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08-12-27
遺産取得課税方式導入は検討が続けられるのか?
 自民党の税制改正大綱によれば、
相続税の税額計算についての現行の方式は、約50年の長きにわたり定着してきた制度であり、その見直しは、課税の公平性や相続のあり方に関する国民の考え方とも関連する重要な問題であり、さらに議論を深める必要があると考える。
というのが、遺産取得課税方式の導入を見送った理由です。

 この大綱の書きぶりから、遺産取得課税方式の話は握りつぶされたのであり、今後検討されることはないだろうという評価をされている方もいるようです。

 現行の方式は水平的公平性に問題があり、事業承継税制の導入によりこの問題は益々クローズアップされることになるような気がします。このことは、08-12-19「相続税増税見送りと遺産取得課税方式導入見送りの関係」でも指摘しました。

 同じ現金1億円を相続しているのに、その他の遺産として自社株式50億円がある家庭とない家庭では、全く相続税負担額が異なるということを不公平と考えない国民はいるのでしょうか。

 遺産取得課税方式の問題点に対する解決策も含め、今後も前向きな検討が続けられることを願います。


08-12-27
自社株式の贈与税納税猶予制度の導入と遺留分の特例
 遺留分の特例を利用するためには、後継者が単独で議決権の過半数を有している必要があるわけですが、後継者の議決権保有割合が低ければ、この要件を満たすために自社株式の生前贈与を行わなければなりません。生前贈与に伴う多額の贈与税を払ってまで、遺留分の特例を利用する人がどれだけいるのかと疑問が持たれていたところでした。

 自社株式の贈与税の納税猶予制度が創設されたことにより、この問題が解決し、遺留分の特例は使いやすくなったと言えると思います(さらなる検討は必要ですが)。

 これまで、遺留分の特例と遺留分放棄の使い勝手を比べてきたわけですが、遺留分放棄の代償措置として行われる非後継者への生前贈与にも当然贈与税がかかるということを考えると、遺留分の特例の代用として遺留分放棄を使うという選択肢は、現時点では消えたように思います。


08-12-22
自社株式の贈与税納税猶予制度の導入と円滑化法の改正(妄想レベル)
 ※08-12-19版を修正しました。

 現在の円滑化法において、相続税の納税猶予制度の適用を受けるには、「経済産業大臣の確認」→「経済産業大臣の認定」という2つの手続を踏む必要があると規定されています。

 ここに贈与税納税猶予制度の導入という話が浮上してきました。贈与税納税猶予制度までも考慮に入れて、納税猶予制度の適用を受けるための手続を自民党税制改正大綱と経済産業省の「平成21年度税制改正について」をもとに整理してみると
‖M神杷疾罵瑛修療用を受けない後継者の相続税納税猶予制度手続は、「確認1」→「認定1」
 
贈与税納税猶予の適用を受けるための手続きは、「認定2」(注1)のみ
 
BM神杷疾罵瑛修療用を受けた後継者の相続税納税猶予制度手続は、「認定2」(注1)→「確認2」
になると思います。

 (注1)財務省税制改正大綱では、後継者としての確認(≒「確認1」?)を受けることも必要と記載されています。最終的にどのような手続となるか...やはり、妄想レベルの域を出ません。

 「認定1」と「認定2」は同じ手続・同じ適用要件なのか?
 「確認1」と「確認2」は同じ手続・同じ適用要件ということはないでしょう。

 そう考えると、少なくとも「確認2」の規定を作る必要があります。もしかしたら、「認定2」の規定も必要かもしれません。

 加えて、税制改正大綱では、納税猶予制度に関し、「租税回避行為への対応」として資産保有型会社の判定方法について注文を付けています。
 〜点撚麋鮃坩戮悗梁弍
 イ 資産保有型会社の判定において、過去5年間に経営承継相続人及びその同族関係者に対して支払われた配当や過大役員給与等に相当する額を特定資産及び総資産の額に加算する。
 資産保有型会社の判定などは、円滑化法に規定されてますから、この点についても改正が必要なのではと思います。


08-12-19
相続税増税見送りと遺産取得課税方式導入見送りの関係
 事業承継税制(自社株式に係る相続税の納税猶予制度)の導入に併せて、遺産取得課税方式が導入される予定でした。しかし、事業承継税制が先に導入されて、遺産取得課税方式の導入は見送られました。

 理由(1)として考えられるのは、「事業承継税制の恩典が非後継者にまで及ぶことは望ましくないので、遺産取得課税方式を導入する。」という議論そのものが勘違いに基づくものだったということです。08-12-08「新事業承継税制は複雑にならないのでは?」で指摘したことと同じです。

 理由(2)としては、選挙対策のため相続税の増税(税率UP)を見送った。相続税の増税(税率UP)をせずに遺産取得課税方式を導入したら、後継者からは事業承継税制により自社株式分の相続税を取ることができず、非後継者からは自社株式を取得しないのだから、当然に自社株式分の相続税を取ることができない。中小企業経営者のメイン資産である自社株式について、ほとんど相続税がとれないから減収になってしまう。だから、遺産取得課税方式の導入を見送ったのではないかと考えられます(憶測に過ぎませんが)。


08-12-18
業績悪化による役員報酬額の減額について
 「役員報酬は、毎月同額でないと損金にならない。期の途中で業績が悪いから黒字確保のために役員報酬を下げるというようなことは認めません。」というのが現在の原則的な扱いです。税理士的には、かなりアバウトな表現で気持ち悪いですが、イメージとしてはこのような表現が分かり易いと思います。

 「以前は、結構自由に役員報酬下げれたけど。」とご指摘いただくことがありますが、税法の改正により融通が利かなくなってます。

 ただし、経営状況の著しい悪化に伴い役員報酬を下げざるを得ない場合には、期中での役員報酬の減額が認められると規定されてます。規定されてるのですが、”下げざるを得ない場合””利益調整に過ぎないと判断されてしまう場合”の線引きが明示されていないため、常識的に「これを業績悪化事由としなければ、規定が存在する意味がない。」と思われる事由についてまで報酬の減額をためらったり、税務署に事前照会を行ったりする事態が生じていました。

 この点につき、国税庁は、17日に役員給与に関するQ&Aを公表することで、”下げざるを得ない場合”を明らかにしました。

 具体的に次のような場合を”下げざるを得ない場合”として例示しています。
 ヽ主が不特定多数の者からなる法人において、株主に対して経営上の責任をとって役員報酬を減額する場合
  ※同族会社では該当しない例示です。
 ⊆敍金返済スケジュールの変更に伴い、取引銀行に対して経営上の責任をとって役員報酬を減額する場合
 取引先等からの信用を維持するために経営改善計画を策定し、その計画に役員報酬の減額が盛り込まれた場合

 具体例から分かるように、
 ”下げざるを得ない場合”= 第三者である利害関係者との関係上、役員報酬を減額せざるを得ない場合
というのがポイントであると説明されています。

 このポイントからすると、一時操業停止等に追い込まれ、従業員給料を減額せざるを得ない状況において、従業員給料の減額に先立って役員報酬を減額するというような場合も”下げざるを得ない場合”に該当するものと思われます。


08-12-08
新事業承継税制は複雑にならないのでは?
 ※08-12-06のコメントは検討はずれなので、削除しました。その修正版です。

 相続税の課税方式の変更見送りが濃厚ということで、現行課税方式の下で新事業承継税制を導入すると計算方式が複雑になるのではという指摘があります。そうですかね?

 自民党の去年の税制改正大綱に事業承継税制の具体的内容として
  (1)事業承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得しその会社を経営していく場合には、その事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続等の結果、その会社の発行済議決権株式の総数等の3分の2に達するまでの部分)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する。

と書いてあります。このため、新事業承継税制は課税価格を調整する制度のように読めてしまいます。しかし、納税猶予額の具体的計算方法の説明では、
 (2)納税猶予の対象となる株式等のみを相続するとした場合の相続税額から、その株式等の金額の20%に相当する金額の株式等のみを相続するとした場合の相続税額を控除した額を猶予税額とする。

として、新事業承継税制を課税価格を調整する制度ではなく、税額を調整する制度としています。課税価格を調整しないのであれば、現行課税方式においても他の相続人に新事業承継税制の恩典が及ぶことはありません。

 したがって、新事業承継税制の計算方式は課税方式に左右されるものではないのではないでしょうか?※課税価格を調整する制度ではありませんが、納税猶予額の計算は現行課税方式に基づいたもののようです(09-01-15追記)。


08-12-03
会計基準の一般公開−期間制限の廃止
 平成21年1月6日より、企業会計基準委員会のHPで公表される会計基準の一般公開について、その期間制限を廃止するとのこと【参考】。過去の会計基準も公開されるそうです。非常にうれしいです。

 会員でない(会費を払っていない)ため、閲覧制限をとやかく言える立場ではないと思いつつも、法律と同じくらい社会のインフラとしての重要性がある会計基準が自由に閲覧できないのは残念だなと思っていました。

 根拠となる会計基準をHPやブログに貼り付けることも問題がなくなるのでしょうね。現在どのような取扱いとなっているのか確認してませんが、閲覧制限がある以上、多くの方は会計基準をHPやブログに貼り付けることはためらわれていたと思います。

 会計士協会のHPで委員会報告の検索ができるように、最新の会計基準に簡単にアクセスできる機能が企業会計基準委員会のHPに用意されたら、もっとうれしいのですが。


08-11-28
政府税調の答申が出ましたが...
 平成21年度の税制改正に関する答申が公表されました。

 この答申、中身がほとんどありません。

 ◆相続税の課税方式(遺産取得課税方式の導入)−「幅広い国民の合意を得ながら議論を進める必要がある」ということで、新聞報道のとおり導入見送りなんでしょうね。
 ◆海外子会社からの配当に係る益金不算入制度−「導入することが適当である」ということで、導入される見込みが高そうです。

 これ以上のことは書いてないです...


  08-11-16
所有権移転外ファイナンス・リース取引−賃貸借処理した場合の消費税の取扱い
 平成20年11月14日付けで日本税理士連合会から会員向け情報として「所有権移転外ファイナンス・リース取引において賃借人が賃貸借処理した場合の消費税の取扱いについて」が公表されました。

 【追記 08-11-21】国税庁HPにて、同趣旨の質疑応答事例が公表されました。
 平成19年度税制改正により、所有権移転外ファイナンス・リース取引(以下、「移転外リース取引」という。)は、平成20年4月1日以後にリース契約を締結したものについて、そのリース取引の目的となる資産の売買(譲渡)があったこととされ、賃借人における消費税の課税仕入れ等の税額の控除の時期は、リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括控除することとされました。
 しかし、「リース取引に関する会計基準」及び「リース取引に関する会計基準の適用指針」において、少額又は短期の移転外リース取引として重要性が乏しい場合には例外的に賃貸借処理が認められ、「中小企業の会計に関する指針」においては、すべての移転外リース取引について賃貸借処理を行うこともできるとされているところです。また、法人税法においては、売買でありながら賃借人が賃貸借処理することをベースとして償却の方法が認められており、事実上、改正前の取扱いが維持されている状況にあります。
 当会では、「平成21年度・税制改正に関する建議書」において、このような経理実務を踏まえ、実務上の混乱を防止する観点から、移転外リース取引につき、賃借人が賃貸借処理をしている場合には、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとすることも認めるよう建議してきたところです。
 今般、国税庁より、「移転外リース取引につき、事業者(賃借人)が賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れ等として消費税の申告をしているときは、これによって差し支えない。」旨の見解が示されました。
 ついては、その取扱い等について、国税庁の指導も得ながら、別紙のとおりQ&Aを作成しましたので、会員先生方におかれましては、今後、申告をされるに際しては、ご留意くださるようお願いいたします。
とのこと。

 「リース契約時に一括仕入税額控除」を原則とするものの、「リース料支払の都度、仕入税額控除」を例外的に認めますよということです。

 なんでこのような納税者不利となる取扱いを日税連がわざわざ建議したのかと疑問に持たれる方もいると思いますが、「経理処理の簡便性への配慮」がその理由です。理由が理由だけに、例外的処理を行う場合には、税理士としては、納税者に対して納税者不利となる旨をきちんと説明し、了解を得る必要がありますね。

 所有権移転外リース取引について「リース契約時に一括仕入税額控除」した上で賃貸借処理しようとすると、実務上は非常にテクニカルな会計処理をしなくてはならないということについては、リース取引(借主側)の『5)所有権移転外リース取引について会計上、賃貸借処理を行った場合』にメモしてありますので、参照ください。

 なお、Q&AのQ5に「リース期間の途中で免税事業者・簡易課税適用者から原則課税適用者に移行した場合、移行した事業年度から分割控除することができる。」という納税者有利の取扱いも示されていますので、注意が必要です。


08-11-11
与党追加経済対策(生活対策)で示された税制改正案
 この「生活対策」は、事実上の21年度税制改正大綱といえるとのこと(T&Amaster no.282)。

 最終ページには、「(注2)税制措置については、21年度税制改正において具体化。」と書かれてます。今年度に実施する給付金は別扱いということでしょうね。

 この案で選挙を戦うつもり(つまり、実現するか否かは選挙の結果次第)なのでしょうか。それとも実現させてから解散するつもりなのでしょうか。今後公表されるであろう民主党の税制改正大綱の内容も気になりますね。

 なお、新事業承継税制や遺産取得課税方式の導入については全く触れられていません。遺産取得課税方式については、導入の可能性が低いと考えている(H21年度改正でということか、この先ずっとということなのかは不明です)同業者も多いようです。

 いろんなことが書かれてますが、税制措置について抜き出すと以下のような感じです。

◆給付金方式による特別減税
(1)生活支援定額給付金(仮称)の実施
 ・単年度の措置
 ・今年度(来年3月末まで)内に実施
 ・1人あたり1万2000円(65歳以上の高齢者と18歳以下の子どものいる世帯には1人あたり8000円を上乗せ)で最終調整
(2)子育て応援特別手当(仮称)の支給
 ・今年度の措置
 ・第2子以降の3〜5歳の子供をもつ家庭が対象
 ・1人あたり年額3万6000円(月額3000円)

 例えば、子供2人(8歳と5歳)の4人家族だと、
  生活支援定額給付金=1万2000円×2人+2万円×2人=6万4000円
  子育て応援特別手当=3万6000円
  合計 10万円

◆証券税制
 ・金融所得課税の一体化を推進
 ・毎年一定額まで(例えば100万円)の上場株式等への投資に対する配当を非課税とする(金融庁H21年度税制改正要望項目のポイント
 ・上場株式等の配当等について、3年間現行税制(税率10%)を延長
  ※配当等の「等」には譲渡所得も入る(T&Amaster no.282)
  ※来年以降、複雑な税制になることが予定されてました(日本証券業協会HP)。

◆中小企業対策税制
 ・軽減税率(800万円以下の所得に対する税率。現行22%)の時限的引下げ
  ※仮に半分の11%に引き下げられると88万円の減税
 ・欠損金の繰戻還付の復活

◆成長力強化税制
(1)省エネ・新エネ設備等の投資促進税制
 ・時限措置として、即時償却制度とする。
(2)海外子会社からの配当に係る益金不算入制度

◆住宅ローン減税(個人所得税)の延長・拡充等
 ・期限延長
 ・最大控除可能額の過去最高水準までの引上げ
 ・省エネ・バリアフリー等の住宅リフォーム減税について投資型減税(投資額を減税対象とするため、自己資金でリフォームする場合も減税される)の導入

◆各種土地税制(不動産取得税、登録免許税等の軽減措置)の延長・拡充等

◆税制抜本改革
 ・2010年代半ばまでに段階的に実行
 ・本年末に所得税・法人税・消費税の改革の方向性を明らかにした「税制抜本改革の全体像」を示す

【アンケート】年末の税制改正大綱に注目してる?


08-10-29
遺留分特例と遺留分放棄の比較(再考)
 ふと、遺留分特例の固定合意について遺留分放棄より有利な点があるのかなと思ったので、再考してみました。

 中小企業のオーナー経営者は、財産を会社に残すか自分のほうに持ってくるかということについて、役員報酬額の決定を通じて、ある程度調整できます。もちろん、業績が良いことが前提となります。

 売却が事実上できないにも係わらず評価額が変動する財産(自社株式など)について固定合意を予め行えば、非後継者に現預金をいくら残せば争いにならないかを経営者自ら計算することが可能です。

 このように、現時点の財産だけでなく、(ある程度)調整可能な将来の財産も考慮できる点で遺留分特例の固定合意が優れているかなと思いました。

 しかし、遺留分放棄だって、現時点の財産では代償措置となるだけの贈与ができないのであれば、将来の贈与を代償措置とすることを約束すれば良いではないかという反論もできそうです。

 調べてみたところ、5年後に金300万円の贈与を被相続人がするという約束の下での被相続人の非嫡出子の放棄の申立てを、贈与の現実の履行が不確実であるとして申立てを却下した事例(神戸家審昭40・10・26家月18巻4号112頁)というのがありました。

 遺留分放棄・遺留分特例のどちらであっても「遺留分権利者の利益を不当に害するものでないこと」という判断基準は同じはずですね。家庭裁判所において、そこにブレが生じないのであれば、「円滑な事業承継」という理由のみで後継者にだけ有利な合意(特に除外合意)を行うのは難しいかもしれないなとも思いました。

 ついでに分かったのが、遺留分放棄は取消し可能と解されているということです(民法に取消の規定はありません)。この点も一方的解除が不可能な遺留分特例の合意のほうが、後継者としては安心かもしれません。
 ※合意当事者の意図と関係なく合意の効力が消滅する場合があることや(円滑化法10条)、非後継者に未成年者が含まれている場合に、その未成年者の代理人が未成年者に不利となる合意を行うことは現実的に可能なのかなどと考えていくと、どちらの手法が後継者にとって良いのかは個別事情で判断するしかないと思います。

 とはいえ、「後継者が議決権の過半数を有していること」という遺留分特例の要件を満たすために行う生前贈与について多額な贈与税がかかるというのであれば、遺留分放棄を検討する必要はありますね。


08-10-24
原材料価格高騰対応等緊急保証制度が始まるそうです
 同業者の方から教えていただいたのですが、平成20年10月31日より「原材料価格高騰対応等緊急保証」が開始されると中小企業庁HPで公表されています。

 以下、HPの抜粋です。
 原油・原材料価格の高騰や仕入価格の高騰の影響を強く受けている545業種の中小企業者(全国の中小・小規模企業者の2/3をカバー)を対象として、民間金融機関からの融資を受ける際には信用保証協会が保証をいたします。
 対象業種の中小企業者は、金融機関から融資を受ける際に一般保証とは別枠で、無担保保証で8,000万円、普通保証で2億円まで信用保証協会の100%保証を受けることができます。
 

08-10-24
移転価格事務運営要領のパブコメ結果が公表されました
 昨日、平成20年6月に公表された移転価格事務運営要領(案)に対する皆さんの意見に対して、国税庁の考え方が公表されました。【別紙1 国税庁の考え方】

 私が興味を持っていたのは、指針2-19(移転価格税制の適用範囲と国外関連者寄付金の適用範囲の境目はどこにあるのか?)でしたので、その部分だけをとりあえず読んでみました。

 皆さんの意見を集約すると「国外関連者寄付金の適用範囲を明示して欲しい。」ということだと思います。勝手に追加させていただくと、「面倒な移転価格税制の土俵にのせることをあえて避けて、安易に国外関連者寄付金で処理しようとする傾向があるので、なんとかして欲しい。」ということだと思います(※)。

 ※移転価格税制が適用された場合には、日本で追徴した分を海外で還付してもらえるように2国間で話し合って下さいと要請できるのに対し、国外関連者寄付金が適用された場合には国内会社1社の問題で事を済まされてしまいます。税金をとる側からすれば、できれば、国外関連者寄付金を適用して済ませたいと思うはずです。一方、税金をとられる側からすれば、国外関連者寄付金が適用されてしまうと、日本と海外で二重に課税されてしまうため大問題です。

 これに対して国税庁は、「法人税法37条に規定されている寄付金に該当しないかぎり、国外関連者寄付金と扱うことはありません。」と回答しています。

 そんなことは、租税特別措置法66条の4第3項を読めば、分かるんですよね。「寄付金に該当するかどうかなんて、個々の取引実態に即して判断する必要があるのだから、適用範囲を明示しろと言われても、簡単なことではないのですよ。」と本当は回答したかったのかも知れません。

 ただ、要望の声が大きいからかどうか分かりませんが、「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」に事例25(国外関連者に対する寄附金)が新設されてます。【別紙2 「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)新旧対照表】P.23〜

 事例25によると、親会社と子会社との間で役務提供取引(技術指導)契約を結んでいるのにもかかわらず、技術指導料を子会社からもらっていなければ、親会社で国外関連者寄付金の適用があります。一方、役務提供取引(技術指導)契約を結んでいない場合には、移転価格税制を適用すべきか国外関連者寄付金を適用すべきかを検討することになります。とのことです。

 役務提供取引(技術指導)契約の有無の確認、役務提供取引(技術指導)契約が締結されていない場合には取引価格が技術指導料を考慮して設定されているかなど、事前対策の指針にはなりますね。

 事例25に絡めて、100%海外子会社と技術指導料というメモを作りました。ご参考に。

 なお、指針2-19については、パブコメ案からの変更は無いようです。ロには『実質的に』という文言が入っていて、ハには『実質的に』という文言が入っていない点が気になっていたのですが、それもそのままでした(たぶん、深い意味はないのでしょう。)。


08-10-18
電子申告をもっと便利なものに(2)
 代表者の変更を届け出ても、申告書に表示される代表者名は自動的に変更してくれないのですね。eLTAX(地方税電子申告システム)では代表者名マスタをサーバーで保持しているらしく、滅多に使わないPCdeskというeLTAX用のソフトを起動して代表者名を書き換えなければなりませんでした。

 市販の電子申告ソフトの仕様の問題でもあるのですが、市販の電子申告ソフトには新代表者名が登録されているのにも係らず、その登録された代表者名は利用されず、eLTAXサーバーのマスタから代表者名を参照しているようで、電子申告データは旧代表者名となっていました。

 たまたま気付いたので良かったのですが、気付かずに送信されている例もあると思います(別に納税額が異なるわけではありませんので、大した問題ではありませんが。)。

 また、気付いたとしても対処できないユーザーが多いのではないかと想像します。こんなことで半日つぶしたら、電子申告したくなくなるでしょうね。
 

08-10-17
新事業承継税制の適用を受けると減資ができない?
 新事業承継税制には、3つの要件があります。〜蠡柿依弖鎰∩蠡蓋5年以内要件A蠡蓋5年以降要件です。,鉢△陵弖錣老弍直儀儕潦蟆祝,傍定されています。の要件は平成21年度改正税法に規定される予定です。

 私のメモ(経営承継円滑化法(事業承継税制関係)?)で「経済産業大臣の確認」と説明しているのは、,陵弖錣粒稜Г魄嫐し、「経済産業大臣の認定」と説明しているのは、△陵弖錣稜定を意味しています。

 △陵弖錣稜定は、会社に一定の事由が生じると取消されてしまうのですが、その取消事由の1つに「会社が減資したこと」があります(円則9⊇充掘法ただし、欠損填補を目的として定時株主総会で決議された減資については取消事由には該当しません。また、△倭蠡蓋5年以内要件ですから、相続後5年以降に減資することができないか否かは平成21年度改正税法が明らかにならないと分かりません。

 「第三者割当増資により後継者グループの議決権割合が50%以下になること」も取消事由ですが、これは後継者として安定的に会社を運営するだけの議決権を確保できなくなったわけですから、取消されることに納得がいきます。

 しかし、なぜ減資を取消事由とするのか分かりません。減資すると分配可能利益が増えますので、会社財産を社外流出させることを防止するためかなとも思いました。しかし、減資を制限したところで役員報酬を増やせば会社財産は簡単に流出してしまいます。

 なお、円滑化法施行規則9条2項17号からは読み取れないのですが、中小企業経営承継円滑化法マニュアルの86ページに「会社法第447条第3項に該当した場合であっても、欠損填補目的の減資でないときは本号に該当します。」と説明されています。この意味は、増資と同時に減資を行った結果、資本金額が減少しない場合でも、減資という行為を行った以上、取消事由に該当するということです。

 会社法では、減資は資本金の額を減少させる行為だけを意味します。この純資産の部の計数の変動に過ぎない行為をなぜ制限するのか。理由が想像できません。

 それはともかく、全部で17の取消事由が規定されています。認定を取り消されれば、猶予されていた相続税を全額払わなければならなくなりますので、新事業承継税制の適用を受けた場合には、少なくともその後5年間は細心の注意を払い、余計なことはしないほうがよさそうです。
  

08-10-15
相続税法の「著しく低い価額」
 所得税法の低額譲渡の規定(所法59‘鵝砲砲ける「著しく低い価額」は、譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額であると基準が明確にされています(所令169)。

 これに対して、相続税法の7条から9条までに出てくる「著しく低い価額」に一定の基準はなく、社会通念や個々の取引の事情、取引当事者間の関係等を総合勘案し、実質的に贈与を受けたと認められるか否かにより判断しなければなりません。

 使い勝手の良い制度が用意されているのにもかかわらず、税務の判断基準が不明確なことにより、あまり利用されていないということは少なからずあると思います。

 例えば、自己株式の取得価格を決める際には、相続税法9条のみなし贈与課税が行われる可能性がないかを判断することになります。

 先々代の知り合いの遺族から「タンスから御社の株式が出てきたのですが」と連絡があり、会社で買取らせてもらうというような場合、数%の株式であれば常識的に考えて配当還元価格で買取れば良いと思います。
 しかし、その反面、配当還元価格で買うことによりオーナーが保有する株式の価値が増加するのであれば、判断基準が不明確である以上、みなし贈与課税が行われる可能性がゼロですとは言い切れません。
 言い切れませんが、支配株主と少数株主では同じ株式でも価値が違うという評価基準を作っておいて、自己株式の取得のように(株主平等でなく)特定株主と発行会社との取引を処理すれば、取引当事者でない株主の株式の価値が増減するのは当たり前の話で、なんでこんなことで「みなし贈与」を心配しなくてはいけないんだと腹立たしくもあります。

 規定を悪用した脱税を防止すること と 正常な取引を阻害しないこと を両立できる一定の基準が必要だと思います。
 

08-10-09
会社法施行前の端株の買取りとみなし配当
 KDDIから「端株の処分に関する税制についてのお知らせ」がリリースされています。同業者の友人からメールで教えてもらって知ったのですが、これを読んでみますと、

●端株買取請求の場合:みなし配当課税されません。
●一括処分の場合:「今般税務当局から、買取代金のお支払の際に「みなし配当」が適用される旨の通知がありました。」

と説明されています。それで、根拠となる条文はどれかなと考えてみました。

●端株買取請求の場合
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
第八十六条 (端株に関する経過措置)
 この法律の施行の際現に存する旧株式会社の端株については、なお従前の例による。
 昔の端株は端株のままなのですね(会社法では、端株制度は単元株式制度に統合され、廃止されています)。そこで、旧商法第220条の6第1項(端株主の端株買取請求権)に基づく手続きが行われたと思われます。
法人税法施行令附則(平成一八年三月三一日政令第一二五号)
第十二条
 5 法人が会社法施行日以後に行う会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第八十七号) 第八十六条第一項(端株に関する経過措置) の規定によりなお従前の例によることとされる端株の同法第六十四条(商法の一部改正) の規定による改正前の商法第二百二十条ノ六第一項(端株主の端株買取請求権) の規定による買取りは、★新令第二十三条第三項第六号★に規定する買取りとみなす。
 古い附則なので、「新令第二十三条第三項第六号」というのは、現在の法人税法施行令第23条第3項第9号(単元未満株式の買取請求)に該当します。みなし配当課税がなされない根拠はこれだと思います。

●一括処分の場合
 たぶん、旧商法第224条の6で準用する旧商法第224条の5第2項に基づく手続きが行われたと思われます。
旧商法
第224条の5(競売に代わる売却、会社による買受け)
 会社は前条第1項の取締役会の決議ありたるときは同項の規定に依る競売に代へて市場価格ある同項の株式は其の価格を以て、市場価格なき同項の株式は裁判所の許可を得て競売以外の方法に依り之を売却することを得
 2 前項の場合に於ては会社は取締役会の決議を以て同項の規定に依り売却する株式を買受くることを得此の場合に於ては第204条の4第4項及第211条の3第2項第3項の規定を準用す

 当該処理については、附則等に取扱いが規定されていなかったことから、税務当局に確認を行い、「みなし配当」が適用されるとの回答を得たものと思われます。
 

08-10-07
議決権の財産的価値
 先月公表された「信託を活用した中小企業の事業承継円滑化に関する研究会における中間整理」P.4の脚注にこう書いてあります。
 遺留分の算定に当たっては、議決権行使の指図権は、独立して取引の対象となる財産ではないため、財産的価値はなく、遺留分算定基礎財産に算入されないと考えられる。

 一方、こちらは税務ですが、平成19年に国税庁から「相続等により取得した種類株式の評価について(照会)」が公表されています。そこでは、拒否権付株式(いわゆる黄金株)について次のように評価するとしています。
4.拒否権付株式(第三類型)の評価の取扱い
 
 拒否権付株式(会社法第108条第1項第8号に掲げる株式)については、拒否権を考慮せずに評価する。

 拒否権という強力な議決権を付与したとしても評価は普通株式と変わらないということですから、議決権に財産的価値はないと言っているようなものです(ゼロ価値を何倍に強化してもゼロ)。また、無議決権株式についても原則は普通株式と同等と評価するとしています。例外として5%分評価を下げることも認められていますが。

 議決権行使の指図権を分離して後継者に与えることができ、且つ、その議決権行使の指図権には財産的価値がないので相続税・贈与税の対象とならないというのであれば(「中間整理」P.13では、「議決権行使の指図権」に関し、相続税法上の評価を検討することが必要だとしています。)、相続問題の半分は片付いてしまうような気がしませんか。

 さて、議決権だけ分離してしまうと、(残りの)受益権の内容は、配当や残余財産の分配請求権ということになります。これを後継者と非後継者で仲良く分ければ良いではないかということが「中間整理」に書いてあります。

 仮に議決権に価値がないとすると、(残りの)受益権の価値=株式価値そのもの となりますよね。その受益権を後継者と非後継者で均等に分けたとすれば、非後継者も相続税を均等に負担することになります。

 配当がもらえるかどうかは後継者の気分次第、後継者が会社をつぶしてしまえば残余財産の分配もない。でも、議決権がないから何もできない。ですから、非後継者は、(残りの)受益権をもらいたいとは言わないのではないでしょうか。

 もし、非後継者が遺留分減殺請求をしてきたら、後継者は(残りの)受益権の一部を非後継者に返還すれば、自分の相続税がそれだけ少なくなります。後継者にとって、かなり都合が良い話で、その意味では、私の勘違いの可能性が高いのですが。

 これで、(残りの)受益権を後継者が取得する場合に新事業承継税制が適用できるというのであれば、鬼に金棒ですね。
 

08-10-06
秀丸で条文を読む
 「秀丸で条文を読む」を読んで、実行されている方はいるでしょうか(いませんかね)。

 <強調表示の定義> と <法令テキストを整形する秀丸マクロ> を一部修正しました。
 租税特別措置法などでは条文読替規定がたくさんありますが、その条文読替規定に掲載されている読替表についても条文として認識してしまうため、条文の階層表示がうまくいかなかったことが修正の理由です。
 
◆強調表示の定義
 (改正前)^第.+$ → (改正後)^第.+_□$ としました。
  ※□ は全角空白、_ は半角空白を意味しています。

 ※強調表示の定義を変更しますと、今までにマクロで整形された法令テキストでは条文の階層表示ができなくなってしまいます。従来のままで十分という方は、強調表示の定義を変更しないでください。

◆法令テキストを整形する秀丸マクロ
 最新版マクロは「秀丸で条文を読む」で提供してます。
 

08-10-02
「代表者」の意味
 興味ない方には、本当にくだらない話かと思うのですが...

 中小企業円滑化法施行規則の「代表者」という用語の使い方は、ちょっとひどいです。「代表者」が先代経営者であるのか、後継者であるのかを文脈で判断しなければなりません。例えば、
第6条(法第12条第1項の経済産業省令で定める事由)
 
 法第12条第1項第1号の経済産業省令で定める事由は、中小企業者の代表者代表者であった者を含む。)の死亡又は退任に起因する経営の承継に伴い生じる事由であって、次に掲げるものとする。
 
 ◆1 当該中小企業者又はその代表者が、当該中小企業者又は当該代表者以外の者が有する当該中小企業者の株式等(株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除く。)又は持分をいう。以下同じ。)又は事業用資産等を取得する必要があること。

この条文、代表者は先代経営者という意味で、代表者は後継者という意味です。何故、用語を使い分けて、分かり易くしなかったのでしょうね。

 この他にも「会社計算規則は日本語で書いてあるとは思えない。」とかいろいろあるのですが、これもいつか書きたいと思います。
 

08-10-01
遺留分の特例が利用されるための条件
 経済産業省の平成21年度税制改正要望事項に次のものがあります。
1.事業承継税制の確実な制度化を図る。
(2)相続時精算課税を利用して株式を生前贈与する場合への相続税の納税猶予制度の適用を始め株式の生前贈与を促進するための税制措置を講ずる。

 「後継者が議決権の過半数を有していること。」が遺留分の特例の適用要件となっていることを考えると、この要件を満たすために行う生前贈与について相続税の納税猶予制度を適用するように税制改正しないと、遺留分の特例を使わずに、従来からの遺留分の生前放棄を使ったほうが良いという判断も出てきそうです。遺留分の生前放棄を大きく上回るメリットが遺留分の特例になければ、どちらが税金的に得かという判断になるからです。

 「遺留分の特例って意味があるのか(08-09-28)」で触れました、遺留分生前放棄に対する遺留分特例の優位性には、やはり疑問が生じます。

 中小企業経営承継円滑化法マニュアルの12ページに「3.遺留分放棄制度による対策の限界」ということで、遺留分特例制度を創設した中小企業庁が遺留分生前放棄に対する遺留分特例の優位性を3点ほど説明していますが、どれも決定的とは言えません。
“鷂綏兌圓亮蠡撹蘆
 遺留分の事前放棄は、遺留分を放棄しようとする者が自ら個別に家庭裁判所に申立てをして、許可を受ける必要があります。非後継者にとっては、何らのメリットもないのに、このような手続をしなければならないというのは、相当な負担となります。
 ⇒弁護士が代理して手続をとることが多く、また、最近では複数の裁判所で、審尋なしに決定が出ているとの意見があります。
家庭裁判所の許否判断のバラツキ
 非後継者が複数いる場合であっても、遺留分の放棄手続は、個別に行われることから、非後継者ごとに遺留分の放棄を許可するか否かに関する家庭裁判所の判断にバラツキが生じることがあり得ます。一人でも遺留分を有する者がいれば、事業承継の円滑化という観点からは対策として不十分とならざるを得ません。
 ⇒同じ弁護士が代理して、同じ裁判所で手続をとることが多いため、前提である合意内容に無理があるような場合でない限り、家庭裁判所の判断にバラツキが生じることはないのではないかとの意見があります。
0篶永算定基礎財産に算入すべき価額の固定化
 自社株式のように、後継者の貢献が価値の変動に影響を及ぼす財産については、一切遺留分を主張することができないことには非後継者の同意を得られないが、一定時点における価額に固定し、その後の価値上昇分に対しては遺留分を主張しないということには同意を得ることができる場合も考えられます。しかしながら、遺留分の事前放棄では、遺産すべてに対する遺留分を放棄するか、遺留分の一部を放棄する場合であっても特定の財産の全部を放棄するしかなく、推定相続人全員の同意があったとしても、予め特定の財産について遺留分算定基礎財産に算入すべき価額を固定することはできません。
 ⇒非後継者の遺留分放棄は、代償措置として非後継者への生前贈与とセットで行われることが一般的だと思います。非後継者に対してどの程度の生前贈与を行うかということについては、合意時点の自社株式の株価がひとつの基準となるでしょうから、実質的には遺留分の特例制度の「固定合意」がなされたことと同じなのではないかという気がします。
 
【アンケート】事業承継のために行う自社株式の生前贈与促進税制は必要?
 

08-09-29
電子申告をもっと便利なものに
 電子申告システムは現時点でもそれなりに便利だと思います。誰にでも使えるシステムというにはほど遠いですが、仕事として申告書を作成している税理士にとっては、「その気になれば使えるシステム」という感じです。

 電子申告について、いくつか不便と思ったことを書き留めておきます。

1)eLTAX(地方税電子申告システム)は添付書類をPDFファイルなどで送信できるのに対し、e-Tax(国税電子申告システム)は添付書類を紙で提出しなければなりません。

2)法人市民税については、多くの市町村が電子申告に対応していないため、紙で提出しなければなりません。

3)都道府県・市町村に提出する届出書は、多くの県・市が電子申告に対応していないため、紙で提出しなければなりません。例えば、神奈川県と横浜市に届出書を提出する必要がある場合、横浜市は電子申告できるのに対して、神奈川県は電子申告できません。

 1・2・3のことから、電子申告できる範囲が複雑なまだら模様となっているため、クライアントごとに電子申告できる資料・PDFで送付できる資料・紙で提出しなければならない資料を管理する一覧表を作らないと必ずミスが生じると思います。

加えて、
4)国税の申告書・届出書は「e-Taxソフト」、地方税の申告書は「PCdesk」、地方税の届出書は「ブラウザ」とソフトを使い分けなくてはいけません。追加でソフトをインストールする必要などなく、「ブラウザ」で1つのサイトにアクセスすれば、国税・地方税の全ての申告書・届出書を提出できるようになったら便利なのですが。

 なお、ICカードで電子署名する方式を改めるとのこと【関連記事】。以前はICカードが認識されないというようなトラブルがあったようですが、少なくとも私はそのような経験はしていません。しかし、カードリーダーをつなげ、ICカードをセットし、さらにパスワードが要求されてというICカード方式よりは、ID・パスワード方式のほうが便利だと思います。


 積極的に改善要望は出したほうが良いのでしょうね。
  e-Tax ご意見ご要望入力画面
  eLTAX サポートデスクへのお問い合わせ
 

08-09-28
遺留分の特例って意味があるのか
 専門家の間では「遺留分の特例って意味があるのか」という疑問がよくあがります。相続人全員の同意がなければ遺留分の特例は利用できないのですが、相続人全員の同意が得られる状況であるなら、従来からある遺留分の生前放棄制度を利用すれば済むのではないかと。
 この疑問に対しては、遺留分の生前放棄は各遺留分放棄者が個別に家庭裁判所に申立てを行い、許可審判を受ける必要があるが、遺留分の特例は後継者単独で手続きを進めることができるという点で優れているという指摘があります。
 遺留分の生前放棄の手続では、各遺留分放棄者が家庭裁判所に出頭し面接を受ける必要があり、また、Aさんは遺留分放棄が認められても、Bさんは認められないということがありうるとのこと。上記指摘が妥当か否かは、この点をきちんと検証する必要がありそうです。

 また、会社の経営に支障が生じないように代表者が生前に対策をとるはずだ。だから、遺留分の特例は意味がないという意見を聞くこともあります。この意見に対しては、個人的には?です。経営承継の問題解決に積極的な代表者って少数派だと思います。経営承継や相続税に関心があるのは、どちらかといえば後継者のほうです。相続税については後継者でもある程度の対策がとれるかと思いますが、経営承継については代表者がその気にならないと非後継者の了解をとることは難しいのではないでしょうか。

 中小企業の経営承継が社会問題として認識され、中小企業の経営承継問題を解決するためだけに特別な制度ができたということ自体が、代表者をその気にさせ、非後継者への説得材料にもなる。これが、遺留分の特例制度創設の意義なのかもしれません。


08-09-28
少しHPの雰囲気を変えてみます。
 巷のブログのような饒舌な感じとは一線を引こうという気持ちがあるのですが、少しは自分の思っていること(そこに何の価値があるか分かりませんが、)も書いていこうと思います。

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