ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

1.はじめに

シナリオ作者:DISK
プレイ時間:8〜10時間(テキストセッション)
推奨人数:3〜4人
推奨技能:目星、聞き耳、低くないDEX
準推奨技能:自衛程度の戦闘技能、生物学、地質学、精神分析、芸術または制作(彫刻)
難易度:★★★☆☆(行動次第ではSAN値チェックやや多め)
注意事項:このシナリオではCON対抗ロールが多く発生し、失敗するとDEXが減少します。
KPはPLに対してセッション開始前に、DEXが低いと難易度が上がることを伝えてください。

2.舞台

現代日本、某県山中の廃坑

3.概要

探索者は友人に誘われ、紅葉を見にハイキングにやってきたが、迷い込んだ廃坑に閉じ込められてしまう。
そこは悍ましい邪神の姿を象った像があり、それを目撃した探索者たちの身体は徐々に石へと変じてしまう。
探索者たちは廃坑から脱出する方法を模索しつつ、いくつもの邪神像を破壊しなければならない。

4.NPC

吉岡明則(よしおかあきのり)24歳

5.背景

ミ=ゴ達がある山中の廃坑に住み着いた。このミ=ゴ達は邪神ガタノソアを信仰しており、ムー大陸のガタノソアの
水晶像を所有していた。
また、この廃坑は、食屍鬼達の巣穴とも繋がっていた。
5年前に、この廃坑に一人の彫刻家が迷い込み、そこで水晶のガタノソア像を目撃した。この邪神像はガタノソア
の姿を正確に再現したものではなかったため石化は免れたが、邪神の思念派を受けてその真の姿を正確に想像して
しまい、邪神の恐ろしい姿に魅入られてしまう。そして彫刻家は廃坑に籠り、邪神の姿を正確に模した石像を制作
し始めた。
やがて邪神像が完成し、彫刻家は自らの作った、ガタノソアの姿を正確に再現した像を見て石になったが、ミ=ゴが
その脳を取り出し、円筒形容器に詰め、機械の腕をつけて邪神像の制作を続けさせた。
もう石化することのなくなった彫刻家は、石になった自らの身体を使ってさらに邪神像を制作し始めた。
また、ミ=ゴに登山者や近隣の廃村に集まる浮浪者を攫わせて、ムー大陸の水晶像を見せ、ガタノソアの姿を想像し
たものを探した。
大抵の人間はそれを見ず、その後は、彫刻家の作った邪神像を見せて石にし、それを素材にして更に邪神像を作り
続けた。
2年前に、ついにムー大陸の邪神像を見てガタノソアの思念派を受けた登山者が現れた。
彼女は彫刻家の助手として監禁されたが、脱走した。彼女はその後食屍鬼の巣穴に迷い込んだ。
食屍鬼達はミ=ゴや彫刻家が、自分たちが餌としている浮浪者を石にしていることを知り、危機を感じていたため、
助手だった女から邪神像のことを聞き出した。
そして、ついに、食屍鬼達は、彫刻家とミ=ゴの棲む廃坑を強襲した。 
探索者たちは、その直前にミ=ゴの催眠術により、廃坑に迷い込んでしまう。

6.導入

現代日本。季節は秋。
探索者たちは友人である吉岡より、ハイキングの誘いを受ける。
そこは探索者の棲む町から車で1時間程離れたところにある山で、あまり有名ではないが景色が良く、また、
廃坑もあるという。
早朝から出発し、山に着いたのは午前8時ごろ。そこから山を登る。道中、吉岡から山の歴史について聞ける。

山の情報

午前10時、突然山の天気が変わる。暗雲が立ち込め、強風が吹き、嵐のような雨が降り始める。
探索者たちが雨風を凌ぐ場所を探すと、近くの岩肌に洞穴を見つける。
洞穴は人が三人程並んで歩ける幅と高さで、奥行きは3m程度。薄暗く窮屈だが全員が雨風を凌ぐことはできる。
探索者が洞穴に入ると、内部に<目星>が可能になる。

目星

ここで探索者全員が<聞き耳>を行う。成功者は、ブンブンという虫の翅音にも似た音が聞こえる。
そして、探索者たちは突然朦朧とし、意識を失う。

KPメモ

7.坑道

再び意識を取り戻した時、探索者たちは洞窟の中にいる。
そこは、意識を失うまで自分達がいた洞穴とよく似ている。幅と高さは同じくらい程度。
壁面には一定の間隔でランタンが掛けられており、人の顔が見える程度の明るさはある。
ランタンは電気ケーブルでつながっているが、中には壊れているのか、灯りの点いていないものもある。
穴は前方・後方ともに穴が長く伸びており、奥を伺うことはできない。
時計や携帯電話等を見ると、時刻が11時だとわかる。以後、KPは時間の経過に注意すること。

洞窟に対して<目星>を行うことができる。

目星

岩壁
後方へ引き返すと、数分歩いたところで坑道が岩壁に塞がれている。

目星


前方へ進んだ場合、KPは探索者に<目星>を行わせる。

目星

道の先では何かが道を塞いでいるが、その周囲のランタンが壊れているのか明かりが灯っておらず、探索者たちの
位置からは影にしか見えない。
音は何も聞こえない。<目星>を行うことはできるが、成功してもそれが動いていないことはわかるが、それが何
かは伺い知れず、それを見るためには、傍に近づかなければならない。

8.邪神像

探索者が近づくと、道を塞ぐものの全貌を見ることができる。
探索者が目の当たりにしたそれは、石の台座に乗った、世にも恐ろしい生き物の姿を象った石像だった。
像が放つ圧倒的な禍々しさに、探索者たちの背筋は凍りつく。

石像の描写例

ガタノソア像
この石像は邪神・ガタノソアを象った像である。この邪神を目撃した者は<1/1d4>の正気度ポイントを失うと
ともに、ガタノソアの呪いを受ける。
呪いを受けた者はD100で<CON*5>のロールを行い、失敗すると1d2のDEXを喪失する。
この喪失は一時的なものである。
また、ガタノソアを目撃した後、戦闘ラウンドのルールが適応される。
ガタノソアの呪いは、像を破壊するかその場から遠くに逃げ出さない限り、毎ラウンドの終了時に発生する。
また、一度でも像を見ると、像が近くにある限り目をつぶる、布で隠すなどしても呪いは発生する。
ガタノソアの像は、戦闘技能で10ポイント以上のダメージを与えれば破壊できる。
像に対して攻撃を行う場合、像は動かないものの、暗く、また狭い空間に複数人が入り乱れているため、攻撃技能
に+20の補正値を加えてロールを行う。
また、像に対して<目星>ロールを行い、成功すれば、それが二種類の白い石でできていること、丸彫りではなく
複数のパーツからなることが判る。
<目星>ロールは像を破壊した後で行っても同じ情報が得られる。

耐久値を0以下にすると邪神像は破壊される。像が原形をとどめ無くなると探索者は自分が感じていた恐怖心が
薄れていくのを感じるが、完全には払しょくされない。
戦闘でDEXが減少している場合、1d2のDEXが回復するが、この戦闘で減ったDEX値以上は回復しない。
また、別行動をするなど戦闘に参加していない探索者については、減ったDEXは回復しない。
全員<アイデア>ロールを行い、成功者は破壊された像がまだ実は破壊されていないのではないか、という奇妙な
感覚に襲われる。
像を破壊した後には、白い石の破片が残される。
これに対して各種技能ロールを行い、成功することで情報を得ることができる。

地質学

生物学

<目星><制作(彫刻)><芸術(彫刻)>

坑道は、像があった場所の先には黒い鉄格子が嵌っている。近づくと、その鉄格子には格子戸が取り付けられて
いるのがわかる。
DEXの減少について
呪いはすべての邪神像を破壊すれば解ける。
戦闘ラウンドでDEXが減少していれば、終了後に1d2のDEXが回復するが、戦闘で喪失した分以上は回復しない。
呪いによりDEXが初期値の半分に減少した探索者は腕や頬が角質化し、触れても感覚が無くなっている。
また、指先や耳など末端は石のように固くなっている。この異変に直面した者は0/1d3の正気度ロールを行う。
また、呪いによりDEXが3以下に減少した場合、探索者は石化が進行し、思うように動かすことができなくなる。
探索者の皮膚は半ば石となり、動かそうとすると強い痛みを感じるようになる。
このような状態になった探索者は1/1d4の正気度ロールを行うとともに、全ての技能値ロール成功率が1/2となる。
また、呪いによりDEXが0以下となった場合、探索者の身体はその場で石と化し、その後は像がすべて破壊される
まで行動できなくなる。
この時、探索者の脳は生きており、すべての像が破壊されれば体は元に戻るが、その間恐怖を感じ続ける。
このような状態になった者は1/1d6+1の正気度ロールを行うとともに、友人が石と化す様を目撃した者も0/1d4の
正気度ロールを行う。

9.黒い鉄格子

鉄格子は坑道の床と天井にはめ込むようにして取り付けられている。格子戸があり、手で押せば簡単に開く。
鉄格子の向こう側では、坑道の幅が広くなり、天井も高くなっている。
ランタンは壁沿いに吊るされており、薄暗いながらも視界は得られるが、奥の様子が分からない。
格子戸を潜らずに<目星>ロールを行い、これ成功した場合、鉄格子の向こう側の坑道の床にどろりとした、
黒っぽい液体が床に広がっているのを見つける。蟹の殻のようなものも見られる。

KPメモ

坑道の壁にいくつかの鉄格子が嵌っているのが分かるが、幾つあるのかまではわからない。
格子戸を潜り、鉄格子の向こう側に行くと、坑道の様子が分かるようになる。
幅は広がり、探索者と吉岡が並んで楽に歩ける程になっている。
また、天井は非常に高く、十数メートルに達するがランタンの灯りが届かず、非常に暗い。
鉄格子を潜った後で坑道内に<目星>ロールを行い、成功すれば、鉄格子を潜る前に行った場合に得られる情報に
加え、色の異なる鉄格子が坑道の左右の壁に二つずつ、奥に一つあるのがわかる。
鉄格子の色
右手前:赤色
左手前:黄色
右奥 :青色
左奥 :緑色
正面奥:白色
なお、<目星>ロールを行わなくとも、坑道を進めば鉄格子の数と色はわかる。
また、上記の鉄格子を2つ潜り抜けた場合、中央の行動に戻ってきたときに、探索者の頭に小石が当たる。
<聞き耳>ロールを行い、成功すると、天井付近から獣の唸り声のような音が聞こえた気がする。

10.赤い鉄格子

右手前の壁には赤色の鉄格子が嵌っており、その先には細い支道が伸びている。
支道の壁にもランタンはかかっているが、途中で曲がっているため奥の様子は見えない。
鉄格子には格子戸が取り付けられており、鍵はかかっていない。
鉄格子を超えて支道を進むと、小部屋に出る。
小部屋入ると、人型の石像が乱雑に置かれており、それらから少し離れた場所に邪神像があるのが見える。
邪神像を見た探索者はガタノソアの呪いを受け、戦闘ラウンドが適用される。
ガタノソアの呪いと戦闘ラウンドは、10ポイント以上のダメージを与えて像を破壊するか、鉄格子付近まで逃走
するまで続く。
像を破壊すれば、像の破片を調べることができるようになるが、そこで得られる情報は黒い鉄格子の手前と同一
である。また、脅威がなくなれば、室内を落ち着いて探索できるようになる。
室内には「乱雑に置かれた人型の彫像」がある。人型の像に各種の技能ロールを行うことで、情報を得られる。

目星

地質学

生物学

芸術または制作(彫刻)

像を調べた者は、<アイデア>ロールを行う。
成功者は、彫像が彫刻は肥満体の中年男性、あばら骨の浮き出た老婆など、彫刻のモチーフにしてはふさわしく
なさそうなものが多いことに気付き、違和感を覚える。

KPメモ

11.黄色い鉄格子

左手前の壁には黄色の鉄格子が嵌っており、その先には細い支道が伸びている。
支道の壁にもランタンはかかっているが、途中で曲がっているため奥の様子は見えない。鉄格子には格子戸が取り
付けられている。鍵はかかっていない。
格子戸を潜ろうとした探索者に対し<聞き耳>ロールを行わせる。

聞き耳

格子戸を潜り、支道を進むにつれ、悪臭は次第に強まる。支道を歩くうち、やがて小部屋に出る。その頃には、
技能ロールを行うまでもなく悪臭を感じるようになる。
小部屋に入ると、奥に二体の邪神像がある。二体のうち、一体は半ば壊れかかっている。邪神像を見た探索者は
ガタノソアの呪いを受け、戦闘ラウンドが適用される。
ガタノソアの呪いと戦闘ラウンドは、像を破壊するか、鉄格子付近まで逃走まで続く。壊れていない邪神像は
10ポイント、半壊の像は7ポイント以上のダメージを与えると破壊できる。
邪神像を破壊すれば、その破片を調べることができるが、得られる情報は黒い鉄格子の手前で破壊したものと
同一である。
また、邪神像を破壊すると、落ち着いて室内を探索できるようになる。
室内の床には邪神像の破片が散らばっている。また、邪神像が乗っていた二つの台座の他に、さらに台座が一つ
あり、そこから少し離れて、人型の像が一つ置かれている。
台座
石の台座が3つあり、いずれも周囲には邪神像の破片が散らばっている。

目星

人型の像
三つの台座から少し離れたところに、等身大の人間の像である。裸体像で、ぼろぼろの布が身体に巻かれている。
また、酷い悪臭を放っている。像に各種の技能ロールを行うことで、情報を得られる。

目星

地質学

生物学

芸術または制作(彫刻)

※なお、どの技能ロールに成功しても、その握りしめられた左手の薬指には指輪を嵌っていること、また、像が
女性を象ったものであることが判る。指輪は外すことができない。

KPメモ

12.青い鉄格子

右奥の壁には青色の鉄格子が嵌っており、その先には細い支道が伸びている。支道の壁にもランタンは掛っている
が、途中で曲がっているため奥の様子は見えない。鉄格子には格子戸が付けられている。鍵はかかっていない。
支道を進むと小部屋に出る。小部屋には作業台、椅子、寝袋がある。
作業台
作業台の上は大小さまざまな白い石が散乱しており、邪神像のパーツらしきものも含まれている。これを見ても、
ガタノソアの呪いは発生しない。また、手帳を発見できる。
手帳
市販の、はがきサイズの手帳である。表紙は薄いピンク色で、開くと二年前の日付のカレンダーがある。
また、手帳後半には日記のような記述と、「中村菜々美」という署名が書かれている。

日記の内容

椅子
椅子は木製の四脚で、PLが望むのであれば武器として使用可能である。
「椅子(杖)1d6+db」
寝袋
寝袋は部屋の隅に無造作に置かれている。
所々黴が生えており、長い間使われた形跡がないことが判る。

13.緑色の鉄格子

左奥の壁には緑色の鉄格子が嵌っており、その先には細い支道が伸びている。支道の壁にもランタンは掛っている
が、途中で曲がっているため奥の様子は見えない。鉄格子には格子戸が付けられている。鍵はかかっていない。
格子戸を潜り奥へ進むと、小部屋に出る。小部屋に入ると、視界に青い像が飛び込んでくる。青い像の他には、
棚と何かの機械がある。
青い像
青白く、半透明の素材でできた何かの像。歪んだ半球体から捻じれた突起物が何本も生えている。

目星

地質学

芸術または制作(彫刻)

KPメモ

スチールラックが壁際にあり、中には様々なものが乱雑に置かれている。
棚には、様々な彫刻の部品、スケッチブック、新聞紙の塊、ハンマーを見つけられる。
スケッチブック
市販のスケッチブック。中を見ると、鉛筆で邪神像のスケッチが描かれている。
スケッチは邪神像全体が描かれたものの他、パーツ一つ一つが様々な角度から描かれている。
また、パーツの寸法や邪神像の組み立て方が描かれている。
また、メモのような書き込みもいくつかある。
メモは次のような文である。

スケッチブックに書かれたメモ

KPメモ

新聞紙の塊
新聞紙にくるまれた油粘土の塊がくるまれている。少々古くなっているが、まだ使える。
新聞紙の日付は、5年前のものである。
ハンマー
武器として使用可能。ハンマー<杖>1d4+1+db
何かの機械
小型の機械。機械からは電線が何本もでており、それらは部屋の壁のランタンに繋がっている。

知識

給油口を確認すると、中には燃料ではなく、かわりに緑色の粘々としたものが詰まっている。

生物学

なお、この発電機を破壊した場合、坑道内のランタンが消えて暗闇に包まれる。

14.白い鉄格子

正面の壁には白色の鉄格子が嵌っており、その先には細い支道が伸びている。支道にもランタンは掛っている。
支道は奥で行き止まりになっているのが見える。行き止まりには、井戸のような穴が見える。また、支道の途中で
右の壁に錆びだらけの鉄格子があるのが見える。鉄格子には格子戸が取り付けられており、鍵はかかっていない。
鉄格子を潜り、支道の奥に進むと、二つ目の鉄格子を観察できる。二つ目の鉄格子にも格子戸が嵌っているが、
こちらには大きな南京錠が嵌っており、開くことができない。また、鉄格子の付近の壁に、デジタル式の時計が
かかっている。二つ目の白い鉄格子の奥は細い通路が続いているが、途中で折れ曲がっているため奥を伺うことは
できない。

聞き耳

通路を進むと行き止まりになっている。通路の突きあたりの床には井戸のような竪穴がある。井戸は通路いっぱい
に広がっている。かなり深く、懐中電灯などで照らしても奥を見ることはできない。<聞き耳>ロールを行っても
この段階では何も聞こえない。

KPメモ

15.錠

錆びだらけの鉄格子には、大きな南京錠がかかっている。錠はダイヤル式で、四ケタの数字を合わせる仕組みに
なっている。

鍵あけ

錠を手に取った者は<聞き耳>を行い場合、成功すると、錠からチクタクという微かな音がすることに気が付く。

KPメモ

番号は、「時計の表示時刻」である。例えば壁のデジタル時計の時刻が15:30であれば、正しい鍵の番号は1530と
なる。
壁にかかったデジタル時計の時刻は、時間が経過するごとに変動する。KPは時間経過に注意すること。
なお、この壁掛け時計は、市販の特に珍しいところもないデジタル時計である。
開錠して鉄格子を潜ると、細い通路が続いている。通路の先は広い部屋になっている。

16.作業場

通路の先は、横幅10m程の広い空間になっている。入り口から10mほど離れた所にカーテンが引かれており、
その向こう側はうかがえない。カーテンのすぐ手前には作業台があり、傍らには金属の筒がある。金属筒からは、
昆虫の足のようなものが生えている。そしてその金属の筒の近くには、二回りほど小さな金属缶が積まれている。
作業台の上には彫像の破片がいくつも転がっている。そのほとんどは人間の手足の形をしているが、中にはあの
邪神像の一部分も見受けられる。
また、カーテンの奥にはガタノソア像が二体鎮座している。
節足の金属筒

節足の金属筒の描写例

探索者たちがライトを近づいたりすると、金属筒は探索者に気が付き、腕を止めて方向を変える。こちらを向いた
金属筒にはレンズのようなものが嵌っている。
そして、ノイズ交じりのラジオのような声が聞こえてくる。声は男のもので、探索者たちに「新しい助手か」と
問いかけてくる。肯定しても否定しても、金属筒はカーテンを開けて邪神像を見せようとする。
また、傍らの筒は、探索者の存在に気が付くと「助けてくれ」と呼びかけてくる。それらと会話をしようとすると
節足の金属筒は「なぜ私の作品を見ないのだ、なぜ理解しないのだ」と激高し、金属筒の一つを破壊する。破壊さ
れた金属筒からは、人間の脳がこぼれ落ちる。これを見た者は0/1d4の正気度ロールを行う。
足の生えた金属筒がカーテンを開くとそこには邪神像が二体ならんでおり、CON*5ロールが発生する。また、これ
以降は戦闘ラウンドが適用される。ガタノソアの呪いと戦闘ラウンドは、像を破壊するか白い鉄格子付近まで逃走
するまで続く。邪神像は、いずれも10ポイントのダメージを与えると破壊できる。
また、金属筒は、邪神像を攻撃する者を最優先で攻撃する。
円筒形の耐久値は7、装甲が3である。この耐久値を0にした場合、円筒形がひしゃげ、一部が破れて中身がこぼれ
落ちる。円筒形の中身は人間の脳である。この光景を目撃した場合、0/1d4の正気度ロールを行う。また、止めを
刺した探索者は、自分が人間を殺めたのだと理解し、1/1+1d3の正気度ロールを行う。

節足の金属筒

邪神像の耐久値を二つとも0にすると、戦闘ラウンドは終了する。

KPメモ

17.肉塊

破壊するべきガタノソアの像は6体ある。すべてのガタノソア像を破壊すると、石化の呪いが解除される。
呪いにより減少した探索者のDEXはこの段階で元の数値まで回復するが、探索者が完全に石化していた場合は、
元々のDEXの半分までしか回復しない。このDEXもセッション終了後に元に戻る。
探索者たちが、自分たちの身体が元に戻っていくのを感じていると、べちゃべちゃという音がする。音のした方を
見ると、今しがた自分たちが破壊したばかりの邪神像、その破片が形を変えて行く所を目撃する。
白い石だったものは今や赤黒く変色し、じゅくじゅくとした赤い液体を沁みだす肉塊へと変貌を遂げていく。
探索者たちの鼻腔を、鉄さびの臭いが刺激する。この光景を目撃した探索者たちは、0/1d3の正気度ロールを行う。

ガタノソア像を全て破壊した時点で節足の金属筒の耐久値が1以上残っている場合、そのノイズ交じりの音声が別の
音に変わる。探索者全員で<聞き耳>を行い、成功するとそれが虫の羽音に似ていると気が付く。また、その直後、
節足の金属筒が「虫達よ来い、私と貴様らの敵を捕まえろ、貴様らの神への供物にしてしまえ!」と叫ぶ。
さらに、羽音のような音を耳にする。それは白い鉄格子のある通路から聞こえてくる。
<アイデア>に成功すると、それが、通路にあった穴から聞こえてくるのではないかと思い至る。
その場からすぐに立ち去らない場合、3+1d3匹のミ=ゴと遭遇することとなる。
節足の金属筒の耐久値を0にしている場合はこの音は起らないが、部屋を出て、通路の奥の穴に対して<聞き耳>
ロールを行うと、先ほどまでは聞こえなかった虫の翅音のような音が穴の奥から聞こえてくる。

18.脱出

探索者たちが翅音から逃げ、中央坑道側の白い鉄格子を潜ろうとすると、不意に全てのランタンの灯りが消え、
周囲が闇に閉ざされる。翅音は後方から追いかけてくる。
探索者たちが白い鉄格子を潜り抜けた時、KPは1名をダイスで選ぶ。選ばれた探索者は、暗がりから不意に腕を
掴まれ、同時に声を掛けられる。
声は、「あなたたちが、あの像を壊したのね」と問いかける。
探索者が声の主に携帯電話などで光を当てると、そこには黄色い鉄格子の奥にあった石像と同じ姿の生物がいる。
直後、白い鉄格子の通路の奥から虫の羽音が聞こえてくる。奇妙な生物は、「虫達に追われているのなら、助けて
あげる」と言い、掴んだ手を引いて、青い鉄格子の方向へ進もうとする。
掴まれた手を振りほどこうとするとは手を放してくれるが、青い鉄格子の奥へ逃げるようにと促す。
奇妙な生物に対し、「何者か」と問うと、少しの沈黙の後、「名無しのナナコ」と答える。
ナナコが青い鉄格子の奥へ避難を呼びかけると同時に、虫の羽音が大きくなる。

ここでKPは探索者に対して、どのような行動をとるのかを問い、PLに一つだけ行動を宣言させる。
ナナコの指示に従い、青い鉄格子の向こうへ避難すると、ナナコも内側に入り、格子戸を閉じる。それと同時に
虫の翅音が白い鉄格子を潜った気配を感じる。翅音は、昆虫のものとは思えないほど大きい。
避難をしなかった探索者は、闇の中、翅音の主が自分のすぐそばにやってきたことを感じる。探索者が鉄格子の
側に留まっていた場合は、何者かが鉄格子に掴み掛って揺さぶる音を聞く。携帯電話などでナナコを照らすと、
必死に鉄格子を抑えている。鉄格子の向こうにいる翅音の主に光を向けると、そこには螺旋状の頭部を持つ甲殻類
のような生き物を目撃する。この生物はミ=ゴである。目撃者は0/1d6の正気度ロールを行う。
ナナコは、見ない方がいいと警告をする。また、直後に中央坑道の上部より獣のような咆哮が聞こえ、「びたん」
「びたん」と、何かが落ちる音がする。そして、翅音の主と何者かが争う気配が起こる。光源を向けると、人間に
似たナナコのような、しかしナナコよりさらに醜悪な姿の獣たち(食屍鬼)がいる。獣たちを見た探索者は0/1d6
の正気度ロールを行う。獣は次々と坑道に降ってくる。一部は探索者たちのいる檻に掴み掛るが、ナナコが唸ると
鉄格子から離れ、翅音の主に挑みかかる。
二つの異形達はそのまま争い始める。甲殻類は鋏で獣の肉を抉り、あるいは電気銃で異形の獣を焦がす。
しかし、獣たちは数の暴力で、徐々にミ=ゴを屠っていく。
目を逸らさず、灯りをともして二つの異形の争いを見続けていた探索者は、1/1d4の正気度ロールを行うとともに、
クトゥルフ神話技能を1%取得する。

やがて、獣たちがミ=ゴを蹂躙し、白い鉄格子の奥へとなだれ込む。
節足の金属筒の耐久値が1ポイント以上残っていた場合、節足の金属筒の悲鳴が奥から聞こえる。坑道が静かに
なった後、ナナコは灯りを消してついてくるように言う。指示に従うと、手を引いて出口まで案内してくれる。
また、出口に出るまでの間、KPはダイスで探索者1人を選ぶ。選ばれた探索者は、暗闇の中、不意に強い力で肩を
掴まれる。振り返り、ライトを向けた場合、口の周りの血に染めた獣を目撃する。食屍鬼を目撃してもしていなく
ても、それに気が付いたナナコが威嚇すると、食屍鬼は手を離す。
また、金属筒の耐久値が0になっていた場合、食屍鬼とミ=ゴが現れるタイミングが逆になる。

KPメモ

なお、黄色い鉄格子の奥の獣人像を破壊していた場合、ナナコは現れず、坑道内の電気は消えない。
探索者たちは黒い鉄格子付近に移動すると、風の音を聞くことができるが、そのまま黒い鉄格子の奥へ向かうと、
通路の奥の壁を動かし、外から入ってきたミ=ゴ2匹と遭遇する。また、長く坑道内に留まっている場合は、ミ=ゴ
や獣たちがやってくる。獣たちナナコがいないため、探索者も攻撃対象とみなす。
その場合、探索者は代表で幸運ロールを行い、成功すれば甲殻類と獣が争いを始めるため戦闘を避けられるが、
失敗すると1d3匹の獣たちに襲われる。

19.出口

ナナコに連れられて黒い鉄格子を潜り通路を進むと、通路の奥を塞いでいた岩壁が無くなっており、外の景色が
見える。探索者たちは、数時間ぶりに新鮮な空気を吸い、自分たちが生還したことを実感する。ナナコがいない
場合は、ミ=ゴ2匹との戦闘に勝利すると、通路を通って脱出ができる。
ナナコがいた場合、探索者たちが外へ出ようとすると、「礼をしたい」と、自分の嵌めた指輪を手渡してくる。
ナナコは、それは人間の女の死体からはぎ取ったものだが自分には不要なものだから渡したい、不要なら警察に
渡せば持ち主の家族に渡るだろう、と話す。
指輪を受け取ると、内側に「NANAMI」と彫られていることが判る。また、ナナコら獣の臭いが染みついており、
顔を近づけると黴と腐肉の臭いがする。
この申し出を受けて指輪を預かった場合、街に戻った後で指輪をどうするか探索者に決めさせる。
探索者たちが外に出ると、ナナコが穴の奥へと戻っていく。

20.エンディング

外は既に日が暮れかかっている。探索者たちは山を下り、吉岡の運転する車で街へと戻った。
翌朝、テレビのニュースで、地滑りが起ったことを知る。地滑りは人通りの少ない登山道で起こったため、怪我人
はいないが、山道の復旧までは時間がかかるという。
ヘリコプターから映し出される映像は、あの山の、探索者たちが廃坑に迷い込んだ一帯だった。
あの光景は、果たして現実のものだったのだろうか。確かめる術は、探索者たちが手にした、あの生き物の指輪
しかない。

探索者たちが指輪を警察に届けた場合、後日、それは2年前に失踪した中村菜々美という人物の持ち物であること
が判る。指輪は彼女の恋人に届けられ、彼が探索者たちの元を訪れ、探索者たちに礼を言う。
彼は、中村菜々美の写真を見せてくれるが、そこに映っているのはふくよかな体形の可愛らしい女性で、探索者が
知る人物とは似ていない。
ナナコと名乗った生き物と中村菜々美が同一人物かどうかは、探索者の想像に任される。

指輪を自分の持ち物とした場合、その探索者はアーティファクト「腐臭の指輪」を入手する。

アーティファクト


また、廃坑で見つけた青い像を破壊していない場合、地滑りからひと月後、復旧した山道で、奇妙な青白い像が
土の中から発見される。
それを発見するのは、登山者かもしれないし、廃村へ入り込んだ浮浪者かもしれない。もしかしたら中村菜々美の
恋人かもしれない。
その人物は、像を見て何も感じないかもしれないし、あるいは、何か恐ろしいものの姿を想像してしまうかもしれ
ないが、それは探索者たちのあずかり知るところではないだろう。
報酬
クリア報酬:1d6のSAN値回復
菜々美の指輪を恋人に返す:1d3の正気度回復
青白い像を破壊する:1d3の正気度回復

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。
このシナリオは、像を破壊するという特殊な戦闘処理が発生します。
探索者4人中、戦闘技能を持ったものが1人いればクリアできる難易度を想定していますが、戦闘技能を
持った探索者が多い場合は、邪神像の耐久値を上げる等で難易度を調整してかまいません。
また、シナリオでは杖で使用できる武器を配置してありますが、石やナイフなど探索者が扱える武器に
変更してもかまいません。

シナリオの使用を使用していただくのは自由です。
また、この他、必要であればシナリオ改変もかまいません。
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その際、このwikiから来たことと、wikiでの名前の明記をお願いします。

skypeID:diskdisk61

このページへのコメント

お礼が遅くなってしまいましたが、2/11にオンセで利用させていただきました。
うまくシナリオ通り回せませんでしたが、とても面白かったです。
ありがとうございました。
どどんとふ動画ですが、配信に利用させてもらいましたのでご報告を。

動画名:あんたまTRPG部:クトゥルフ「廃坑の石」(2018/02/11)

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Posted by にににry 2018年02月22日(木) 20:39:12 返信

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