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震災神戸の片隅で by じましろう
震災神戸の片隅で by ブタゴリラ
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恐怖の想い出


年長のN君は中学2年生。僕とM君は小学5年生である。
ある夏の暑い日、3人で石楠花谷へ虫取りに出かけた
時のことである。
夢中になって虫を追いかけている僕達の背後から
突然大きな声がした。
「おい お前らどこのもんや」
振り返るとどでかい岩の上に中学生らしき2人の少年
が立っていた。
おおきなずうたいである。
おまけに岩の下は深さ2メートルはあろうかと思われる
滝壷である。
「おい!持ち物を全部だせ」
3人は恐怖におののきお金も獲物もすべて
差し出した。
その時N君はなぜか虫取り網だけは持っていた。
大男はニヤリと笑いながら
「さあて誰からほり込んでやろうかな」の声に僕ら3
人の恐怖は頂点に達し体毛が逆立った。
その時 敵の一瞬の隙を突いてN君の虫取り網が大男の
足をすくった。
虚を突かれた大男は「あー」と叫びながら足を滑らせも
んどりうって滝壷へ転げ落ちた。
「逃げろ!」
3人は後を振り返る余裕もなく走りに走った。

「はあ はあ はあ」
30分ほど走って振り返ってみたが誰も追いかけてくる
様子は無かった。
3人は恐怖から解放され安堵の涙がこぼれ落ちた。
そして石楠花谷の方へ向かって何度も何度も叫んだ。
「バカヤロー」「バカヤロー」
無一文になった僕らは電車に乗る事もできずとぼとぼと
歩き始めた。
夏の太陽は真っ赤に燃えながら西山へと傾いてゆく。
しかし あの時N君の虫取り網がうまく大男を落とせたか
ら良かったものの、もし失敗していたらどういうことに
なっていたのか想像もつかない。
改めて「やっぱり中学生はすごいな」と思った。

家に着くころにはすっかり日も暮れていて3人の家族が
心配して集まっていた。
N君はみんなの家族にお詫びをいい出来事について報告を
した。
僕らは思っても見なかったのだがN君のお父さんは大男が
無事かどうかを確かめるべく警察へ連絡をとっていた。
翌日、警察から連絡があり持ち物を預かっているから確認
にくるようにとのことだった。
あの恐怖の一日は今以って忘れる事は無い。
2007年02月26日(月) 23:24:01 Modified by abc160409




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