5-562 A sweet party

こっそり糖化してみる。 
こんにちは。僕の名前はカズヤと言います。
もしあなたが、急に剣と魔法の異世界に呼び出されて、平和の為に戦ってくれと言われたらどうしますか?
ちなみに僕の反応はこうでした。
「うわっ、ベタすぎる!」
つまり僕は勇者様として呼び出されて、平和の為に戦うハメになったのだ。
まあ、戦うと言っても、相手は世界征服を企む魔王じゃなく、各地に出没するモンスター。
僕は各地を転々とし、モンスターを退治して平和を守るって訳。
誰だ、モ○ハンなんて言ってるのは。こっちは命懸けなのに!
ゲームと違って死んだら終わり。しかも僕を呼び出した人間達は自分達でモンスター被害を食い止めようとしない。
つまり、モンスター退治は勇者様(余所者)に全て丸投げしてしまおうという考えらしい。
更に、僕がいた世界に戻る事は…出来ない!
こんなマイナス要素ばかりの事態になっても僕が何とかやっていけるのは…目の前を歩く三人の女の子のお陰かな。
「どうしたの勇者様?もしかして疲れた?」
今僕に話し掛けてきたのがジェラート。モデル並の長身で、自分の背丈と同じくらいの大剣をブン回す力の持ち主だ。
髪型はショートカットでスッキリしているが、どうにもスッキリしてないのが…胸なんだよね。
たわわで脹よか過ぎと言っても過言じゃない。色んな意味で夢や希望とか詰まってそうだ。
ジェラート曰く剣を振る時に邪魔でしょうがないらしい。
「それじゃあこの辺りで休憩にしましょうか」
優しい口調で休憩を提案してくれたのがメープル。
ジェラート程じゃないけど、片手で扱える剣を武器にしてる剣士さん。
肩の辺りまで伸びたサラサラヘアーは清純そのものだ。
そしてメープルの特技が楽器演奏。中でも横笛が得意で、その音色にはいつも心癒される。
剣を持ってなかったら、どこかのお嬢様に間違われるに違いない。
「賛成ー!勇者様の隣り貰いっ!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて、僕の腕を掴み隣りをキープしたツインテールのこの子はショコラ。
とにかく元気いっぱいで周りを明るくしてくれるムードメーカーだ。
元気が溢れる分、身長と胸は控え目だけど。何て事を口にしたら、矢を放たれて酷い目にあいそう。
ショコラは魔法弓という武器の使い手で、矢に魔力を込めて射る事ができる。
幼い外見とは裏腹に弓も魔法も一流だ。


「あ、ショコラちゃんズルい!私も勇者様の隣りがいい!」
空いているもう片方の腕をメープルがホールドした。形のいい麗しい胸が当たって…き、気持ちいい。
「ちょ、ちょっと!それじゃアタシの場所が無いじゃん!」
両腕を先に取られたジェラートが腕の変わりに、後ろから首に腕をまわして抱き付いてきた。
ああ、贅沢な弾力が背中に伝わる…って、ちょっとジェラートさん!力入れ過ぎ!首締まって死ヌ!!
「「「えへへ〜♪」」」
三人はとても幸せそうな表情で僕にくっついて離れない。
そう、この三人はとても甘えんぼさんなのだ。
今みたいに大変な事になる時もあるけど、こんな頼りない僕に甘えてきてくれて正直嬉しい。
「ねえ勇者様、今日アタシ頑張ったから宿に着いたら御褒美くれるよね?」
「わ、私も頑張りました。御褒美にギュッて抱き締めて欲しいです…」
「ショコラはね、頭撫で撫でして欲しいー!」
そんな賑やかな状況は宿屋に着くまで続いた。
自分に割り当てられた部屋に入り三人の御褒美要求から解放された僕はフゥと一息ついた。
しかし落ち着けるのはほんの一時。いつもの流れならもうすぐ…。
コンコン。
ほら来た。ドアをノックする音がしたという事は僕一人の時間はお終い。
彼女達の誰かと甘い時間を過ごす番だ。
「どうぞ、空いてるよ」
部屋に迎え入れる返事をすると、ゆっくりとドアが開けられた。
見慣れた仲間の一人の姿がそこにある。
「いらっしゃい。今日もお疲れ様」
明日のモンスター討伐の段取りを考えなければいけないのだが、今は彼女がどうやって甘えてくるのかが気になった。
そして夜は更けていく。明日も彼女達を甘えさせる事が出来るかな。
不純な理由で呼び出されて命懸けの戦いをしている僕だけど、結構幸せなのかもしれない。
2009年06月19日(金) 21:19:23 Modified by amae_girl




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