1-810 軽く保守ネタ「むね」

白濁したそれを、春がゆっくりと飲み込んでいく。頬がリスのように膨らんでいるのは量が多すぎるためだ。
しかし好きでもないのによく飲むな、とベッドに腰掛けながら思考する。独特な匂いやらなんやらでお世辞にも旨いとは言えない代物だ。好き嫌いがはっきりしてるし。
どうして飲むか聞いてみたら、
「あなたのため」
と言われた。
いや俺としちゃあどちらでも構わないのだが、春にとっては重要なことなのだろう。






胸が大きいということは。


春が唯一感じているコンプレックス。それは胸の無さである。
胸の小ささ、ではなく、胸の無さ、である。言い方は悪いが。
どのくらいかというと、下着がなくても問題はないのではないか、というくらい。まるっきり発展が見られないのだ。サイズを聞いてみたらいきなり泣き出して、宥めるのに一晩かかったたこともある。
そんなわけで、春は一日一杯ジョッキで牛乳一気飲み。だがその努力も空しく、身長すら伸びない有り様。


てなわけで。
胸を大きくするための最も手軽で最も手っとり早い手段は、他にはあと一つしかないわけで。
「今日も、お願い」
すとん、と俺の膝の間に座る春。パジャマ越しに互いの体温が伝わる。

とまあこんな感じで俺が胸を大きくするための、マッサージ、をするのだが。これもまだ効果が見られない。
なぜかというと………



「ふぁ……っあ!……やぁ……ああぁっ!!」
敏感なのだ。尋常ではなく。
未発達な胸は揉むというより撫でることしかできないが、それでも春は身をよじらせ、喘ぎ、時には叫び声を上げる。
「だ…め……は…っぁ……だめ…!」
開始一分を待たずに全身の力は抜けて、腕はだらんと垂れ下がる。後ろから支えなければ座ることもできないだろう。
さらに服に腕を滑り込ませ、直に触れる。
「ーーーーーっ!?」
同時に、春の体が痙攣のように震えた。達したのだろう。
だが、止めない。燃えるように熱い肌を両腕で容赦なく愛撫する。
「あ……ぅぁ……」
失神寸前の状態で襲い来る快楽を必死に受け止める春。その小さな体では、もう長くは耐えられないだろうが。
これでトドメと言わんばかりに、胸の中で最も敏感な部分を弾く。
「んぁ……ふああぁぁぁーー!!」
今日一番の喘ぎ。体をびくびく震わせた後、春は俺に寄りかかってきた。



そして、そのまま寝息をたて始めてしまった。

「……はぁ」
抱きかかえたままため息を一つ。吐きたくて吐いた訳じゃないけど。
春の胸に進歩がない最たる理由は、恐らくこれだろう。敏感すぎてすぐ失神しちまうこと。
意識がないやつにするほど俺は鬼畜ではない。なのでマッサージは毎回数分かからず終了し、春は失神状態に、俺は全力で欲求不満状態になる。
ああ神よ。あなたはどうしてこのような残(以下略
「…寝るか」
ごちゃごちゃ考えてもしかたない。この不満が爆発しないうちに寝ちまおう。
「よっ」
これまた抱きかかえたまま体を横に倒し、毛布を被る。さっきまで気づかなかったが、俺の腕は春によって胸の前でがっちりと固定されていた。よってこのまま寝るしかないのだ。
ちょっと赤面物だが、まあこんくらいはいいだろう。
明日は朝からバイト。今はもう日にちが変わった頃合だからそろそろ寝ないとキツイか。
「やれやれ。おやすみ、春」
そう言ってから、ささっと夢の世界にダイブした。





「……おやすみなさい」










翌朝、なぜか全裸でなぜか顔を真っ赤にした春から
「………けだもの……テクニシャン」
と言われたが、なんのことだ?


終わる
2008年07月20日(日) 13:15:04 Modified by amae_girl




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