物質が原因であるとしている。
保々山首相は「汚染物質はじきに海で希釈されるので無問題」と発言した。

2つ目は奇病。
群馬県の狗売(ぐうる)村で発生した病気。患者は皮膚が次第に白くなってゆき、異常な食欲に悩まされる。
現在この村は感染防止のため環境省の要請で自衛隊により封鎖されている。
政府は患者を他の機関に提供しないが、「感染防止のため」の一点張りである。

導入――HO1

探索者は国連の職員、或いは国連から依頼を受けたエージェントです。
探索者(以下HO1)は国連海中海洋機関(なんか海を調査する機関だと思ってください)の長官に呼び出されます。
HO1は横須賀に停泊している国連海軍の旗艦「アーカム」内のブリーフィングルームに通されます。
そこには海中海洋機関の長官、サンデッカーが待っており、HO1に依頼内容を話します。

サンデッカー

サンデッカーはこのように語りだす。
「赤潮により海が死滅の危機に陥っていることは周知の通りだと思う。
この赤潮は処理場と無関係だと政府は主張しているが
国連海中海洋機関の独自調査で、トネリバー河口のすぐ近くに地下水脈の出口があり
そこから汚染物質が流出しているとわかった。
この地下水脈を政府は知っているが、政府はこれを隠匿し
その資料を処理場に隠しているようなのだ
諸君らには処理場に潜入してもらい、この地下水脈に関する資料を奪取してもらいたい。
何故、その地下水脈から汚染物質が流出しているか、ということだが
どうやら政府は処理能力の限界を超えた汚染物質を受け入れ、その差額を懐に入れているらしい。
そして処理できなかった汚染物質はこの地下水脈に投棄しているというわけだ」

独自の調査とは、他でもなく深きものが海底から確認したものである。
地下水脈を遡って処理場に潜入したいところだが汚染物質に阻まれているため
HO1に地上からの潜入を依頼したというわけである。
潜入方法を聞かれたら自衛隊の制服とIDカードを渡し、予狗町の処理場行きの列車に乗っていくように指示する。
IDカードには探索者の顔写真と名前(望むならば偽名)がプリントされている。
「IDカードは精巧に作られているが、本部のデータと照会されればそれが偽物だとわかってしまう」
「しかし制服と階級章は本物だ。堂々としていればまず怪しまれはしまい」
質疑応答の後にこう言う。
「君たちには地下水脈の資料、それに可能ならば政府が不当に得ている処理料を示す資料を
手に入れてきてもらいたい。これらは大スキャンダルとして現政権を打撃し
処理場の正常な運用を促すことになるだろう」

この後HO1は電車で予狗町に向かいます。

導入――HO2

探索者(以下HO2)は国連世界保健機構(いわゆるWHO)の職員、またはその依頼を受けて活動する医師や研究者です。
日本政府は狗売村の奇病の実態を隠匿し続けていることを批判されており、それを和らげるためにWHOの調査を認めます。
HO2は上司から以下の情報を受取ます。
・調査には環境大臣たる加持ムツオが案内役を務めること
・彼とは予狗町の役場に12時に待ち合わせしていること
・感染防止のため、現地のものは一切持ち帰ってはならないこと

上司との質疑応答を終えた後、HO2は予狗町行きの電車に乗ります。

本編

馬鹿みたいに多い前情報に探索者達がうんざりし始めた頃、場面を予狗町に移します。
この町は息抜きと探索者達の仲を深めるために設置してあります。
不要と判断した場合はすっ飛ばしても構わないでしょう。

予狗町

処理場勤務の自衛官をターゲットに発展した街で、
飲食店、娯楽施設、風俗店などが充実している。
この町の住民たちは最初は汚染物質が通過することを怖がっていたが、害がないとわかり現在では無関心になっている。
町の中央には役所があるほか、町の南北にはそれぞれ駅があり、
北には処理場とトネリバーを繋ぐ鉄道が走っている。南には普通の私鉄だ。
住民に聴きこみをすれば、Barナイアルのオーナーが情報ツウだと教えてくれるだろう。

探索者達は午前9時頃、予狗町に到着する。もしHO1とHO2が国連職員だった場合は
彼らが知り合いということにして、駅でばったり会ったことにする。
別々に探索を行わせてもよいが、この町にはBar ナイアルしか情報の転がっている場所が無いため
住民を利用してBarナイアルに探索者達を誘導してしまって構わない。

Bar ナイアル

落ち着いた内装で、バーテンが氷を作っており、オーナーと思しき男はタバコを吸っている。
真っ昼間なせいか客はいない。
「世にも珍しい、海藻で作ったお酒入荷しました」と張り紙してある。
バーテンはこれまた深きものである。
深きものに遭遇したことにある探索者は彼が深きものだとわかる。

インスマス面のバーテン

オーナーは浅黒い肌を持った絶世の美男である。

オーナー

このBarは探索者達の仲を深めるための装置である。
シナリオ上、唯一の茶番スポットでもあるので、ここで探索者達を楽しませておくとよい。
オーナーが教えてくれる情報は全て真実であるが、
明らかにインスマス面なバーテンとニャル様の特徴を詰め込んだようなオーナーという
明らかに怪しい組み合わせなので、探索者達は情報に疑念を持つかもしれない。それを見てニヤニヤしよう。

北の駅

北の処理場行きの駅には汚染物質を運搬するための列車が止まっている。
この列車はテロに備えて装甲と武装が施されており、先頭車両には大砲と機関銃座が1門ずつ、
最後尾の車両には機関銃座2門が備え付けてある。これらの武装には既に自衛官が乗り込んでいる。
 駅は 6+1d6人の陸上自衛隊によって警備されている。
彼らは民間人は問答無用で追い返すが、自衛官の制服を着ていればすんなりと通してくれるだろう。
ただし、乗車する場合は所属、階級、名前と乗車理由を聞かれる。
IDカードを提示すると「見ない顔だな?」と言われる。
説得や言いくるめ、信用ロールは必要ないが明らかに怪しい応対をした場合は詰問してもよい。
その場合は上記のロールを要求し、失敗した場合は本部にIDカードの内容を問い合わせ始める。
HO1が襲いかかってくるようなら数Rの後、駅の自衛官全員がわらわらと出てくる。
逃げるようなら特に追いはしないが、駅と処理場の警備が厳重になる。
こうなると正面から入るのは困難になるので、Barナイアルなどを利用して
列車が減速する地点=カーブがあることを教えてあげよう。
この地点の線路への侵入は容易である。線路の周りには草が生い茂っているため、隠れるに補正を与えてもよい。
列車に飛び乗るには跳躍、或いはDEX*5ロールを行わせる。失敗すれば幸運ロールを要求する。
幸運ロールに失敗すると問答無用で轢かれ、キャラロストとなる。成功した場合でも列車に跳ねられ、1d6のダメージを負う。

列車の先頭車両と最後尾の車両には兵員を乗せられるスペースがある。
この車両には砲座・機関銃座の射手以外にも護衛の自衛官や処理場に向かう自衛官がおり、
話しかければいくらか情報が落ちるかもしれない。

荷台は汚染物質の入ったコンテナが満載されている。
核廃棄物も含まれているため、迂闊にこれらを開けた探索者にはKPの任意のロールを要求してもよい。

1時間ほどすると列車は処理場に到着する。

役所

12時をちょっと過ぎた位に環境大臣・加持ムツオとその秘書である小早川奈穂子が車に乗って現れる。
大臣は遅れてきたにも関わらず「早く乗りたまえ」と仏頂面で言う。
車内で軽く自己紹介をした後は大臣と小早川は黙りこくる。
1時間ほどで狗売村につく。

加持ムツオ

小早川奈穂子

狗売村

有刺鉄線がついた鉄柵で覆われ、内部には住居が林立しており、
中心部の大きな家は自衛隊が徴発し、駐屯地としている。6人の自衛官が村に居る。
住居以外には田畑が見え、その中心には井戸が見える。
注意深く見るとそれは農業用水を汲み取るための井戸で、そこから各畑に用水路が引かれているのがわかる。
探索者達は加持とその部下によって案内され、村を見て回る。
ここに居る住民は皆、偽物の住民である。彼らは政府から金を貰って嘘の証言をしているのだ。
彼らは
・異常に食欲が亢進したこと
・肌が白くなったこと
を証言する。心理学ロールに成功すればこれらが嘘だと看破できる。
また、医学ロールに成功すれば、肌が白いのは特殊なメイクを施しているからだと気づける。

畑には作物がなく、ひとめで荒らされたとわかる。
目星に成功すると、枯れた野菜の破片をひとつ見つけることが出来る。
薬学に成功すると、汚染物質の他に何らかの未知の化学物質が含まれていると分かる。
もしもこの野菜を食べた場合、その探索者は食屍鬼化する。
3〜4ヶ月ほどかけて完全な食屍鬼になる。セッション中は腐った肉が食べられるようになる程度の変異がおきる。
この野菜については特別な処理が存在するので後述する。
また畑の土や用水路に地質学を使用すると土壌に汚染物質が含まれていることがわかる。
土を持ち帰ろうとすると大臣に止められる。

井戸を調べようとすると大臣に止められる。
何らかの手段で水を入手して薬学に成功すると、この水には大量の汚染物質が入っていることがわかる。
こちらの水は飲んでも食屍鬼化しない。KPの任意のPOT対抗を行わせる。
この水については特別な処理が存在するので後述する。

民家1
古びた民家である。おおまかに居間、キッチン、書斎、寝室がある。
どの部屋でも目星に成功すれば、うっすらと埃が積もっており、最近全く使われてないことに気づける。
追跡ロールに成功すれば、その埃の上に複数の足跡がついており、それは寝室に向かっていることに気づける。
大臣は「先ほどの住民の家だ」と言う。
書斎の本棚には収容所に連れて行かれた住民の日記がある。
図書館技能に成功すると読むことができる。内容は以下の通り

加持は防衛医大の医師からこの話を聞き、村の封鎖を決意したのである。
治療を担当した医師は加持から口止めされている。もしかしたら物理的な手段で口封じをされているのかもしれない。
また、そのような噂を神宮寺や自衛官の口から教えてもよいかもしれない。

この日記については特別な処理が存在するので後述する。

寝室において目星に成功すると、ベッドの周りだけは清掃が行き届いていることがわかる。
また、床や壁には何か獣が暴れたような引っかき傷が無数にありることに気づける。
天井において目星に成功すると、小さな円筒形の金属がひとつ、天井にめり込んでいることに気づける。
この円筒の直径は5mm程度である。探索者が銃器についての知識を保有していれば、これがライフル弾だと気づける。

これは自衛隊による村の占領作戦の痕跡である。食屍鬼化した村人達は抵抗を試みたが、
銃で威嚇されて投降したのである。(村人達は銃の効きづらい体質になっていることを知らない)
ベッドが清掃されているのは襲撃の際に酷く荒れてしまったのを隠すためである。

野菜、水、日記についての特別な処理

これらは重要機密である。
水と野菜は、正体を突き止めてそれを大臣に問いただしたり、或いは隠し持っていることが露見した場合大臣は探索者の逮捕を決意する。
日記の存在は大臣は知らないが、探索者が熱心に読んでいると興味をもつ。
交渉系技能ロールに失敗した場合、無理やり奪い取って読もうとする。
成功した場合でも後で人を使って持ってこさせ、それを読む。
大臣はそれを読んだ時点で探索者の逮捕を決意する。

逮捕を決意した場合、大臣は右手をスッと上げる。それを合図に秘書の小早川が呪文の詠唱を始める。
小早川が使用するのは「支配」である。
小早川はMP1を消費して「命令」を下す。探索者には小早川とのPOW対抗を要求し、
失敗した場合は「命令」に忠実に従うようになる。
逮捕された探索者はヘリで処理場に連れて行かれ、地下掘削場に送られる。

その他、大臣と小早川についての処理

もし探索者達が大臣や小早川を煽ったり、機密に触れるような行為を行おうとするたびに
彼らの探索者に対するヘイトが上がっていく。
ヘイトが上がるたびに、彼らは探索者の行動を執拗に監視しようとする。
彼らは自由に自衛官に指示を出せる。KPは最も悪辣と思われる方法で探索者を包囲すると良いだろう。
(ここで逮捕しておかないとシナリオが進まない)

汚染物質処理場

処理場はコンクリート壁で囲まれており、正面の門と西側に面した鉄道用の門がある。
鉄道用の門は遮断機だけの簡易な作りである。
これらの門にはそれぞれ2人ずつ自衛官がおり、警備している。
これに加え四辺に監視塔があり、ここにはそれぞれ1人の自衛官と1台の探照灯が設置してある。
施設は中央棟、西棟、西棟に隣接した融合炉がある。
北側には自衛隊の警備本部と職員用の官舎が建てられている。こちらには大臣と小早川用の部屋がある。
ヘリ発着場があり、戦闘ヘリが2機見える。その他には兵員輸送車や偵察用オートバイを配置し、
探索者達の脱出手段を用意しておく。(しかしこれらを使うのは、加持を無力化しておかない限り自殺行為である)

中央棟1F

入って正面に受付があり、昼間なら几帳面な女性官僚が鎮座している。
自衛隊は基本的に処理場の門を警備しているため、自衛官が入ってきたら訝しむだろう。
あまりにも探索者達が怪しい行動をとるようならば自衛隊に連絡し、照会を始める。
東側には資料室がある。
図書館に成功すると処理場の会計記録が見つかる。
経理やアイデアに成功すると、この資料から
・焼却炉の処理可能量を上回る汚染物質を受け入れていること
・徴収した代金を合計すると、各会計の小数点以下の金額が計上されていないこと
・莫大な金額の用途不明な"支出"があること
がわかる。
小数点以下の金額を横領しているのは加持である。小早川はそれをダシに加持の傀儡化に成功し、
処理可能量を上回る汚染物質を受け入れさせ、その代金を横領しているのである。

ちなみに処理場は9時〜17時までしか開いていない。それ以外の時間帯に侵入すれば
誰とも合わずに内部を探索できるだろう。

処理場中央棟2階

加持の執務室がある。鍵がかかっているが、受付にスペアが一本ある。鍵開け技能でも開けることができる。
内部にはデスク、本棚、金庫がある。
デスクには金庫の鍵と一枚のメモが入っている。
メモには「メリカを掘削工事の主任にしたのは間違えだったか。彼女のせいでせっかく手に入った労働力が死んでゆく」
とある。

本棚には魔導書があり、図書館に成功すると見つけることができる。
ここにはKP任意の魔導書を置いておき、その中にグールを人間に戻す呪文を入れておく。
呪文はSANとMPを5消費し、グールを即座に人間に戻す。このSAN減少による発狂はない。

金庫の中には地下水脈に関する資料と加持の通帳、そして監視カメラが入っている。
カメラが何かを映し出すと加持の携帯電話に映像付きのメールが送られるシステムである。
KPはこれを利用してHO1を逮捕する。(どこかで逮捕しないとシナリオが進まない)
地下水脈の資料には、この収容所のはるか地下には川があり、
上っていくと何かの地下施設に、下っていくとトネリバーの河口付近で海に繋がっていることが記されている。
この地下施設とは蛇人間の地下都市である。アイデアや地質学でそれが読み取れるようにしておく。
通帳に経理またはアイデアロールを行い成功すると、毎月細々とした金額が振り込まれていることがわかる。
これが加持が横領していた、処理場の小数点以下の会計である。

処理場西棟

列車の車庫であり、荷降ろし場になっている。シャッターが閉じており、内部から操作できる。
中は無人で、作業用ロボットが列車から汚染物質入りのコンテナを積み下ろしている。
下ろされたコンテナの大半はベルトコンベアで貨物用エレベーターに運び込まれ、地下深くに運ばれる。
一部のコンテナは「焼却場」とプレートが貼られた扉のほうへベルトコンベアで運ばれていく。
人間用のエレベーターがあり、下階に行けるようになっている。操作盤には「貯蔵庫」と、「第二貯蔵庫、工事中につき関係者以外立ち入り禁止」と
シールが貼られたボタンがある。
貨物用、または人間用のエレベーターは貯蔵庫と第二貯蔵庫に行ける。
貯蔵庫には汚染物質の入ったコンテナが整然と詰まれている。
目星に成功すると、コンテナの1つの扉が半開きになっており、中に小型ボートが入っていることがわかる。
このボートの定員は探索者の数と同じにする。
(補足:このボートを使用してヘビ人間の地下都市に行くことができるが、都市に住んでいる無数のヘビ人間と戦闘になった挙句
捉えられて拷問されるのがオチだろう。探索者には自殺の機会を与える)

処理場地下

エレベーターを降りると、警備員が2人立っている。
彼らは蛇人間である。彼は見慣れない民間人を見たら即座に捕縛しようとする。自衛官姿の人間には名前と階級、入る理由を聞く。
彼らがちょっとでも探索者を怪しいと感じたら彼らは探索者を捕縛しようとする。
ちなみにヘビ人間を見たことによるSANチェックは0/1d6。
収容所は掘削場、囚人の寝床、看守の詰め所で構成されている。
掘削場では食屍鬼達がせかせかと穴を掘っており、水路への穴を広げている。
初めて食屍鬼を見る探索者はここでSANチェック 0/1d6。
さらに全員、30人ほどの食屍鬼に見られるという恐怖体験でSANチェック。1/1d6のSAN減少。
水路の近くに貨物用エレベーターがあり、定期的に汚染物質が運び込まれ、それを食屍鬼達は水路に流している。
海が汚染された理由はこれである。食屍鬼達が手に入る前はヘビ人間達が行っていた。
掘削場には常に3人の看守がおり、食屍鬼達を監視している。
3人の看守は蛇人間で、主任はメリカである。彼女はサボっている囚人にムチを打つ。
彼女は必ず護衛を1人つけて行動する。

看守メリカ

ヘビ人間達



収容所での生活サイクル
起床、午前の労働、昼食、午後の労働、夕食、就寝。
就寝の時間になったら探索者にCON*3ロールを要求する。失敗した探索者は疲労で寝込んでしまう。
労働を1回サボるごとにこのCONロールの目標値にCONを足してよい。
サボる場合はDEX*3ロールを要求する。失敗するとメリカにムチを打たれる。

労働中は食屍鬼達に話しかけることができる。当然小声で話さねばメリカがムチを打ちにくる上、
小声でも長話をしているとメリカは聞き耳ロールを行う。

食事の時間になるとヘビ人間達は食屍鬼達にドブネズミの死体を与える。
食屍鬼達は難なく食べられるが、探索者達が食べた場合はPOT 1d6+10との対抗となる。
失敗した場合、探索者は食中毒に陥り1d3ポイントダメージを負った上に全ての技能に-10%のペナルティを負う。
さらに、腐った死骸を食べるという行為は探索者の正気を削るのに十分だ。0/1d6の正気度減少。
探索者が何も食べなかった場合、1回ごとに技能値が-10%される。
探索者が食中毒に陥ってる場合、それは「消化できなかった」ため何も食べなかったと同じと解釈する。
つまり合計-20%のペナルティを課す。
夜になると囚人達は寝床に連れていかれる。ここは鉄柵で覆われており、外側から鍵をかけられるようになっている。
囚人達はここで岩肌の上に雑魚寝することになる。夜間は看守達は見回りにこない。
ここで探索者達は食屍鬼達とコミュニケーションを図ることができる。
脱出や反乱を打診すると、「看守メリガが怖くて出来ない」と言う。彼らは彼女に恐怖を植え付けられているのだ。
探索者が「メリカを何とかする」と言って言いくるめか説得に成功すれば彼らは反乱に同意するだろう。

反乱を起こすと、メリカを含む見回りの看守3人との戦闘になる。
メリカを倒すと、食屍鬼達は狂喜し加勢してくれる。彼らは人海戦術で詰め所、エレベーターに突撃しヘビ人間をリンチする。
詰め所、エレベーターでそれぞれ1d15ロールを行う。出た数字が戦死した食屍鬼の数である。

(補足:テストプレイでは探索者との交渉に当たった食屍鬼を「岩井寛治」と名づけた。
彼はエレベーター前の戦闘で戦死し、死ぬ間際に「キミタケ」と呼ばれる食屍鬼に後の指揮を任せた)

戦闘が終わると、いよいよ脱出となる。
ここで「キミタケ」と名乗る食屍鬼が話しかけてくる。
彼は操縦<電車>:50%を持っており、それで脱出しようと打診してくる。

地上に戻ると、目の前には積み荷を下ろしきった列車が止まっている。
操縦技能でも動かせるし、KPの判断でアイデアなどでも動かせることにしてもよい。

装甲列車

騒ぎは上階に伝わっていないため、この時点で長官の執務室などを調査しても何ら問題はない。
もちろんKPの判断で外から自衛官を呼び込んでもいい。

(補足:自衛官は加持のことを快く思っていないが、命令に背くようなことはしない。一応選挙で選ばれた人物だからである。
テストプレイでは探索者達はヘビ人間の死体と食屍鬼をダシに自衛官の説得を試みた。
ロールに成功したため、「命令に背かない範囲での協力」を行った。
具体的には自衛官達は探索者に当たらないように射撃を行い、戦闘しているふりをして彼らを逃した)

探索者達が脱出方法で詰まるようならばサンデッカーから連絡を入れる。
彼はトネリバーまで辿り着いてくれれば私兵を送り込めると言うだろう。

脱出

列車で処理場を突破してしばらくすると、陸上自衛隊のヘリが追ってくる。
目星に成功すると、それに乗っているのが加持だとわかる。

戦闘ヘリ

ヘリを撃墜した後、列車は予狗町を通るがここでは目立った抵抗は受けない。

トネリバーの戦闘

トネリバーの駅で降りる時、探索者達に目星を要求する。
成功者には自衛隊が待ち伏せしているのがわかる。
このタイミングでサンデッカーから連絡が入る。
「諸君らには大変申し訳無いが、これから受け入れがたい光景を見て頂く」
とだけ言い電話は切れる。探索者達に、サンデッカーが裏切った!と思わせられれば儲けものである。

自衛隊が行動しようとしたその時、トネリバーから巨大な怪物の頭が出てくる。
そして強烈な咆哮を放ち、それを合図に深きもの達が上陸を開始し、自衛隊を襲撃する。
自衛隊は恐慌状態に陥り、散発的な戦闘を行いながら潰走する。
深きものを見てしまった探索者はSANチェック 0/1d6。
巨大な怪物の正体はダゴンであるが、彼は攻勢開始の合図を終えると潜って帰ってしまう。
ダゴンを見た探索者は1/1d10のSANチェック。

終幕

探索者達は巡視艇に乗り込む。誰も操縦技能を持っていない場合、深きものどもが曳航していってくれるだろう。
やがて太平洋に出て、そこではサンデッカー率いる国連海軍の艦隊が待っている。
探索者達を旗艦「アーカム」に招き入れられる。
探索者達はブリーフィングルームに通される。
そこにはサンデッカー、そしてWHO職員がおり、彼らを映すようにして撮影用のカメラが設置してある。
このカメラはまだ作動していない。

探索者達が資料を持ち帰った場合

サンデッカーは探索者達から資料を受け取ると、日本にむけ放送を始め、
加持が横領を行っていたこと、処理しきれなかった汚染物質を地下水脈に流していたこと、
そこから流れだした汚染物質によって赤潮が発生していることを暴露する。
WHO職員はそれに加え、政府が奇病の患者を監禁し、村には偽物の患者を配置していたことを暴露する。
探索者が望むのならばこの放送に証人として加わってもよい。
放送が終わると、提督は探索者達を労い、報酬を渡す。
その後、大スキャンダルを暴露された民衆党は「内政干渉だ」として国連を批判するが
国民感情は収まらず、総選挙が行われ民衆党政権は終りを迎える。
小早川は地下都市に逃げ込むが、政権交代後にヘビ人間掃討作戦が秘密裏に敢行され、ヘビ人間の残党もろとも死亡する。

探索者達が資料を持ち帰らなかった場合

提督は憤慨した様子で「最終手段に出る」と言い、探索者達に報酬を渡して彼らを帰す。
その日の夜、ダゴン率いる深きもの達はトネリバーから進撃し処理場を襲撃、
資料を奪取して帰還する。駐屯していた自衛隊および官僚は全滅する。
その後、奪取した資料がマスコミにリークされる。
探索者達はニュースで処理場が怪物によって襲撃され、駐屯していた自衛隊および官僚が全滅したこと、
死亡した長官とその秘書が横領していたこと、そして彼が地下水脈に汚染物質を投棄していたことを知る。
この場合でも民衆党政権は倒れ、ヘビ人間掃討作戦が行われる。

成功報酬

HO1……資料を持ち帰る 1d6
HO2……狗売村の村人が偽物だと突き止める 1d6

共通
グールを30人救出する 固定値10
グールを20人以上救出する 固定値5
グールを10人以上救出する 固定値3
(以上はどれか1つ)
加持を失脚(生死問わず)させる 1d6

登場した神話生物
食屍鬼、ヘビ人間、深きもの、ダゴン

補足

テストプレイでは「メリカ」を「メリガ」という名前に変更した。
メリカという響きが可愛らしく、悪役っぽくないと思ったからである。

このページへのコメント

少しアドリブなどで導入等改変しましたが
シナリオ楽しく遊ばせてもらいました!
リプレイ動画など作らせていただいてもよろしいでしょうか?

0
Posted by GM 2021年04月22日(木) 09:32:42 返信

こちらのシナリオをお借りします!

0
Posted by 冬月 夕陽 2016年05月31日(火) 14:18:21 返信

>きりさき ようか様
返信が遅れてしまい申し訳ありませんでした、プレイして頂きありがとうございました。

>CoCグランドホテル様
プレイして頂きありがとうございました。
楽しんで頂けたのであれば何よりです!

0
Posted by こんぶ 2015年04月26日(日) 12:39:50 返信

こちらのシナリオをお借りしました!
人間関係などキャラを追加、改変して使用させていただきましたが、KPもPLの皆さんも非常に楽しんでプレイできとても感謝しております。
素敵なシナリオを公開していただきありがとうございました!

0
Posted by CoCグランドホテル 2015年04月26日(日) 10:17:41 返信

このシナリオを借りさせていただきます。

0
Posted by きりさき ようか 2015年03月29日(日) 20:14:22 返信

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