5-382 無題

「ねぇ、とおるちゃん起きてよ〜」
ゆさゆさと体を揺すり、徹を起こそうとする。エプロンをしている由香理。
「ん、まだ眠いからやだ。しかも土曜だろ」まだ夢と現実の狭間を漂っている感じの徹。まだまだ起きる気がないようだ。しかし由香理はそんなの無視し、
「起きてよ〜、私寂しくて泣いちゃうよ〜」
目をウルウルと潤いし始めた。今すぐに泣きそうな顔で
「・・・・仕方ないな。」
とうとう諦めたか、布団から出てきた徹。その顔にはいつもの事で諦めた顔。
「とおるちゃんが起きた! わーい! ぎゅってしちゃう!」
由香理はウルウルとした顔はなかったかのようにパアと晴れ、歓喜に満ちキラキラした顔で徹に抱きついた
「はあ。母さん、いつになったらやらなくなるんだ?」
由香理は40代の筈なのにいまだに見た目は20代の母に毎日抱きつかれる徹であった。
2009年06月19日(金) 20:58:31 Modified by amae_girl




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