6-257 雪女の甘えん坊お姉ちゃん

254 :名無しさん@ピンキー :2009/05/12(火) 15:08:06 ID:RGnkVE9/
ここ数日、あんまり暑いもんだから
雪女の甘えん坊お姉ちゃん
毎年夏以外はくっ付いて甘えると、男が凍えちゃうからって自重してるんだけど
急に暑くなったから男に全力で甘々のエロエロプレイ
という電波を受信してしまった


257 :名無しさん@ピンキー :2009/05/12(火) 19:10:19 ID:/sL7e2VG
>>254
即席で作ってみた。見直しなし・エロなし

 近所の駄菓子屋の軒下に木の椅子がある。
 そこに座って買ったアイスを食べる――子どもの頃から変わらない、贅沢。
 まだ五月も半ばだと言うのに、この暑さだ。つい足を運んでしまった。
「ういぃぃー」
 俺が背負っているのは雪女。熱にやられてくたっている。
 彼女は無駄に大きいウチにある冷蔵庫を、どういう経路か嗅ぎ付けてやって来た妖怪だ。
 それが壊れた為に修理に出すことになった訳だが、まぁ思っていた通りこうなった。
「しっかりしろよ、だらしねぇな」
「だってぇぇ、暑いんよぉぉ」
 こう見えても年上らしく、普段はそれなりに気が強い。

「あら、黛子(たいこ)ちゃんに淳(すなお)くん、いらっしゃい」
 駄菓子屋のおばあちゃんは御年82だが、相変わらず元気だ。
 頻繁に来るので名前を覚えられてしまった。
「こんにちはおばあちゃん。その棒アイスとカップアイスそれぞれ、そこで食べていくね」
「でぇとかい。羨ましいねぇ」
 冷やかしは俺の背中だけで充分。本当に雪女の肌は冷たい。
「ほら、椅子に座って」
 そう言って俺は、黛子を下ろす。
「溶けるぅぅ」
「そうやって横になっちゃったら俺が座れない」
「膝枕ぁぁ」
 仕方ないから膝枕。やっぱり冷たい。

 手渡されたのは、アイスと団扇。
「らぶらぶだねぇ、お二人さん。ごゆっくり」
 代金を渡すと、おばあちゃんはにっこりと笑って引っ込んでいった。
「ほい、起きろ。アイスが来たぞ」
「うい」
 そう言ってむくっと起き上がった。
「棒とカップどっちにする?」
 虚ろな目で俺の両手にあるアイスを見比べる。
「ええとぉぉ……棒――」
「棒ね」
「――いや、カップも捨て難いなぁ」
「カップね」
「でもこの前食べたのはカップだったからぁ――」
 どっちにするんだよ。
「――どっちが多い?」
 子どもかお前は。

 結局カップを手にした黛子。
 蓋をめくると木のスプーンを取り出し、すいっとアイスをすくって、ぱくっと食べる。
「……はうあぁぁー」
 和める光景である。普段はそれなりに絵になる美人なのだが、どうも外見とのギャップが滑稽だ。
「? なぁに、欲しいの?」
 見とれていたらこれだ。子どもじゃないってのに。
「それで少しは生き返ることを願うよ」
 そう言って俺も棒のアイスの袋を開ける。
 懐かしい、昔から食べていたアイスキャンデーだ。
 それではいただき……。
「あむ」
 食われた。
「いきなり横から何すんだ」
「はぁぁ――きーんとしてこっちも美味し」
 図々しい雪女である。
「宣戦布告とみなし、お前のカップいただき」
「あぁー何すんのー?」

 何とか食べきった。元々、俺は甘いものそんなに得意じゃないんだよな。
 かと言ってビビンバなんて食べに行こうやとも言えないし。
「美味しかったぁ」
 で、結局メインで食べたのは黛子。
 彼女はアイスが好きだ。と言うより冷たい物全般。まぁ、当然だが。
「さ、これで少しはしゃきっとするだろ?」
「はーい」
 で、また俺の膝枕な訳ですか。
「幸せだなぁ」
 仰向けになって、俺を見上げる黛子。
「あまり膝ばたつかせるなよ。お前一応ワンピースなんだからな」
 無防備女には一言言ってやらないとはらはらして仕方が無い。
 白いワンピースに負けないほどの、白い肌。深く青みがかった髪は長い。
 微風が通り、揃えた前髪を撫でる。
「涼しいー」

 だが、やっぱり暑い。
 膝の上は黛子のおかげでひんやりだが、顔の辺りはまた熱くなってきた。
「?」
 団扇だった。彼女が扇いでくれている。
「相変わらず暑いねー」
「珍しいな、お前からそうやって何かしてくれるのって」
 皮肉を込めたつもりだったが、返ってきたのは満面の笑み。
「アイスのお礼。おかげで良くなったよ」
 ああ、それは嬉しい。いや、嘘ではなく本当に。
「元気になったなら、俺もここに連れて来た甲斐あったな」
「ふぅぅ――」
「って、もう疲れたのかよ」


 今度は俺が団扇を扇ぐ。
 目をつむり、気持ち良さそうに風を受ける黛子。
 まだ夏はこれからだ。こんな調子で果たして乗り越えられるのか不安。
 だが、今日ここに来て良かった。こうして扇いでやっている時間が、過ぎるのを忘れるくらい。
 いつの間にやら、俺の生活の一部となっていた彼女は、雪女ではあっても――。
 携帯が鳴った。
『冷蔵庫の修理が終わりましたので、届けに伺います』
「分かりました、ありがとうございます」
 さて、ぼちぼち家に帰るか。
「おーい、起きろ。冷蔵庫が戻って来るぞ」
「んー……分かった」
 起き上がる黛子。やや乱れた髪とワンピースを整えると、椅子を立つ。
「やっと安全地帯に戻れる――やったぁー」
 しかしこの性格、地なのか未だに謎だ。まぁ、可愛いから良いとしよう。

「ねぇ、すなおー」
「何?」
「また連れて来てね」
「一人で行っても良いぞ」
「そんなの嬉しくないなー」
「小遣いならやるから」
「むっときた」
「悪かった悪かった。でもなぁお前、俺も俺で暑いのに何で寄り添ってくんだ?」
「雪女は雪であっても女だもの。好きな人の温かさに、決して溶けたりはしない」
「……そっか――って、また力抜けたのかよっ」
「また暑くなったぁぁ、溶けるぅぅ」
「はいはい、また背負えば良いんでしょ背負えば」

機会があれば同じようなのまた作る
2009年10月28日(水) 19:58:15 Modified by amae_girl




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