ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

シナリオ作成者:海月水母

はじめに

これは今市子さんのコミック「百鬼夜行抄5巻収録【夏の手鏡】」を元に制作させていただいたクトゥルフ神話TRPGシナリオです。
【プレイ時間:3〜5時間】【キーパリング難易度:易しい】【プレイ難易度:やさしい】【推奨人数:1〜2人】
【推奨技能】<目星>必須。<聞き耳>もあると便利。探索シナリオで、戦闘は一切ありません。

シナリオ制作者より
こちらにコメントしていただいた方、ありがとうございます。
ただ、こちらのサイトへのお返事が遅れる場合が多く、ご迷惑をおかけしております。
動画化について→動画化特に問題は御座いません。
ただ「今市子さんのコミック「百鬼夜行抄収録【夏の手鏡】」を元に制作したシナリオである旨はどちらかに入れていただけると幸いです。
また、ご連絡は
Twitter→@Edin_anego
pixiv→http://www.pixiv.net/member.php?id=12831753
にてお声かけ頂ければお返事が幾分か早いかと思いますので、そちらによろしければご連絡お願いいたします。
3月頃を目途にこのページをpixivの該当シナリオへのリンクへと変更させていただく予定です。

※基本的に神話的状況に遭遇した時に得られるはずの<クトゥルフ神話技能値>に関しては、シナリオ製作側では現在のところ決めておりません。
シナリオを利用されたKPの裁量で決めていただければと思います。申し訳ございません。

2015/08/14 プレイされた方の情報を元に、シナリオの文章修正と改正。
・【銅製の小さな箱】【2階ベッドルーム】【3階書斎(仕事場)】部分に説明を追加。
・鬼の姿を目にした時の減少SAN値を変更。
・人ならざる者の目撃した時の減少SAN値を変更。
・【登場NPC】海野硝子、海野真の説明文を追加。
・エンディングの≪海野硝子の残した護符を玄関扉に貼る場合≫の所にSANチェック場面を追加。

シナリオ概略

PCは休暇を利用して京都の「町家」に宿泊することになった。
昼は京都を散策し、いろいろ見学して、町家に入る事にした。
夜中、「ごめんください」という小さな声で目を覚ます。
1階玄関に着物姿の初老の女性が立っていた。
静かな声で、しかし頭に響く声で彼女が言う。
「海野先生はご在宅ですか?約束通り娘を返していただきにまいりました。」
女性はぐるりとあたりを見回すと
「娘の用意がまだできていないようですね、では夜明け前に迎えに参ります。ここにいるのはわかってるんです。娘を渡してもらえないのなら、かわりにあなたをいただきますので」
そういって玄関を開け、闇の中に消えてしまった。
女性が消えた後、何故か玄関も窓も開かなくなっている。
夜明け前までに女性の言う「娘」を探し出し、その後どうするのか、がPCの目的となります。

シナリオの背景

元々この町家に住んでいた「海野硝子(うみのしょうし)」が訪ねてきた死霊である女性と交わした約束が元。
女性はこの町家に暮らしていた「草凪真・凛子夫妻」の凛子の母。
死霊と化した女性を言い含める為に、誓約書を交わし、それを偽造し、女性が娘のもとに来ないようにしたが、母親は誓約書にあった通りの20年後、この町家に現れる。

導入

PC達が友人と町家に行くことが決まったことから開始。
友人から「京都で人気の町家に泊ってみない?」と誘われる。
(★探索者人数が多い時は、探索者の1人が町家に誘う導入にするか、【京都町屋1泊2日宿泊券】が当たった等で調整するのもいいかもしれません。)
町家というのは旅館やホテルと違い、町家(古民家のようなもの)を1棟貸し切るもの。
内装は現代人が快適に過ごせるような設備が整っているが、昔は人の住んでいた普通の家なので、泊まれるのは1棟1組のみ(人数的には6人ぐらいまでは余裕でOK)。ロッジなどとは違い、昔の生活感そのままの町家を体験できる為、京都では人気らしい。

【事前にできる事】

<図書館ロール>成功で自分が泊まる町家の情報が手に入る。
【町家】…昭和初期に建設された町家。5年前に改築して宿泊(表向きは賃貸)施設に。ただ、改築と行っても、持ち主の意向でそこまで手を入れてはいないらしく、建築当時と変わらぬ姿が売りのようだ。
町家にはコンロはなく、料理はできない。夕食と朝食は仕出しを先に注文しておくか、何処かに食べに行くか、お弁当などを買って帰るか。
湯沸かしポットとコーヒー、お茶は置いてあり自由に飲めるようになっている。
各種アメニティ完備。冷蔵庫、電子レンジ有り。インターネット使用可

以下、注意書き。
・歴史ある木造建築なので火器厳禁、禁煙。
・貸切町家のためスタッフは常駐してない。
・施設は非常識な使い方をしない。場合によっては退室になる。その際のご返金は無し。
・チェックインは町家より500mほど離れたところにある事務所に行く。
・施設内の備品も全て無料で利用可能だが、昔ながらの建具を利用、あるいは古建具をインテリアとして使用しているので、壊れやすいものもあるから注意。
・破損や故障の際は必ずスタッフに言う事。軽微な破損は当方で修理するが、破損が甚大で修理に多額の費用がかかる場合、お客様に実費負担してもらう。

【当日】

庵事務所に行くと賃貸仮契約手続きをして町家の鍵とパンフレットが手に入る。
またこの時点で夕飯を仕出しにするか否かを決められる。
特に希望が無いなら、友人が「せっかくだから京懐石の仕出しをお願いしないか」と提案する。
町家に荷物を置いて、友人の提案で街を散策する事に。

【老舗京料理店】

創業150年以上の老舗。
個室での懐石料理を楽しめる。
女将が挨拶に来るので、話を聞くこともできる。
話を聞くと
「この町に住んでいらっしゃった幻想小説家の海野硝子(うみのしょうし)はご存知ですか?実は小さいですが記念館があるんですよ。」との事。
更に【海野硝子】について聞くなら
「幽霊や妖怪が出てくるような、それでいて切ない物語を書いていらっしゃった小説家ですよ。生家は記念館になっていて、仕事場は今は町家として旅行者に貸し出されてるみたいですね」という情報が手に入る。

<アイデアロール>成功もしくはリアルに気が付いた場合は、自分達の泊まる町家がその作家の職場ではないかと女将に確認できる。→更に<心理学ロール>成功で一瞬女将の表情が曇ったのが分かる。→更に話を聞きたいのなら、<言いくるめロール>か<説得ロール>に成功する必要がある。→成功すると以下の話が聞ける。
「いえね、私も母と祖母から聞いただけなんですけど、あの家に時々海野硝子が現れる、なんて言われてましてね。ふふ、根も葉もない年寄りの噂話ですよ、お気になさらないでくださいね。」

【老舗喫茶店】

創業50年の喫茶店。
マスターに話を聞くこともできる。
話を聞くと
「この町に住んでいらっしゃった幻想小説家の海野硝子(うみのしょうし)はご存知ですか?実は小さいですが記念館があるんですよ。」との事。
更に【海野硝子】について聞くなら
「幽霊や妖怪が出てくるような、それでいて切ない物語を書いてた人なんですよ。記念館は生家、仕事場は今は町家として旅行者に貸し出されてるみたいですね」という情報が手に入る。

<アイデアロール>成功もしくはリアルに気が付いた場合は、自分達の泊まる町家がその作家の職場ではないかとマスターに確認できる。→更に<心理学ロール>成功で一瞬マスターの表情が曇ったのが分かる。→更に話を聞きたいのなら、<言いくるめロール>か<説得ロール>に成功する必要がある。→成功すると以下の話が聞ける。
「いや、見間違いだと思うんですけどね、あの家の窓に海野硝子の姿が見えた事がありましてね…。まぁ、見間違いだとは思うんですけどね。申し訳ありません、変な話をして。」

【海野硝子記念館】

中に入るとまず、「海野硝子」の来歴が書いてある。
・亡くなったのは10年前。65歳で亡くなった。
・小説家として活躍し始めた40年前から仕事場に住んでいた。
・怪奇的、幻想的な小説を主として書いており、人ならざる者の描写のリアルさから「幽霊が見える」「魔物と契約をしている」などと妖しい噂に事欠かなかった。
・遺言により生家と仕事場は「内装の変更は良いが、それ以外は触らない事」「できれば人が出入りを途切れさせないように」との事から、生家は記念館に、仕事場は貸し町家として利用されることになった。


記念館には直筆の原稿や、着物、書斎を再現した間取り、資料らしい書籍等色々展示されている。
<目星とアイデアの複合ロール>
<目星>のみ成功→展示物が思ったより少ないなと思う。
<アイデア>のみ成功→書斎再現の間取り置いてある机や文房具がわりと綺麗だなぁ、と思う。
<両方成功>こういう所には多くあるはずの「作家が実際に使っていたもの」特に文房具や衣類が殆ど無い事に気が付く。

記念館を出たあたりで友人が「そろそろ町家に戻らないか」と提案する。

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町屋に到着

地図
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium...
(注意:KP用は下記URLの間取り図を使用してください。隠れた部屋と3Fの間取りが入っています
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium...

町家到着後は風呂に入るなり、各部屋を見回るなり好きにできる。
晩ご飯を外で食べて戻った場合<技能ロール>は3回まで。
晩ご飯を部屋で食べた場合は<技能ロール>は6回までできる。
<技能ロール>上限に達すると、強制的に風呂→寝るからイベントに入る。

【玄関&土間】

広め土間には革張りのソファとコーヒーテーブルが置いてある。玄関脇に大きな姿見が置いてある他は特に変わったところは無い。

【内玄関】

2回に続く階段と、小さ目の金屏風、金屏風の前には大きな壺に生け花が飾ってある。
<生け花関連or植物学ロール>成功で生け花が椿と柳のアレンジフラワーだと分かる。更に壺の深さから、ツボの底、上げ底になってるのかな?と気が付く。
<目星ロール>成功で金屏風の後ろの部分に木戸があり、物置の様になっていることに気が付く。ただ、扉は開かない。

【台所】

冷蔵庫とキッチン(ただしガスコンロなどは無し)がある。包丁などの刃物もない。2階に続く吹き抜けの階段がある。
<目星ロール>成功でシンク前の床に貯蔵庫がある事に気が付く。開けると小さ目のツボが入っている。壺の中には塩が入っている。

【1階板間】

特に何も置いてない。隣の和室への通り道のようだ。
<目星ロール>成功すると部屋に少し違和感を覚える。

【1階和室】

床の間があり、書の掛け軸が掛けてある。
床柱に竹製の花びんが掛けてあり、花(椿)が一輪刺してある。
座卓と座椅子が置いてあり、くつろげる客間の様になっている。また、坪庭に続く縁側に出ることができる。
<目星ロール>成功で、床の間横の地袋の上に椿模様の文箱が置いてあることに気が付く。
文箱の中には未使用の和綴じの冊子と万年筆が入っている。

【風呂】

広い檜風呂。
<歴史か知識1/2ロール>成功で浴槽だけはわりと新しいのでは?と気が付く。

【坪庭】

紅葉の映える小さな庭。手前に石畳、奥に庭木と灯籠がある。
灯籠に<目星ロール>成功すると火種を入れるところがあるが、火種になる物は入っていない事が分かる。

【2階狭い方の和室】

床の間があり、書の掛け軸が掛けてある。
<目星ロール>に成功すれば畳の真ん中のあたりの感触が少し柔らかい事に気が付く。

【2階広い方の和室】

床の間があり、狭い方の和室と同じ書の掛け軸が掛けてある。押入れには布団が入っている。
<目星ロール>に成功すれば床の間の上の方の一部が天袋になっていることに気が付く。

【2階ベッドルーム】

シングルベッドが2個設置してある。
<目星ロール>成功で屏風の裏だけ壁質が違う(雑な漆喰塗り)事に気が付く。

また、<アイデアロール>成功で海野硝子記念館にあった仕事場にあたる場所がどこにも無い事に気が付く。

<技能ロール>上限に達すると、強制的に風呂→寝るとなる。

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≪真夜中の物音≫

<強制聞き耳ロール>成功すると1階から声が聞こえることに気が付く。
女性の声で「ごめんください、どなたかいらっしゃいませんか?」と言っているようだ。
(KPへ:失敗した場合は友人が気が付くようにする)

玄関へ行くと(KPへ:PCが玄関に行きたがらない場合は友人を使ってうまく誘導して下さい)、着物姿の50代ぐらいの女性が立っている。
PCの姿を見ると「海野先生はご在宅ですか?約束通り娘を返していただきにまいりました。」と話しかけてきた。
女性あたりを見回すと「娘の用意がまだできていないようですね、では夜明け前に迎えに参ります。」
と言い、玄関を開ける。
そうして出ていく直前にPCの方を振り返って「ここにいるのはわかってるんです。娘を返してもらえないのなら…かわりにあなたをいただきますので」と言って出て行った。

着物姿の女性の鬼気迫る声に言い知れぬ恐怖を感じ、≪SANチェック:0/1≫

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≪イベント後の町家≫


KP注意:注意書き再読。特に修理費の部分。

スマホやケータイなどは変わらず使える。
だが、通話のみ使用すると繋がった瞬間酷い砂嵐のような音が入り、相手の声は聞こえない。
パソコンやケータイで海野硝子の事を調べるor海野硝子の仕事場について調べるなら
<図書館ロール>成功で海野硝子には真という名前の息子がいた事、真は凛子という女性と結婚していたことが分かる。
2人とも故人

【玄関&土間】

広め土間には革張りのソファとコーヒーテーブルが置いてある。玄関脇に大きな姿見が置いてある。
玄関が開かなくなっている。
窓から外を見る場合、べったりと塗りつぶしたように外の風景が見えない事に気が付く。当然開かない。
玄関が開かないor窓が開かない事に気が付いてしまった場合≪SANチェック:0/1≫

【内玄関】

調べられるもの生け花の入っている壺、金屏風、金屏風後ろが調べられる。
<生け花関連or植物学ロール>成功で生け花が椿と柳のアレンジフラワーかな?と思う。更に壺の深さから、ツボの底、上げ底になってるのかな?と気が付く。
壺に手を入れて上げ底部分を探るなら、中から誰かに手をさわられる。≪SANチェック:0/1≫
花をどけて中を覗くなら、底の方で何かが動いているのが分かる。ぎょろりとした目があなたに気が付くとひび割れのような口がにんまりと笑った≪SANチェック:0/1D3≫
その後じっくり見ると上げ底の黒い石が入ってるだけで何もいない。

<目星ロール>成功で金屏風の後ろの部分に木戸があり、物置の様になっていることに気が付く。ただ、扉は開かない。
<扉に対して目星ロール>成功で持ち手の下に小さな穴が開いていることに気が付く。さらに
<アイデアロール>成功でこれは鍵穴ではないか?と気が付く。

【細長い鍵のようなもの】もしくは<鍵開けロール>に成功すると扉が開く。

【内玄関屏風後ろの扉の中】

鍵を開けると、梯子、ロープ、懐中電灯、工具箱等の道具類が入っている。ただ、懐中電灯は電池が入っていないようだ。
持ち物に電池が入っている場合、もしくは
<アイデアロール成功>で土間の机の上に置いてあった置時計の電池が使えるのではないかと思い当たる。

<目星ロール>成功で隅の方にある箱の中に紙を筒状に巻いたものが入っていることに気が付く。
広げると、和室に飾ってあったのと同じ字が書いてある書道紙だと気が付く。
<オカルトロール>成功でこれが魔除けの札だと気が付く。

【台所】

冷蔵庫とキッチン(ただしガスコンロなどは無し)がある。包丁などの刃物もない。2階に続く吹き抜けの階段がある。
<目星ロール>成功でシンク前の床に貯蔵庫がある事に気が付く。開けると小さ目のツボが入っている。壺の中には塩が入っている。

【1階板間】

特に何も置いてない。隣の和室への通り道のようだ。
<目星ロール>成功すると部屋の壁の一部が忍者屋敷の様にくるりと回る事に気が付いた。
壁の内側を覗くなら
<目星ロール>成功で【日記】と書かれたノートが手に入る。

日記を手に入れた途端、眩暈がして立っていられなくなる。
思わず膝を付き、目を閉じて眩暈が治まるのを待ち目を開けると、後ろから男性2人の声がする。
(自分の姿は男2人には見えてないようだ)

若い男と初老の男性が机に向かい合って座っている。
机の上には1枚の紙。
紙には【誓約書】と書いてある。
若い男が頭を下げて言う。
「すいません、お父さん。あの時点では10年あればいいと思ってました。凛子は一見元気になったように見えても、治しようのない病でしたから…凛子の死後、凛子の形見の手鏡を渡して、それで納得しなければ自分の命を凛子の母親に渡そうと思ってたのです。ですが、ちょっと未練な事ができてしまって…何とかもう10年、時間が欲しいのです。再び誓約書を書き換えようと思ったのですが、凛子の母の墓にあった誓約書は雨風で流されて無くなっていまして…。」

初老の男性は難しい表情をしていた。
「ふむ…難しいがこちらの誓約書だけでも二十年と書き換えて、言いくるめるしかないだろう。勘違いだ、最初から二十年と書いてあったと…お前には難しそうだからな、私が対応に出よう。」

ここまで聞いたところで再び眩暈に襲われる。
そうして眩暈が治まるのを待って目を開けるともといた板間だった。
不可思議な現象に触れた為≪SANチェック:0/1≫


【日記】
20年前は父が誓約書を交わし何とかしてくれた。
10年前は父か誓約書を偽装して何とかしてくれた。
しかしもう父はいない。
彼女を納得させるには何が必要だろう?
凛子の形見である手鏡を渡し、納得しないようなら、私の命を彼女に差し出し、それで納得してもらえるだろうか…?

日記の間には【誓約書】が挟まっていた。
【誓約書】 私、海野硝子は以下のように誓約する。19XX年より
     二十年後、息子の嫁である凛子を御母堂へお返しする事。
      海野硝子

【1階和室】

床の間があり、書の掛け軸が掛けてある。
<オカルトロール>成功で掛け軸に書いてあるのが、書というよりは魔除けの札のような文字だと気が付く。

床柱に竹製の花びんが掛けてあり、花(椿)が一輪刺してある。
座卓と座椅子が置いてあり、くつろげる客間の様になっている。また、坪庭に続く縁側に出ることができる。
窓から見える坪庭の灯籠に火が灯っている。
昼間に灯篭に火種が入っていない事に気が付いていた場合≪SANチェック:0/1≫
灯籠からの光に照らされて椿模様の文箱が照らされている。
文箱の中を調べると、和綴じの本と万年筆が入っていて、和綴じ本の表紙には「海野硝子」と書いてあった。

【和綴じの本】
読むと以下の事が書いてある。

彼女は生きている人ではない。
彼女は娘である凛子を迎えに、またここに現れるだろう。
だが凛子さんはもういない。
しかしそれを話すだけでは彼女は納得しないだろう。
魔除けの札で彼女を退けるのは容易いがそれでは他の犠牲者が出かねない。
さらなる誓約書の書き換えは一度書き換えしているだけに2度目は少し難しい上、問題の先延ばしだ。
一番良いのは凛子の鏡と椿、道を照らす提灯、そして彼女の道案内をしてくれる「誰か」を用意する事だ。

先に和綴じの本を調べた事があり、なおかつ中が空白ページだったことを知っているPCは読んだ後≪SANチェック:0/1≫

【風呂】

広い檜風呂。
<歴史か知識1/2ロール>成功で浴槽だけはわりと新しいのでは?と気が付く。

浴槽以外の場所に<目星ロール>成功で一枚だけ周りと少し違う色をした板があり、細い物(コインやヘアピン等)を板の間の隙間に差し込むと、その板が外れ、中から【細長い鍵のようなもの】が手に入る。

【坪庭】

紅葉の映える小さな庭。手前に石畳、奥に庭木と灯籠がある。
灯籠に<目星ロール>成功すると火が灯っている中心にいる何かと目が合う。≪SANチェック:0/1D3≫
PCが日の中心の目と目があった瞬間火はゆるりと消える。後には何もいない。
(この火は他のものに燃え移らないし、何かを近づけると消えてしまう。)

【2階狭い方の和室】

床の間があり、書の掛け軸が掛けてある。
<聞き耳ロール>に成功すれば畳の真ん中のあたりの感触が少し柔らかい事に気が付く。
真ん中にある半畳分の畳を持ち上げると、下から炉が出てくる。どうやらここは昔、茶室だったのだろう。
炉にはまだ灰が入っていてる。灰をよけるor灰の中に手を入れるなら
<DEX×6ロール>
成功すれば上手に灰をかき分けられたようで、灰の中に埋まっていた銅製の小さな箱が手に入る。
失敗すれば、灰を舞い上げてしまい、それを吸い込んでしまった。HP-1。なんとか灰の中に埋まっていたものは取り出せる。銅製の小さな箱だった。

【銅製の小さな箱】
中には【小さな鍵】とメモが入っている。メモには「書斎で提灯(ちょうちん)に灯りをつけて」と書いてある。
(★KP注意:探索者が「書斎」と「書庫(現ベッドルーム)」と勘違いするようであれば、<アイデアロール>等で書斎=海野硝子の仕事場である事を伝えてあげて下さい。ロール無しで伝えてもどちらでも構いません。)

【2階広い方の和室】

床の間があり、狭い方の和室と同じ書の掛け軸が掛けてある。
<オカルトロール>成功で掛け軸に書いてあるのが、書というよりは魔除けの札のような文字だと気が付く。
押入れには布団が入っている。
<目星ロール>に成功すれば床の間の上の方の一部が天袋になっていることに気が付く。
天袋を開けると、電池と懐中電灯を見つける。

【2階ベッドルーム】

シングルベッドが2個設置してある。
<目星ロール>成功で屏風の裏だけ壁質が違う(雑な漆喰塗り)事に気が付く。
漆喰の壁に触る等の行動を起こした場合、PCは突然立っていられないような眩暈に襲われ、膝をつく。
目を閉じ、眩暈に耐え、眩暈が治まって目を開けると、友人はおらず、屏風裏から出ると、ベッドルームだったはずの部屋はベッドが無く、壁一面の本棚には古い書物が並んでおり、まるで書庫のようだな、と探索者は感じるだろう。
(本棚しかなく、文机等が無いので書斎ではありません。)

本などを触ろうとしても触れない。
自分の姿が半分透けている。≪SANチェック:0/1≫

書庫の扉は開いている。外に出ると、着物姿の初老の男性の姿が目に入る。男性は特にPCに気が付いた様子はない。
男性を観察すると手に紙を持っている。
<目星1/2ロール>成功するとその紙に【誓約書】と書いてあることに気が付く。
ちなみにほかの部屋は扉が閉まっており、入ろうとしても入れない。無理やり入ろうと試すと感電したような痛みが走り、<HP-1>

男性について行くと、玄関に行きつく。
玄関には自分達も見た初老の女性が立っており、男性から紙を一枚受け取ると
「では、約束通りに…」
と言って、出て行った。

男性は「真、凛子さん、もう大丈夫だ、出てきなさい。」と言い、その言葉に20台と思しき男性と女性が出てくる。
会話の限りでは男性が「真」女性が「凛子」だろう。
「お父さん、何故1年で凛子を返すなんて…1年なんて短すぎます!」と言うと、
男性は得意げにニヤッと笑うと土間のソファに座り、テーブルに誓約書を広げた。
覗き見ると
【誓約書】私、海野硝子は以下のように誓約する。19XX年より
      一年後、息子の嫁である凛子を御母堂へお返しする事。
       海野硝子
と書いてある。
男性は筆を取ると「一」のところに縦線を足して「十」とした。
「あとは上に足して八十なり九十なり好きな数字に書き換えるといい。その為に間をとってある。ただし、こちらを書き換えたら、御母堂の誓約書も書き直しなさい。多分だが、墓前か生家にあるだろう。」

そこまででPCの視界がまた揺らぐ。立っていられない眩暈にまた膝を付き、目を閉じる。
そうして眩暈が治まると屏風裏にいて、友人が心配そうな顔で「大丈夫?」と覗き込んでいた。

不可思議な現象に触れた為≪SANチェック:0/1≫

【台所側階段から上った先】

1F台所から階段に向かって、もしくは2F階段を上ったところで
<アイデアロール>成功で1Fの間取りから考えると、突き当り、トイレの向こうにも部屋があるのではないか?と気が付く。
気が付けたら突き当りの壁に
<聞き耳ロール>成功で壁の向こうに空間がある事に気が付く。
壁に<目星ロール>成功で壁にある木枠の上の部分の壁が動くのでは?と感じる。
足場になるものがあれば木枠上にあっさり手が届く。
木枠の上の部分が扉の様に開き、その向こう側に真っ暗だが部屋があるようだ。

【梯子】もしくは高さ1mの足場があれば木枠部分に上がれる。
ただし高い位置にあるので隠れた板間に下りるには
<跳躍ロール>または<登攀ロール>成功でダメージ無し。失敗で≪HP-1D3≫

【2階隠れた板間】

電気が無いので暗い。懐中電灯などが無いのなら以降≪目を使う技能に-20≫
鏡台が置いてある。
鏡台には引き出しがあり、中を開けると古い手鏡が入っている。
鏡は長い間使ってなかったためか、曇っていて何も見えない。

<目星ロール>成功で鏡台の後ろに扉がある事に気が付く。
扉を開けると漆喰の間に出る。

【2階隠れた漆喰の間】

上に続く階段がある。上がるとどうやら屋根裏らしい書斎に繋がっている。

【3階書斎(仕事場)】

小さめの机、座椅子と、古めかしい行李のある部屋。
(押入れもありますが、開けても海野硝子の使っていた布団や着物がしまってあるだけです。)
(行李=籐製の蓋付つづらみたいなもの)
<アイデアロール>等もしくはリアルアイデアでここが海野硝子の仕事場(書斎)である事に気が付ける。
机の上には白紙の原稿と万年筆と紙製のランプが置いてある。
机に<目星ロール>成功で引き出しがある事に気が付く。
【小さい鍵】を所有もしくは<鍵開けロール>成功で引き出しを開けられる。
引き出しの中には【マッチ】が入っている。

行李の中には【椿の描かれた提灯】が入っている。

提灯に灯をともすと、座椅子にいつの間にか人が座っている。突然現れた人物に驚き≪SANチェック:0/1D3≫
座椅子に座っている人は初老の男性(海野硝子)だ。
探索者の方を見て微笑むと机の上のランプを指さしている。
<アイデアロール>成功でランプに灯をともしてほしいのでは?と気が付く。

【ランプに灯をともした場合】
初老の男性が立ち上がり
「申し訳ない、私と私の息子の不始末で貴方にもご迷惑をおかけしたようだ。」と話し始める。
「手鏡と椿4輪はそろっているかな?」
そろっているなら初老の男性が「ついてきて下さい」と提灯を持って玄関へ歩き始める。

そろってない場合、今から揃えに行ってもいいし、無いし探しに行かないのなら初老の男性が「見つからなかったのなら仕方がない、ついてきて下さい」と提灯を持って玄関へ歩き始める。
鏡を持っていない場合は階段を降りたところで海野硝子が「そこの鏡台の引き出しに入っている鏡を持ってきてください」と声をかけてくる。

【エンディングまとめ】

≪何も持っていないor塩だけしか持ってない場合≫

夜明け前に女性がやってきて「…娘の準備はまだできないんですか?では後日出直しますから、本日は失礼いたしますね。では行きましょうか」
ここで≪ダイスロール≫奇数→PCが連れていかれる。偶数→友人が連れていかれる。

(奇数の場合)
あなたの足は動かない。
女性はゆっくりと、あなたの(友人の)目の前まで来ると、あなたの(友人の)手を取った。
ひんやりと冷たい、明らかに生きた人間のものではない。
引き離したい、逃げたいのに動けず、声も出ない。
何故か足が動き出す。女性について行くようにゆっくりと。

(両方)
玄関が開くとその向こうには何もなかった。
夜よりも深いその闇にあなた(友人)は吸い込まれるように消えていった。

(偶数の場合)
気が付くと、隣に友人が倒れている。
揺らしても、名前を読んでも反応が無い。
脈を取らずとも、友人の肌に触ればわかるだろう。
ひんやりと冷たい。死んでいるのだ。
友人の死を目の当たりにしたPCは≪SANチェック:1/1D6≫
その後警察や救急車がきて、友人を連れて行き、あなたも事情を聞かれるだろう。
だが、友人の死因は【心不全】だったので、事件性は無いと判断された。
大切な友人の一人を無くしたあなたは失意のまま家へと帰る。
そうしてゆっくりといつもの生活に戻っていくだろう。
だが、時折流れるニュースがあなたの心に突き刺さる。

(両方)
「京都の町家が並ぶ住宅街でまた女性の不審死。これで6人目。
先日よりニュースになっている京都の町家通りですが、また女性の死体が発見されました。死因は心不全なので事件、事故性は無いとのことですが、町家通りでの死者はこれで6人目。地元の人の話によると幻想小説家海野硝子の家で旅行者の死人が出たのを皮切りに、周りに住んでいる女性や通りかかった女性が亡くなっており、警察は事件性は無いとしつつも捜査を継続しているとの情報も…」

(PCが生き残っていた場合)
もし、建物内で備品や建物を破壊していた場合、後日町家の事務所からあなたの家宛に修理費請求の連絡がある。
払わざるを得ないだろう。そして支払いの為にあなたは仕事を増やし、日々の生活に追われ、あの恐ろしいような、不思議な出来事を徐々に忘れていくのだろう。

≪誓約書を書き換えていた場合≫

凛子の母に対し<説得ロール>か<言いくるめロール>に成功すれば凛子の母は
「…誓約書にあるのなら仕方がありません。では○年後に迎えに来ます。」
と言って帰っていきます。
○年後にまた彼女がこの家に尋ねてくるでしょう。
ですがそれはもはやあなたには関係の無い事です。
あなたは家へと帰り、京都での不思議な出来事は忙しい日々の中どんどん淡い思い出となり、消えていくでしょう。

(もし、建物内で備品や建物を破壊していた場合)
後日町家の事務所からあなたの家宛に修理費請求の連絡がある。
払わざるを得ないだろう。そして支払いの為にあなたは仕事を増やし、日々の生活に追われ、あの恐ろしいような、不思議な出来事を徐々に忘れていくのだろう。
(<説得ロール><言いくるめロール>に失敗した場合)
凛子の母は誓約書を睨み、低い声で唸った。
「誓約書を…書き換えましたね?」
釣りあがった目、引きつった頬、耳まで裂ける勢いの口からは刃物の様な牙がのぞいており、振り乱した髪が一層恐ろしさを引き立てた。
彼女の顔は既に人ではない。鬼、そのものだった。
鬼の姿を目にしたPCは≪SANチェック:1D6/1D20≫
彼女が叫ぶ
「酷い!約束が違う!約束が違うじゃないですか!娘を返してください…ちくしょう、騙しやがっって!返せ!凛子を返せ!返せ!嘘吐き野郎!返せ!返せえええええええ!!!許さない!絶対一人では帰るものか!」
彼女の手が、あなたの髪を掴む。そのまま引き倒され、引きずられ、激しい痛みの中、あなたの意識は闇の中に沈んでいった。

後日、とあるニュースが全国を騒がすことになる。
「京都の町家が並ぶ住宅街でまた女性の不審死。これで6人目。
先日よりニュースになっている京都の町家通りですが、また女性の死体が発見されました。死因は心不全なので事件、事故性は無いとのことですが、町家通りでの死者はこれで6人目。地元の人の話によると幻想小説家海野硝子の家で旅行者の死人が出たのを皮切りに、周りに住んでいる女性や通りかかった女性が亡くなっており、警察は事件性は無いとしつつも捜査を継続しているとの情報も…」

≪海野硝子の残した護符を玄関扉に貼る場合≫

夜明け前に玄関の扉が激しく叩かれる。
「海野先生、どういう事ですか!約束が違うじゃないですか!娘を返してください…ちくしょう、騙しやがったのか!返せ!凛子を返せ!返せ!嘘吐き野郎!返せ!返せえええええええ!!!許さない!絶対一人では帰るものか!許さない!許さないからな!凛子を返してもらえるまで、一人では絶対帰らないからな!返せえええええ!!!」
という声が響いていた。
耳をふさぐなりして耐えきり、日が昇るのを感じた明け方にはその声は聞こえなくなっていた。
狂ったような人の、こちらの命の危険を感じる様な恐ろしい声としばらくの間退治してしまった事による≪SANチェック:1D3/1D6≫

電話等は通じるようになっているので、誰か呼んでもいいし、そのまま出て行ってもいい。

町家の玄関から出ると、救急車が隣の家の前で止まっていた。
見ると若い女性が運び込まれるところだった。
半狂乱で泣き叫ぶ母親らしい女性が
「朝起きたら呼吸してないんです!どうして!?何故!?」
と叫んでいた。
<強制アイデアロール>成功でPC達は思い当たる。
凛子の母が、一人では帰らない、と言っていた。
もしかして、いや間違いないだろう。
自分たちが護符で凛子の母を退けたがために、隣人が犠牲になったのだと。
自分の行動の所為で人が死んだと自覚したPCは≪SANチェック:1/1D3≫

PC達は逃げるように家へと帰った。
日々の生活に集中し、恐ろしい記憶を消そうとするが、とあるニュースが全国を騒がすことになる。
「京都の町家が並ぶ住宅街でまた女性の不審死。これで6人目。
先日よりニュースになっている京都の町家通りですが、また女性の死体が発見されました。死因は心不全なので事件、事故性は無いとのことですが、町家通りでの死者はこれで6人目。地元の人の話によると幻想小説家海野硝子の仕事場近くで死人が出たのを皮切りに、周りに住んでいる女性や通りかかった女性が亡くなっており、警察は事件性は無いとしつつも捜査を継続しているとの情報も…」

(PCが生き残っていた場合)
もし、建物内で備品や建物を破壊していた場合、後日町家の事務所からあなたの家宛に修理費請求の連絡がある。

≪凛子の手鏡があるが、海野硝子がいない場合≫

玄関に行くと、玄関には凛子の母が立っていた。
「娘の準備はできましたでしょうか?」
手鏡を母親に渡そうとすると、母親が受け取れず、鏡が床に落ちる。
その途端、凛子の母が姿見の方を見て声を上げた。
「凛子!」
姿見の中に若い女性の姿が浮かび上がっていた。
姿見の中の凛子が母に向かって話しかける。
「お母さん…ごめんなさい。私、幸せだった。真さんのお陰で私は短くても幸せな一生だった。でもかわりにお母さんを不幸せにしてしまった…。だから私海野先生に頼んだの。この鏡に私の心を映して下さいって。私の一生を見ても、母が私を許せないようなら、この鏡を母に渡して、母の手で私を壊してほしいと伝えてと…。ごめんねお母さん、身勝手な娘で。」
そう言って凛子の姿が消える。
凛子の母は慌てた様子で手鏡を拾い上げ、しばらくの間鏡をのぞき込んでいたが、しばらくして驚いたような表情になった後、「信じられない、あの子が…」と呟き、静かに涙を流した。
この時<目星1/2ロール>に成功すると鏡の中に、ベッドに寝ている凛子と傍らにいる真、そして凛子の脇に赤ん坊がいるのが見える。

「では、私はそろそろあちらへ参ろうと思います。ですがあの…一人で参るのは寂しいので、もしよければどなたか道案内についてきてはいただけないでしょうか?」と。
(ここで内玄関の壺の中を覗いたことがある場合)
<アイデアロール>もしくはリアルアイデア
成功したならあなたは内玄関の方を見る。
目を閉じないなら、PCは内玄関から黒い影がはい出してきたのを見るだろう。
角の生えた頭と、ヒキガエルの様にぼこぼことところどころが盛り上がった肌は墨で塗りつぶしたように真っ黒で、ぎょろりとした目で貴方を見るとひび割れたような口でにたりと笑った。
人ならざる者の目撃により≪SANチェック:1/1D6≫
先導者が扉を開けると、凛子の母は再び「ありがとうございました」と深く頭を下げると、道案内の先導の元、闇の中に消えていった。

外からは今まで聞こえなかった、鳥のさえずりや、町の生活音が聞こえてくる。
土間の窓からは朝日が差し込んでおり、外を見ればわかるが、すっかりと日常の風景へと戻っていた。
(ツボを覗いたことが無い場合、あるいは上記のアイデアに失敗した場合)
凛子の母は寂しそうに「…道案内はお願いできそうにありませんね、申し訳ございませんでした。」
そう行って凛子の母は一人扉の向こうの闇に姿を消した。

いつの間にか土間にある窓から朝日が差し込んでいる。
外からは今まで聞こえなかった、鳥のさえずりや、町の生活音が聞こえてくる。
外を見ればわかるが、すっかりと日常の風景へと戻っていた。
だが、玄関からPC達が出ようとすると、玄関の傍らに猫が死んでいる。
<強制アイデアロール>成功でPC達は思い当たる。
多分、凛子の母が道連れに連れて行ったのだろう。≪SANチェック:0/1≫
だが、これ以上の犠牲はもう出ない。あなたは猫の死体に向かって手を合わせた。

(PCが生き残っていた場合)
もし、建物内で備品や建物を破壊していた場合、後日町家の事務所からあなたの家宛に修理費請求の連絡がある。
払わざるを得ないだろう。そして支払いの為にあなたは仕事を増やし、日々の生活に追われ、あの恐ろしいような不思議な出来事を徐々に忘れていくのだろう。

≪凛子の手鏡(と椿)を揃えて、海野硝子がいる場合≫

初老の男性に先導されて(ちなみに行きにあったはずの階段前の漆喰の間の壁が何故か無いので、スムーズに玄関に迎えます)玄関まで歩いて行くと、玄関には凛子の母が立っていた。
「海野先生、お約束通り娘を迎えに参りました。」
凛子の母の言葉に、初老の男性…海野硝子は「少々お待ちください」と言い、あなたの方を振り向くと「凛子さんの手鏡をそこに置いてもらえるかな」と姿見の前を指示した。

凛子の鏡を姿見の前に置くと姿見に若い女性の姿が映る。
「凛子!」
凛子の母が叫んだ。
姿見の中の凛子が母に向かって話しかける。
「お母さん…ごめんなさい。私、幸せだった。真さんのお陰で私は短くても幸せな一生だった。でもかわりにお母さんを不幸せにしてしまった…。だから私海野先生に頼んだの。この鏡に私の心を映して下さいって。私の一生を見ても、母が私を許せないようなら、この鏡を母に渡して、母の手で私を壊してほしいと伝えてと…。ごめんねお母さん、身勝手な娘で。」
そう言って凛子の姿が消える。
凛子の母は慌てた様子で手鏡を拾い上げ、しばらくの間鏡をのぞき込んでいたが、しばらくして驚いたような表情になった後、「信じられない、あの子が…」と呟き、静かに涙を流した。
この時<目星1/2ロール>に成功すると鏡の中に、ベッドに寝ている凛子と傍らにいる真、そして凛子の脇に赤ん坊がいるのが見える。
(椿がある場合は以下のイベントも発生)
海野硝子の手の中にいつの間にか椿が(集めた数)輪。
それを凛子の母に差し出した。
「これはたまたまここに居合わせることになった彼女たちが集めてくださったもの。どうぞ、この先の旅の慰めに」と差し出した。
凛子の母があなた達の方を見る。
最初の恐ろしい表情と違い、そこにいるのは上品な、やさしい顔をした女性だった。
「申し訳ございません。ご迷惑をおかけいたしました。ですがこれはもう私には必要のない物です。(PC達の方を見ながら)よろしければ失礼のお詫びにそちらの方に受取っていただけますでしょうか?」
そういってあなた達に椿を差し出してくる。
PC達は受け取ってもいいし、固辞してもいい。
(ここまで椿がある場合のイベント)

その後凛子の母は
「では、私はそろそろあちらへ参ろうと思います。ですがあの…一人で参るのは寂しいので、もしよければどなたか道案内についてきてはいただけないでしょうか?」と。

PC達が付いて行こうとしても海野硝子に止められる。
「道案内はご用意しております」
海野がそう行って内玄関の方を振り返る。
うちのはPCに「しばらくの間目を閉じていた方がいいですよ」と声をかけてくる。
おとなしく目を閉じるなら特に何もない。

目を閉じないなら、PCは内玄関から黒い影がはい出してきたのを見るだろう。
角の生えた頭と、ヒキガエルの様にぼこぼことところどころが盛り上がった肌は墨で塗りつぶしたように真っ黒で、ぎょろりとした目で貴方を見るとひび割れたような口でにたりと笑った。
人ならざる者の目撃により≪SANチェック:1/1D6≫
ただし事前に花の活けてあった壺を調べてSANチェックをしていた場合は≪SANチェック:0/1D3≫

海野硝子が道案内に提灯を渡すと、ドアを開け外に出る。
(目を閉じていた場合はこのあたりで海野硝子がPCに「もう大丈夫ですので、目を開けてください」と声をかけてくれる)
凛子の母は再び「ありがとうございました」と深く頭を下げると、闇にぼんやりと浮かぶ提灯の先導の元、闇の中に消えていった。

海野硝子はPCの方を向くと「ありがとうございました。あなた方のおかげですよ」と言いそのまま消えるように姿を消す。

(椿を受け取った場合以下のイベントも発生)
受け取ったはずの椿はあなた達の手の中で消えていき、何故か心に「もう大丈夫だ」という安心感があふれる。
椿を取った場所を確認に行くなら、椿は何故か元の場所にもあるだろう。

外からは今まで聞こえなかった、鳥のさえずりや、町の生活音が聞こえてくる。
土間の窓からは朝日が差し込んでおり、外を見ればわかるが、すっかりと日常の風景へと戻っていた。

(PCが生き残っていた場合)
もし、建物内で備品や建物を破壊していた場合、後日町家の事務所からあなたの家宛に修理費請求の連絡がある。
払わざるを得ないだろう。そして支払いの為にあなたは仕事を増やし、日々の生活に追われ、あの恐ろしいような不思議な出来事を徐々に忘れていくのだろう。

【クリア報酬】

シナリオクリア報酬:1D3
海野硝子を呼び出せていた場合:1D3
犠牲者を出さなかった場合:1D6
椿を手に入れている場合:椿の数の分のSAN値
(内玄関の壺の中、1F和室床柱、1F和室地袋の中の文箱、3F書斎行李の中の提灯)

【登場アイテム】

【町屋】…幻想小説家海野硝子の元仕事場。妖しい噂が事欠かない。
実はあやかしと取引していた海野硝子の力が彼の死後もこの家にわずかながら残っていて、今回探索者の助けとなる。

【誓約書】
  私、海野硝子は以下のように誓約する。19XX年より
 二十年後、息子の嫁である凛子を御母堂へお返しする事。
  海野硝子

【和綴じの本】

彼女は生きている人ではない。
彼女は娘である凛子を迎えに、またここに現れるだろう。
だが凛子さんはもういない。
しかしそれを話すだけでは彼女は納得しないだろう。
魔除けの札で彼女を退けるのは容易いがそれでは他の犠牲者が出かねない。
さらなる誓約書の書き換えは一度書き換えしているだけに2度目は少し難しい上、問題の先延ばしだ。
一番良いのは凛子の鏡と椿を4輪、道を照らす提灯、そして彼女の道案内をしてくれる「誰か」を用意する事だ。

【日記】
20年前は父が誓約書を交わし何とかしてくれた。
10年前は父か誓約書を偽装して何とかしてくれた。
しかしもう父はいない。
彼女を納得させるには何が必要だろう?
凛子の形見である手鏡を渡し、納得しないようなら、私の命を彼女に差し出し、それで納得してもらえるだろうか…?


【細長い鍵のようなもの】
1階内玄関屏風後ろの木戸を開ける鍵。

【小さな鍵】3階書斎の机の引き出しの鍵。

【古い手鏡】
綺麗な装飾の手鏡。凛子が使ってたもの。
しかし古い上手入れをしていなかったので、鏡は何も映らないぐらい曇っている。

【登場NPC】


海野硝子…幻想小説家。幽霊や人ならざるものと対話することができ、また強い力を持った術師だった。10年前に老衰で死亡。死亡当時65歳。
死後仕事場を町家として貸し出すよう遺言したのもこの人。
理由は「自分が呼び出した、もしくは自分に惹かれて集まってきた「人ならざる者」達を長期間沢山の人を招く事によって人の気で追い出す為。
(町家に出てくる「人ならざる者」は基本的に闇にまぎれてしか存在できない為、人の陽の気が苦手なので人が多く出入りする場所には留まり難い、と言うどうでもいい裏設定です。)

海野真…硝子の息子で凛子の夫。5年前に交通事故で死亡。
今回訪ねてきた凛子の母と本来対峙するはずだった人。
事故による不慮の死と、凛子の母の件を誰にも伝えず(子供がいるのですが、子供も小さかったため)亡くなってしまった為今回の事件が起きてしまった。

海野凛子…真の妻。17年前に持病の悪化により病死。

【NPC時系列】(※本編にはあまり関係ありません)

凛子、真結婚→25年前
凛子の母死亡→24年前
凛子の母が現れる→23年前〜21年前
海野硝子に相談→21年前
海野硝子と凛子の母の誓約書作成→20年前
凛子の息子誕生→19年前(真にとっての未練=息子。息子が心配で10年で死ぬ訳に行かなくなった。)
凛子病死→17年前
海野硝子死亡→10年前
真事故死→5年前

シナリオにはあまり関係ありませんが、気にしていた人がいたので。
海野硝子が生家と仕事場に人を出入りさせるよう遺言した理由は、「人が来なくなると悪いものが溜まりやすくなるから」です。
凛子の母の件は海野硝子死亡時、真は生きていた為、誠が何とかできると思ってたが故です。

【登場モンスター?】


凛子の母親…24年前に死亡。死霊となりなお凛子を自分の元に連れて行こうとするが、20年前に硝子の仕掛けた罠により娘を20年間迎えに行けなくなる。

【シナリオ背景のネタバレ】

凛子の母は体の弱い娘を溺愛しており、慢性の病で入退院を繰り返す凛子の病状は「入院してもしなくても先は長くない」というものでした。
ですが母親は「入院して安静にしていれば、1日でも長く生きて自分と一緒にすごせる」と思っていました。
(当然凛子には結婚生活はもとより子供を産むなんて絶対無理だと思い込んでました。)
凛子は入院したまま死ぬよりは好きな人と少しでも過ごしたいという考えのもと、母に結婚の相談をしましたが、反対され、結果駆け落ちする事になりました。
そうして「最愛の娘に裏切られた」状態のまま死んでしまった母親の妄執は「娘を取り返す事」。
言い過ぎ感はありますが、凛子の母にとって娘は「自分の人生、身体の一部」であると考えてたのだと思います。

実は契約作成後、凛子は子供を産んでいるのですが、その事も母親は知らないままです。
海野硝子は10年前に契約書の書き換えで凛子の母を騙した際に、巻き添えにならないよう、子供の存在を話しませんでした。

なので、今回凛子の鏡に映った「娘である凛子が子供を産んでいた事実」を初めて知り、「娘が幸せに暮らしていた事実を凛子自身から聞いた」事で「娘は一人前の人間だった」事を認められるようになり、その幸せな人生を受け入れられるようになったと思われます。
ネタバレ部分はわかりにくい場所の補足であり、シナリオ背景はシナリオを使用していただいた方々で自由に考えてもらっても結構です。
これはあくまで「こうだったのではないか?」という推測と言う事で。

このページへのコメント

しっとりした雰囲気の素敵なシナリオですね…!初KPをするにあたって一目惚れしたこのお話を是非回してみたいと思い、シナリオをお借りしました。

0
Posted by 雪也 2016年04月10日(日) 22:00:44 返信

分かりました!ありがとうございます!

拙いできだとは思いますが、完成したら一緒に卓を囲んだ友人のほうか、私のどちらかがツイッターで報告させていただきますね!

0
Posted by しろゆき 2016年02月22日(月) 20:54:26 返信

>しろゆき様
お返事が遅れてしまい申し訳ございません。
シナリオをプレイして頂きありがとうございます。
動画作成、大丈夫です。
できればどこかに「今市子さんのコミック「百鬼夜行抄収録【夏の手鏡】」を元に制作したシナリオである旨を入れていただけると幸いです。
また、動画が出来上がった際、私でも見る事の出来る場所に上げられるようでしたら、ぜひ教えていただけると嬉しいです。

0
Posted by 海月水母 2016年02月12日(金) 18:16:12 返信

初めまして、素敵なシナリオをお借りしました!
細かく丁寧に書かれていて、KP、PL共にド初心者だったのですが楽しくセッションすることが出来ました!
ありがとうございます!

そして急なのですが、もしよろしかったら、セッションの内容を動画にしたいと考えています。
trpgについても動画製作についても素人なので
遅くはなると思うのですが、是非この海月様のシナリオで作りたいと思っています。

よろしかったら、許可頂けると嬉しいです。
コメント失礼しました。

0
Posted by しろゆき 2016年02月03日(水) 18:43:15 返信

>やおや様
お返事が遅れて申し訳ございません。
シナリオの元ネタになったコミックをいかせてるかな?と思っていたので、しっとり和風といって頂けると幸いです。
遊んでいただきありがとうございます。

0
Posted by 海月水母 2016年01月30日(土) 17:51:29 返信

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