アマチュア衛星通信初心者のためのWiki - 宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士と交信しよう!
 宇宙空間を飛行しているISSの宇宙飛行士の方々は勤務に忙殺されておりますが、無線が好きな宇宙飛行士が搭乗されている場合、その余暇に、地球上の一般局、すなわち私たちとの交信も行われることがあります。みなさん、少年の頃、一度は宇宙飛行士に憧れましたよね?天上の人、憧れの宇宙飛行士と交信できると、とっても感動しますよ。


交信方法


 ISSの宇宙飛行士の運用するアマチュア局のコールサインは、NA1SS あるいは RS0ISS が使用されます。通信のモードはFMモードです。

 ISSは、自力で高度を変えることができるので、しばしば軌道要素が変更されます。常に最新の軌道要素を使って飛来する時間をCALSAT32などのソフトウェアを使いPCで計算させましょう。

 地球上のわれわれが受信するダウンリンク周波数(ISS側からの送信周波数)は145.80MHz、ドップラ効果は±数KHzですのでほとんど無視できますので、固定していてかまいません。(周波数は時に変更されることがありますのでご注意下さい)
 地球側から送信するアップリンク周波数は、宇宙飛行士の方がクロスバンドレピータモードの場合はアップリンク用の周波数を聴いていることもありますし、日本が属する第三地域のアップリンク周波数144.49MHzを聴いている場合もあります。運用している宇宙飛行士の方の指示に従ってください。特に指示のないCQの場合には、アップリンク周波数144.49MHzで呼んでみましょう。※144.3-144.5MHzは国際宇宙ステーションとの交信に限って広域帯の電話(FM)にも使用することができます。

 ISSがクロスバンドレピータモードになっている場合、地球からのアップリンク周波数をISSの宇宙飛行士が聞いていると、クロスバンドレピータを試みた局をISSからダウンリンク周波数でこちらを直接呼んでくる!という幸運な交信が出来る場合があります。(筆者は2回経験)

 もしISS側から他局に応答があった場合には、アップリンク周波数で送信しないこと。FMなので潰しあいになってしまい、ISSとの効率的な交信ができません。もし他局との交信時間が延びれば、1回の可視時間は短いので、あなたが交信するチャンスは確実に減ってしまうのです。

 【重要!】 アップリンクに437.80MHzを指定された場合は、ドップラ効果のためパスの前半は-10KHz程度、後半は+10KHz程度、送信周波数を替えてください。144/145MHz帯を指定されたときは送信周波数は固定でもいいでしょう。アップリンクに八木アンテナを使用すれば、強力な電波をISSに届けることができるでしょう。追尾可能なローテータがあればそれにこしたことはありませんが、無い場合でも予めISSの移動する方向に据えて「狙い撃ち」をする方法もあります。八木アンテナはその方向に遮蔽物がなければ高く上げる必要はありません。背より低いアンテナだってOKです。

 万が一、437.80MHzや144.49MHz,145.99MHz周辺に不法局(トラッカー)がいて、とても強力(あなたの近所)だった場合、残念ですが諦めましょう。あなたが「宇宙ステーションと交信するからどいてくれ」と言ったとしても、彼らは地球の道理の通用しない「異星人」なので、何のことか絶対理解できないでしょうし、これで因縁でもつけらて、危害でも加えられたりしたら・・・・宇宙ステーションと交信するには、まず地球上の「異星人」と遭遇しないことです。(笑)

ここが狙い目!


 ISS内部では世界時間(UTC;日本標準時マイナス9時間)が採用されているようです。日本での交信は、宇宙飛行士の方が休暇となる日曜日、すなわち日本時間の日曜夜〜月曜深夜が狙い目です。しかし毎週無線に必ず出てくるわけではありませんし、資格は持っていても無線に興味がないクルーの時はほとんど出てきません。仮にクルーが幸いにも無線好きでも、親日家でないとなかなか日本上空で運用してくれません。親日家の宇宙飛行士が搭乗しているか?が実はとても重要なファクターです。

 2004年夏季にNA1SSを運用され、多くのJAと交信して下さった第9次搭乗クルーの宇宙飛行士のMike(KE5AIT)さんは、日本留学経験もある親日家の方で、片言の日本語も交えて交信して下さいました。2005年6月のRS0ISSの運用は、ARRL Field Day開催の米国向け運用のついでに、日本向けにも運用されたものです。2006年の第12次クルーBillさん(KC5ACR)は、非常にアマチュア無線好きで、NA1SSを積極的に運用され、多くの局が交信に成功し、宇宙より計128エンティティと交信。宇宙からの初のDXCCも完成させています。再び第19次クルーとしてISSに搭乗したMike(KE5AIT)さんはVoice運用にも積極的で、2009年1月7日に数局のJAが直接交信に成功しています。(この時のクロスバンドレピータの周波数は以前と異なりアップリンクは145.99MHz+67Hzトーン、ダウンリンクは437.80MHz±でした)

 日本人宇宙飛行士としては、2009年3月から7月末まで第20次クルーとしてISSに滞在した若田光一さんが多くのスクールコンタクトを行い、日本の多くの少年少女と交信しました。その後も何人も日本人宇宙飛行士がISSに滞在しましたが、任務のスクールコンタクトには熱心ですが、アメリカ人宇宙飛行士のように一般局との交信してくれた記録はないようです。せめて日本の局とは交信してよ!って思いますけど・・・自分が宇宙飛行士だったら自由時間はずっと無線するのになぁ(笑)

 今後も日本人宇宙飛行士が、ISSに長期滞在するようになれば、多くの日本向けの交信がなされるのではないかと期待しています。現在、アメリカで訓練中のISS滞在予定の日本人宇宙飛行士の多くが米国のアマチュア無線資格を取得しています。

NA1SSのCQ by KE5AIT (MP3 file; 56Kbytes ; 2004年7月18日; JH0PVF録音 Tnx JH0PVF)

 宇宙飛行士と交信希望の方は、こまめにISSの情報が流されるARRLのサイト(英語ですが)をチェックして情報をキャッチ、ISSが上空に飛来してくる時間に、145.80MHzをじっくり聞いてみましょう。でも宇宙飛行士の声が聞こえず、地球の道理が通用しない「異星人」バカトラッカーの声しか聞こえないと、ムカつくんだな、これが。



↑ NA1SS/RS0ISSの交信証(2004) (Tnx JN1BPM)

参考
NA1SS交信記 (JN1BPM's BLOG)
RS0ISS交信記 (JN1BPM's BLOG)