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テクスト冒頭部分

いい年をして恥ずかしい話だが、俺には長年思い続けている女がいた。その女は俺が思いを打ち明けられないうちに、他人の女になり、他人の妻になった。俺は、そんな女をいつまでも思い続けていた、とんだ純情物語だ。その女、中澤麻里子に出会ったのは入社式だった。もう8年も前になるだろうか。初めて中澤を目にした時、清楚な美しさが神々しくさえ感じて、思わず見惚れてしまった。すれ違う度に、長い黒髪から漂うシャンプーの香りにドキドキさせられた。気が付いた時には、惚れていた。中澤以外の世界中の女が全て陳腐に思えるほど惚れていた。社内外を通じて中澤の人気は凄まじかった。上司にも人気があったので、出世も早かった。2年目にして、会社から表彰され金一封を貰っていた。8年目の現在は、同期の俺はまだ主任なのに、中澤は既に課長補佐だった。「美人ってだけで出世しやがって」と、同期の間で影口を言う者もいた。俺も酒が入るとよく同調していたものだ。そんな嫉妬や羨望を受けながらも、毅然と、そして颯爽と仕事をしていた中澤だったが、先日から、妙な噂を耳にするようになっていた。その噂というは3つ下の後輩で、うちの部署のお荷物とまで言われている田中悟史と不倫をしているというものだった。中澤は、結婚後、社内の飲み会にも全く参加しない程の真面目さだったので、信用する者は少なかった。しかし、決定的な写真を田中から見せられたと言う奴まで現れ出して、噂の信憑性も徐々に高まり始めていた。ただ、田中は素行があまり良くなく、品もなく教養もなければ仕事もできない。取引先のドラ息子でコネ入社だったので、よりによって田中は、ないだろ・・というのが皆の感想だった。ところが、昨日、決定的なことが起こった。いや起こってしまった。仕事を終えて、TUTAYAをぶらぶらしていると、田中から携帯にメールが着信した。『良かったら、今から俺のマンションに来ませんか?どうせ暇なんでしょ?』俺はカチンときた『忙しいよ、ばーか。』と返した。『そうですか。残念ですね〜。自宅でAV見るよりも、良いものが見れるのにな〜』俺は『は?』と返信した。『マーケの中澤麻里子って○○さんの同期っすよね?』俺は中澤の名前を出されて、噂のことなども気になって、速攻で行くことにした。田中のマンションに行くと、俺と同じように本社にいる同期や、マーケティング部の者など6人ほどが来ていた。そして、
 

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