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10-12-22
みなし配当額の計算誤りと当初申告要件

 例えば、自己株式の取得。みなし配当額の計算誤りが後日判明すると、こんなことになります。自分も気をつけなくては。


【発行会社の税理士(A)】すいません。みなし配当額の計算を間違えてました。当初計算より、みなし配当額が増えることになります。

【発行会社の経理担当(B)】え... それで、どういう対応になりますか。

【A】まず、みなし配当額が増えるということは、源泉徴収額が増えるということになりますので...

【B】株主に返金のお願いをしないといけないわけですね。参ったな... それで?

【A】源泉所得税の未納が生じていることになりますので、早急に納付が必要です。

【B】了解。過少申告加算税と延滞税が追加ですか。いや〜本当に参った。それで?

【A】法人税額には影響なかったのですが、資本金等の額と利益積立金額に変更が生じますので、法人税申告書を再提出しようと思います。加えて、訂正した支払調書を税務署に提出し、株主にも交付する必要があります。

==次の日==
【発行会社の経理担当(B)】すいません。みなし配当額の計算を間違えてました。当初計算より、みなし配当額が増えることになります。

【法人株主の経理担当(C)】ということは、源泉徴収額が増えるということですよね。

【B】はい。大変申し訳ありませんが、源泉徴収不足分を返金願いますか。

【C】仕方ないですね...

==後日==
【法人株主の経理担当(C)】前期の発行会社への株式譲渡の件なんですけど。発行会社のほうから、みなし配当額の計算に誤りがあったと連絡がありまして。

【法人株主の税理士(D)】なるほど。みなし配当額が増えるのであれば、受取配当金が増えて株式譲渡益が減ることになると思います。どのような計算誤りがあったのか確かめたいので、発行会社に支払調書を訂正して、再度発行するように依頼してください。

【C】受取配当金が増えて株式譲渡益が減るということは、受取配当金は益金不算入になるから、多少、税金が戻ってきますか?

【D】受取配当金の益金不算入制度には当初申告要件がありますからね... やむを得ない事情ということで、更正の請求を認めてくれるかもしれませんが。平成23年税制改正では、受取配当金の益金不算入制度などいくつかの制度で当初申告要件が廃止されるそうですけど...

【C】なるほど。それで、源泉徴収不足分を発行会社に返金しましたけど、こちらも何か影響しますか。

【D】所得税額控除額に影響が出ますね。この制度にも当初申告要件があるのですが、これについては法基通16-2-3で救済されてまして、今期に所得税額控除ができますね。
法基通16−2−3(支払請求に基づき支払つた所得税の控除)
 
 法人がその事業年度開始の日前に支払を受けた法第68条(所得税額の控除)に規定する利子及び配当等に対する所得税に相当する金額につき、所得税法第222条(不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等)の規定による控除又は支払の請求を受けた場合におけるその控除された又はその請求に対し支払をした所得税の額については、その控除又は支払をした日の属する事業年度又は連結事業年度において法第68条又は第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》の規定を適用する。



10-12-16
平成23年度税制改正大綱(案)が公表されました

 大綱(案)はこちら



10-12-01
認定利息の消費税区分

 世間で「認定利息」と呼ばれているものは2つある。そのように整理すると、すっきりします。

1)決算時に認定利息と称して未収計上する(なんちゃって認定利息)
 この場合、通常の受取利息と何も変わりません。よって、非課税売上です。
 税務署に認定される前に、納税者自ら受取利息を認識するわけですから 「なんちゃって認定利息」 と命名してみました。

2)税務署により受取るべき利息額が認定され、別表で加算する(これが本当の認定利息)
 資産の譲渡と異なり、無償の貸付や役務提供については、課税対象外取引(対象外売上)となります。


 では、どちらがメジャーかというと、 「なんちゃって認定利息」 だと思います。債務者から利息相当を回収せず、(未収利息相当の)債権を放棄したとみなされれば、債務者に対する受贈益課税や給与課税が行われてしまうからです。そういうこともあって、認定利息は非課税売上だとする解説が多いのかなと思いました。



10-11-26
資本金ゼロ会社の設立

 ネットを検索しても、誰も書いていないようなので、メモしておきます。
 
 資本金ゼロ会社を設立できるようになったかと思った。しかし、現行の日本会計基準では、株主資本から株式交付費用を控除することが認められていないため、会社計算規則14条1項3号(株式交付費用)の額は、当分の間ゼロとされた。よって、資本金ゼロの会社は設立できなくなった。
 ここまでの記述は、ネットで探すことができます。では、資本金ゼロの会社は設立できないのか?

 新設合併、新設分割、株式移転といった組織再編により会社を設立した場合には、資本金ゼロの会社は設立できます。



10-10-31
取得条項付株式の取得対価

 取得条項付株式の取得対価としては、他の株式や金銭などが想定されますが、オプションを取得対価とすることも可能だそうです。
(千問の道標 Q107)
3 逆に、株主側の判断により金銭または株式を選択することができるというような対価の定めについては、会社に対して金銭または株式の交付を請求することができる選択債権を対価とすることと同じであるから、特にこれを禁止する理由はなく、・・・、そのような定めを株式の内容として規定することも可能であるものと解される。

 上場準備会社において、取得条項付優先配当無議決権株式を発行して資金を調達し、上場の目処が立った場合には普通株式に転換し、上場の目処が立たなければ現金(出資額相当)で精算するという利用例を思い浮かびましたが、これだと転換社債と代わりないですね...

 取得条項付株式を現金で精算した場合には、みなし配当課税の可能性もあるわけで、転換社債のほうが使い勝手が良いかもしれません。



10-09-23
よくわかる自己株式の実務処理Q&A(第2版)が出来上がりました

 第1版はグリーンの表紙でしたが、第2版はオレンジの表紙になりました。



 第2版の内容を少しだけ、紹介します。

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〔2〕平成22年度税制改正が自己株式取引に及ぼす影響
 ここでは、平成22年度税制改正が自己株式取引に及ぼす影響について、グループ税制と節税防止規定の2つに分けて整理してみました。

1)グループ法人税制
 グループ法人税制は、100%企業グループ内の内国法人間で行われる資産譲渡・受取配当・寄付金などについて特別な取扱いを新設したものです。グループ法人税制という1つの制度があるわけではなく、従来からある個々の制度に追加された取扱いの総称に過ぎません。
 平成22年度改正法人税法では、完全支配関係(Q68)という用語を定義し、完全支配関係のある当事者間で行う取引を100%グループ内の取引と捉えています。そして、100%グループ内における内国法人間の取引にグループ法人税制が適用されます。自己株式取引では、発行会社と法人株主との間に完全支配関係があり、かつ、発行会社と法人株主の両方が内国法人である場合、以下の取扱いに注意が必要となります。

,澆覆掲枦金額の全額益金不算入
  • 〔3〕「取得」の基本 で解説。
  • 法人株主が自己株式を譲渡することにより生じた「みなし配当金額」は、負債利子控除がないため、全額が益金不算入となる。
  • 法人株主の平成22年4月1日以後開始事業年度から適用される。

⇒価証券譲渡損益の不計上
  • 〔3〕「取得」の基本 で解説。
  • 法人株主が自己株式を譲渡することにより生じた「有価証券譲渡損益」を資本金等の増減で処理する。
  • 平成22年10月1日以後に行う自己株式の取得に適用される。

E格現物分配
  • Q25 Q26で解説。
  • 自己株式の取得対価が現物財産である場合、法人税法上「現物分配」として扱われる。適格現物分配の要件を満たせば、発行会社は現物財産を簿価譲渡したものとし、法人株主は簿価で譲受けたものとして処理する。
  • 法人株主に生じた「みなし配当金額」の全額が益金不算入となり、「有価証券譲渡損益相当額」を資本金等の増減で処理する。
  • 平成22年10月1日以後に行う自己株式の取得に適用される。

ぞ渡損益の繰延べ
 (1)非適格現物分配
    • Q25 Q26で解説。
    • 自己株式の取得対価が現物財産である場合、法人税法上「現物分配」として扱われる。適格現物分配の要件を満たさなければ、発行会社が現物財産を時価譲渡したものとして譲渡損益を計上する。ただし、現物財産が譲渡損益調整資産に該当する場合には、譲渡損益を繰り延べる。
    • 法人株主に生じた「有価証券譲渡損益相当額」を資本金等の増減で処理する。
    • 平成22年10月1日以後に行う自己株式の取得に適用される。
 (2)非適格現物出資
    • Q58で解説。
    • 自己株式の処分により法人株主が現物財産を拠出した場合、適格現物出資の要件を満たさなければ、法人株主が現物財産を時価譲渡したものとして譲渡損益を計上する。ただし、現物財産が譲渡損益調整資産に該当する場合には、譲渡損益を繰り延べる。
    • 平成22年10月1日以後に行う自己株式の処分に適用される。

ゴ麌婉癲受贈益の全額損金・益金不算入
  • Q33 Q61で解説。
  • 時価よりも低額・高額で自己株式の取得・処分を行った場合、原則として、発行会社には寄付金(受贈益)が計上されず、法人株主には受贈益(寄付金)が計上されるという非対称な処理が行われることから、この制度が適用される可能性は低い。
  • 平成22年10月1日以後に行う自己株式の取得・処分に適用される。

2)節税防止規定の創設(平成22年10月1日以後適用)
 法人株主においては、みなし配当金額が益金不算入となることから、意図的な自己株式譲渡により有価証券譲渡損を計上することによる節税が可能であるとして、従来より問題視されていました。
 そこで、法人株主が自己株式の譲渡を事前に予定した上で、発行会社株式を取得し、その後、自己株式を譲渡した場合には、みなし配当額の全額が益金算入されることとなりました。
  • Q36で解説。
  • 発行会社と法人株主との間に完全支配関係がない場合に限った取扱い。
  • 法人株主が、平成22年10月1日以後に行う発行会社株式の取得から適用される。
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10-08-17
完全支配関係がある法人間の無対価会社分割(3)

【司会】完全支配関係がある法人間の無対価会社分割(2)の解説について、間違いがありましたので、訂正します。

【税理士】はい。当該会社分割は、適格組織再編に該当すると解説したのですが、間違っていました。もう一度、条文を確認しましょう。
法令4の3
 
 ◆2 分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(・・・)との間に同一の者による完全支配関係(当該分割が無対価分割である場合には、分割型分割にあつてはイからハまでに掲げる関係がある場合における当該完全支配関係に、分社型分割にあつてはニに掲げる関係がある場合における当該完全支配関係に、それぞれ限る。)があり、かつ、当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続すること(・・・)が見込まれている場合(・・・)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係
  イ 分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係
  ロ 一の者が分割法人及び分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係
  ハ 分割承継法人及び当該分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する者が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係

【司会】イからハにおける「発行済株式等の全部を保有する関係」の部分ですね。

【税理士】はい。「発行済株式等の全部を保有する関係」に間接保有を含む場合には、ロの要件を満たし適格組織再編となります。しかし、間接保有を含む場合には、その旨が明記されるため、「発行済株式等の全部を保有する関係」には、間接保有は含まれないと解釈すべきです。

【司会】もう一度、どのような設例であったか、確認しておきましょう。
         ┌───┐         【設例】
       │ A社 │          E社が、D社に対し無対価吸収分割で事業を拠出
         └─┬─┘          したいと考えています。
     100%  │   100%
       ┌──┴──┐
     ┌┴─┐   ┌┴─┐
   ┌─┤B社│  │C社│
   │ └┬─┘   └┬─┘
 100%│   └──┬──┘50%ずつ
 ┌─┴┐   ┌─┴─┐
 │E社│  │ D社 │
 └──┘   └───┘

【税理士】このケースでは、E社とD社を直接100%保有する一の者が存在しませんので、ロの要件を満たしません。その結果、非適格組織再編となります。



10-08-13
完全支配関係がある法人間の無対価会社分割(2)

【司会】それでは、次に行きましょう。今度は、E社が、D社に対し無対価吸収分割で事業を拠出したいと考えています。
         ┌───┐
       │ A社 │
         └─┬─┘
     100%  │   100%
       ┌──┴──┐
     ┌┴─┐   ┌┴─┐
   ┌─┤B社│  │C社│
   │ └┬─┘   └┬─┘
 100%│   └──┬──┘50%ずつ
 ┌─┴┐   ┌─┴─┐
 │E社│  │ D社 │
 └──┘   └───┘


【司会】E社からD社への会社分割は、分社型分割でしょうか?分割型分割でしょうか?

【司法書士】分社型分割です。

【税理士】分割型分割です。

【司会】先ほど教えていただいた根拠から考えますと、そういうことになりますね。法務と税務では、取扱いが異なるということですね。

【司会】この会社分割も原則的には、無対価が許されるケースではありませんね?

【司法書士】はい。

【司会】強行した場合には、やはり、税務上、非適格組織再編となるでしょうか?

======以下の部分、間違えでした。完全支配関係がある法人間の無対価会社分割(3)で解説します。======
【税理士】いえ、適格組織再編となります。分割型分割の場合には、次の要件(イからハ)のいずれかを満たしている必要があります。
法令4の3
 
 ◆2 分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(・・・)との間に同一の者による完全支配関係(当該分割が無対価分割である場合には、分割型分割にあつてはイからハまでに掲げる関係がある場合における当該完全支配関係に、分社型分割にあつてはニに掲げる関係がある場合における当該完全支配関係に、それぞれ限る。)があり、かつ、当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続すること(・・・)が見込まれている場合(・・・)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係
  イ 分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係
  ロ 一の者が分割法人及び分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係
  ハ 分割承継法人及び当該分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する者が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係

 E社もD社も、A社に発行済株式等の全部を保有される関係にありますので、他の適格要件を満たすのであれば、適格組織再編ということになります。

【司会】なるほど。適格組織再編+寄付取引 という整理になるのでしょうか。

【税理士】2つの設例を比べてみると、グループ内法人間で経済的価値の移転があったとしても、必ずしも非適格組織再編になるとは限らないということが分かります。無適格組織再編について追加された適格要件の趣旨が読み取れません。
==============================================================

【司会】有対価の場合においても、対価交付条件が不適切な場合に、適格組織再編となるか非適格組織再編となるかについて明確ではありませんね。


【司会】さて、分割承継会社の会計処理についても触れておきましょうか。企業結合適用指針203-2項に「完全親子会社関係にある組織再編において対価が支払われない場合の会計処理」が示されていますね。

【司法書士】適用指針の前に、計算規則を見ておきましょう。計規38条2項です。
計規38(株主資本等を引き継ぐ場合における吸収分割承継会社の株主資本等の変動額)
 
 2  吸収型再編対価が存しない場合であって、吸収分割会社における吸収分割の直前の株主資本等の全部又は一部を引き継ぐものとして計算することが適切であるときには、吸収分割により変動する吸収分割会社の資本金及び資本剰余金の合計額を当該吸収分割承継会社のその他資本剰余金の変動額とし、吸収分割により変動する吸収分割会社の利益剰余金の額を当該吸収分割承継会社のその他利益剰余金の変動額とすることができる。

【司会】同業者の方から、この株主資本の引継ぎは、強制規定なのか任意規定なのかという質問を受けることがあります。

【税理士】ご紹介の計算規則を見る限りでは「できる規定」ですので、なぜ強制規定と解釈する余地があるのかという話なのですが、適用指針203-2項の無対価★合併★の部分を読むと強制っぽい規定振りになってまして、無対価★分割★も強制なの? という疑問が沸いてくるというわけです。

【司会】適用指針は、毎年、クリスマスプレゼントか?というタイミングで改正が公表されてますけど、利便性とか明瞭性とかいう観点からもバージョンアップをしていただけると良いのですが。

【税理士】話を元に戻しまして、E社とD社の会社分割には、適用指針203-2項の次の規定を適用することになります。
【2】会社分割の場合
 
∋匆饉劼了業を他の子会社に移転する場合
 
 吸収分割承継会社である他の子会社は、吸収分割会社である子会社で変動させた株主資本の額を、会社法の規定に基づき計上する(第256項参照)。

【司会】では、256項を見てみましょうか。
 256.吸収分割承継会社である他の子会社の会計処理は、分割型の会社分割により親会社が子会社に事業を移転する場合の子会社の会計処理(第234項参照)に準じて処理する(第409項参照)。

 会計では、分割型分割に準じて扱うとなってますね。

【税理士】次は、234項ですね。
 234.吸収分割承継会社である子会社は、個別財務諸表上、次の処理を行う。
 
【2】増加すべき株主資本の会計処理
 
 子会社における増加すべき株主資本は、親会社が子会社に会社分割により事業を移転する場合の会計処理(会社分割の対価が子会社株式のみの場合)における子会社の会計処理(第227項及び第228項参照)に準じて会計処理する(第445項参照)。
 
 ただし、受け入れた資産及び負債の対価として子会社の株式のみを交付している場合には、親会社で計上されていた株主資本の内訳を適切に配分した額をもって計上することができる(第446項参照)。この場合、株主資本の内訳の配分額は、親会社が減少させた株主資本の内訳の額と一致させる(第409項参照)。

 ここまで読み進めると、ようやく、任意規定であるということが分かります。

【司法書士】分割会社側で減資の手続きなどをするのは面倒ですし、株主資本等を引き継ぐ処理は、通常は採用しないということでしょうね。

【税理士】そう思います。



10-08-12
完全支配関係がある法人間の無対価会社分割

 平成22年度税制改正により、無対価会社分割の整理が行われました。とはいえ、無対価会社分割を法務・会計・税務の観点から総合的に理解するというのは、なかなか難しいものと思われます。

 討論形式で、解説してみたいと思います。


【司会】まずは設例を。下の図をご覧下さい。B社は、D社に対し無対価吸収分割で事業を拠出したいと考えています。
    ┌───┐
  │ A社 │
    └─┬─┘
100%  │   100%
  ┌──┴──┐
┌┴─┐   ┌┴─┐
│B社│  │C社│
└┬─┘   └┬─┘
  └──┬──┘50%ずつ
   ┌─┴─┐
  │ D社 │
   └───┘


【司会】B社からD社への会社分割は、分社型分割でしょうか?分割型分割でしょうか?

【司法書士】分社型分割です。

【税理士】分社型分割です。

【司会】根拠を教えて下さい。

【司法書士】無対価吸収分割は、原則的に分割会社の財産が減少しますので、その実質は分割型分割と言えます。しかし、株主に対して対価の交付がない以上、法形式上は分社型分割そのものです。

【税理士】平成22年度税制改正により、無対価会社分割の定義が次のように整理されました。
◆分割型分割(法法2十二の九ロ):分割対価資産が交付されない分割で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該分割
 
◆分社型分割(法法2十二の十ロ):分割対価資産が交付されない分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該分割

 B社はD社株式の50%を保有していますので、分社型分割に該当します。

【司会】そもそも無対価が許されるケースなのでしょうか?

【税理士】設例の無対価吸収分割を行った場合、B社からC社に対して、経済的価値の移転が生じてしまいます。完全支配グループ内での組織再編であれば、どんなケースでも無対価が許されると思ったら、大間違いです。

【司法書士】法的に絶対不可能かと言われれば、そうではありません。B社が無対価とすることに合意しているのであれば、可能と言えます。

【司会】債権者保護の観点から問題はありませんか?

【司法書士】ここが無対価吸収分割の問題点と言えるのですが、分社型分割の場合、債権者が分割会社に対して債務の履行を請求できる限り、債権者保護手続は不要とされているのです。ちなみに、債権者詐害行為(民法424条)と扱われる可能性もありますが、それは、分割会社の無資力を要件としています。

【司会】総合的判断により、実行可能な場合もあると。完全支配グループ内での組織再編であれば、多少の無理なら強行したいというニーズもあるかもしれません。そうしましたら、強行した場合の税務判断をお聞きしたいと思います。
 強行した場合でも、従来の100%グループ適格要件を満たしているならば、適格組織再編+(B社からC社への)寄付取引 と整理されますよね?
 また、B社とC社との間には、「法人による完全支配関係」がありますから寄付取引も恐くないですよね。

【税理士】適格組織再編になりませんよ。

【司会】えっ...完全支配グループ内での組織再編なので、容易に適格要件を満たすものと思っていました。

【税理士】無対価会社分割においては、適格要件が追加されています。無対価の分社型分割では、次の要件を満たさなくてはなりません。
法令4の3
 
 ◆2 分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(・・・)との間に同一の者による完全支配関係(当該分割が無対価分割である場合には、分割型分割にあつてはイからハまでに掲げる関係がある場合における当該完全支配関係に、分社型分割にあつてはニに掲げる関係がある場合における当該完全支配関係に、それぞれ限る。)があり、かつ、当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続すること(・・・)が見込まれている場合(・・・)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係
  ニ 分割法人が分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係

 B社はD社の発行済株式等の全部を保有していませんので、適格要件を満たしていないということになります。

【司会】なるほど。この点がネックとなって、このスキームを断念することもありそうですね。

【税理士】ちなみに、会社分割による移転資産が、譲渡損益調整資産に該当するのであれば、譲渡損益が繰り延べられることになります(法法61の13)。

【司会】グループ法人税制への配慮も必要になってくるわけですね。先程、私が「寄付取引も恐くない」と発言しましたが、これもグループ法人税制ですね。

【税理士】はい。B社とC社との間に「法人による完全支配関係」がありますので、B社で計上する寄附金は全額損金不算入(法法37◆法■端劼之彎紊垢觴贈益は全額益金不算入(法法25の2)となります。なお、受贈益の益金不算入額は、留保金課税の対象にはなりますので、その点は注意が必要です。

【司会】う〜ん。複雑ですね。専門家でも目が回りそうなのに、納税者は理解できるのでしょうか。グループ法人税制により譲渡損益が繰延べられた場合には、組織再編後の実務にも影響してきます。納税者には、結論だけ分かっていただければ大丈夫というわけにはいかないでしょう。

【税理士】できれば、こんなスキームには手を出したくないですね。



10-08-03
親会社から個別資産の現物出資を受けた子会社の会計処理

 「親会社では、個別資産の現物出資であっても、事業分離会計基準31項により簿価譲渡として処理します。一方で、子会社では、個別資産の現物出資は企業結合に該当しないことから、時価譲受として処理します。」会計基準の規定振りからは、このような不整合な処理をせざるを得ないのではないかと思っていました。

 この点について、企業再編―法律・会計・税務と評価の476ページでは、『共通支配下の関係にある会社間で事業投資と考えられる資産(例えば、製造設備や工場用地)の現物出資が行われた場合には、出資を受入れた会社において、当該諸資産に対して積極的に時価を付すべき理由はないと考えられる。』として、子会社において、簿価譲受の処理をするケースがあると解説しています(ASBJの研究委員の方の解説)。なお、事業投資と考えられる資産には、子会社株式や関連会社株式も含まれるようです。

 この点については、資本金等増加限度額(計規14)の算定にも関わる話であり、企業結合会計基準(又は適用指針)に明記されることが望まれます。



10-07-13
類似業種比準方式で算定する場合の注意点

 税務通信No.3122の『今週のFAQ』を読んでいて、なるほどと思いましたのでメモしておきます。
 前年12月に贈与した場合の、10月・「11月・12月」   の類似業種株価 と
 今年 1月に贈与した場合の、   「11月・12月」・ 1月の類似業種株価 は異なる場合があると。
 例えば、前年の標本会社と今年の標本会社が異なる場合です。

 前年12月贈与の株価算定の際に、今年の公表資料を代用してはいけないということですね。



10-07-13
外国子会社配当益金不算入制度に関する質疑応答事例について(情報)

国税庁HP
問1 外国子会社から受ける配当等がある場合の外国税額控除の控除限度額の計算
 外国法人が複数あって、一方の法人は益金不算入制度の適用を受け、もう一方の法人は適用を受けないというケースを前提としています。

 益金不算入制度の適用を受ける配当に係る源泉税には、外国税額控除の適用はありません。したがって、益金不算入制度の適用を受けない外国法人からの配当がないと、「外国税額控除の控除限度額の計算」という話は出てこないわけですね。

問2 租税条約の適用がある場合の連結法人に係る外国子会社の判定
 2つの話が絡んでいます。

 〜点脳鯡鵑瞭鷭轍歙杷喀条項により、当該条項の対象となる株式の保有割合が25%よりも低い場合には、その低い割合で益金不算入制度の適用を受ける「外国子会社」に該当するかどうかを判定する。

 ∧数の連結子法人が、ある外国法人に共同出資している場合には、各連結子法人の保有割合を合計した割合が25%を超えていれば、各連結子法人において益金不算入制度の適用を受けることができる。

 この,鉢△魍櫃瓜擦垢襪函各連結子法人の保有割合を合計した割合 > 租税条約の二重課税排除条項の対象となる株式の保有割合 の場合には、どのように判断するのか?という論点が出てくると。

 これについては、各連結子法人の保有割合が、租税条約の二重課税排除条項の対象となる株式の保有割合以上かどうかで、益金不算入制度の適用があるか否かを判断してくださいとのこと。



10-07-13
純資産価額方式−評価差額に対する法人税等相当額の計算

 平成22年10月1日以後の相続・贈与から、42%で計算していた法人税等相当額を45%で計算するようになるのですね。
財基通186−2(評価差額に対する法人税額等に相当する金額)
 
 185≪純資産価額≫の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、次の(1)の金額から(2)の金額を控除した残額がある場合におけるその残額に45%(法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合)を乗じて計算した金額とする。




10-07-13
遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税の取消しについて

 平成22年7月6日付最高裁判決において、年金の各支給額のうち相続税の課税対象となった部分については、所得税法9条1項16号により所得税の課税対象とならないものというべきであると判示され、遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税が取り消されました。国税庁公表資料

【ポイント】
  • 過去5年分については、更正の請求書を提出して還付してもらう。
  • 所得税の課税対象とならない金額の算定方法は、検討中。対応方法が確定しだい、国税庁HPで公表する。
  • 過去5年を超える分については、法的な措置又は政令の改正など制度上の対応が必要となる。こちらも検討中。



10-07-04
相続時精算課税と相続財産の譲渡に係る特例

 相続財産の譲渡に係る特例といえば、措法9の7(相続した自社株式を発行会社に譲渡した場合に、みなし配当を認識しなくて良いという特例)と措法39(相続財産を譲渡する際に、相続税を取得費に加算できる特例)ですが、相続時精算課税により自社株式の生前贈与を受けている場合には、ちょっと注意が必要です。

┌─────────────────────────────────┐
│【設例】自社株式の生前贈与を受けて、相続時精算課税を適用しました。│
│ (1)相続時には、土地を相続しました。                          │
│ (2)相続時には、何も相続しませんでした。                      │
└─────────────────────────────────┘
 (1)のケースは、措法9の7も、措法39も適用することができます。
 (2)のケースは、措法9の7は適用できません。措法39は適用できます。

◆措法9の7
 相続又は遺贈(・・・) による財産の取得をした個人で・・・
◆措法39
 相続又は遺贈(・・・) による財産の取得(相続税法 又は第七十条の五 の規定により相続又は遺贈による財産の取得とみなされるものを含む。) をした個人で・・・

 何か意図があるのか、それともバグなのか。このような違いがあります。



10-07-04
適格組織再編と耐用年数

 適格組織再編だからといって、取得日・取得価額・耐用年数を引継ぐだけではないのですね。
【1】被合併法人等で新品として取得したものを引継ぐ→取得日・取得価額・耐用年数を引継ぐ(法法62の2)
【2】被合併法人等で中古品として取得したものを引継ぐ→取得日・取得価額・耐用年数を引継ぐ(耐省3◆
【3】合併に伴い、合併法人等が中古品を取得したものとして処理する
    →取得日=事業供用日
     取得価額=未償却残高(耐省3)
     耐用年数=新たに中古耐用年数を見積もる(耐省3 



10-06-22
利益の資本組入れ

 税理士の立場からすれば、資本金なんて少ないほうが税金が少なくなって良いのにと思ってしまうわけですが、下請代金支払遅延等防止法適用除外のために資本金を3億円以上にしろと取引先から圧力がかかるとか、いろいろあるようです。

 で、利益の資本組入れについて質問を受けたので、まとめておきます。
  • 平成21年4月1日から、利益準備金及びその他利益剰余金を減少させて資本金を増加させることが可能になった。
  • 利益の資本組入れでは、資本金等・利益積立金は増減せず。よって、みなし配当もない。

◆会計上の仕訳
 繰越利益剰余金|資本金

◆税務上の仕訳
 なし

◆申告調整仕訳
 資本金等(法令8―住諭法値益積立金(

※資本金等は、会計上の資本金の額が資本金等の構成要素になってるから、資本金の増額分を取り消すための減額規定(法令8―住諭砲用意されている。その一方、繰越利益剰余金は利益積立金の構成要素になってないから増減の根拠規定はないのだけど、利益積立金計算表である別表五(一)においては、繰越利益剰余金が構成要素になってるので、減額された分を増やすという処理をする。利益積立金については法令と計算表が一致していない感じが、気持ち悪いですね...



10-06-08
グループ法人単体課税制度(繰り延べた譲渡損益の実現4)

 A社がB社に土地(含み益1億円)を譲渡し、譲渡法人(A社)にて土地売却益1億円を繰り延べています。
 B社は、その土地を数年後に売却しました(=これが、2回目の譲渡)。さて、A社が繰り延べている土地売却益1億円を実現させるのは、第10期でしょうか?第11期でしょうか?
             2回目の譲渡
               ↓
譲受法人(B社)   ├───────────┼───────────┤

譲渡法人(A社) ├───────────┼───────────┤
                        第10期                  第11期
【答え】第11期。
 2回目の譲渡の日は第10期に属しますので、第10期に実現しそうですが、そうではありません。
 2回目の譲渡の日が属するB社(譲受法人)の事業年度終了の日 が属する譲渡法人の事業年度にて実現するため(法令122の14)、第11期ということになります。



10-06-08
支配関係・完全支配関係の継続
    ┌───┐
  │ A社 │    P社がA社株式の全部を購入しました。
    └─┬─┘
100%  │   100%
  ┌──┴──┐
┌┴─┐   ┌┴─┐
│B社│  │C社│
└──┘   └──┘

    ┌───┐
  │ P社 │    P社がA社を吸収合併しました。
    └─┬─┘
       │ 100%
    ┌─┴─┐
  │ A社 │
    └─┬─┘
100%  │   100%
  ┌──┴──┐
┌┴─┐   ┌┴─┐
│B社│  │C社│
└──┘   └──┘

    ┌───┐
  │ P社 │    B社とC社が吸収合併します。
    └─┬─┘
100%  │   100%  この時のB社とC社の完全支配関係は、A社による
  ┌──┴──┐   完全支配関係があった時から継続していると考える
┌┴─┐   ┌┴─┐ とのこと。
│B社│  │C社│
└──┘   └──┘

 では、P社がA社株式を購入するのではなく、B社株式・C社株式を同時に購入した場合には、完全支配関係が継続していると考えるのか?これについては、よく分からないとのことです。



10-06-08
間接保有と完全支配関係
    ┌───┐
  │ A社 │     【問題】A社とD社の間に完全支配関係はありますか?
    └─┬─┘
100%  │    80%
  ┌──┴──┐
┌┴─┐   ┌┴─┐
│B社│  │C社│
└┬─┘   └┬─┘
  └──┬──┘50%ずつ
   ┌─┴─┐
  │ D社 │
   └───┘
 完全支配関係はありません。A社からD社まで直接完全支配関係が連続している必要があります(新法令4条の2◆法C社に20%外部株主がいるため、D社はB社とC社合わせて100%保有されているとしたとしても、完全支配関係には該当せず、上記の場合は、支配関係に該当することになります。



10-06-04
外国親法人の100%子会社と中小企業特例の不適用

 グループ法人税制は、支配者が個人でも外国法人でも適用されますという文書をよく目にしますよね。なので直感的には、親法人が外国法人であっても資本金が5億円以上であれば、その100%子会社には中小企業特例は適用できないだろうなと。
◆12の7の6 完全支配関係 一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。
 完全支配関係の定義を確認しても、内国法人間の関係という話は出てこないですね。

 これだけだとつまらないので。
    ┌──┐
  │A社│             【ケース1】A社の資本金が5億円以上
    └┬─┘100%            D社に中小企業特例は適用できません。
  ┌─┴──┐
┌┴─┐  ┌┴─┐          【ケース2】A社の資本金が5億円未満
│B社│ │C社│  外国            B・C社の資本金が5億円以上
└┬─┘  └┬─┘            D社に中小企業特例は適用できます。
  └─┬──┘50%ずつ
------│-------------------------
    ┌┴─┐
  │D社│     日本
    └──┘
 つまり、法人による完全支配関係は、D社に対して、A社(1社)による完全支配関係として認識するのであって、B・C社(複数社)による完全支配関係とは認識しない。ということのようです。

 なお、外国法人の資本金の金額は、毎期、期末換算して判断するようですから(法基通20-3-14)、気をつけないといけません。
20−3−14(資本金の額等の円換算)
 
 外国法人につきその各事業年度終了の時における資本金の額若しくは出資金の額又は資本金等の額(以下20−3−14において「資本金の額等」という。)を基礎として法又は措置法の規定を適用する場合における当該資本金の額等については、当該事業年度終了の日の電信売買相場の仲値により換算した円換算額による。(昭58年直法2−3「九」により追加、平19年課法2−3「四十九」により改正)



10-06-04
外国法人日本支店の均等割の扱い
外国法人については、均等割額を区分する場合の資本金等の額は、その外国に所在する本社の資本金等の額によります。
地方税Q&A 全国女性税理士連盟128頁)←お勧め!



10-05-26
国・地方公共団体と取り交わした契約書に係る印紙税

 昨日、「県と契約を結ぶ場合には、こちらで印紙を貼り付けた契約書を県に送り、県から印紙の貼ってない契約書を受け取って、それを保管してます。」とクライアントから聞いて、「え〜!!自分で保管するほうの契約書に印紙を貼り付けないといけないはずです。」と強弁してきたのですが、間違ってました...

質疑応答事例「国等と締結した請負契約書」
国等と国等以外の者が共同作成した課税文書については、国等が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし、国等以外の者が保存するものは国等が作成したものとみなしています(法第4条第5項)。



10-05-26
グループ税制−資産を取得した側の取得価額は対価額でなく時価というのは当たり前では?

 税務通信3115号で、グループ税制の適用により受贈益が益金不算入となった場合、資産受領側で当該資産の取得価額を時価としてしまうと、償却費のうち、受贈益相当分がお得になっちゃうけど良いの?的な記事がありますが、そうでしょうか。

【設例】A社がB社に建物を譲渡
 A社の譲渡直前の建物簿価:10
 建物の時価:100
 建物の譲渡額:70

◆A社の仕訳
 現預金 70|建物  10
 寄付金 30|譲渡益 90
◆B社の仕訳
 建物 100|現預金 70
       |受贈益 30

 70の対価しか払ってないのに、100を減価償却を通じて損金算入できて良いのか?(受贈益30を控除した70しか、損金算入できないのではないか?)との解説ですが、当然、良いですよね。なぜなら、A社にて譲渡益を60でなく、90と認識しているからです。

 A社の貸方建物10+譲渡益90が、B社の借方建物100につながるわけです。受贈益30は、寄付金30との対応関係はあるものの、B社の建物取得価額100との対応関係はありません。



10-04-28
「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」の公表
2.非上場会社(中小企業など)にもIFRSは適用されるのか
 
 ○非上場の会社(中小企業など)に対するIFRSの強制適用は、将来的にも全く想定されていない。
(参照:金融庁HP

 日本基準とIFRS(国際会計基準)のコンバージェンスも進んでいくので、日本基準を適用すれば良いですよと言われても、コンバージェンスの結果として、包括利益の表示が必要になったりするのかなど、少し疑問が残ります。



10-04-21
寄付金・受贈益の全額損金・益金不算入制度と投資簿価修正

┌───┐           【設例】3社は、左のような完全支配関係が
│親会社├──────┐     あります。
└─┬─┘            │
    │                │     親会社からA社に500の寄付、A社からB社
    │100%           │70%   に200の寄付がありました。
    │                │
┌─┴─┐          ┌┴──┐  投資簿価修正仕訳は、どのようになりますか?
│ A社 ├─────┤ B社 │
└───┘   30%   └───┘

◆親会社
 A社株式 300|利益積立金 300(※1)
 B社株式 140|利益積立金 140(※2)
  (※1)500×100%−200×100%
  (※2)200×70%

◆A社
 B社株式  60|利益積立金 60(※3)
  (※3)200×30%

法令119の3
 6 内国法人の有する第9条第1項第7号に規定する子法人の株式について同号に規定する寄附修正事由が生じた場合には、その株式の当該寄附修正事由が生じた直後の移動平均法により算出した一単位当たりの帳簿価額は、当該寄附修正事由が生じた時の直前の帳簿価額に同号に掲げる金額を加算した金額をその株式の数で除して計算した金額とする。

法令9ー
 ◆7 当該法人が有する当該法人との間に完全支配関係(連結完全支配関係を除く。)がある法人(以下この号において「子法人」という。)の株式又は出資について寄附修正事由(子法人が他の内国法人から法第25条の2第2項に規定する受贈益の額で同条第1項若しくは法第81条の3第1項(法第25条の2第1項に係る部分に限る。)の規定の適用があるものを受け、又は子法人が他の内国法人に対して法第37条第7項(寄附金の損金不算入)(法第81条の6第6項(連結事業年度における寄附金の損金不算入)において準用する場合を含む。)に規定する寄附金の額で法第37条第2項若しくは第81条の6第2項の規定の適用があるものを支出したことをいう。以下この号において同じ。)が生ずる場合の当該受贈益の額に当該寄附修正事由に係る持分割合(当該子法人の寄附修正事由が生じた時の直前の発行済株式又は出資(当該子法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額のうちに当該法人が当該直前に有する当該子法人の株式又は出資の数又は金額の占める割合をいう。以下この号において同じ。)を乗じて計算した金額から寄附修正事由が生ずる場合の当該寄附金の額に当該寄附修正事由に係る持分割合を乗じて計算した金額を減算した金額



10-04-21
秀丸がすごい!

 秀丸がVer.8になり、個人的には待望の新機能が追加されました。

 私は、秀丸で条文を読んでいるのですが(参照:秀丸で条文を読む)、従来は、条文中の括弧書きの色分けに限界がありました。

 あああ(いいい)あああ(いい(うう)いい)あああ
という文章を

 あああ(いいい)あああ(いい(うう)いい)あああ
と色分けできると、条文が読みやすいわけですが、

以前は、正規表現を駆使しても、
 あああ(いいい)あああ(いい(うう)いい)あああ
と色分けするのが精一杯でした。

 最新バージョンでは、見事に色分けしてくれます。すごい!



10-04-21
グループ法人税制の実務

 こういうのがないと、実務が回りませんよね。支配関係図は、各企業グループごとに、まとめておかないといけないなと思っていましたので、書式を提供してもらえるのは、ありがたいです。

◆譲渡法人・譲受法人間の通知(法令122の14悪鵜押
 16 内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)がその有する固定資産、土地(土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除く。)、有価証券、金銭債権及び繰延資産(第1項第1号又は第3号に掲げるものを除く。以下この項において「譲渡損益調整資産該当資産」という。)を他の内国法人(当該内国法人との間に完全支配関係がある普通法人又は協同組合等に限る。)に譲渡した場合には、その譲渡の後遅滞なく、当該他の内国法人に対し、その譲渡した資産が譲渡損益調整資産該当資産である旨(当該資産につき第6項の規定の適用を受けようとする場合には、その旨を含む。)を通知しなければならない。
 
 17 前項の通知を受けた同項の他の内国法人(適格合併に該当しない合併により同項の資産の移転を受けたものを除く。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる事項を、当該通知を受けた後遅滞なく、当該通知をした内国法人(当該内国法人が法第61条の13第5項に規定する適格合併により解散した後は、当該適格合併に係る合併法人)に通知しなければならない。
 ◆1 前項の通知に係る資産が第1項第2号に掲げる資産に該当する場合 その旨
 ◆2 前項の通知に係る資産が当該他の内国法人において減価償却資産又は第6項に規定する繰延資産に該当する場合において、当該資産につき同項の規定の適用を受けようとする旨の通知を受けたとき 当該資産について適用する耐用年数又は当該資産の支出の効果の及ぶ期間
 
 18 譲受法人は、譲渡損益調整資産につき第4項各号に掲げる事由(当該譲渡損益調整資産につき第6項の規定の適用を受けようとする旨の通知を受けていた場合には、第4項第3号又は第4号に掲げる事由を除く。)が生じたときは、その旨(当該事由が同項第3号又は第4号に掲げる事由である場合にあつては、損金の額に算入されたこれらの号の償却費の額を含む。)及びその生じた日を、当該事由が生じた事業年度終了後遅滞なく、その譲渡損益調整資産の譲渡をした内国法人(当該内国法人が法第61条の13第5項に規定する適格合併により解散した後は、当該適格合併に係る合併法人)に通知しなければならない。

◆完全支配関係図の申告書への添付(法規35四)
 ◆4 当該内国法人の事業等の概況に関する書類(当該内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図を含む。)



10-04-20
排出クレジットの帳簿価額とは?

 排出クレジットを購入してきたのであれば、購入価額=帳簿価額だと思いますが、開発途上国や中小企業に技術・資金等を提供して得た排出クレジットの帳簿価額は、技術・資金等の支出額でしょうか(大企業に限った話なんですが...)?

 それと、償却時の時価と帳簿価額の差額は、どのように処理されるのかも、以前からの疑問です。
  寄付金 1000|排出クレジット 600
          |譲渡益     400

  となって、結局、自分が支出した600しかネットで損金にならないということでしょうか。

 何故、これに関する会計処理や税務処理が示されないのだろう?



10-04-20
予定された自己株式取得に係るみなし配当の益金不算入

法法23
 3 第1項の規定は、内国法人がその受ける配当等の額(第24条第1項(第4号に係る部分に限る。)の規定により、その内国法人が受ける配当等の額とみなされる金額に限る。以下この項において同じ。)の元本である株式又は出資で、その配当等の額の生ずる基因となる同号に掲げる事由が生ずることが予定されているものの取得(適格合併又は適格分割型分割による引継ぎを含む。)をした場合におけるその取得をした株式又は出資に係る配当等の額(その予定されていた事由(第61条の2第16項の規定の適用があるものを除く。)に基因するものとして政令で定めるものに限る。)については、適用しない。
 ⇒A社がB社株式を取得する時に、そのB社株式を発行法人であるB社に譲渡すること(B社側からすれば自己株式の取得)が予定されている場合には、当該自己株式取得に係るみなし配当については、全額益金に算入される。
 ⇒A社とB社との間に完全支配関係がある場合には、法法61の2亜兵己株式譲渡損益の不計上)が適用される一方で、この規定(法法23)は適用されない。
 ⇒A社が適格合併により、被合併法人であるC社から引継いだB社株式を、発行法人であるB社に譲渡する(B社側からすれば自己株式の取得)場合も含む。

法令20の2
 法第23条第3項(受取配当等の益金不算入)に規定する政令で定めるものは、同項の内国法人の受ける同項に規定する取得をした株式又は出資(第1号において「取得株式等」という。)に係る配当等の額(法第24条第1項(第4号に係る部分に限る。)(配当等の額とみなす金額)の規定により、当該内国法人が受ける法第23条第1項に規定する配当等の額とみなされる金額をいう。以下この条において同じ。)で、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるものとする。
 ◆1 当該取得株式等が適格合併、適格分割又は適格現物出資により被合併法人、分割法人又は現物出資法人(以下この号において「被合併法人等」という。)から移転を受けたものである場合 法第23条第3項に規定する予定されていた事由が当該被合併法人等の当該取得株式等の取得の時においても生ずることが予定されていた場合における当該事由に基因する配当等の額
 ◆2 前号に掲げる場合以外の場合 法第23条第3項に規定する予定されていた事由に基因する配当等の額
 ⇒A社が適格合併により、被合併法人であるC社から引継いだB社株式を、発行法人であるB社に譲渡する(B社側からすれば自己株式の取得)場合には、C社がB社株式を取得する時点において、既にB社への譲渡が予定されている場合のみ「予定されていた」と判断される。


 T&Amaster No.351の解説では、「予定している」の主語をB社(発行法人)と考えているようですが(※)、違和感を感じました。
※「買い戻す相手がC社であるかA社であるかを問わない」という記述から推測

 この規定は、A社の節税スキーム防止策です。ですので、B社はA社の支配下(とは言え、完全支配下にある場合には、この規定自体が適用されないのですが)にあり、A社がB社に自己株式取得を行わせる予定で、A社がB社株式を購入するケースを想定しているのだと思います。よって、「予定している」の主語はB社(発行法人)でなく、A社ではないかと思います。


10-04-20
会社清算時における期限切れ欠損金の損金算入

法法59
 3 内国法人が解散した場合において、残余財産がないと見込まれるとき(※)は、その清算中に終了する事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額で政令(法令118)で定めるものに相当する金額は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
(※)実態貸借対照表(処分価格で作成した貸借対照表)が債務超過であること(税務通信No.3110)。

法令118
 法第59条第3項(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)に規定する欠損金額で政令で定めるものは、第1号に掲げる金額から第2号に掲げる金額を控除した金額とする。
 ◆1 法第59条第3項に規定する適用年度(次号において「適用年度」という。)終了の時における前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額(同項に規定する個別欠損金額を含む。)の合計額
 ◆2 法第57条第1項(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)又は第58条第1項(青色申告書を提出しなかつた事業年度の災害による損失金の繰越し)の規定により適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される欠損金額
 ⇒規定上、フローの積上計算が建前なのですね。(追記:利益積立金の規定自体もフローの積上計算が建前になっているので、当たり前でした...)



10-04-19
グループ法人単体課税制度(繰り延べた譲渡損益の実現3)

 繰延譲渡損益の実現事由と実現額は、法令122の14い傍定されています。
 
  • 譲渡損益調整資産の譲渡、貸倒れ、除却(1号イ)⇒全額実現
  • 譲渡損益調整資産の適格分割型分割による分割承継法人への移転(1号ロ)⇒全額実現
  ※有価証券の譲渡については、同銘柄における株数按分で実現額を計算(6号)。
  ※譲受法人との間に完全支配関係のある内国法人が、適格合併・適格分割・適格現物出資・適格現物分配により、譲受法人から譲渡損益調整資産の移転を受けた場合を除く。→法令122の14っ貊颪砲董◆悄米云鯊莽珊罎竜定の適用があるものを除く。)』とされている。
  • 譲受法人が公益法人等に該当すること(1号ハ)⇒全額実現
  • 譲渡損益調整資産の評価替え(2号、5号)⇒全額実現
  • 譲渡損益調整資産(減価償却資産・繰延資産)の償却(3号、4号)⇒一部実現
   【原則法】繰延譲渡損益×損金算入額÷譲渡損益調整資産取得価額
   【簡便法】繰延譲渡損益×当期月数(譲渡前の期間を除く)÷償却期間の月数
    ※譲受法人にて償却費が損金の額に算入されていない限り、間便法は適用できない。→法令122の14Δ蓮↓い龍盂枌峇垢┻定に過ぎないため。その意味で、譲受法人の事業供用の有無を問わず簡便法が適用できるという解説は間違いだろう。
  • 譲渡損益調整資産(償還有価証券)の償却(7号)⇒一部実現
   繰延譲渡損益×事業年度の日数÷事業年度開始日から償還日までの日数
  • 連結納税の開始に伴い、譲渡損益調整資産が時価評価された場合(8号)⇒全額実現



10-04-19
タックスヘイブン税制適用フローチャート

 経済産業省が公表しているフローチャートが分かりやすいので、メモです。

(フローチャートの補足)
  • 事業持株会社の除外
  事業基準の判定上、統括会社が保有する被統括会社の株式については、「株式」に該当しないものとされた。
  • 物流統括会社の除外
  非関連者基準の判定上、卸売業を主たる事業とする統括会社に係る被統括会社を「関連者」から除外した。

※統括会社の定義(措令39の17)
 次の要件を見たす特定外国子会社等
  □内国法人の100%子会社であること
  □株式保有を主たる業務とし、事業年度末において、被統括会社株式簿価÷株式簿価>50%であること
  □2以上の被統括会社に対して統括業務を行っていること
  □本店所在地国に固定施設を有すること
  □本店所在地国に統括業務に従事する者(役員を除く)を有すること

※被統括会社の定義(措令39の17 
 次の要件を満たす外国法人
  □統括会社の子会社・孫会社・ひ孫会社であること
  □統括会社が持株割合・議決権割合ともに25%以上を直接保有していること
  □本店所在地国に当該外国法人の事業に従事する者を有すること



10-04-16
適格現物分配の適格要件

 法法2十二の十五
 ◆12の15 適格現物分配 内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。
 ※この加工条文は、FICグループで作成され、関根稔法律事務所HPにて公開されているものを使用させていただいています。ありがとうございます。

<適格要件>
  • 現物分配を受ける法人は、完全支配関係がある内国法人★のみ★
  • 完全支配関係は、現物分配の直前にあればOK

      ┌───┐    【設例】
    │親会社│      乙社(内国法人)が、完全支配関係にあ
      └─┬─┘     る甲社(内国法人)とA社(外国法人)に
          │100%     現物分配を行いました。
    ┌──┴──┐     適格現物分配に該当しますか?
┌─┴─┐  ┌─┴─┐
│ 甲社 │ │ A社 │
└─┬─┘  └─┬─┘
    │50%      │50%
┌─┴─────┴─┐
│    乙社       │   外国法人であるA社も現物分配を受けて
└─────────┘  いますので、適格現物分配には該当しませ
             んね。


10-04-16
完全子法人株式等に関する配当計算期間

 100%子会社からの配当は、その全額が益金不算入となったわけですが、「配当計算期間中、ずっと完全支配関係にないとダメですよ」という条件付きでした(法法23ァ法

 配当計算期間は、法令22の2△傍定されています。
 2 前項に規定する計算期間とは、その配当等の額の支払を受ける直前に当該配当等の額を支払う他の内国法人により支払われた配当等の額(適格現物分配に係るものを含む。)の支払に係る基準日の翌日(次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日)からその支払を受ける配当等の額の支払に係る基準日までの期間をいう。
 ◆1 当該翌日がその支払を受ける配当等の額の支払に係る基準日の1年前の日以前の日である場合又はその支払を受ける配当等の額が当該1年前の日以前に設立された他の内国法人からその設立の日以後最初に支払われる配当等の額である場合 当該1年前の日の翌日
 ◆2 その支払を受ける配当等の額がその支払に係る基準日前1年以内に設立された他の内国法人からその設立の日以後最初に支払われる配当等の額である場合 当該設立の日
 ◆3 その支払を受ける配当等の額がその配当等の額の元本である株式又は出資を発行した他の内国法人からその支払に係る基準日前1年以内に取得した株式又は出資につきその取得の日以後最初に支払われる配当等の額である場合 当該取得の日
 ※この加工条文は、FICグループで作成され、関根稔法律事務所HPにて公開されているものを使用させていただいています。ありがとうございます。

 いつもの難解な日本語ですが...

原則  配当計算期間=前回配当基準日の翌日から今回配当基準日までの期間(本文)
例外 弊瀘後最初の配当) 配当計算期間=設立日から今回配当基準日までの期間(2号)
例外◆奮式取得後最初の配当) 配当計算期間=株式取得日から今回配当基準日までの期間(3号)
 ※但し、配当計算期間は最長でも1年間(1号)
 ※3号は発行法人からの取得に限る。他の株主から取得した場合は3号に該当しない。

ということですね。株式を段階取得した結果、100%保有したような場合には、要件を満たさないことがありそうです。

 ちなみに、この配当計算規定の定義は、配当の源泉所得税額の控除に係る配当計算期間(法令140の2◆砲帆瓦同じです。



10-04-16
会社法務書式集
 「商業・法人登記300問」の執筆陣が、「会社法務書式集」という本を執筆されましたので、ご紹介します。
 
 代表者印の届出書から合併の議事録まで幅広く、書式が掲載されており、解説も充実しています。
 
 本書は、株式会社リーガルがCDで提供している「定款・議事録・商業登記基本書式集〜中小企業編〜」「実務に使える 続・商業登記基本書式集〜中小企業編〜」に対応していまして、実務に役立つこと間違いなしです。



10-04-15
会社分割後に外部売却を予定している場合の会計処理

      ┌───┐    【設例】
    │親会社│     A社の事業の1つをB社に分割型
      └─┬─┘     分割で移転した後に、B社株式を
          │100%     外部に売却する予定です。
    ┌──┴──┐
┌─┴─┐  ┌─┴─┐  この分割型分割は、パーチェスで
│ A社 │ │ B社 │  処理するのでしょうか?
└───┘  └───┘  それとも、共通支配下の取引とし
             処理するのでしょうか?

 分割型分割+株式売却という一連の取引を考えた場合、A社が外部に事業譲渡したのと同じ実態がありますので、私はパーチェスで処理すべきと考えました。

 しかし、企業再編―法律・会計・税務と評価というトーマツが出している本の410ページには、以下の解説があります。
(4)会社分割後に分離先企業の株式の売却を予定している場合
 
 −−省略−−
 
 共通支配下の取引は企業結合の前後で同一の株主による支配が一時的ではない場合の企業結合の会計処理を定めているので、売却を前提とした単独新設分割は、共通支配下の取引には該当しないのではないかとの意見もある。
 
 しかし、当該組織再編が共通支配下の取引に該当しないとしても、当該子会社が第三者との問で企業結合されておらず、また、子会社株式の処分も行われていない以上、単独新設分割時に新設会社において移転資産を時価評価したり、分割会社において移転損益を認識することはできないものと考えられる。
 
 従って、会社分割後に分離先企業の株式の売却を予定している場合であっても、まず、単独新設分割の会計処理を共通支配下の取引に準じて行い、分割会社が取得した新設会社株式の売却に関する会計処理は、金融商品会計基準の定めに従うことになると考えられる。

 疑問ではあるのですが、この本の著者は企業会計基準委員会(ASBJ)の研究委員の方ですし、これがルールなのだろうと思っています。



10-04-14
事業承継税制と外国会社(平成22年税制改正)

 平成22年度の事業承継税制に係る改正は、「外国会社対応」の一言でまとめられそうです。
┌────┐
│認定会社│‘段夢愀顕饉劼乏姐餡饉劼含まれる場合には、
└────┘ 常時使用従業員数は5人以上必要となる(措法70の7一ホなど)。
  |
  |   認定会社株式の株価に含まれる外国会社価値
  ↓    相当分は、納税猶予されない(措法70の7五など)。
┌────┐
│外国会社│3姐餡饉劼、大法人等に該当しても、認定会社
└────┘ の要件を満たす(措令40の8Г覆鼻法

 大法人等に該当する外国子会社がぶらさがっていても良いけれど、当該外国会社の価値相当については、納税猶予されないということですね。

 それにしてもケチな税制ですね。海外展開したからこそ、認定会社の雇用が守られているとか、認定会社が不況に耐えて生き延びているということも十分ある話なのに。外国子会社配当益金不算入制度を使って、日々、外国子会社の剰余金をゼロにする努力をしろとでも?



10-04-13
事業承継税制における適格合併の要件

 事業承継税制の適用を受けた会社が、合併により消滅した場合、納税猶予が取消されてしまいます。ただし、「適格合併」に該当する場合を除くとされています(措法70の7そ住亜法

 その「適格合併」の要件は、以下のとおりです。合併効力発生日において、以下のすべてを満たしている必要があります(措規23の9押法

【合併承継会社】 ※合併承継会社=存続会社(措規23の90譟
  • 常時使用する従業員が1人以上いること
  • 資産保有型(運用型)会社に該当しないこと
  • 当社及び特別子会社が上場会社等・大法人等・性風俗営業会社に該当しないこと
  • (合併直前事業年度の?)総収入金額がゼロ超であること
 ※読み替え規定が整備されていないように思えます。
  • 後継者以外の株主に拒否権付株式を交付していないこと

【後継者】
  • 合併承継会社の代表権を有していること
  • 後継者グループで合併承継会社の過半数の議決権を有していること
  • 合併承継会社の後継者グループにおいて筆頭株主であること
  • 合併承継法人株式以外の合併対価の交付を受けていないこと



10-04-09
経営承継円滑化法の確認申請手続について問い合わせてみた

 確認申請書に添付する以下の書類について、経済産業局に問い合わせてみました。
  • 確認申請日において上場会社等又は風俗営業会社に該当しない旨の誓約書
  • 特定後継者を定めたことを証する書類

 いずれも、地方経済産業局長宛に、会社(申請者)名にて作成してくださいとのことでした。文面は適当にとのこと。

 なお、円滑化法申請マニュアルでは、確認申請書の宛先が経済産業大臣となってますが、これについても地方経済産業局長宛にしてくださいとのことでした。

 こんな感じでどうでしょうか?
確認申請日において上場会社等又は風俗営業会社に該当しない旨の誓約書
 
年  月  日
 
(関東)経済産業局長 殿
 
会社所在地
会社名
代表者の氏名 ▲▲ ▲▲ 印
 
 確認申請日(  年  月  日)において、当社が上場会社等又は風俗営業会社に該当しないことを誓約いたします。
 
 
 
以上
特定後継者を定めたことを証する書類
 
年  月  日
 
(関東)経済産業局長 殿
 
会社所在地
会社名
代表者の氏名 ▲▲ ▲▲ 印
 
 当社は、以下のとおり特定後継者又は新たに特定後継者となることが見込まれる者を定めたことを証します。     
 
(特定後継者)
  ○○ ○○
(新たに特定後継者となることが見込まれる者)
  該当なし
 
 
以上

 ちなみに、確認申請書のひな型(ワードファイル)は、電子申請システムから入手できます。



10-04-02
新事業承継税制の質疑応答事例(63問)が公表されました

 非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例等に関する質疑応答事例について(情報)

 問4までしか目を通していませんが、基本的な説明が多く含まれているようです。「事業承継の法律実務と税務Q&A」で解説できていないような情報があれば、UPしていきたいと思います。

(追記)
 問6(父からの贈与と母からの贈与の両方に納税猶予が適用できるか)は、参考になるかもしれません。父と母の両方が自社株式を持っているケースは結構、散見されるからです。ただし、(譴代表者であったこと、父が子Aへ贈与した時点で、子Aが筆頭株主、母が第2位株主であること などの要件を満たすことが前提となります。

 問8(納税猶予の適用を受けた長男Aが父よりも先に死亡した後に、次男Bが父からの贈与について納税猶予を適用できるか)も参考になります。「事業承継の法律実務と税務Q&A」で解説できていない論点です。

 問9(贈与税の納税猶予を受けなかった自社株式について相続税の納税猶予が適用できるか)を読んでいて思いましたが、この質疑応答事例と非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予に関するQ&Aは、重複している部分があるようです。問9はQ2と重複してます。

 問10(贈与税の納税猶予を受けなかった自社株式について相続税の納税猶予が適用できるか(2))では、問9とは異なり、贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予へ切り替えなかったとしても、相続により取得した自社株式について相続税の納税猶予は適用できないと説明されてます。確かにそうですね。

 問11(贈与税の納税猶予が取り消された場合、相続した自社株式について、相続税の納税猶予が適用できるか)は、全く想定していなかった論点でした...
 納税猶予の適用を受け、免除要件を満たした。⇒免除要件を満たした後も「納税猶予の適用を受けた」と認識する。
 納税猶予の適用を受け、取消事由に該当してしまった。⇒取消事由に該当した後は「結果として、納税猶予の適用は受けなかった」と認識する。

 問12(後継者の要件:3年以上継続して役員であることの意義)は、新たな論点というわけではありませんが、後継者の要件である「3年以上、継続して役員であること」という要件をきっちり理解するのに良い設例かなと思いました。

 問16(会社所有建物で、自己使用部分とそれ以外の部分がある場合の資産保有型会社の判定)は、「事業承継の法律実務と税務Q&A」P.312の特定資産の注に【参考】として示しておくのが良さそうです。

 問17(税務上の資産保有会社判定における帳簿価額)は、「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予に関するQ&A」において、円滑化法の立法担当者の解説と食い違っていたという点で個人的には最も衝撃的だったQ4と重複しています。

 問20(贈与税の納税猶予:一括贈与要件における議決権割合)も、「事業承継の法律実務と税務Q&A」P.315で明示できてませんので、【参考】として示しておくのが良さそうです。議決権割合については、問13も合わせて読むと参考になります。

 問24(同一年中に複数の株式に贈与税の納税猶予を適用した場合の納税猶予税額)も参考になります。「事業承継の法律実務と税務Q&A」のQ5-4(納税猶予額の計算方法)では触れていない論点です。

 問29(取消事由:贈与者が複数いる場合、譲渡した株式の特定)は、「事業承継の法律実務と税務Q&A」P.350からP.351にかけて説明している取消事由に関係しています。参考になる質疑応答です。

 問32〜36(取消事由に該当した場合に納付しなければならない税額)は、確定税額の具体的な計算方法が示されていて、とても分かり易いと思いました。こちらにもメモを残しました。

 問39(免除申請の期限)では、免除申請期限(免除要件に該当した日から2ヶ月以内)までに免除申請書を提出しなければ、免除を受けることはできず、また、宥恕規定も設けられていないことが書かれています。注意が必要です。

 問41(納税猶予制度と遺留分減殺請求)では、以前から話題となっていた「遺留分減殺請求により自社株式の一部を遺留分権利者に返還すると、納税猶予が遡及的に取り消されてしまうのか?」という疑問に答えています。納税猶予が取り消されることはないとのことです。

 問48(納税猶予制度と代償分割)では、代償財産の価額を納税猶予の適用を受けない相続財産の価額から控除しても差し支えないと説明されています。

 問51(贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切替時に引継ぐ課税価格:切替前に株式の一部譲渡を行ったケース)では、株式譲渡により、贈与税の納税猶予額の一部が確定している状態で、相続税の納税猶予へ切替えた際に引継ぐ課税価格の計算方法を説明しています。

 問52(贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切替時に引継ぐ課税価格:切替前に金銭交付の伴う適格合併を行ったケース)では、金銭交付の伴う適格合併により、贈与税の納税猶予額の一部が確定している状態で、相続税の納税猶予へ切替えた際に引継ぐ課税価格の計算方法を説明しています。

 問53(贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切替を行った場合の相続税申告書記載方法:切替前に金銭交付の伴う適格合併を行ったケース)では、確定税額に対応する課税価格相当については、通常の贈与があったものとして扱われますが、当該贈与が相続開始前3年以内の贈与に該当する場合には、相続税の課税価格に含める旨が説明されています。



10-04-02
インターネット官報とWebsite Explorer

 毎年、改正税法施行令・施行規則を3月31日付けの官報で確認しているという物好きな方へ

 インターネット官報から数百ページ分のPDF(※)を手作業で入手するのは、かなり根性が入りますよね。そんな時はWebsite Explorerというソフトが大変便利です。
 ※インターネット官報では、1ページ=1PDFファイル という構成になっています。

 官報の目次ファイル(HTML)のアドレスをWebsite Explorerに入力して、「開始」ボタンをクリックすれば、数分で数百ページ分のPDFが入手できます。



10-03-31
遺留分減殺請求権の行使と税務

相続財産の全部についての包括遺贈に対して遺留分減殺請求に基づく判決と異なる内容の相続財産の再配分を行った場合の課税関係について(文書回答)

 「事業承継の法律実務と税務Q&A」をご購入いただいた方は、上記の文書回答と以下のQを併せてをお読みいただくと、理解が深まること間違いなしです。

◆Q4-30(遺留分減殺請求権が行使された場合の効果)、Q4-31(遺留分減殺請求権が行使された後の手続)
 遺留分減殺請求権の行使により、遺留分を保全するために必要な限度で遺留分減殺の対象となった贈与契約、遺贈又は「相続させる」遺言は効力を失います(形成権説)。その結果、取り戻された財産(取戻財産)は当然に当該遺留分権利者に帰属し(物権的効果説)、相続財産には復帰せず、減殺者の固有財産となります(固有財産説)。
 したがって、当該財産については共有物分割手続によって具体的な分割を行うことになり、遺産分割手続(調停・審判)の対象とはなりません(訴訟説)。以上は、贈与・特定遺贈・特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」遺言及び全部包括遺贈の場合のいずれについても妥当します。
 ただし、ヽ箙臈包括遺贈の場合と、∩蠡格指定の場合には、遺産分割の対象として審判事項になる(審判説)と解する余地があります。

◆Q6-11(遺留分減殺の税務)、Q6-12(遺産分割のやり直し)
・遺留分減殺請求により申告した相続財産の額が減少し、相続税の額が減少した場合には、更正の請求ができます。
・遺留分減殺請求によって取得した財産があった場合には、期限後申告又は修正申告をすることができます。
・当初行われた遺産分割に無効原因がある場合に限り、相続税の更正の請求が可能です。
・当初有効に行われた遺産分割を解除して、再分割を行った場合、贈与又は交換があったものとして贈与税又は譲渡所得税の課税対象になります。



10-03-30
包括利益の表示に伴う組替調整額の注記とは何か

 こんな感じで注記するとのこと(包括利益の表示に関する会計基準案の設例参照)。
その他有価証券差額金:
 当期発生額  400
 組替調整額 △150・・・・・・当期売却益150
      −−−−−
        250・・・・・・包括利益計算書計上額=当期末含み益総額1300−前期末含み益総額1050
 ※税効果は無視しています。

[前提]
A銘柄 前期末含み益が50で当期に全部売却して150の売却益が計上された。
→この売却益150が組替調整額(当期利益に反映されている金額)
→A銘柄に関する当期発生額は、当期実現益150−前期末含み益50=100

B銘柄 前期末含み益が1000で、当期末含み益が1300
→B銘柄に関する当期発生額は、当期末含み益1300−前期末含み益1000=300



10-03-30
現物出資に係る検査役報酬等は、発行会社が負担すべき費用

個人が所有する土地を法人に現物出資した際の費用を、契約により個人が負担した場合の当該費用の譲渡費用の該当性について(文書回答)

 会社法207条1項では、『株式会社(発行会社)は、現物出資財産の価額を調査させるために検査役の選任を申立てないといけません。』と規定しています。検査役の選任義務は、発行会社にあると。
 さらに、同3項では、『裁判所は、株式会社(発行会社)が支払う検査役報酬を定めることができる。』として、検査役報酬の支払義務も当然に発行会社にあるのだという規定振りです。

 これを理由に、個人株主が仮に検査役報酬等を払っても、それは個人株主の(現物出資財産に係る)譲渡費用にはなりませんよという文書回答が出ました。

 個人的には少し疑問です。出資って、出資財産と発行会社株式の等価交換ですよね。別に、発行会社が「株主様、恵んでいただいてありがとうございます。面倒なことは私のほうで全てやっておきますから。」という立場なわけではありません。株主と発行会社との合意で、株主側で検査役報酬を負担するということが合理的なことだってあると思うのですが。

 ちなみに、税理士等の証明や不動産鑑定士の鑑定評価をもって検査役の検査に代えることが可能ですが(会社法207条9項)、この場合の税理士報酬や不動産鑑定料も検査役報酬と同じ扱いとのことです。



10-03-30
改正相続税法24条(定期金に関する権利の評価)の適用関係

 「平成22年4月1日以後に保険契約が締結されている場合」または「平成23年4月1日以後に保険契約を相続・贈与により取得した場合」は、改正後の相法24条が適用される。

 ということは、平成22年3月末までに保険契約を締結して、平成23年3月末までに保険契約を相続・贈与すれば、改正前の相法24条が適用されることになります。

 しかし、上記の場合でも、平成22年4月1日以後に当該保険契約の契約内容を変更した場合には、改正後の相法24条が適用されるとのこと(T&A master No.347)。

(追記)
 以下の場合、契約内容を変更したものと扱われる(改正相続税法施行規則附則2条)。
  • 解約返戻金の額の変更
  • 定期金に代えて一時金の給付を受けることが出来る契約に係る一時金の額の変更
  • 給付期間や給付額の変更
  • 予定利率の変更
  • 契約者や受取人の変更
  • 権利の取得時期の変更

【参考】「定期金に関する権利の評価が変わりました」 国税庁HP

10-03-11
グループ法人単体課税制度(何に役立つのか)

 まだまだ考え切れていないのですが、「あまり使えないのではないか?」という現時点での考えをメモしておきます。

1)相続対策
 まず思いつくのが、「親の保有する会社から子の保有する会社へ財産を譲渡する」ことです。個人による完全支配関係下にある会社間での取引ですから、寄付金・受贈益の損金・益金不算入制度の適用はありません。したがって、等価交換(子の会社に移動する財産と同価値の対価を親の会社に支払う必要がある)が前提となりますので、基本的には相続対策にはならないのではないかと思います。

2)所得の流れの変更、損益通算、繰越欠損金の有効利用
 次に、赤字体質の会社へ黒字体質の会社の財産を譲渡することで所得の流れを変えることが考えられます。例えば、黒字体質の会社の事業資産を赤字体質の会社へ移し、その事業資産を黒字体質の会社へ賃貸すれば、赤字体質の会社に賃貸収入(固定収入)が生じて赤字と相殺することができます。黒字体質の会社ではその分所得を減らすことができ、連結納税のような損益通算を実現することが可能となります。
 しかし、財産の移動に伴う不動産取得税や登録免許税を考えると、グループ税制を利用した譲渡よりも、組織再編を利用したほうが良いと言えそうです(平成22年改正では、無対価組織再編も整備されます)。この不動産の移動に係る税金を考慮すると、適格現物分配や適格現物分配と100%子会社の清算に伴う繰越欠損金の引継制度の組合せスキームなども実は使えない(それなら素直に吸収合併すれば良い)のではないかという気がしてきます。

3)100%親子会社間での資金の融通
 この点はやりやすくなりそうです。親会社が100%子会社に無利息融資をしても、法人による完全支配関係下にある会社間での取引ですから、寄付金・受贈益の損金・益金不算入制度が適用されます。
 また、100%子会社から親会社に配当を行った場合には、全額益金不算入となります。

 ただ、この「寄付金・受贈益の損金・益金不算入制度」は問題ありのような気がします。利益積立金が動くか動かないかは、会計処理次第となります。例えば、100%親子会社間で無利息融資の契約を結んだとします。ほとんどの中小企業では、利息相当額について、親会社で寄付金を計上し、100%子会社で受贈益を計上するなんていう会計処理は行わないことが想定されます。その場合は、利益積立金は動きませんし、逆に利益積立金を動かしたいと思えば、寄付金・受贈益を計上すれば良いわけです。



10-03-04
経営承継円滑化法施行規則改正案

 施行規則改正案 附則

 特別子会社が外国会社である場合に、事業承継税制の適用会社の常時使用従業員数を1人以上から5人以上とする税制改正に対応して、経営承継円滑化法施行規則も改正するようです。
 


10-03-02
従来のグループ概念と今後の完全支配関係

 「組織再編税制、連結納税制度、そして平成22年度税制改正で導入されるグループ法人単体課税制度は、企業グループの税制と言えますが、今回の税制改正で、(意図的でないかもしれませんが)グループ概念が変容してしまっています。」と講演で聞いてきました。

 そこで、私なりに整理すると、従来のグループ概念は、上(頂点の支配者)から下にグループを捉えているのに対し、今度のグループ概念は、下(取引当事者)から上に遡りながら、支配者・完全支配者を特定していくのではないかと思いました。

 例えば、
  個人A(100%株主) − P社(100%株主) − S社 という資本関係を考えてみます。

 従来は、P社もS社も個人Aに100%支配されるグループであると捉えていました。

 対して、平成22年度税制改正による寄付金損金不算入・受贈益益金不算入制度が適用される「法人による完全支配関係」を考えてみると、上記の資本関係は、P社・S社間の取引においては、P社にS社が完全支配される関係(法人による完全支配関係)と捉えるのであり、個人AにP社・S社が完全支配される関係(個人による完全支配関係)とは捉えないと思われます。

 それでは、このグループ概念の変容が、組織再編の適格要件の判定に影響を及ぼすのかということになると、
法法2―銃鵑亮靴力察ヾ袷柑拉朶愀
 
 一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。
 「いずれか」ではなく、「又は」となっていますので、P社による完全支配関係なのか、個人Aによる完全支配関係なのかを適格要件判定時においては区別する必要がなくなっているようです。

 次に、
  個人A(100%株主) − P社(50%株主) − S社
  個人A(100%株主) − D社(50%株主) − S社 という資本関係を考えてみます。

 S社とD社の関係は、下から上へ遡りますと、D社にS社が完全支配される関係ではないため、S社・D社の共通の完全支配者を探して遡ると個人Aに辿り着きます。よって、「個人による完全支配関係」に該当するのだと思います。

 個人Aを頂点とする完全支配関係ピラミッドに、D社とS社が属するからと言って、D社とS社には「法人による完全支配関係」はないと思われます。以前から「一の者」という表現が非常に気になっていたのですが、完全支配者である「一の者」=1法人、1個人の同族グループ を下から上へ遡りながら特定するのだと考えると、妙に納得できてしまいます。

 仮に、持株会社X社を設立したならば、S社・D社の共通の完全支配者はX社となり、「法人による完全支配関係」に該当するのだと思います。
  個人A(100%株主) − X社(100%株主) − P社(50%株主)−S社
              X社(100%株主) − D社(50%株主)−S社



10-02-26
相続税の障害者控除
  • 控除額=@6万円(又は@12万円)×(85歳−控除を受ける相続人の年齢) (相法19の4)
 ⇒「70歳に達するまでの年齢」を「85歳に達するまでの年齢」に改正



10-02-26
排出権価格推移

 このようなものが開示されているということを初めて知ったので。
 日経・JBIC排出量取引参考気配
  • 大体7日おきに開示されている。
  • 2008年には3800円/tを付けたものの、現在は、1500円/t弱。(2008年の経済危機の影響とのこと)



10-02-25
適格現物分配
  • 100%子会社(内国法人)が、(1)剰余金の配当(2)資本の払戻し(3)自己株式取得 等により、親会社(内国法人)に金銭以外の資産を交付する場合に、適格現物分配に該当する(法法2―銃鵑力察⊇銃鵑力擦瞭鵝⊇銃鵑僚集沺法
  • 現物分配法人では、交付資産を簿価譲渡したとして処理される(法法62の5)。
  • 被現物分配法人では、受取配当額が全額益金不算入となる(法法62の5ぁ法E格現物分配による受取配当については、受取配当金益金不算入制度の対象外となっている(法法23 法
 【疑問】わざわざ、法法62の5い鮴澆韻深饂櫃蓮法法23の対象としても、完全子法人株式に係る配当として全額益金不算入となるが...ただし、「配当の計算期間」の問題あり。法法62の5い任△譴弌100%子会社化した直後に現物分配を行っても全額益金不算入となる。
 【疑問】金銭と現物を同時に分配した場合には、金銭部分と現物部分とに分けて処理するのか。それとも、金銭が混じった時点で現物分配の定義(法法2―銃鵑力察砲乏催しなくなるのか(それは無いかも)
  • 被現物分配法人では、株式譲渡損益を認識しない(法法61の2亜法グループ法人単体課税の譲渡損益の繰延(法法61の13 砲箸楼曚覆蝓⊂渡損益を生じさせない(ゼロとする)。



10-02-25
100%子会社からの受取配当金(全額益金不算入)
  • 連結子会社からの受取配当金のみならず、100%子会社(内国法人)からの受取配当金であれば、その全額が益金不算入となる(法法23ぐ譟法
    • 「連結法人株式等」から「完全子法人株式等」へ
    • 完全子法人株式等とは、配当の計算期間を通じて完全支配関係にあった100%子会社の株式のこと。
 【疑問】「配当の計算期間」とは?



10-02-24
100%グループ内の非適格合併
  • 被合併法人においては、移転資産(の内、譲渡損益調整資産)の譲渡損益が繰り延べられる(法法61の13 法
  • 合併法人においては、移転資産を時価で受入れるのが原則だが、譲渡損益調整資産については、被合併法人における合併直前の簿価で受入れることになる(法法61の13А法
    • 含み益のある資産の取得価額 = 時価 − 繰延譲渡益
    • 含み損のある資産の取得価額 = 時価 + 繰延譲渡損



10-02-24
グループ法人単体課税制度(繰り延べた譲渡損益の実現2)
  • 完全支配関係が消滅した時点でも、繰延譲渡損益は実現する(法法61の13)。
  • 被合併法人が有する繰延譲渡損益は、被合併法人と完全支配関係にある内国法人を合併法人とする適格合併に限り、合併法人に引継がれる(法法61の13ァ法
  • 被合併法人が有する繰延譲渡損益に係る資産は、被合併法人と完全支配関係にある内国法人を合併法人とする適格合併に限り、合併法人に引継がれる(法法61の13Α法



10-02-22
「事業承継の法律実務と税務Q&A」をご購入いただいた方へ

  平成22年度税制改正に伴う修正点をメモしてみました。ご参考まで。
 事業承継の法律実務と税務Q&A



10-02-22
事業承継税制の改正点

 平成22年度税制改正法案によると、事業承継税制について2点、大きな改正が入っています。

 1つは、後継者グループに支配される外国会社の株式を、事業承継税制の適用を受ける会社やその子会社が保有している場合、事業承継税制の適用を受ける会社の常時使用従業員の数は1人では足りず、5人以上必要であると改正されました(新措法70の7一ホ)。

 もう1つは、後継者グループに支配される外国会社の株式やその他政令で定める法人の株式を、事業承継税制の適用を受ける会社やその子会社が保有している場合、それらの株式を保有していないとして、納税猶予額を計算すると改正されました(新措法70の7五)。つまり、承継する株式の価値に占める外国会社の価値相当分は、納税猶予しないということです。

 外国に子会社を有する会社では、事業承継税制のメリットが縮小したと言えそうです。

 なお、類似業種比準方式を採用する会社と純資産価額方式を採用する会社とでは、この改正の影響度合いが、かなり異なるのではないかと思われます。外国会社株式等を保有しないとした場合の具体的な評価方法については、今後の通達改正等を待つことになります。



10-02-15
グループ法人単体課税制度(繰り延べた譲渡損益の実現)

 平成22年度税制改正法案が公表されました。

 減価償却資産をグループ会社に譲渡することにより繰り延べられた譲渡損益は、毎期の減価償却に応じて実現させるとのこと(改正法法61条の13◆法

 面倒ですね。勘弁して欲しいですが、譲受法人側で簿価引継ぎでなく、時価受入れをするわけですから、このような調整をしないと、課税繰延策が横行してしまいますね。
 法人税がどんどんテクニカルになっていきます。税務職員のほうが付いてこれないのではないですかね。余計なお世話ですが。

<調整例>
 A法人がB法人へ、簿価100、時価500の減価償却資産を譲渡した。
 A法人では、譲渡益400が繰り延べられます。
 B法人は、500で資産を取得し、5年間にわたり100ずつ減価償却費を計上します。

 譲渡がなければ、A法人で5年間にわたり20ずつ減価償却費が計上されていたはずなのに、何も調整をしなければ、当該譲渡によりグループ全体の減価償却費を80(=100−20)増やすことができてしまいます。

 そこで、A法人側で80(繰延譲渡益400÷5年)ずつ毎年、譲渡益を実現させるという調整を入れるわけです。

 連結財務諸表作成時の未実現損益の修正仕訳と同じ処理です。これを中小企業に強制するわけですね。



10-01-25
新事業承継税制と相続財産を譲渡した場合の取得費特例

 次の通達が公表されました。
措通39-7の2(非上場株式等について相続税の納税猶予を受ける場合の相続税額)
 
 相続人のうちに措置法第70条の7の2《非上場株式等についての相続税の納税猶予》の規定の適用を受ける経営承継相続人等がいる場合には、措置法第39条第1項の規定により、当該経営承継相続人等が譲渡した資産の取得費に加算すべき金額は、措置法第70条の7の2第2項第5号又は措置法令第40条の8の2第18項《非上場株式等についての相続税の納税猶予》に規定する納税猶予分の相続税額を含む相続税額(当該相続税額の計算上相続税法第19条、第20条《相次相続控除》、第21条の15又は第21条の16の規定の適用がある場合には、これらの規定により控除される贈与税額又は相次相続控除額を加算した金額)を基礎として計算することに留意する。

 後継者が土地と自社株式を相続し、一定期間内に当該土地を譲渡して取得費特例を適用した場合、加算する相続税額の計算に際しては、納税猶予された自社株式に係る相続税分も含めて計算するということですね。

 ちなみに、後継者が自社株式を譲渡した場合でも、取得費特例の適用を受けることができると思いますが、肝心な納税猶予が取り消されてしまいますね。



10-01-22
グループ法人単体課税制度の適用範囲

 T&Amaster No.338に、グループ法人単体課税制度の適用範囲について解説がされていました。

 グループ法人単体課税制度は、個人を頂点とする企業グループにも適用されると税制改正大綱に書かれています。その「個人」とは、特定の個人なのか、それとも組織再編税制と同様に同族関係者を含むのかということが、同業者の間では話題となっていました。

 この点につき、T&Amasterでは、「個人」には同族関係者も含むと、(上記のような問題意識があるのかどうか分からないほど)さらりと解説されています。その一方で、個人を頂点とする企業グループにおいても、受贈益の益金不算入が適用されるとのこと。

 組織再編税制との整合性とか、グループ法人単体課税制度自体のシンプルさという面では、このほうが良いですね。しかし、今回封じ込めようとしている恣意的な取引とは別の恣意的な取引を引き起こさせる原因にもなりそうです。



10-01-16
給与所得の源泉徴収票等の交付義務

 支払調書の季節です。法律で交付が義務付けられている法定調書って、結構限られているのですね。
詳しくは、国税庁HPを参照ください。
法律で支払を受ける者等への交付が義務付けられている法定調書は、次のとおりです。
(1) 給与所得の源泉徴収票
(2) 退職所得の源泉徴収票
(3) 公的年金等の源泉徴収票
(4) オープン型証券投資信託収益の分配の支払調書(支払通知書)
(5) 配当等とみなす金額に関する支払調書(支払通知書)
(6) 特定口座年間取引報告書



10-01-08
非上場株式鑑定ハンドブック―評価・価格決定の理論と実践

 「よくわかる自己株式の実務処理Q&A」のはしがきで、本書とともにご利用くださいと書いた株式評価の本が、昨年12月に発売されました。奥の深い分野ということもあり、執筆に時間がかかってしまったようです。

 法律・制度と経済合理性とのインターフェイスの部分であり、実務では、株価評価やその判決、移転価格税制どれをとってみても、いい加減なことが行われていると言わざるを得ないのが現状ですね。口を空けてれば、餌がもらえるという分野ではありません。答えは自分の良心に基づいて、自分で考えろという部分が多分にありますが、その自分で考えるための助けになる1冊だと思います。
  非上場株式鑑定ハンドブック―評価・価格決定の理論と実践



10-01-06
包括利益の表示(中小企業への影響)

 平成23年3月期決算より、当期純利益の下に包括利益を表示しなければいけません。連結財務諸表だけでなく、個別財務諸表においても包括利益の表示が求められるため(平成22年3月25日の会計基準委員会の公表資料によれば、意見がまとまらず検討継続とのこと。)、中小企業にも関係ないとは言えません。

 とは言うものの、
1)従来の「評価・換算差額等」を「その他の包括利益」という名前に変更する。
2)株主資本変動計算書の「当期変動額合計欄」の評価・換算差額等の金額をPLの末尾にくっつける。

だけです。中小企業にとっては、「会計ソフトをバージョンアップしなくてはいけない」ことが最も大きな影響ではないでしょうか。


◆財務諸表が、次のように変わります。
 貸借対照表・株主資本等変動計算書:「評価・換算差額等」を「その他の包括利益」という名前に変更する。
 損益計算書:損益計算書に加えて包括利益計算書を作成する or 一つの計算書にまとめて、「損益及び包括利益計算書」を作成する。

<包括利益計算書>
当期純利益            500
その他の包括利益
  その他有価証券評価差額金   100
  繰延ヘッジ損益         50
               _____
    その他の包括利益合計   150
               _____
包括利益             650
               =====
<損益及び包括利益計算書>
売上高            10000
 :
               _____
当期純利益            500
               _____
その他の包括利益
  その他有価証券評価差額金   100
  繰延ヘッジ損益         50
               _____
    その他の包括利益合計   150
               _____
包括利益             650
               =====



10-01-01
今年もよろしくお願いします
 昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いします。


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(大茅の輪(おおちのわ) 亀戸浅間神社)

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