帰京した松岡と再会
帝都大病院の資料室
松岡と梅子
列車の中で悩んでたことがあって、、
なんですか?
ドーナツです!
ドーナツ?
ええ、ドーナツの穴はドーナツの一部と言えるのかどうか。どう思いますか?
ドーナツの穴は穴でしょ?どうして一部なんですか?
だって、ドーナツは真ん中に穴があいていることによってドーナツと特定できるんですよ。
穴がなければただ小麦粉を揚げたもので、ドーナツとは言えない。だとすれば、ドーナツをドーナツたらしめている
この穴はやはりドーナツの一部と言えるのではないか。まぁ、これはちくわにも言えることで・・・
ありがとう・・・帰ってきてくれて、ありがとう
はい
下村家の食卓
ちくわ、れんこん、いかの煮物など穴のあいたものばかり並ぶ
家族勢揃い
母 最近はどんな研究をなさっているんですか?
松 最近ですか。ドーナツの穴についてですね
祖母 ドーナツ
梅子 まだドーナツにこだわっているの?
松岡 まだとは失礼だな。あれから問題はさらに発展しているんだ。
発展って?
今考えているのは、ドーナツの穴をどうやって食べるかということなんだ。
なーに言ってるの?穴を食べられるわけがないでしょう?
じゃあ、逆にドーナツの穴だけを残して食べることができますか?
同じ事です。ドーナツの穴はただの穴。揚げるときに熱が通りやすいように出来ているんです。
それと今の命題とは関係がない。存在と意味についての哲学的考察なんだ。
松岡さんたら、いっつもこんなことばかり言ってるのよ〜
父 いや、なかなか面白い考察だ
松岡 ありがとうございます
ドーナツの差し入れ
ダブルデートで松岡と梅子がケンカ。食堂でぶつかり、梅子が「ごめんなさい」と言う。松岡は「梅子様」の書き置きとドーナツを差し入れする。ドーナツの穴に指を入れる梅子。
坂田医院の訪問
父が坂田医院を訪問。梅子は知らずにドーナツを食べながら論文を書く。