アマチュア衛星通信初心者のためのWiki - 衛星通信でDX!

どこと交信できるのか?


 AO-51を例に取ると、日本を中心に南は9M2(西マレーシア)、西はVU(インド)の西側、北はEX8(キルギス)、東はKH0(西マリアナ諸島)、KH2(グアム)辺りまでが概ね交信可能範囲に入ります。
この範囲には多くのエンティティ(国と地域)が有りますが、残念な事に衛星通信のアクティビティがあまり高くはありません。FO-29ではKL7(アラスカ)とも交信可能です。

 2011年6月現在で良く聞こえている所は、HS(タイランド)、HL(韓国)、BY(中国)、UA0(極東ロシア)で、特にHS勢がとてもアクティブです。(HSでは、430MHz帯での送信が禁止されているそうなので、430MHzアップリンクの衛星は使用できないそうです。)他には9M2(西マレーシア)、EX8(キルギス)、DU(フィリピン)も聞こえます。BVは、以前のUO-14では何局か運用局がいましたが、最近は運用がありません。またJD1(小笠原)、V7(マーシャル)、T8(パラオ)、KH0(北マリアナ諸島;サイパンなど)、KH2(グアム)、V6(ミクロネシア)などは、DX-peditionの折に、衛星通信にアクティブなクルーがいる場合、衛星の運用が行われることがあります。過去には日本のアクティブなサテライターによるJF6BCC今石氏のJF6BCC/JD1,KH2GRや7L1FPU中田氏によるW1FPU/KH0など、サテライト運用をメインとしたDX-peditionも行われました。


衛星通信目的に小笠原父島から運用されたJF6BCC/JD1のQSLカード(2002)

タイランドからAO-51にアクティブなE20ZFDのQSLカード

西マレーシアからAO-51やFO-29にアクティブな9W2QCのQSLカード

どのパスを狙うか?


 前項にも書いたように、日本から見た場合殆どのエンティティは西側に集中しています。よって当たり前の話ですが、衛星が日本の西側を通るパスが狙い目なのは言うまでもありません。アラスカとの交信では、日本の東側を通るパスのほうが狙い目です。

 まず、自分の設備で「どこからどこまでの範囲の方位」、「何度から何度の範囲の仰角」までがカバー出来るかという事を知るのはとても大切な事です。これが分かっていないと自分には聞こえないパスを一生懸命に聞いたりして無駄な時間を過ごす羽目になります。

 家から交信したい方面に障害物があるという人は移動運用をしてDXを狙ってみてもみてもよいでしょう。高い山に登れば、同緯度(経度)でも、より低い仰角のパスまで狙うことができます。極論ですが、日本国内であれば、スケジュールを組んで、アラスカと交信したければ、北海道の東岸に移動、アジア諸国と交信したければ沖縄西南諸島に移動すればより確実に交信できるでしょう。(でもそこまでする人もいないですよね。)

 西パスでは大陸のFM局からの混信が非常に強力で、FM衛星では、これを上回る強さの信号を衛星に送り込む必要があります。日曜日午後のAO-51西パスは、特に多くのDX局で賑わっています。 

高軌道衛星でのDXing


 低軌道衛星ではアジア周辺の局しか交信できませんが、「高軌道SSB/CW衛星」であればヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、何局とも交信可能です。古くはAO-10,AO-13、近年ではAO-40がありましたが、AO-10は衰弱し、AO-13は大気圏に再突入し消失、AO-40は2004年1月26日未明の電源トラブルで機能停止状態です。AO-40では、日本でも100エンティティ超の交信(確認されているもので101エンティティ)が達成されています。(【参考】Worked Entities via AO-40 from Japan
 現在「AMSAT-Eagle」「P3E」プロジェクトが進行しており、近い将来、また高軌道衛星が楽しめると思います。