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ショットガン誕生の秘密(作成中)

「ショットガン誕生の秘密」     亀崎茂夫

(1)貯金653万円
 愛知県豊田市にあります、大手の某自動車会社は数万人の従業員が働きます、日本を代表します大きな会社です。
 1つの工場だけでも4000人と言うような規模の工場です。
 工場には2本、3本の自動車を生産しますラインが稼働しています。
 この工場には、自他ともに認めます「自動車好き」たちがたくさん働いています。
 愛知県豊田市では「トヨタにあらずんば人にあらず」と言われています。
豊田市ではトヨタの社員が「人」であって、トヨタの社員以外は「人の形をした動物」と言うような扱いです。
 ですから、この会社の正規社員と言いますと、それは絶大な信用があります。
 しかし、この飛ぶ鳥を落とすような勢いがあります会社ですが、コンピューターでもロボットでも、国立大学物理学科卒の研究者でも解決しがたい問題がありました。
 それは、男子社員が異常に多く、必然的に結婚できない可能性が上昇します、トヨタに就職しますと「結婚出来ない」と言うような風評が立つのです。
 見た感じでは結婚したい男子社員が40人に対して女子は1人くらいの割合です。
 そこで結婚適齢期の男子社員が1人でも、2人でも結婚できるように、世話をするのが現場の係長の大事な仕事になるのです。

 そんなある日、元町工場の第2ラインの総括係長の内孝夫の職場に沖縄から、27歳のわりと美人の新城菜々が期間工員として配属されて来ました。
 係長、内孝夫は1週間ほど、この新城菜々をそれとなく見ていましたが、感じは悪くないので、昼の休憩に「ちょっと話があります」と小さい会議室に呼びまして「よかったら、第9班の男子社員の誰かと結婚してくれないですか」と頼みました。それは実に情けない表情です。
 その時に内孝夫係長は男子社員の名前と貯金の金額を、1人、1人です「よくもここまで知ってますね」と言うくらいの説明がありました。「AとBとCとDは預金が3000万円ある、2000万円はE、D、F、G」と言うような説明です。
 その時、最後に「無駄使いが多くて貯金の少ないヤツもいる」との説明の中で「653万しかないのがいるが、小杉昌幸ってヤツだ、困ったもんだ」と言うのです。まるで貯金が少ないから小杉昌幸だけは結婚相手としましては「不適当」と言わんばかりです。
 新城菜々は内孝夫係長の説明を黙って聞いていましたが、貯金の金額で結婚相手を決めるなんて「なんだか変だ」な、と思いながらも、どんな人だか知らない「小杉昌幸」と言う名前が妙に頭に残ったのです。
 その時に、新城菜々は内孝夫係長に「少しの時間、考えさせて下さい」と答えました。
 新城菜々は女で1つで苦労しながら、育ててくれた沖縄の母親に今、出来る親孝行は「結婚」だな、と思うようになった時期ですから、この際、内孝夫係長の提案に応ずることに決めました。
 次の日に新城菜々は内孝夫係長に「先日のお話をありがたいお話としまして、お受けします、お付き合いします相手は、今しばらく考えさせて下さい」と返事しました。
 いつも部下を大きな声で怒鳴り付け、難しい顔しか見た事が無い内孝夫係長ですが、見た事がないくらい、嬉しそうな顔で、「そーか、応じてくれるか、返事を待っている」と言いました。
 それから新城菜々は周辺の男子社員をそれとなく見ましたが、貯金が653万円しかない「困った男」「不適当」の小杉昌幸は、以外に近くで働いていまして、すぐに判りました。
 2日後に新城菜々は内孝夫係長に「小杉昌幸さんとお付き合いしたいと思います」と伝えました。

2015年3月24日朝4時。恵那市山岡町にて。

(2)2万円
 内孝夫係長は新城菜々から「小杉昌幸さんとお付き合いしたいと思います」と聞いて、この種の話は早い方が良いと思い、さらに、ちょうど明日が休みですから、新城菜々に「今日の夜は時間ないですか」と聞きましたところ「予定はない」と聞いて、内孝夫係長は「それでは今日の夜7時に元町のスターバックスに小杉昌幸を行かせますので、くれぐれも、よろしくお願いします」と伝えました。
 その後、近くにいました部下に「小杉昌幸を呼んでくれ、代りに君がラインに入れ!」と言いまして、小杉昌幸を呼びました。
 小杉昌幸が自動車生産ライン脇の内孝夫係長の机に来ますと、これまでの話を手早く話しまして「今日の夜7時に元町のスターバックスに行ってくれ」と言いました。
 が、小杉昌幸は「今日は前々からの予定で古本祐平の誕生日で飲み会があります」と答えましたから、内孝夫係長はびっくりするくらいの大声で「バカヤロー!」と怒りまして、「何を考えているんだ!、古本祐平なんか毎日、会っているのではないか!古本祐平には連絡しておくから、夜7時に元町のスターバックスへ行け、判ったか」と言いまして、「ラインへ戻れ!」と命じました。
 内孝夫係長は古本祐平に「小杉は急な用件で今日の飲み会は出れなくなった」と小さい紙にメモ書きしまして、部下に届けさせました。
 仕事の終りが近くなりますと、内孝夫係長はだんだん心配になりまして、再度、小杉昌幸を呼びまして「君は札幌の生まれで自分では判らないと思うが、言葉がナマッている、それに、もぞもぞ言っていて、何を言っているのか判らない、社内での話だったらそれでも良いが、今日会う人は沖縄生まれだから、口を大きく開けてはっきり物を言え!判ったか」と言いました。
 続いて「少し話を聞いて、嫌でなかったら“結婚を前提として付き合って下さい”と言え!、言えるか」と小杉昌幸に聞きましたところ、小杉昌幸は「あがって言えないかも」と答えましたから内孝夫係長は近くにありました小さなメモ用紙に“結婚を前提に付き会って下さい、小杉昌幸”と書きまして、「様子を見て、これを黙って渡せ」と言いながらメモを渡しました。
 続いて、内孝夫係長は「ところで、カネは持っているか」と聞きましたところ、小杉昌幸は「2000円はあります」と答えましたから、内孝夫係長は財布から折り目の無い1万円札を2枚「これを使え、この話が進んでいる間は返さなくて良い、ダメになったら耳を揃えて返せ、判ったか!」と言いながら2万円を渡しました。
 2万円を渡しながら「貯金が653万円しか無い事は、必ず言え!」と言いました。
 小杉昌幸がラインに戻る時に後ろから「結果を報告しろ!」と命じました。

2015年3月27日午後。豊田元町スターバックスにて。

(3)スターバックスのペーパーナプキン
 夜7時にスターバックス元町店に行きますと先に小杉昌幸が窓側の机を挟んで2人が座ります席に、何も注文しないで待っていました。
新城菜々が椅子に座りますと、「びっくりしませんでしたか」と聞きましたから、小杉昌幸は「何を?」と返事しますから、「何って、いきなり付き合いたい、だなんて」と新城菜々が言いますと、「訳、判りません」と答えましたから、これまでの内孝夫係長の話から順番に話しまして、女手一つで苦労して育ててくれた沖縄の母親に私の出来る親孝行は結婚だと思いまして、小杉さんと“付き合ってみたい”と言いました、などなどの話をしますと、小杉昌幸は内孝夫係長から「必ず言え」と言われて来ました、貯金653万円、の件を思い出しまして、「僕の貯金は653万円です」と言ったところで、新城菜々が不思議に思いまして「何で、みなさん、貯金の金額をそんなにこだわるのですか」と聞きましたら、小杉昌幸は「トヨタの社員で30歳くらいになれば貯金が3000万円はあると思われると、僕は無いから、後で問題になるから、で、しょ、だと思いますよ」と答えました。
そんな話の最中に内孝夫係長から預かって来ました“結婚を前提に付き会って下さい、小杉昌幸”のメモを思い出しまして、黙って、恐る恐るです、新城菜々の前に出しました。
新城菜々は「何?、これ!」と言いながら、眺めまして、すぐに「字が違います」と言いますから、よくよく聞きますと、「会」とありますが字が正確には「合」だと言うのです。
それを聞きました小杉昌幸は正直に、このメモは心配しました内係長が書いて「黙って出せ」と渡してくれたメモだと話しましたところ、新城菜々は「だったら、ここで自分の字で書きなおして下さい」と言いながら、スターバックスの通称「ペーパーナプキン」と呼ばれます、「スターバックスコーヒー」と名前の入りましたペラペラのチリ紙のような茶色のテッシュを机に広げまして「ここに書いて下さい」と言うのです。
小杉昌幸は言われるままに“結婚を前提にお付き合いして下さい、小杉昌幸”と書いて「これでいいですか」と渡しました。
 この豊田市元町のスターバックスは2014年度の最優秀店として東海4県の中で売上、接客、店内デスプレィーなどが認められまして、頂点に立つ店となりました。
 そんなことがありまして、ここのお店の佐藤沙織店長は、こまめに店内の清掃に気を使っていました、これまで新城菜々と小杉昌幸は別々にこのお店に来ていましたお客ですから、顔は知っていました。
そんな折、佐藤沙織店長がいつものように店内の清掃を行っている時に、2人の間に置かれました、ペーパーナプキンに書かれました「結婚」と言う字が目に入りましまので、佐藤沙織店長が「もっと、ちゃんとした紙がありますが」と言いましたが、新城菜々が「これで結構です」と答えました。

その話のあたりから、再び「貯金が3000万円ある人が立派なのか」との話が再開しまして、内孝夫係長が結婚する時に「貯金の金額が少なかったから婚期が遅れた」と固く信じているようだと判りました。
そんな話が続いた頃、小杉昌幸は、内孝夫係長から「2万円を預かって来た」事を言いまして、「せっかくですから、何か食べに行きましょうか」と聞きましたところ、新城菜々は「最近ラーメンを食べてない」と言いますから、車で15分程の丸源ラーメン店に行きました。
ラーメン店へ行きます車の中で、内孝夫係長から預かりました2万円は「条件付き2万円だ」と話しました、2人の関係が継続している間は返さなくて良いが、ダメになったら耳を揃えまして返す必要のある2万円だ、と言う話です。そんな2万円の話を聞きました新城菜々は「いい係長ですね」と言いながら「この種のお金は返す時には、倍返しが決まり」と言いました後に「今日の感じでは、頂きましたって!感じですけど」と言いましから、小杉昌幸は「そーですか」などと、たわいのない話が続きましたところで、2人の車は丸源ラーメン店に着きました。

そんな話が続きました、かなり夜おそくに、豊田市丸山町のトヨタ自動車の女子寮の門の前まで新城菜々を送って行きました。車を降りる時に新城菜々はケータイの番号を紙に書いて渡しました。

 (4)報告
 初めて新城菜々と会いました小杉昌幸は、内孝夫係長が昨夜の成り行きを心配していると思い、朝1番で出勤を待って報告しました。
 内孝夫係長は最近、始まりましたライミ104の新型車のライン生産が順調とは言えず、連日、不具合がラインの最終検査で見つかり、いつもと同じながら、新型の生産開始は徹夜、徹夜の作業が続くのが普通です。
そのラインの10人の係長の中の筆頭係長ですから、いわば、現場司令官とでも言います、トヨタの車が世界中で信頼を勝ち得た立役者であり、現場を知り尽くしました「トヨタの宝」とでも言いましょうか、内孝夫係長とはそんな立場です。
 そんな内孝夫係長ですから、絶大な権限が与えられていますが、巨大な責任が内孝夫係長の肩にのしかかっているのです。
 この元町工場の社員の多くは「自分も早く内孝夫係長のような仕事の出来る社員になりたい」と思っています、そんな係長です。
小杉昌幸からの報告を、積み上がりました書類に目を通しながら、聞いていました。
 小杉昌幸は、たどたどしい話し方で、メモは字が間違っていたので、スターバックスのテッシュに書きなおして、渡したことや、貯金が653万円しかないことも話しました、スターバックスに1時間ほどいて、丸源ラーメン店へ行き、ラーメンを食べた事も報告しました。
 一通りの報告が終わりますと、内孝夫係長は「報告は聞いた。ところで次に会う日は決めて来たのか」と聞きましたが、次に会う日は決めてないので小杉昌幸は「それは話題になりませんでした」と言いましたから、「それを日本語では、バカヤローと言うんだ、話題にならないなら君が話題にするのが当然だろー、ケータイ番号は聞かなかったのか」と聞きますから、「ケータイ番号は知っています」と小杉昌幸が答えますと、「今日中に次に会う日を決めよ、判ったか、お願いまします会って下さい、だ、君が頭を下げてのお願いだ、判ったか」と言いました後に「書きなおして渡したテッシュのメモを見て、何にか言ってなかったのか」と聞きましたが、小杉昌幸はメモの答えは覚えてないので「何も言いませんでした」と苦しい返事をしましたから、内孝夫係長は「そのメモのテッシュは、新城さんはどーしたんだ、持って帰ったのか、スターバックスの黒いチクワのようなゴミ箱に捨てられたのか」と聞きましたが、メモを渡したまでは覚えていますが、そのメモをポケットに入れたのか、ハンドバックに入れたのか、見てなかったので、「たぶん、持って帰ったと思います」と、しどろもどろで答えました。
 内孝夫係長は「第2ラインは新型ライミ104の生産が始まって、みんなが徹夜で作業しているのを、君は知っているだろー、君の希望や想像を長々と聞いている時間はない!、各自が、ひとつひとつ、確実に確認して、次に進まないと、進む話も進まない、ケータイに電話して、次回はいつになったから報告しろ」と言い残しまして、上原大工場長から呼ばれて、小走りで立って行きました。

 小杉昌幸は昨夜、書いてもらったケータイ番号のメモを見ながら、新城菜々に電話しました。このケータイ番号は新城菜々が車から降りるときに書いてくれたから、良かったものの、もし書いてくれなかったら内孝夫係長から「バカヤロー」が1つ増えるところだった、などと思いながら、「次にも会って下さい、迎えの時間を言ってくれましたら、丸山町の女子寮の門の前まで行きます」と言いましたとろ、新城菜々は「昨夜は楽しかったですよ、私、ちょっとしゃべり過ぎました、帰ってから反省しました、次回ですね、土曜の午前はヤボ用がありますから、午後2時に迎えに来てくれますか」と言う返事でしから、小杉昌幸は「それでは、その時間に迎えに行きます」と答えました。

 そんな時に、新城菜々は女子寮の仲の良い、岡本恵、又吉利奈、原田有理、小串優子、北村理恵たちに、内孝夫係長からの提案を受け入れて、小杉昌幸と付き合うことにしたことを「絶対に秘密だ」と言いながら、この話を「どー思うか」を聞きました。
 この種の話は丸山町のトヨタ自動車女子寮としては最大級の大ニュースですから「秘密」も意味をなしません。「ちょっと聞いた?、菜々ちゃんは小杉昌幸さんとハイペースで進んでいるらしいよ」「自分から付き合って下さいって言ったらしいよ、勇気あるよね」と言うような話です。

2015年3月26日名古屋金山ホステル・アンにて。
2015年03月30日(月) 20:07:37 Modified by toronto




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