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09-12-29
中小企業投資促進税制と試験研究費税額控除の重複適用

 従前より、重複適用可能だという意見の方が多かったのですが、一抹の不安がありました。
 この点について、中小企業投資促進税制のタックスアンサーに重複適用可能と解説されているのですね。知りませんでした。
この制度による特別償却又は税額控除の規定の適用を受けた場合は、★研究開発税制を除き、★租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却又は他の税額控除の規定との重複適用は認められません。



09-12-29
滞納者を含む遺産分割と第二次納税義務

 相続人Aが税金を滞納していたため、相続人Aには財産を相続させず、相続人Bが相続分を超える財産を相続したというような場合には、相続人Bに第二次納税義務が生じると判示されたとのこと(T&A master No.335)。



09-12-29
平成22年度税制改正大綱メモ(その他)

 ・試験研究費税額控除の上乗せ措置(増加型・高水準型)の延長
 ・中小企業投資促進税制の延長
 ・少額減価償却資産特例の延長

 ・小規模宅地等の課税特例の見直し
 ・定期金に関する権利の評価方法の見直し
  (a)給付事由が発生しているもの(平成22年4月1日以降に契約したもの、又は平成23年4月1日以後の相続)
  (b)給付事由が発生していないもの(平成22年4月1日以後の相続)
 ・相続税の障害者控除の見直し(平成22年4月1日以後の相続)
 ・新事業承継税制−適用対象会社が保有する「適用要件を満たさない会社の株式」の取扱いの明確化
 ・住宅取得資金贈与の非課税限度額の引き上げ
 ・住宅取得資金贈与に係る相続時精算課税の特例
  (a)特別控除の1,000万円上乗せ措置の廃止
  (b)贈与者年齢要件特例(65歳未満でも可)を2年延長

 ・アパート建築費の消費税還付スキームへの対応



09-12-29
平成22年度税制改正大綱メモ(国際課税)

◆タックス・ヘイブン税制(平成22年4月1日以後開始事業年度)
‥用対象の縮小
 ・トリガー税率を25%から20%に引き下げ(これにより中国・韓国・マレーシア・ベトナムが軽課税国扱いされなくなる)
 ・株式保有割合要件を5%から10%に引き上げ

適用除外基準の見直し
 ・主たる事業の判定にあたり、統括会社が保有する被統括会社株式を除く(事業基準)
 ・統括会社・被統括会社間取引は、非関連者取引に該当するものとする(非関連者基準)

E用除外基準を満たす子会社における資産性所得を合算課税
 ※資産性所得の範囲が狭い(上場株式の配当所得・譲渡所得、債券利子所得など)ため、実務への影響は軽微とのこと。

◆移転価格税制
 ・独立事業間価格の算定にあたり、合弁パートナーとの取引価格の交渉過程や外国政府の行政指導なども考慮することを事務運営要領で明確化する。
 ・課税当局から要求される独立事業間価格算定のために必要な資料の具体的範囲を明確化する。



09-12-29
平成22年度税制改正大綱メモ(個人所得課税)

◆所得控除の見直し
”淪楾欺の縮小(平成23年分以後)
  0歳〜15歳 38万円→0円
 16歳〜18歳 63万円→38万円
 19歳〜22歳 63万円のまま変わらず
 ※同居特別障害者加算の廃止(配偶者控除についても同じ)→△

⊂祿下垤欺の改正(平成23年分以後)
 障害者 27万円
 特別障害者 40万円(同居の場合75万円)

生命保険料控除の改正(平成24年1月1日以後に締結した保険契約から)
 一般(最高5万円)+個人年金(最高5万円)→一般(最高4万円)+個人年金(最高4万円)+介護・医療(最高4万円)

◆上場株式の配当所得・譲渡所得の非課税措置(平成24年〜平成26年の3年間)
 非課税口座を開設し、その口座で取得した上場株式(取得価額が年間で100万円未満)の配当所得・譲渡所得を非課税とする。



09-12-28
業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止

 直前まで廃止見送りという情報もあり、どうなるかと思いましたが、廃止されましたね。しかし、平成23年度税制改正で、法人に増税するのに納得がいかないのなら、役員の所得税に増税するからねと財務省の言い分が大綱に明記されてます。小手先の増税を繰り返しても、また批判されますね。どういう改正を考えているのでしょう。

 業務主宰役員給与の損金不算入制度は、平成22年4月1日以後終了事業年度から廃止されるとのことです。



09-12-28
平成22年度税制改正大綱メモ(法人課税)

◆改正税法適用時期
 法人税法関係は、基本的に平成22年10月1日から適用する。

◆自己株式取得
 ・発行会社が公開買付により個人株主から自己株式を取得した際、みなし配当が生じないという特例(措法9の6)については、平成22年末をもって廃止される。
 ・100%グループの株主が、100%子会社に自己株式を譲渡した際の譲渡損益を否認する。
  →自己株式の場合、譲渡損益の繰延べは難しい(どのタイミングで譲渡損益を認識するかという部分の制度設計が難しい)と言われています。
 ・発行法人に自己株式取得させる目的で、株主が発行法人株式を購入してきた場合には、当該自己株式取得によるみなし配当には、受取配当金益金不算入制度(外国子会社配当益金不算入制度を含む)を適用しない。
  →この節税スキーム防止規定は、100%グループ内の取引か否かは関係ないのだと思います。

◆受取配当金の益金不算入制度(平成22年4月1日以後適用)
 ・100%グループの法人株主が、100%子会社(内国法人)から配当を受取った場合には、負債利子控除をせずに全額益金不算入とする。
 ・負債利子控除額の計算に係る簡便法の基準年度を見直す。

◆グループ法人税制(単体制度、連結制度の両方に適用される)
100%グループ内の内国法人間における一定の資産の譲渡損益の繰延
 ・譲渡法人で譲渡損益の課税を繰延べ、譲受法人が当該譲渡に係る資産をグループ外に譲渡した時に、譲渡法人側で譲渡損益を認識する。
 ・一定の資産とは、簿価1,000万円以上の固定資産、土地、有価証券(売買目的有価証券を除く)、金銭債権、繰延資産。
 ・適用対象となる100%グループ間取引
  (a)親会社と100%子会社との取引(子会社と100%孫会社との取引)・・・縦の資本関係
  (b)100%兄弟会社間の取引・・・横の資本関係
    ※支配株主が、個人・外国法人の場合も含むとのこと。

100%グループ内の内国法人間における寄付・受贈益
 ・寄付金は損金不算入、受贈益は益金不算入
 ・適用対象となる100%グループ間取引
  上記(a)のみか?

◆資本金1億円基準の特例措置(平成22年4月1日以後適用)
 資本金が1億円以下であっても、親会社が資本金5億円以上の100%子会社については特例措置は適用されない。

◆組織再編税制
 ・100%グループ内の内国法人間の「現物配当」を組織再編税制に組み込む。
  →適格・非適格の判定。欠損金の使用制限・特定資産譲渡等損失制限の導入がなされるのではないかと言われています。
 ・無対価組織再編の処理の明確化(詳細分からず)
 ・分割型分割については、みなし事業年度を設けないこととする。
  →利益積立金の移転額は、分割法人の期首利益積立金額から計算する?
 ・合併類似適格分割型分割制度の廃止
 ・適格事後設立制度の廃止
 ・適格合併の欠損金利用制限適用除外範囲を拡大する

◆清算所得課税
 ・清算所得課税を廃止し、通常の所得課税とする。
 ・期限切れ欠損金の損金算入制度を整備する。



09-12-02
非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予に関するQ&Aが公表されました

 国税庁HPにQ&Aが掲載されています。枝葉の話が多く、納税猶予制度の全体像をイメージできていない人には、あまり意味のないQAです。

 共著「事業承継の法律実務と税務Q&A」で説明できていない点を確認してみました。

 Q3(同族過半要件及び同族内筆頭株主等要件:会社が組織変更している場合)
→本書P.316の先代経営者の条件一覧表に注意書きしておきたいところです。

 Q4(資産保有型会社の判定:帳簿価額)
→税務上の判定も、「会社の貸借対照表上に計上されている価額による」と解説されています。
 本書P.314の「なお、資産保有会社の判定において、経営承継円滑化法における帳簿価額は一般に公正妥当と認められる会計基準に基づく金額であり、租税特別措置法における帳簿価額は税務上の金額である点に注意が必要です。」という説明と食い違っています。この説明は、経営承継円滑化法の立法担当者の解説を参考にしていますが、国税庁Q&Aが正しいということでしょうか。経済産業省と財務省で意識合わせをしっかりしてから解説を公表するなり、間違ったのであれば、きちんとした形で訂正するなりしていただけると助かるのですが。

 Q5(贈与税の納税猶予の特例の適用を受けない場合の相続時精算課税の適用関係)
→「納税猶予特例を適用しなかった自社株式については、相続時精算課税の規定を適用することができる。」という結論。そのつもりで執筆していますが、明記できてませんので、本書P.302あたりに補足したいところです。

 Q6(相続税の納税猶予の特例における相続(事業承継)の態様)
→(3)のケースは、本書P.320で触れています。(1)(2)のケースは説明できていません。先代経営者が直接保有する会社を複数持っているというケースは、結構あるのかも知れませんね。

 Q7〜Q10(特定同族株式等の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例関係)
→この特例の経過措置については、本書では、P.383でさらっと解説しているだけで、細かい解説はできていません。国税庁のQ&Aでは、11問中4問も使って解説してますが、問い合わせが多かったのでしょうか。

 Q11(特定受贈同族会社株式等である医療法人の出資と相続税の納税猶予の特例の適用関係)
→「医療法人に係る出資に納税猶予特例は適用できない。」この点も、本書では対象外です。



09-11-27
事業承継の法律実務と税務Q&A

 執筆者の1人である長岡税理士が、編集者であるM弁護士のケツをたたいて、ようやく発刊にこぎつけたという幻の1冊です(笑)。果たして、この本が最後の事業承継本となるのでしょうか。
 出版社は青林書院。法務の専門書を多く扱っている出版社ですが、税理士・会計士の方も是非、ご覧になっていただければと思います。
事業承継の問題点を網羅したQ&A102題                       
 
◇“実践”にこだわり一歩踏み込んだ充実の法務解説!
◇「法務」,「税務」の相互参照により盲点を徹底回避!
◇遺留分特例,会社法,相続法を相互横断的にカバー!
◇新事業承継税制で陥りやすい“落とし穴”を注意喚起!
 
第1章 事業承継とは
第2章 経営承継円滑化法による民法の特例
第3章 事業承継のための会社法の基礎知識
第4章 事業承継のための相続法
第5章 新事業承継税制
第6章 相続税・贈与税の基礎知識
第7章 財産評価の基礎知識
第8章 相続税の納税の基礎知識
第9章 先代経営者と後継者と会社の税務の基礎知識
判例索引,事項索引


09-11-27
会社分割と租税債務の引継ぎ可否

 合併の場合、合併法人が被合併法人の納税義務を承継すると規定されています(国通法6)。それに対して、会社分割については、納税義務を承継できるとも、できないとも規定されていません。

 会社分割当事者の自由であり、租税債務の引継ぎに文句があるのであれば、債権者である国が異議を述べれば良いのではないかという考え方もあると思いますが、次のような取扱いになっていると、同業者の方に教えていただきました(感謝)。
5 公法上の債務の承継
 
 公法上の債務の承継の可否は、その債務の性質、公法上の要請その他の事情に照らして個別的に判断すべきであり、また、公法に別途規定がある場合には、その規定に従うべきである。
 
 たとえば、租税債務は、納税者の担税力をみて納税者本人に課されるものであること、租税滞納者に租税債務を他に承継させる自由を認めることは適当でないこと等を理由として、租税債務を自由に承継させることはできないと解される。
 
 また、罰金等の財産刑は、特定の義務者が履行することに特別の意義があるものであるから、その性質に照らし、当事者の意思により他に承継させることができるものと解するのは適当でない。
 
 刑事訴訟法は、確定済みの罰金等が合併により承継される旨の規定を置いているが(同法四九二条)、分割に関しては何らの規定も置かない以上、分割によりこれを承継させ得るとすることはできない。
 
(「平成一二年改正商法の解説」原田晃治 法務大臣官房参事官)



09-11-27
新株発行と同時に行う自己株式の処分

 新株発行と同時に自己株式の処分を行った場合、新株発行に伴う出資額が自己株式処分損の額を超える範囲内でしか、資本金を増加させることができません(計規14)。

 ただし、新株発行議案と自己株式処分議案を分けて、各議案ごとに資本金等増加限度額を計算することを明らかにするのであれば、別々に計算しても登記の申請は受理されるとのことです。議案を分けること自体が要件となっているかどうかは不明ですが、実務上は、議案を分けるのが無難ということでしょうか。


09-10-30
使用人兼務役員の使用人分給料は未払計上できるか

 今まで、勘違いをしてました...クライアントのみなさん、すいません(懺悔)。

 未払計上できないと思い込んでいたのですが、根拠を問われ調べ直して見ると、そんな通達も解説も出てきません。代わりに、『 一般の役員と使用人兼務役員とを区別することの実益は,その者に対して支払われる給与についての損金性の問題です。』(平成19年版「役員と使用人の給与・賞与・退職金の税務」 若林孝三 大蔵財務協会 P.26)を見つけ、そりゃそうだなと。役員報酬部分と使用人給与部分を分けて扱わないのであれば、使用人兼務役員という取扱いを設ける意味がないと。

 思い込みは、恐ろしい...



09-10-28
租税条約の適用関係

 私の備忘メモです。
 アメリカの永住権を取得している山田さんが、オーストラリアに留学しています。山田さんに内国法人から配当をしますが、どの租税条約が適用されるのでしょうか。

 日米租税条約4条2項(c)にて、他の租税条約が適用される方は、日米租税条約の適用対象から除外されてます。
2 1の規定にかかわらず、合衆国の市民又は合衆国の法令に基づいて合衆国における永住を適法に認められた外国人である個人は、次の(a)から(c)までに掲げる要件を満たす場合に限り、合衆国の居住者とされる。
 
 (a) 当該個人が、1の規定により日本国の居住者に該当する者でないこと。
 (b) 当該個人が、合衆国内に実質的に所在し、又は恒久的住居若しくは常用の住居を有すること。
 (c) 当該個人が、日本国と合衆国以外の国との間の二重課税の回避のための条約又は協定の適用上当該合衆国以外の国の居住者とされる者でないこと。

 では、山田さんは、日豪租税条約の適用対象者なのか(オーストラリアの居住者なのか)。日豪租税条約4条1項を見ると、
1 この条約の適用上、「一方の締約国の居住者」とは、次の者をいう。
 
 (b) オーストラリアについては、オーストラリアの租税に関し、オーストラリアの居住者とされる者

ということで、オーストラリア税法にて、どう判断されるかということのようです。
 で、この判断が結構、曖昧なので、オーストラリアの国税局に聞くのが一番良いとのこと(参考HP)。日本も似たようなところはありますね。



09-10-28
中小企業経営承継円滑化法申請マニュアルの改訂

 改訂版が出たようですね。
 目を通していませんが、118ページから185ページにボリュームUPしています。
 贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予に切り替える際の確認手続あたりが増えているのでしょうか。



09-10-21
グループ法人単体課税制度の適用範囲

 資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会(09-08-10)の続きです。

 個人が支配する100%兄弟会社同士で行う取引についても、グループ法人間取引と捉えて、資産の譲渡損益を繰り延べることを検討しているとのことです(T&Amaster No.326)。

 この個人というのは、1人なのでしょうか。それとも「同一の者」なのでしょうか。
→1人でしたら、グループ法人単体課税制度の適用逃れは簡単に出来てしまいますね。譲渡損を計上したい時は、1%の株式を誰かに売って、その後に譲渡益を繰り延べたくなったら、その1%を自己株式として買い戻すとか。アホみたいですね。そんな制度は導入されないほうが良いと思うのですが、法人株主の場合には、この問題は回避しようがないでしょうね(これは設計次第かも)
→「同一の者」でしたら、親の支配する会社から子の支配する会社に無税で事業用資産を移動することができるようになりますね。そしたら、非上場株式の相続の問題は無くなってしまうのではないか?いや、これは、みなし贈与ですよね。譲渡損益の課税を繰り延べているだけで、親の支配する会社から子の支配する会社に経済的価値の移転があることは確かですから。
 


09-10-12
本の紹介

 2冊、紹介します。
◆税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解
 
弁護士関根稔先生・間瀬まゆ子先生の本です。執筆者一覧に名前を載せていただいていますが、ほとんどお役に立てませんでした。民法の各条文から派生する税務へとアプローチしてみるなんてことは、独力でやろうと思ってもできることではないですね。この本にガイドしてもらいながら、じっくりと考えてみたいと思っています。
◆親子兄弟会社の組織再編の実務
 
司法書士金子登志雄先生の本です。原稿の段階で目を通させていただきましたが、組織再編に関わる実務家にはお勧めの本です。実務書の多くは、「一生懸命勉強して、一通り満遍なくルールを整理しました。」という域を出ませんよね。もちろん自分もルールブック以上の本を書けるわけではありませんけど。その点、金子先生の本は、ルールブックを超えていて、読み進めていくと、いままで断片的だった知識がつながっていくような、そんな感じです。無対価組織再編なんて、我々の実務のストライクゾーンど真ん中なのに、無対価組織再編の実務が知りたいという要望に応えてくれる本って知ってますか?この本なら、応えてくれますよ。



09-10-12
欠損填補と損失処理

 商事法務No.1862「定時株主総会における欠損填補と損失処理の違いと利益準備金処理」
 身に付かないので、メモしました。メモしてみると、大した話ではないですね...

◆欠損填補
 (定義)分配可能額のマイナスを解消すること。
 (手段)資本金・準備金を減少して、剰余金を増やす。
     ※欠損填補の範囲内での減資⇒債権者保護手続は必要/定時総会で決議する場合には、普通決議で足りる。
     ※欠損填補の範囲内での減準備金⇒定時総会で決議する場合には、債権者保護手続は不要/普通決議
◆損失処理
 (定義)繰越利益剰余金のマイナスを解消すること。
 (手段)〕益準備金を減少して、繰越利益剰余金を増やす。
      ※利益準備金の減少は、分配可能額・その他利益剰余金の両方を増加させる効果がある。
     任意積立金などを繰越利益剰余金に振替える。
     その他資本剰余金を繰越利益剰余金に振替える。
      ※利益剰余金のマイナス額を解消する範囲内でのみ振替えることができる(資本と利益の混同の観点)。
       (例)利益準備金10、繰越利益剰余金▲50であれば、その他資本剰余金の振替可能額は40となる。



09-10-05
軽油引取税について(備忘メモ)

 軽油引取税の免税を受けるためには、免税を申請する都道府県に本店を置く軽油販売会社から軽油を購入しないといけないそうです。販売会社側からすれば、免税制度のためだけに、都道府県別に法人を作る必要があったということです。

 以下、私の備忘メモですが...
 ・平成21年4月1日より、軽油引取税は一般財源化されたため、免税制度は廃止された。
 ・ただし、経過措置により、免税制度は平成24年3月31日まで存続する。

 ・一般財源化の話とは別に、暫定税率の廃止という問題がある。民主党は、暫定税率を廃止して、ガソリン税と軽油引取税を「地球温暖化対策税(仮称)」として一本化する方針とのこと。



09-08-10
資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会

 財務省で、100%子会社の税制について検討しているようです。実現可能性については、よく分かりませんが、論点とりまとめの内容をメモします。

・あくまで単体課税制度の枠内での改正の話であり、所得通算は行わない。
・100%子会社に強制適用(連結納税のような選択制ではない)。

◆100%子会社についての規制
 資本金を基準とした税制の取扱いについて、100%子会社の資本金だけでなく、親会社の資本金も判断基準とする。

◆グループ内取引についての規制
・グループ内取引の定義が明確ではありません。
 →親会社⇔100%子会社、100%子会社⇔100%孫会社、(同じ支配法人を持つ)100%子会社⇔100%子会社、(同じ支配個人グループを持つ)100%子会社⇔100%子会社なんてのが想定されますが、単体課税のそれぞれの制度の中に織り込んでいく話と思われるので、個別制度ごとにグループの範囲は異なるのでしょうね。

・グループ法人間の譲渡損益を繰り延べる。
・グループ法人間の非適格合併の譲渡損益を繰り延べる。
・グループ法人間の現物配当や残余財産(現物)の分配時に認識する譲渡損益も繰り延べる。同時に100%子会社の解散に伴う清算所得課税を廃止し、通常の所得課税とする。
・グループ法人間の自己株式取得の譲渡損益を繰り延べる。さらに、将来、自己株式取得取引を行うことにより、譲渡損を計上することを目論んで購入されたグループ法人株式については、自己株式取得取引にて生じるみなし配当に対して益金不算入制度の適用を認めない。
 →これらは、租税回避防止策として財務省側が改正したいということなのでしょうね。
 →「将来の節税を目論んだ株式購入取引」かどうかの判定基準が問題になりそうです。

・グループ法人間取引における寄付金・受贈益を損金・益金不算入とする。
・100%子会社からの受取配当金に係る益金不算入額の算定にあたり、負債利子控除を不要とする。
 →これらは、歓迎すべき改正案のように思います。

◆組織再編
・無対価組織再編について処理方法を明確化する。
・適格事後設立を廃止する。
・合併類似適格分割型分割を廃止する。



09-08-10
納税猶予制度の担保提供に関するQ&Aが公表されました

 担保提供に関するQ&Aは、国税庁のHPで確認することができます。

 適用対象株式の全てを担保に提供している場合には、取消事由に該当したとしても、その適用対象株式をどなたか(次の後継者や発行会社などが想定されます)が買受けることにより、納税猶予額と利子税の全額について納付を免れることができるのではないかという指摘がありました。

 その論拠は、租税特別措置法70条の7第14項7号により読み替えた、国税通則法52条4項の文言です。
国通法五十二条 (担保の処分)
 
 4  第一項の場合において、担保として提供された金銭又は担保として提供された財産の処分の代金を同項の国税及び処分費に充ててなお不足があると認めるとき(租税特別措置法第七十条の七第一項(非上場株式等についての贈与税の納税猶予)の規定による納税の猶予の担保として同項に規定する特例受贈非上場株式等に係る同項の認定贈与承継会社の株式又は出資が提供された場合には、当該株式又は出資を換価に付してもなお買受人がないとき)は、税務署長等は、当該担保を提供した者の他の財産について滞納処分を執行し、また、保証人がその納付すべき金額を完納せず、かつ、当該担保を提供した者に対して滞納処分を執行してもなお不足があると認めるときは、保証人に対して滞納処分を執行する。
 確かに、適用対象株式の買受人がいるならば、税務署長等は、滞納処分を執行できないと読めなくもありません。

 しかし、この点については、担保提供に関するQ&Aの問12で、完全に否定されています。



09-07-02
納税猶予通達が公表されました

 納税猶予通達は、国税庁のHPで確認することができます。

 贈与税の納税猶予制度(措法70条の7)関係の通達だけ、とりあえず目を通してみました。
措通70の7−9(持分会社の持分が担保提供された場合)
 
 措置法第70条の7第7項本文により認定贈与承継会社(持分会社に限る。)の持分を担保として提供を受け質権を設定した場合には、納税猶予期間中においては、当該持分から生じる配当その他の利益処分については、税務署長はその支払い又は引渡し等を受けないことに留意する。
 持分会社だけ特別扱いする理由はどこにあるのでしょうね(調査中です)。→持分を担保に提供しても、持分会社には登録株式質権者(会457 砲里茲Δ聞佑方はなく、もともとの社員に配当が行われる。その注意書きとしてこの通達があるのだと教えていただきました。一方、株式会社の場合には、国が登録株式質権者となり、配当を行った場合には、国が配当を受領することになるとのことです。
 間違った理解だったようです。
【通達の解説】
 持分会社の持分に対して設定する質権は、「登録質」として整理されることから、持分から生じる配当や利益処分にも質権の効力が及ぶものと考えられる。
 ただし、この配当等をその都度税務署長が受け入れることは、次のような問題があることから、納税猶予中の期間においては、持分について配当等が生じた場合にもその支払い・引渡し等を受けない取扱いとしたものである。
 (1)納税猶予中の税額は、納期限が未到来であるとともに将来免除が見込まれるものであり、これに猶予期間中に発生した配当等を充てていくことは妥当ではない(延納のように将来納付が必要なものの履行期限が到来していない債権とは異なる。)。
 (2)通則法上も担保権の効果として受けた金銭をその担保権に係る国税に充てることのできる規定がない(通則法上では担保物処分したものを国税に充てることとされている。)。
 この解説からすると、株式を担保とした場合も配当は受け入れないということになるのでしょうか?

措通70の7-30(みなす充足に該当しないこととなる事由)
措通70の7-31(担保財産の変更等が行われた場合のみなす充足)
 納税猶予制度の適用を受けるためには、担保を提供しなくてはなりません。適用対象株式の全てを担保に提供すれば、その価値が納税猶予額と平均余命年数に基づく利子税の合計額(措通70の7-8)に満たなくても、充足しているものとみなされます。一方、他の財産を担保に提供した場合には納税猶予額と利子税の合計額に見合う価値の財産を提供する必要があります。

 措通70の7-30では、適用対象株式の全てを担保に提供している場合でも、会社が合併により消滅したり、株式交換により完全子会社となったり、株式併合・株式分割などを行ったりしたら、充足しているとみなさないと規定しています。

 これを読んで、「え〜っ、これじゃ、納税猶予を受けた後は、何にもできないじゃん。」と思ったわけですが、次の措通70の7-31を読み、さらに措令40の8第31項を読み直しますと、このような場合でも、後継者の申請に基づいて担保を解除した後2ヶ月以内に、適用対象株式に代えて新たに取得した株式を再び担保に提供することが確実と見込まれるときは、当該担保の解除はなかったものとみなされることが分かりました(つまり、みなす充足を継続できるということです)。



09-06-30
租税特別措置法の一部を改正する法律が公布・施行されました

 6月19日に成立し、26日に公布・施行されています。法律が公表されてますが、内容の確認はできていません(原案と同じなのでしょうか)。

 ―斬霄萋静のための時限的な贈与税の軽減(平成21年、平成22年に行う贈与)→メモ?
 中小企業の交際費課税の軽減(平成21年4月1日以後終了事業年度)要注意!
 8Φ羈発税制の拡充(平成21年4月1日以後開始事業年度)

の3点について経済対策として追加で改正が行われています。

【参考】国税庁HPの解説



09-06-30
資産保有型会社・資産運用型会社の判定

 納税猶予制度の話が続きますが...
 速報税理の解説を読んでいて、なるほどと思ったのでメモしておきます。

 経営承継円滑化法(経済産業大臣の認定要件)における資産保有型会社・資産運用型会社の判定は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行(GAAP)に基づく財務数値で判定するのに対し、租税特別措置法(納税猶予の適用・取消要件)における資産保有型会社・資産運用型会社の判定は、税務上の金額で判定するとのこと。

 言われてみれば、そうかなという感じですね。

 ちなみに、『会社法の計算詳解(郡谷大輔他 中央経済社)』によれば、
・・・会社法の適用対象会社には、証券取引法が適用されない中小企業も含まれ、比較的整備が進みつつある有価証券報告書提出会社向けの会計基準とは異なり、中小企業における会計処理は、現在においても、不文の会計慣行に委ねられている部分が多く存するところであるが、そのようなものを公正な「会計慣行」に含まれないものとすることが会社法の改正の趣旨ではない。
とあります。

 中小企業におけるGAAPと税務会計は、どの部分が違うのかという問題はうやむやのまま、運用されていくのでしょうか。




09-05-30
納税猶予制度と遺留分減殺請求

 過去に先代経営者が後継者に自社株式を一括贈与して、贈与税の納税猶予制度の適用を受けていた。その後、先代経営者が亡くなった際に、後継者は他の相続人から遺留分減殺請求を受けたため自社株式を現物返還せざるを得なかった。

 このような場合、過去の一括贈与はなかった=贈与税の納税猶予制度の適用要件を満たしていなかったと判断され、遡及して自社株式贈与について贈与税が課されるのではないか。という話を聞きました。

 先代経営者が亡くなったことにより、贈与税の納税猶予制度に係る免除要件を満たす(ゴールに到着する)わけですが、それをスタートに遡って、このレースはなかったものとしますというのですから、初めはひどい話のように思いました。

 しかし、相続税法32条(更正の請求の特則)の考え方からすれば、現物返還した自社株式については、贈与がなかったものとして遡及修正するのが筋なのでしょうし、自社株式を現物返還する=会社の経営権を確保しないという後継者に納税猶予の恩典を与える必要もないのかもしれません。

 対応策としては、ー社株式の現物返還はせず、会社から借入れてでも同価値の現金で弁償する。∪菎綏弍勅圓寮諺阿飽篶永特例を使って、きっちりと財産を分けておく。ということでしょうか。

 外部者が心配しなくても、「そう簡単に自社株式を他の相続人に渡しませんよ」と経営者の方から言われてしまいそうな話です。



09-04-07
個別財産を移転する会社分割

 まずは新計算規則37条1項をご覧ください。インターネット官報をOCRしましたので、誤認識があるかもしれません。
第三十七条(吸収型再編対価の全部又は一部が吸収分割承継会社の株式又は持分である場合における吸収分割承継会社の株主資本等の変動額)
 
 吸収型再編対価の全部又は一部が吸収分割承継会社の株式又は持分である場合には、吸収分割承継会社において変動する株主資本等の総額(次項において「株主資本等変動額」という。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法に従い定まる額とする。
 ◆1 当該吸収分割が支配取得に該当する場合(吸収分割会社による支配取得に該当する場合を除く。) 吸収型再編対価時価又は吸収型再編対象財産の時価を基礎として算定する方法
 ◆2 前号に掲げる場合以外の場合であって、吸収型再編対象財産に時価を付すべきとき 前号に規定する方法
 ◆3 吸収分割承継会社と吸収分割会社が共通支配下関係にある場合(前号に掲げる場合を除く。) 吸収型再編対象財産の吸収分割の直前の帳簿価額を基礎として算定する方法(第一号に規定する方法によるべき部分にあっては、当該方法)
 ◆4 前三号に掲げる場合以外の場合 前号に規定する方法
 1号は「取得」、3号は「共通支配下」、4号は「共同支配企業の形成」と「逆取得」。ここまでは分かるわけですが、2号は何だという話になってました。

 パブコメの結果や商事法務No.1862の解説では、2号は「企業結合会計基準等の適用対象外となる財産の吸収分割」だとのこと。

 以前よりそのような解釈はあったのかもしれませんが、個別資産の移転を会社分割で行えることが明らかになったように思います。「不動産賃貸事業の移転」という形をとらずに「賃貸用不動産の移転」が会社分割によりできるということですね。どのような場合に、「賃貸用不動産の移転」を会社分割で行いたいというニーズがあるのかという点は、別途、考えてみないといけません。

 会計の話に移りますと、「個別資産の現物出資」は企業結合ではないけれど、事業分離会計基準の適用対象となっています。事業分離基準の31項では、「資産の現物出資等における移転元の企業の会計処理」が規定されています。この現物出資等には、会社分割は含まれていないようです。そこで、「個別資産の会社分割」という規定が必要なのではないかと思いました。



09-04-07
役員の業績賞与は損金不算入という常識

 税理士をしていると、「役員の業績賞与は損金不算入で当たり前。なぜなら利益操作だから。」なんて考えが染み付いてしまっています。

 クライアントから役員賞与を出したいと言われれば、その金額を来期の役員報酬に上乗せして月割りでもらってくださいと答えてしまいます。

 しかし、金融情勢が悪化している中で、会社の決算が当期利益なのか当期損失なのかは、銀行の融資姿勢に大きく影響します。

 「今期はみんなの頑張りで利益を計上することができた。前期までは給料カットで耐えてもらったのだから、今期は役員・従業員に業績賞与を出してあげたい。来期はどうなるか分からないので、来期の役員報酬を増やせと言われても、そんなこと出来ない。」なんてクライアントの社長から言われると、対応策の思い浮かばない自分にがっかりきます。

 利益連動給与の要件を緩和して中小企業でも利用できるような制度にしてもらえたらなと思います。



09-04-07
「よくわかる自己株式の実務処理Q&A」の訂正です

 2007年11月に出版されたこの本ですが、のんびりと発行部数を増やしています。うれしい限りです。

 さて、間違いをご指摘いただいた部分がありますので、訂正させていただきます。

P.188 (3)現物出資時の消費税の[設例]の以下の部分
 株式の交付とは別に、消費税相当額を株主に支払うということも必要になります。
 実際問題として、取引当事者が、消費税を考慮した税込額をもって取引価額(拠出財産の時価)とする認識を持っているのだろうかという話もありますが、理屈としてはあり得るのではないかと思います。

 今回はその点ではなく、設例の仕訳にあるように、消費税相当額を現金で精算してしまったら適格現物出資にならないではないかとのご指摘を受けました。

 その通りですね。税込額を拠出財産の時価と認識するのであれば、消費税分は現金でなく、より多くの株式を交付することで対応しないと適格要件を満たさないことになると思います。




09-03-06
借用概念と概念の相対性

 09-02-28のコメントで「税法が独自の定義をもたず、会社法や日本の会計基準に依拠している部分があります。」なんて書きましたが、これは結構深い話なのですね。このように言い切ってはいけないようです。

 例えば、海外の法律に基づいて行われた「合併」という名の行為は、法人税法に定める「合併」に該当するのかと判断するとき、法人税法に「合併」の定義がないから、それなら会社法の「合併」の概念から該当するか否かを考えてよいのか。答えはノーだと。法人税法は海外で行われる取引も適用対象としている法律なのに、日本の会社しか適用対象にしてない会社法から概念を借用しようなんてスタート地点からして間違ってると。

 そもそも論としては、そういうことなんだそうです。実務上、全て税務固有の概念を考えなきゃいけないとなるとワークしないと思いますが。

 「国外における組織再編等に係る国内税法の適用関係について(中間報告)」のご意見は、そもそも論を意識された上での指摘か否かは判断がつきませんが、「実務でワークさせるためには、どうするのよ?」というのがメインテーマなのでしょうね。

 ちゃんと理解できてないので、これ以上は説明不可能なのですが、
 http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/13/121/rons...
 の7ページ目「2 借用概念の解釈」というところを読んでいただくと、なんとなく雰囲気をつかんでいただけるかもしれません。



09-02-28
海外子会社の資本金等の額はどう計算すれば良いのでしょうね

 2月25日に会計士協会から租税調査会研究報告第17号「国外における組織再編等に係る国内税法の適用関係について(中間報告)」の公表についてが公表されています。

 税法が独自の定義をもたず、会社法や日本の会計基準に依拠している部分があります。

 例えば、その他資本剰余金の分配を税務上の資本の払戻しと捉えて、その他利益剰余金の分配とは異なる取扱いをしています。

 一方、研究報告では、米国LLCは国内税法では法人とされる一方で、米国税法でパススルーを選択すると構成員に課税されます。外国税額控除の取扱いにおいて、構成員に課税された税金を米国LLCの法人税と考えて良いのかなんて指摘がされていています。間接外国税額控除の廃止でこの心配は不要になるのですかね。【参照 米国LLCに係る税務上の取扱い(質疑応答事例)】)
 つまり、税法に団体課税される事業体を定義せず、法人に団体課税すると決めているからこういう問題が起きるわけですね。合同会社(日本版LLC)にパススルー課税が導入できなかったのもこれが理由です。

 研究報告では、税法が独自の定義をもたないことが、例えば、海外子会社の資本取引(合併とか、減資とか)に対応した日本親会社の国内税務処理を不明瞭にしており、今までは個別問題としてカバーしてきたのだろうけれど、海外子会社の資本取引なんて当たり前という世の中なのだから、不明瞭を放置しておいちゃダメでしょというような指摘をしています。

 今度の計算規則の改正で、利益の資本組入れが復活するという話があります。そうすると、利益剰余金から資本金を経由して、その他資本剰余金に振り替えることが可能になります。税法上取扱いの異なる、その他利益剰余金の分配とその他資本剰余金の分配を納税者が自由に選択できることになるのでしょうか。利益の資本組入れに配当課税するように税法改正するのかな?新しい制度を作っても、税法改正で使い物にならなくしてしまういつものパターンなのか...これも、会計上の概念を前提に税務処理を規定することの限界の一例ですかね。

 以前、海外子会社の減資を検討した際に、日本親会社のみなし配当額・株式譲渡損益はいくらになるんだろうと疑問に思っていたところでしたので、研究報告の指摘には「そうそう」とうなずける部分もありました。海外子会社からの配当が益金不算入となりますので、この問題は、今後、より顕在化することになるでしょう。



09-02-10
非上場株式等評価ガイドラインの公表だけで終わらせて良いのか

 2月9日に「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」が公表されています。

 これから、このガイドラインに対する批判がいろいろと出てくると思います。でも、その批判は、ガイドラインがどのような内容であっても、ある程度、事前に用意されていた批判だったのではないかと。

 大きく分類すると、2つの批判に分けられるのではないでしょうか。
(1)ガイドラインを読んでも、株価が算定できるわけではない。
(2)評価方式を羅列されているだけで、そんなことは百も承知だ。

 (1)の批判は、税務上の株価算定が、株価鑑定の実務だと思っている方からの批判なのでしょうね。時価って、本来、画一的に決まるものなのではないのですよ。ある程度の幅があるのですよと、ガイドラインでも説明しています。

 私は、あえて、このそもそも論から脱却して、恣意性の排除を最優先にしたDCFの画一的方法をガイドラインで提供するほうが、実務に資するのではないかと思っていましたが、難しいですかね...

 (2)の批判については、そもそも教科書的位置づけでしょうから、当たり前ですよね。これらの批判が、専門家が自らの不勉強を正当化するための免罪符にならなければ良いなと思っています。


 さて、本題ですが、ガイドラインの次の手ということで。誰もが言いそうな話ですけど。

1)弁護士・会計士・税理士なら誰でも鑑定できるという制度を改めて、株価鑑定士という資格を設けたほうが良いのでは?

2)株価鑑定士であっても、顧問弁護士・会計監査人・顧問税理士などの利害関係者は、鑑定できないようにすべきでは?

3)株価鑑定士への報酬は、相続人全員で均等負担にしなければならないとすべきでは?



09-02-10
三社合併における適格判定

 1月30日に「三社合併における適格判定について(照会)」が公表されています。

 私も三社合併について国税局へ事前相談に行ったことがあります。「消滅会社2社のうち、どちらを先に合併するかで適格判定に影響が出るのか否か」と質問しました。もう少し踏み込むと、「合併の順序によって「同一の者による継続保有」について解釈が必要になる場合があるが、適格性は三社一体で考えるべきで、合併の順序によって適格性が異なるのはおかしいのではないか」と質問しました。そして、そのときは、今回の個別事案に関しては、適格合併と考えざるを得ないと回答を得ました。「合併の順序で適格判定に影響が出るのか」という質問に対してストレートな回答は得られませんでしたが、個別事案ではそこまで突っ込んで追加の回答をいただくわけにもいきませんので、これで終わりになります。

 さて、今回の照会では、
(1)A社がB社とC社を吸収する合併を行うのであれば、A社とB社の合併・A社とC社の合併は別々に適格性を判断するのが原則です。
(2)ただし、例外として、A社とB社が合併することを条件に、新A社とC社が合併しますと契約すれば、A社とB社で適格性を判断し、新A社とC社で適格性を判断します。
と回答されています。

 今後は、この原則・例外を考慮して、合併の順番を決めなければならないということですね。

 例えば、A社とB社との間では資本関係もなく共同事業要件も満たしていないのに対し、C社はB社の100%子会社だという場合です。

 原則が適用される場合には、A社とB社の合併は当然に非適格となり、A社とC社の合併も非適格となってしまいます。しかし、合併契約により、A社とB社の合併を条件に新A社とC社を合併する 又は B社とC社の合併を条件にA社と新B社を合併すると定めておけば、少なくともC社に関する合併については適格と判断されることになります。



09-02-10
計算規則の改正で思うこと

 1月29日に「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正するパブコメ案」が公表されています。4月1日施行予定とのことです。

 新計算規則では、のれん・株主資本に関する規定が大幅に簡素化されました。規律の実質は、現行計算規則と異なりませんが、会計上当然に定まる金額については会計基準に任せて、計算規則の合理化を図るとのこと。パブコメ案どおりに施行されれば、計算規則は会計処理の指針としての役割を終えることになるでしょう。

 私は、計算規則と企業会計基準の重複する部分については、計算規則の規定を削除すべきだと思っていましたので、この改正は歓迎すべきなのだろうと思っています。また、新計算規則は日本語として読める文章になっており、その点も評価できると思いました。

 しかし、不安に思う点もあります。

 例えば、共通支配下の「のれん」に関する以下のルールを企業結合会計基準・企業結合適用指針から探し出すことが、あなたにはできますか?
,里譴鵑蓮吸収型再編対価簿価(株式以外の対価の簿価)を越えて計上することはできない。
負ののれんは、1株でも株式を対価として交付している場合には計上できない。
 たぶん出来ないでしょう。それは、あなたの能力の問題ではなくて、企業結合会計基準・企業結合適用指針の「使い勝手」が悪いからです。

 現行計算規則の問題点は2つあったと思っています。1つ目は、コンピュータのプログラムを日本語に置き換えたような表現であったこと。ロジックとしては素晴らしいと思いますし、作成者の才能を感じますが、ユーザーフレンドリーではありませんでした。2つ目は、企業結合会計の基礎知識を持っていることを前提に作られていること。この基礎知識は乗り越えてしまった人には低い壁なのでしょうが、一般的には相当高い壁なのだと思います。

 1つ目の問題点は利点と裏表です。現行計算規則は、A4の紙1枚に収まる文章で、のれんや株主資本に関する汎用的なロジックが提供されていました。この点においては、企業結合会計基準・企業結合適用指針は計算規則に完敗していたと思います。

 2つ目の問題点は、企業結合会計の基礎知識=大枠を理解するには、企業結合適用指針は避けて通れないので、結局は、企業結合適用指針と現行計算規則の両方を眺めなければならなかった。であれば、計算規則の重複部分は削除すべきだということにつながります。

 現在の企業結合会計基準・企業結合適用指針は内容の改正に追われていて、「使い勝手」を考える余裕はないのかもしれません。しかし、誰もが容易に理解でき、且つ、汎用性のあるロジックが提供できないとインフラとして機能していかないのではないかと思っています。



09-01-26
LLPのFAQ40問が41問になりました
 経済産業省のHPで公表されている「LLPに関する40の質問と40の答え(FAQ)」「問41 株式会社が組合員の場合、職務執行者の選任には取締役会決議が必要ですか。」が追加されました。いつでも取締役会を開催できる非上場会社には、あまり関係のないQAかもしれません。

 問41によると、法人組合員の職務執行者は、原則、会社法第362条第4項第3号の「重要な使用人」に該当するものの、内部的な決裁規程を設けている場合など、会社(法人組合員)に帰属する責任が実態上制限されている場合には「重要な使用人」に該当しないとのことです。

 しかし、FAQが更新されるなんて意外でした。問41は、どこかの上場会社が経済産業省に問い合わせたものなのでしょうか。LLPを要望した側も、要望に応えた側も、すっかりLLPのことなど忘れてしまっているのかと思っていましたが。

 LLPを組成するために、ある組合員が事業用資産を持ち寄ると(=現物出資すると)、その資産の含み損益の一部が実現し、課税されてしまいます。事業用資産は現物出資せずに、LLPに賃貸すれば良いという考え方もあるかもしれませんが、現物出資しないことで当該資産を保有している組合員の出資割合が下がってしまい、損益分配割合と出資割合が異なることになると、それはそれでまた面倒な問題が生じてきます。

 どんなケースであっても現物出資は原則どおり課税しますでは、LLPの利用は進まないと思うのですが、このような問題が放置されたままとなっています。

 21世紀政策研究所の「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」で提言されているように、組合への現物出資に係る課税繰延要件を税法に盛り込むとか、どのような組合契約であれば現物出資に課税されないのかを個別通達で例示するとか、何かしら手当てされることを期待します。

 現物出資について、どのような面倒な会計処理が想定されるのか。出資割合と損益分配割合が異なるとどのような問題が生じるのか。などについては、この本を参考にしていただければと思います。



09-01-20
贈与税納税猶予制度の一括贈与要件とは

 (1)先代経営者が保有する全ての株式を贈与すること
 (2)先代経営者が保有する株式のうち後継者が2/3以上の議決権を獲得するだけの株式数を贈与すること

 私は(1)なのかと思っていたのですが、何人かの方から(2)だとご指摘を受けています。

※所得税法等改正法案の租税特別措置法70条の7第1項に答えがありました。以下の条件を満たす贈与を行う必要があるようです。
◆1 当該贈与の直前において、当該贈与者が有していた当該認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額が、当該認定贈与承継会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の三分の二から当該経営承継受贈者が有していた当該認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額を控除した残数又は残額以上の場合 当該控除した残数又は残額以上の数又は金額に相当する非上場株式等の贈与
 
◆2 前号に掲げる場合以外の場合 当該贈与者が当該贈与の直前において有していた当該認定贈与承継会社の非上場株式等のすべての贈与
 つまり、贈与後の後継者の議決権割合が2/3以上になる場合には、その範囲内で贈与株式数を抑えることが可能であり、全株を後継者に贈与したとしても、後継者の議決権割合が2/3に達しない場合には、全株を贈与しなければならないということです。【09-02-28追記】

 贈与税の納税猶予制度は相続時精算課税と組み合わせて利用可能とのことですが、例えば、経営者が300株(100%)を保有していたとして...

 (1)が一括贈与要件だとすると、300株全株を後継者に一時に贈与することで贈与税の納税猶予制度の適用要件を満たす。しかし、2/3までしか納税猶予の適用対象にならないので、200株について納税猶予を適用し、残りの100株については相続時精算課税を適用することができる。こんな感じになると思います。

 一方、(2)が一括贈与要件とすると、200株を後継者に一時に贈与し、納税猶予の適用を受ける。残りの100株は、後日改めて贈与することができ、その際に相続時精算課税を適用することができる。こんな感じになると思います。

 (1)を要件にしたところで、初めに100株だけ後継者に贈与して相続時精算課税を適用し、後日、残りの200株全株を後継者に贈与して納税猶予制度を受けるなど、一括贈与のハードルを低くすることが可能となるので、(2)を要件としたのでしょうか。さて、このケース。200株の納税猶予額は、暦年課税で計算した贈与額なのか、相続時精算課税で計算した贈与額なのか。たぶん、相続時精算課税で計算した贈与額なのだと思いますが。



09-01-13
ASBJの会計基準が一般公開されてますね
 企業会計基準委員会がHPで公表している会計基準の一般公開の話です(08-12-03で紹介済み)。非会員は従来、公表日から2ヶ月間しか会計基準を見ることができなかったのですが、その期間制限が平成21年1月6日より廃止され、過去の会計基準も閲覧することができるようになりました。

 そのことをふと思い出して確かめたところ、ちゃんと閲覧可能になってました。

 企業会計基準委員会HPのトップページ上部のぼやけた時計の写真の右側に「企業会計基準等」というリンクがありますが、ここをクリックすると閲覧したい会計基準・適用指針などにアクセスできます。

 金子司法書士との共著「目からウロコ!これが増減資・組織再編の計算だ!」のP.170では、2ヶ月間の閲覧制限があると説明していますが、少々、情報が古くなってしまったようです。

 「目からウロコ!これが増減資・組織再編の計算だ!」なんて本は知らないという方に、少しだけPRさせていただきます。増資や合併の際に、株主資本のどの科目をどれだけ増減できるのかということについては、会社計算規則に定められているということをご存知でしょうか。会計基準だけを読んでも増資や合併の会計処理は行えないのです。ということで、会社計算規則の株主資本に係る規定を分かりやすく説明していますので、ご興味あれば、立ち読みでもしていただければなと思います。



09-01-13
先代経営者の退任は、贈与税の納税猶予制度の適用要件なのか?
 平成20年12月12日に経済産業省から公表された「平成21年度税制改正について」のP.8では、先代経営者の役員からの退任は、先代経営者が適用を受けた相続税の納税猶予の免除要件として説明されていました。

 一方、平成21年1月9日に中小企業庁から公表された「平成21年度税制改正の概要」のP.6では、先代経営者の役員からの退任は、後継者が適用を受ける贈与税の納税猶予の適用要件として説明されています。

 要件が変更されたのか、中小企業庁公表資料の間違いなのか。「先代経営者の役員からの退任」を贈与税の納税猶予の適用要件とすると、贈与税の納税猶予制度の使い勝手が非常に悪くなりますね。

 ちなみに、税務通信最新号(3049号)にて、贈与者が役員から退任することが贈与税の納税猶予の適用要件と説明されていますが、これは中小企業庁公表資料を受けてのものだと思います。

 ※平成21年2月10日に中小企業経営承継円滑化法施行規則の改正案が公表されました。贈与者の要件として、「贈与の時以後、役員でないこと。」と書かれています。贈与税の納税猶予制度は、会社支配権の後継者への委譲(株式の移動)だけでなく、業務執行権の後継者への委譲も求めているということでしょうね。【09-02-28追記】



09-01-04
今年もよろしくお願いします
 昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いします。

(初日の出 茅ヶ崎海岸)

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