arita office homepage SINCE 2008

12-12-28
オプション取引の有効性

 オプション取引の有効性について、ヘッジ会計では、.妊螢丱謄ブ比較法(ヘッジ対象の時価変動額とヘッジ手段の時価変動額を比較する方法)に加え、基礎商品比較法(ヘッジ対象の時価変動額とデリバティブの基礎商品の時価変動額を比較する方法)が認められています。

 これに対して税務では、デリバティブ比較法は法人税法施行令121条1項で規定しているのに対し、基礎商品比較法は質疑応答事例「オプション取引の有効性判定の方法について」で認めているに過ぎません。

 この記事に紹介されている事例では、通貨オプションの有効性を巡り、デリバティブ比較法では「有効でない」、基礎商品比較法では「有効」という結果となったため、税務署は「有効」との判断をしました。

 対して、納税者側は「税務署の判断は、法人税法施行令121条1項の認めない基礎商品比較法を適用している点で違法」と主張し、裁判で勝訴しています。


 万が一ですが、この判決を受けて、税務上は基礎商品比較法による有効性判定は行わないということになったら大変なことになりますね。外貨建資産を通貨オプションでヘッジする場合、デリバティブ比較法で「有効」となるケースはほとんどないと思われますので。

 基礎商品比較法も法人税法施行令121条に取り込まれることになるのでしょうか。

【参考】T&A master No.479 「オプション取引の有効性判定で国敗訴」



12-12-27
(旧商法上の)株式消却の伴う有償減資と寄付金課税

 T&A master No.479 「詳報・払戻限度額超過額の寄付金該当性を巡る裁判」 を読んだ感想です。
┌─────────────────────────────────┐
│<設例> 100%子会社が株式消却の伴う有償減資を行う               │
│ 払戻限度額      500,000円(1株あたり@100円)             │
│ 株価(第三者評価額) @500円                                   │
│ 発行済株式数     5,000株                                   │
│                                                                  │
│ 1,000株を消却し、@100円×1,000株=100,000円の払戻した。        │
└─────────────────────────────────┘
  • 税務署は、1,000株の消却に対する適正対価は @500円×1,000株=500,000円なので、差額の400,000円は親会社から子会社への寄付金であると認定。
  • 納税者は、払戻限度額を超える額(400,000円)を実際に受領したならば、それは違法・無効な収益なので、寄付金該当性要件の1つである対価性要件(経済的利益を対価なく他に移転していること)を満たさないと主張。
  • 東京地裁は、100,000円を払い戻したかったのであれば、100,000円÷@500円=200株を消却すべきであり、そのような合理的な選択肢を有していたのにも係わらず、それを選択しなかった納税者が悪いと判断(国側の勝訴)


 納税者の屁理屈を裁判所が認めなかった事例という評価もあるのかもしれません。

 その一方で、上記取引は、
┌─────────────────────────────┐
│無償減資 + 100,000円の配当 + 5株を4株とする株式併合 │
└─────────────────────────────┘
と経済的実質が同じです。このような取引の組み合わせであれば、寄付金課税は生じなかったはずです。経済的実質に着目すると、寄付金認定は、少し厳しいのではないかと思いました。



12-12-19
欠損金の繰越期間

 忘れてしまいそうなので、メモです。
平成13年4月1日以後開始事業年度7年
平成20年4月1日以後終了事業年度9年


12-12-11
第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ

 法基通9-6-1(4) に関する、質疑応答事例が公表されています。
法基通9-6-1(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
 
 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
 
 (4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

 当該通達を適用する際の判断ポイントをまとめてみました。
  • 債務免除が贈与と認められる場合には、寄付金となる(質疑応答事例)。
  • 「相当期間」とは、回収可能か否かを判断するために必要な期間であり、個別判断(質疑応答事例)。
  • 「相当期間」とは、債務超過の状態が少なくとも数年以上にわたり継続すること。ただし、災害・取引先の倒産その他経済事情の激変などの特別な事由による場合には、個別に判断する(法人税基本通達の疑問点)。
  • 債権回収の努力、回収できないことが決定された経緯など総合的に判断すべき。単なる債務者の所在不明、事業閉鎖、刑の執行等の外的事実のみでは直ちに貸倒れと認めることはできない。(法人税基本通達の疑問点)。
  • 債務超過の判断は時価ベースが原則(法人税基本通達の疑問点)。
  • 債権放棄通知書は公正証書とする必要はない(質疑応答事例)。
  • 書面交付の事実を明らかとするために、内容証明郵便とするのが望ましい(質疑応答事例)。
  • 当事者間の協議により締結された契約による必要がなく、債権放棄通知書を一方的に送付することで足りる(法人税基本通達逐条解説)。
  • 債務者の債務超過の状態の如何によっては、一部債務免除の場合も、当該免除額について、貸倒損失を計上できることがある(法人税基本通達逐条解説)。



12-12-06
「残余財産がないと見込まれるとき」の判定について

 解散した法人において、残余財産がないと見込まれるときは、期限切れ欠損金の損金算入が認められています(法法59)。

 この「残余財産がないと見込まれるとき」の判定について、質疑応答事例が公表されています。

 「残余財産がないと見込まれるとき」は、法基通12-3-8及び12-3-9にて、以下のように説明されています。
法基通12-3-8(残余財産がないと見込まれることの意義)
 
 解散した法人が当該事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときは、法第59条第3項《解散した場合の期限切れ欠損金額の損金算入》に規定する「残余財産がないと見込まれるとき」に該当するのであるから留意する。
法基通12-3-9(残余財産がないと見込まれることを説明する書類)
 
 規則第26条の6第3号《会社更生等により債務の免除を受けた金額等の明細等に関する書類》に定める「残余財産がないと見込まれることを説明する書類」には、例えば、法人の清算中に終了する各事業年度終了の時の実態貸借対照表(・・・)が該当する。
 
(以下、省略)

 質疑応答事例では、清算事業年度で生じる未払法人税等やその他税務上実現していない見込み費用なども実態貸借対照表に計上した上で、残余財産がないと見込まれるか否かの判定を行うとしています。



12-12-05
合併費用の会計処理・税務処理

1)合併を実行するために外部アドバイザーに事前に支払う費用
_餬彌萢
取得費関連費用その他費用
パーチェス(取得)取得原価に含める発生時の費用
共通支配下取引など発生時の費用発生時の費用

 取得費関連費用とは、企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められるものをいいます。

 具体的には、「企業結合を成立させるために取得企業が外部のアドバイザー(例えば投資銀行のコンサルタント、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士等の専門家)に支払った交渉や株式の交換比率の算定に係る特定の報酬・手数料等」とされています(企業結合適用指針48項)。

 なお、取得費関連費用を取得原価に含めずに、発生時の費用とする改正が検討されています。

∪婆浬萢
 外部アドバイザー費用は、販管費(法法22F鵝砲乏催するため、損金算入時期は法基通2-2-12の基準によって判定します。判定の結果、合併日よりも前に損金算入されることも考えられます。
法法22F
 
 3  内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
 ◆2  前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。) の額
法基通2-2-12
 
 法第22条第3項第2号(損金の額に算入される販売費等)の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件のすべてに該当するものとする。
 (1)当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
 (2)当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
 (3)当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

2)社名やロゴの変更に伴う支出
商標登録を行う場合商標権(無形固定資産)
商標登録を行わない場合開発費(繰延資産)

‐ι幻
 税務上、商標権の耐用年数は10年とされており(耐用年数省令別表第3)、損金経理額の範囲内で減価償却費を損金算入することになります。

 一般的には、税務処理に倣った会計処理がなされると思われます。

開発費
 会計上は、「実務対応報告第19号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」に従って処理されます。
(5)開発費の会計処理
 
 開発費は、原則として、支出時に費用(売上原価又は販売費及び一般管理費)として処理する。
 ただし、開発費を繰延資産に計上することができる。
 この場合には、支出のときから5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却しなければならない。

 税務上は、任意償却が認められています(法令14]察法


 なお、当該支出の効果が及ぶ(又は事業の用に供される)のは、合併日以後であるため、合併日以後に(商標権・開発費の)償却が開始されることになります。

【参考】T&A master No.475 【税務マエストロ】合併に伴う新社名等の制作に係る費用の取扱い



12-11-06
金融担当大臣談話−中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針等について−

原文はこちら

 中小企業金融円滑化法の再延長は行わない(平成25年3月末で期限切れ)ということを受けて、次のような金融担当大臣談話が公表されています。

◆中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針

(金融機関の役割)
 金融機関が、個々の借り手の状況をきめ細かく把握し、他の金融機関と連携を図りながら、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到来後においても何ら変わるものではありません。
 金融庁としては、円滑化法の期限到来後も、貸し渋り・貸し剥がしの発生や倒産の増加といった事態が生じないよう、引き続き、日常の検査・監督を通じて金融機関に対し、他業態も含め関係金融機関と十分連携を図りながら、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるよう促してまいります。

(検査・監督の対応)
 こうした金融検査・監督の目線やスタンスは、円滑化法の期限到来後も、これまでと何ら変わることはありません。
 なお、金融検査マニュアル等で措置されている、中小企業向け融資に当たり貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないための要件(注)は恒久措置であり、円滑化法の期限到来後も不良債権の定義は変わりません。
 (注)「経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合」や「5年以内(最長10年以内)に経営再建が達成される経営改善計画がある場合」は、不良債権に該当しません。
 その上で、個々の借り手の経営改善に具体的にどのように密着して取り組んでいるのかについては、検査・監督において従来以上に光を当ててまいります。

(借り手の課題解決)
 借り手が抱える経営課題は様々であり、また、そうした課題の解決には相応の時間がかかることは十分認識しています。借り手が引き続き課題の解決に向けて努力していくことは重要ですが、全ての借り手に対して来年3月末までに何らかの最終的な解決を求めるというものではありません。
 したがって、金融機関に対しては、自らのコンサルティング機能を積極的に発揮し、それぞれの借り手の経営課題に応じた最適な解決策を、借り手の立場に立って提案し、十分な時間をかけて実行支援するよう促してまいります。

(現場への周知徹底)
 以上を踏まえ、金融機関に対しては、こうした金融庁の検査・監督の方針を営業の第一線まで周知徹底し実践するとともに、今後も、更には円滑化法の期限到来後においても当金融機関の顧客への対応方針が変わらないことを個々の借り手に説明するよう促してまいります。





12-09-24
個人組合員の組合損益の所得区分(再び)

 個人組合員の組合事業に係る所得の計算方法を定める所得税基本通達36・37共−20が一部改正が入りました。
┌──┐
│従来│総額法を原則とするが、継続適用を条件に中間法・純額法も認める。
└──┘
┌──┐
│今後│総額法を原則とする。総額法の採用が困難な場合には、継続適用を条件に中間法・純額法も認める。
└──┘
 法人組合員と同様、「課税上弊害がない限り」という条件が付くのかなと思っていましたが、「総額法の採用が困難な場合には」という条件が付されました。


【参考】11-10-28 個人組合員の組合損益の所得区分




12-09-19
消費税率UPに伴う経過措置

消費税率UPのタイミング
 平成26年4月1日から8%にUP
 平成27年10月1日から10%にUP

原則
 平成26年4月1日(平成27年10月1日)以後の課税資産の譲渡等に新税率を適用
※平成26年3月31日に仕入れて、4月1日に販売した場合。仕入は5%・販売は8%となる。
※返品に適用する税率は、処理を統一することを前提に取引当事者間の取り決めに従う(例.平成24年4月の返品は5%、5月以降の返品は8%)。

例外(8%UP時の経過措置)
[紅顱映画等の入場料金(前売乗車券、回数券、定期券、プロ野球の年間予約席 など)
 平成26年3月末までに購入し、平成26年4月1日以後に乗車(入場)⇒5%を適用

電気料金
 平成26年4月末までの検針により料金が確定する電気代⇒5%を適用

9事・ソフトウエア開発の代金(完成物の一括引渡しが行われる長期請負契約)
 平成25年9月末までに契約し、平成26年4月1日以後に完成物の引渡し⇒5%を適用
※平成25年10月1日以後に増額した場合、その増加額には新税率を適用
※平成25年10月1日以後に契約した場合でも、平成26年3月31日までの期間に対応する部分の対価の額を、平成26年3月31日までに終了する事業年度において、工事進行基準により計上する場合には、5%の適用が認められる方向。

 【設例】据付工事を含む機械装置(既製品)の販売
  契約日:平成25年9月末以前(機械装置代金5000万円、据付工事代金100万円)
  納品日:平成26年5月

  機械装置代金5000万円⇒5%を適用
  据付工事代金 100万円⇒5%を適用

  ※他にも、単なるマンションの販売では経過措置の対象にならないが、内装変更オプション等(工事請負契約に類する契約)が付いたマンションの販売であれば経過措置の対象となる。
  ※特注の機械装置の製造請負契約であれば、当然に経過措置の対象となる。

ど堝飴債詑漾Ε蝓璽垢猟村變繊瞥弖錣鯔たす賃貸借契約)
 平成25年9月末までに契約し、平成26年4月1日以後も継続する資産の貸付け⇒5%を適用
※平成25年10月1日以後に賃借料を変更した場合、変更後の賃借料全額に新税率を適用
《要件》・・(a)又は(b)を満たすこと
 (a)貸付期間・賃借料が定められている & 賃借料の変更不可
 (b)貸付期間・賃借料が定められている & ノンキャンセラブル・フルペイアウト
  ※自動継続条項ありの場合、契約期間のみ5%。継続された期間は新税率。
  ※賃借料が定められている=賃借料の総額が確定している。
  ※賃借料変更不可の定めがあるものの正当な理由により賃借料が増減した場合、(当然に)変更後は新税率。変更前の5%適用は否認されない。
  ※経過措置の適用を受ける場合には、賃借人も5%の仕入税額控除となる。そこで、賃借人に請求書等で経過措置対象取引であることを通知する必要がある。

ゴШЯ鮑廚覆匹領繕癲瞥弖錣鯔たす役務提供)
 平成25年9月末までに契約し、平成26年4月1日以後に役務提供⇒5%を適用
※平成25年10月1日以後に料金を変更した場合、変更後の料金全額に新税率を適用
《要件》・・以下の全てを満たすこと
 ・代金の全額又は一部を前払する
 ・役務提供日をあらかじめ定めることができない(日程その他を調整して役務提供日を決める)
 ・料金が定められている
 ・料金の変更不可

δ命販売での購入費
 平成25年9月末までに配布したカタログにより平成26年3月末までに注文し、平成26年4月1日以後に商品の引渡し⇒5%を適用



12-09-07
株式譲渡承認請求を受けた場合の対応スケジュール

◆譲渡を承認せず、買取人が発行会社の場合

┌──────┐
│譲渡承認請求│
└─┬────┘
  │
  |2週間以内(会社法145一)
  | 期限内に譲渡承認請求者に通知しない場合、
  | 譲渡を承認したとみなされます。
  ↓
┌───────────┐
│譲渡承認可否の決定通知│
└─┬─────────┘
  │
  |40日以内(会社法145二)
  |  ※発行会社以外の者を買取人に指定した場合は10日以内
  | 期限内に譲渡承認請求者に通知しない場合、
  | 譲渡を承認したとみなされます。
  |
  | 当該通知書を送付する前に、売買代金相当額
  | の供託(会社法141◆砲伴己株式取得に係る
  | 株主総会特別決議(会社法156 砲鮃圓ι要
  | があります。
  ↓
┌─────────────────┐
│売買代金相当額の供託              │
│ 供託額=@簿価純資産額×買取株数│
├─────────────────┤
│自己株式取得に係る株主総会特別決議│
├─────────────────┤
│買取内容の通知                    │
│ ・発行会社で対象株式を買い取る旨│
│ ・買い取る対象株式の数          │
├─────────────────┤
│供託書の交付                      │
└─┬───────────────┘
  │
  │20日以内(会社法144ァ
  │ 期限内に裁判所に売買価格の決定の申立てを
  │ しない場合には、供託額をもって買い取る契
  │ 約が成立したものとみなされます。
  ↓
┌──────────┐
│当事者間の協議      │
├──────────┤
│売買価格の決定申立て│
└─┬────────┘
  │
  │譲渡承認請求日から2年以上
  ↓
┌─────────────┐
│裁判所による売買価格の決定│
└─────────────┘




12-08-31
適格合併と復興特別法人税

 以下に該当する適格合併を行った場合には、復興特別法人税の課税対象期間に注意が必要です。
 “鏐臺史/佑基準法人(※1)に該当すること。
 合併法人又は被合併法人の特定期間内(※2)に合併が行われたこと。
 ※1 基準法人とは、合併法人・被合併法人の中で、資本金が一番大きい法人のことです。資本金額が同額の場合には、総資産簿価で判定します。
 ※2 平成24年3月31日以前に設立された法人は、課税対象期間。平成24年4月1日以後に設立された法人は、指定期間(平成24年4月1日〜平成27年3月31日までの3年間)。

 ´△鯔たす適格合併の場合、合併法人の課税対象期間は、合併法人の合併前日までの課税対象期間 + 基準法人課税対象期間(合併日〜被合併法人の課税対象期間末日)となります。

【設例1】 合併法人が9月決算法人、被合併法人が3月決算法人、合併日:H25.10.1
 合併法人の課税対象期間(30ヶ月)
=合併法人の合併前日までの課税対象期間:H24.10.1−H25.9.30(12ヶ月)
+基準法人課税対象期間:H25.10.1−H27.3.31(18ヶ月)


【設例2】 合併法人が3月決算法人、被合併法人が9月決算法人、合併日:H25.4.1
 合併法人の課税対象期間(42ヶ月)
=合併法人の合併前日までの課税対象期間:H24.4.1−H25.3.31(12ヶ月)
+基準法人課税対象期間:H25.4.1−H27.9.30(30ヶ月)


【設例3】 合併法人が3月決算法人、被合併法人が12月決算法人、合併日:H24.10.1
 合併法人の課税対象期間(42ヶ月)
=合併法人の合併前日までの課税対象期間:H24.4.1−H24.9.30(6ヶ月)
+基準法人課税対象期間:H24.10.1−H27.9.30(36ヶ月)

(注)被合併法人の課税対象期間(合併しなかったとした場合)は、平成25年1月1日〜平成27年12月31日となります。被合併法人の課税対象期間の初日(H25.1.1)より前に合併が行われた場合には、合併日より3年間(H24.10.1−H27.9.30)を被合併法人の課税対象期間と考えます。


【設例4】 合併法人が12月決算法人、被合併法人が3月決算法人、合併日:H24.10.1
 合併法人の課税対象期間(33ヶ月)
=合併法人の合併前日までの課税対象期間:該当なし(0ヶ月)
+基準法人課税対象期間:H24.10.1−H27.6.30(33ヶ月)

(注)合併法人の課税対象期間(合併しなかったとした場合)は、平成25年1月1日〜平成27年12月31日となります。合併法人の課税対象期間の初日(H25.1.1)より前に合併が行われた場合には、合併非課税月数を基準法人課税対象期間に加算します。

<合併非課税月数の考え方>
 被合併法人の課税対象期間(合併しなかったとした場合)は、平成24年4月1日〜平成27年3月31日となります。
 しかし、合併により平成24年9月30日に解散するため、平成24年4月1日〜平成24年9月30日までしか課税されず、平成24年10月1日から平成24年12月31日までの3ヶ月間は、合併法人・被合併法人の両方ともに課税されません。
 そこで、この3ヶ月間を合併非課税月数と考え、被合併法人の課税対象期間末日(H27.3.31)に3ヶ月を加算した平成27年6月30日までを基準法人課税対象期間とします。


【設例5】 合併法人(H24.7.1設立)が12月決算法人、被合併法人が3月決算法人、合併日:H24.10.1
 合併法人の課税対象期間(33ヶ月)
=合併法人の合併前日までの課税対象期間:H24.7.1−H24.9.30(3ヶ月)
+基準法人課税対象期間:H24.10.1−H27.3.31(30ヶ月)

(注)合併法人の課税対象期間(合併しなかったとした場合)は、平成24年7月1日〜平成27年3月31日となります。合併法人の課税対象期間の初日(H24.7.1)より後に合併が行われていますので、合併非課税月数の考慮は不要となります。


【設例6】 合併法人が3月決算法人、被合併法人が12月決算法人、合併日:H27.10.1
 合併法人の課税対象期間(39ヶ月)
=合併法人の合併前日までの課税対象期間:H24.4.1−H27.3.31(36ヶ月)
+基準法人課税対象期間:H27.10.1−H27.12.31(3ヶ月)


《参考》復興特別法人税の概要 P.4〜5


 非常に煩雑ですね。どの会社を被合併法人にするかで損得が生じてしまいます。合併でなく吸収分割を選択するという話も出てくるかもしれません。

 ちなみに、古河スカイと住友軽金属工業の合併が先日、発表されましたので、検討してみましょう。【参考】適時開示資料

【設例7】 古河スカイと住友軽金属工業の合併
 合併法人:古河スカイ(資本金165億2840万円、3月決算法人)
 被合併法人:住友軽金属工業(資本金284億5900万円、3月決算法人)
 合併予定日:平成25年10月1日

◆要件の検討
 ‥格合併であること。
 被合併法人が基準法人に該当すること。
 9臺史/曜瑤枠鏐臺史/佑瞭団蟯間内に合併が行われたこと。

 ,亙かりませんが、ここでは適格合併に該当すると仮定します。少なくとも株式交付要件は満たしていると思われます。

 ◆↓は満たしていますので、復興特別法人税の課税対象期間に注意が必要ということになります。

◆合併法人の課税対象期間の算定
 合併法人の課税対象期間(36ヶ月)
=合併法人の合併前日までの課税対象期間:H24.4.1−H25.9.30(18ヶ月)
+基準法人課税対象期間:H25.10.1−H27.3.31(18ヶ月)


 結論としては、36ヶ月分しか、復興特別法人税は課税されない(合併しない場合と変わらない)ということになります。



12-08-30
事業年度を変更した法人と復興特別法人税

 平成24年3月31日以前に設立された法人が、指定期間 ( 平成24年4月1日〜平成27年3月31日までの3年間 ) 内に事業年度を変更した場合には、復興特別法人税の課税対象期間に注意が必要です。

【設例】 9月末決算法人が、平成27年に3月末決算に変更した場合の課税対象期間
 (神24年10月1日〜平成25年9月30日(12ヶ月)
 ∧神25年10月1日〜平成26年9月30日(12ヶ月)
 J神26年10月1日〜平成27年3月31日(6ヶ月)
 な神27年4月1日〜平成27年9月30日(6ヶ月)  の36ヶ月となります。

 なお、な神28年3月期の課税標準法人税額は、基準法人税額に6/12を乗じて計算します。


《参考》復興特別法人税の概要 P.25



12-08-30
平成24年4月1日以後に設立された法人と復興特別法人税

 指定期間 ( 平成24年4月1日〜平成27年3月31日までの3年間 ) 内に設立された法人については、復興特別法人税の課税対象期間に注意が必要です。

【設例1】 平成24年3月31日以前に設立された9月末決算法人の課税対象期間
 (神24年10月1日〜平成25年9月30日(12ヶ月)
 ∧神25年10月1日〜平成26年9月30日(12ヶ月)
 J神26年10月1日〜平成27年9月30日(12ヶ月)  の36ヶ月となります。

【設例2】 平成24年7月1日に設立された12月末決算法人の課税対象期間
 (神24年7月1日〜平成24年12月31日(6ヶ月)
 ∧神25年1月1日〜平成25年12月31日(12ヶ月)
 J神26年1月1日〜平成26年12月31日(12ヶ月)
 な神27年1月1日〜平成27年3月31日(3ヶ月)  の33ヶ月となります。

 なお、な神27年12月期の課税標準法人税額は、基準法人税額()に3/12を乗じて計算します。


《参考》復興特別法人税の概要 P.14〜15


 ※復興特別法人税=課税標準法人税額×10%
  基準法人税額=別表一(一)「2」欄−別表一(一)「3」欄+別表一(一)「5」欄



12-08-29
平成22年9月30日以前に解散した法人と復興特別税

 清算時のストック課税は廃止されましたが、平成22年9月30日以前に解散している場合には、従来どおりストック課税となります。

 ストック課税の場合、復興特別法人税は課されず、復興特別法人税申告書を提出する必要はありません。
復興特別法人税通達3(清算所得に対する法人税が課される法人の納税義務)
 
 復興財源確保法第42条《納税義務者》及び第44条《基準法人税額》の規定により、各事業年度の所得に対する法人税又は各連結事業年度の連結所得に対する法人税を課される法人が復興特別法人税の納税義務者となるのであるから、所得税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第6号。以下「22年改正法」という。)附則第10条第2項《法人税法の一部改正に伴う経過措置の原則》の規定によりなお従前の例によるものとされた清算所得に対する法人税を課される平成22年9月30日以前に解散した内国普通法人等(内国法人である普通法人又は協同組合等をいう。以下同じ。)は復興特別法人税の納税義務者とならないことに留意する。
 
(注) 清算中の所得に係る予納申告を行う内国普通法人等についても、復興特別法人税の納税義務者とならない。

 なお、清算中に課された復興特別所得税(受取利息の源泉税など)は、所得税の額と併せて法人税の額から控除します()。
復興特別法人税通達4(清算所得に対する法人税が課される法人の復興特別所得税額の控除)
 
 平成22年9月30日以前に解散した内国普通法人等が清算中に課された復興特別所得税の額については、22年改正法附則第29条の2《清算所得に対する法人税に関する経過措置》の規定により、当該内国普通法人等の清算所得に対する法人税の額から控除をされるべき所得税の額とみなされることから、清算中の所得に係る予納申告及び清算確定申告において、法人税の額から控除することができることに留意する。
 
(注) 清算確定申告において法人税の額から控除しきれなかった金額は、還付を受けることができる。

《参考》復興特別法人税の概要 P.12〜13


 ※復興特別所得税は、通常、復興特別法人税から税額控除します。



12-08-28
端株代金の交付と適格合併

 端株の譲渡代金を被合併法人の株主に交付しても、適格合併の要件の1つである株式交付要件を満たすという通達があります。
法基通1-4-2(合併等に際し1株未満の株式の譲渡代金を被合併法人等の株主等に交付した場合の適格合併等の判定)
 
 法人が行った合併が法第2条第12号の8《適格合併》に規定する適格合併に該当するかどうかを判定する場合において、被合併法人の株主等に交付された金銭が、その合併に際して交付すべき合併法人の株式(出資を含む。以下1−4−2において同じ。)に1株未満の端数が生じたためにその1株未満の株式の合計数に相当する数の株式を他に譲渡し、又は買い取った代金として交付されたものであるときは、当該株主等に対してその1株未満の株式に相当する株式を交付したこととなることに留意する。
 
 ただし、その交付された金銭が、その交付の状況その他の事由を総合的に勘案して実質的に当該株主等に対して支払う合併の対価であると認められるときは、当該合併の対価として金銭が交付されたものとして取り扱う。
 
 法人が行った株式交換又は株式移転が法第2条第12号の16《適格株式交換》又は第12号の17《適格株式移転》に規定する適格株式交換又は適格株式移転に該当するかどうかを判定する場合についても、同様とする。
 
(注) 当該1株未満の株式は、令第4条の3第4項第5号《適格合併の要件》、第16項第5号《適格株式交換の要件》及び第20項第5号《適格株式移転の要件》に規定する議決権のないものに該当する。

 それでは、次のようなケースも株式交付要件を満たすと言えるでしょうか。

【設例】
 合併比率() 1:0.01(被合併法人株式100株に対して、合併法人株式を1株割当てる)
 被合併法人の発行済株式数 60株

 この設例では、被合併法人株主に対して交付される合併法人株式の総数が0.6株にしかなりません。被合併法人株主には現金しか交付されないということになりますので、実質的に現金合併と代わらないのではないかという疑問が生じますが、この点について、「法人税基本通達の疑問点」に以下の解説がありました。


 〔承然等の方法で故意に株主を分散させ端株を生じさせる
 ∋前の株式併合により総株数を故意に調整し端株が生じるようにする
 9臺使耄等を故意に調整し端株が生じるようにする

ような場合には現金合併とみなされる(通達のただし書きが適用される)とした上で、
 ご質問のように被合併法人の株主の多くが端株になるような場合ですが、当該合併契約書において合併比率が合理的かつ的確に計算され、それに基づいて1株未満の株主の譲渡代金を被合併法人等の株主等に交付していることが明らかであることを条件に、本通達本文が適用されます。(P.23)

とのことです。「本通達本文が適用される」=株式交付要件を満たす ということですね。


 ※合併比率の意味は、「組織再編の手続」 P.54 の解説が分かり易いです。



12-08-24
キーエンスの事業年度変更

 日経新聞にキーエンスが事業年度を変更したことで40億円の節税となったという記事が載っていましたね。

 事業年度変更の理由として「税務メリットをより早く享受し企業価値の最大化を図ること」と、堂々と開示していることに関心が集まっているようです。私は事業年度の変更の仕方に興味を持ちました。

◆40億円節税の理由となった税制改正
 平成23年12月の税制改正により、法人税率が30%とから25.5%に引き下げられました。
 この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

 キーエンスは3月20日決算の会社です。税制改正は一般的に4月1日以後開始事業年度より適用されることが多いため、改正の内容が納税者に有利か不利かに係わらず適用が一番遅くなる傾向にあります。


◆キーエンスの事業年度変更の方法
 事業年度を変更するのであれば、普通は、3月末決算の会社にすることを考えると思います。

<3月末決算に変更>
 H24.3.21−H24.3.31 ←11日だけの事業年度を作る
 H24.4.1−H25.3.31
 H25.4.1−H26.3.31

 しかし、キーエンスは次のように事業年度を変更しました。

<特定の1事業年度のみを2つに区分>
 H24.3.21−H24.6.20
 H24.6.21−H25.3.20
 H25.3.21−H26.3.20 ←従来どおりの事業年度

 定款の変更方法なども参考になりました(上記のリンク参照)。


 この事業年度変更が、制度の濫用による租税回避に該当するのか否かという議論があります。

 外形標準課税を逃れるための減資と同じで、課税当局が問題視することはないのではという声も聞きます。

 堂々と「税務メリットをより早く享受する」なんてアピールをする必要はあったのでしょうか。「世間一般に併せて、3月末決算に変更しました」と言っておいたほうが、格好は悪いけど、リスクはより低く抑えられたのではないかと思うのは職業病かも知れません。他の実務的な配慮もした上での総合的判断なのでしょうね。



12-08-13
被合併法人から引継ぐ欠損金の帰属事業年度

 法令112△飽焚爾諒幻世追加されました。
同条第二項の内国法人の同項に規定する合併等事業年度が設立日(当該内国法人の設立の日をいう。以下この項において同じ。)の属する事業年度である場合において、被合併法人等九年前事業年度開始日が当該設立日以後であるときは、被合併法人等の当該設立日の前日の属する事業年度開始の日(当該被合併法人等が当該設立日以後に設立されたものである場合には、当該設立日の一年前の日)から当該前日までの期間を当該内国法人の事業年度とみなして、同条の規定を適用する。

 「合併等事業年度が設立日の属する事業年度である場合において、被合併法人等九年前事業年度開始日が当該設立日以後であるとき」という文言に惑わされますが、法法57△里っこ書との関係で整理すると分かりやすいのではないかと思います。

 法令112△膨媛辰気譴進幻世睨)57△里っこ書も、合併事業年度開始日後に開始した被合併法人の事業年度に係る欠損金の扱いを規定している点で同じだからです。
<法法57△里っこ書>
 当該内国法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の当該前九年内事業年度において生じた未処理欠損金額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度

◆合併事業年度開始日後に開始した被合併法人の事業年度に係る欠損金の扱い
々臺算業年度が合併法人の設立事業年度でない場合
 →法法57△里っこ書で処理

合併事業年度が合併法人の設立事業年度である場合
 →合併事業年度の前事業年度が存在しないため、法令112△乃属年度を規定している。

【例1】被合併法人は3月末決算法人。H24.1.1に合併法人を設立。H24.8.1に合併。
 →被合併法人のH24.4.1〜H24.7.31に生じた欠損金の帰属年度は、H23.4.1〜H23.12.31となる。
  ※H24年3月期以前の繰越欠損金がないことが前提。
  ※H24年3月期以前の繰越欠損金がある場合における、H24.4.1〜H24.7.31に生じた欠損金の帰属年度が法令112△乃定しきれていない。
【例2】H24.1.1に合併法人を設立。H24.4.1に被合併法人を設立。H24.8.1に合併。
 →被合併法人のH24.4.1〜H24.7.31に生じた欠損金の帰属年度は、H23.4.1〜H23.12.31となる。


 例1・例2ともに、実務では、ほとんど出てこないと思われますので、「この追加文言で悩まないほうが良い」というのが、一番価値ある情報かもしれません。



12-07-20
T&Amasterのウェブページにあるすごい機能

 T&Amasterのウェブページでは、法令データベースが提供されています。

 法令データベースだけなら税務通信や総務省でも提供されていますが、T&Amasterのは、新旧の条文を比較する機能がついてることに気づきました。

 ↓こんな感じ↓


 この機能は、結構役立ちそうな気がします。



12-07-12
DESの消費税 と 自己株式取得の消費税 の共通点

 同業者の方に教えてもらいました。

 消基通5-2-1によれば、消費税法上の「資産の譲渡」とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいう とされています。

1)DES
“行法人
 発行法人におけるDESは資本取引であることから、消費税法上の「資産の譲渡」に該当せず不課税取引となります。

⊇仍饉
 出資者におけるDESは資本取引ではありませんが、拠出した貸付金は、発行法人では混同により消滅してしまいます(同一性が保持されません)。よって、消費税法上の「資産の譲渡」に該当せず、不課税取引となります。


2)自己株式取得
“行法人
 発行法人における自己株式の取得は資本取引であることから、消費税法上の「資産の譲渡」に該当せず不課税取引となります。

株主
 株主における自己株式の譲渡は資本取引ではありませんが、拠出した自己株式は、発行法人では株主権が消滅してしまいます(同一性が保持されません)。よって、消費税法上の「資産の譲渡」に該当せず、不課税取引となります(消基通5-2-9)。



12-07-11
Deed と 「in consideration of one dollar」

 アメリカの会社に不動産を現物出資する際は、名義移転登記書類(Deed)で不動産所有権の移転日(=現物出資実行日)を確認しています。

 このDeedを、辞書を引きつつ読んでいたところ、「in consideration of one dollar」という文言が出てきて、びっくり。

 「1ドルを対価として」という意味だよね??現金対価じゃ、適格現物出資にならないじゃん!

 と思いきや、翻訳をされている方のブログに助けられました。
英米法では、Considerationは単純契約の成立要件であり、Considerationがなければ、捺印契約を締結しない限り契約は成立しないため、無償の場合も、名目上1ドルを対価とするのだとのこと。

 定型文句に過ぎず、実際に1ドルを対価とするわけではないようです。



12-07-11
勤続年数5年以内役員の退職所得に係る2分の1課税の廃止

 平成25年1月1日以後に支払われるべき退職金に適用されるこの制度。勤続年数5年以内役員に対し、従業員退職金(2分の1課税の対象となる退職金)と役員退職慰労金(2分の1課税の対象とならない退職金)を同時に支払うと、退職所得の計算が複雑になります。

 さらに、使用人兼務役員を経て役員になった場合には、役員退職慰労金に係る退職所得控除額の計算に注意を要します。


 役員就任時に従業員退職金を打ち切り支給しておけば、複雑な計算をする必要がありませんので、実務上の対応策になるのかなと思います。

 役員勤続年数が5年超となれば、従来どおりの方法で退職所得を計算できますが、税金のために役員勤続年数をコントロールするというのは、本末転倒かもしれません。

[設例]
 従業員としての勤続年数:30年
 使用人兼務役員としての勤続年数:3年
 役員としての勤続年数(使用人兼務役員分を除く):2年
 総勤続年数:35年

 従業員退職金: 19,000,000円
 役員退職慰労金:1,000,000円 を役員退任時に同時に支給した。


STEP1(複雑な計算の要否判定)
 使用人兼務役員勤続年数(3年)+役員勤続年数(2年)=5年
→勤続年数が5年以内となるので、複雑な計算が必要となります。


STEP2(役員退職慰労金に係る退職所得控除額の計算)
 @20万円×使用人兼務役員勤続年数(3年)+@40万円×役員勤続年数(2年)=1,400,000円


STEP3(役員退職慰労金に係る退職所得額の計算)
 1,000,000円−1,400,000円=0円・・・2分の1課税の対象とならない退職所得額はゼロ

 役員退職慰労金に係る退職所得控除額の使用額=1,000,000円
→未使用額の400,000円は、従業員退職金から控除できます。


STEP4(従業員退職金に係る退職所得控除額の計算)
 800万円+@70万円×(総勤続年数35年−20年)−既に使用した額1,000,000円=17,500,000円


STEP5(従業員退職金に係る退職所得額の計算)
 {19,000,000円−17,500,000円}×1/2=750,000円


STEP6(合計退職所得額の計算)
 役員退職慰労金に係る退職所得額(0円)+従業員退職金に係る退職所得額(750,000円)=750,000円



12-05-23
法法132,繁)132の2 の違い

 T&Amaster No.449〜451で 『 組織再編税制を巡る否認が相次ぐ中、今明かされる「行為計算否認規定(法132条の2)の創設の経緯・目的と解釈」 』 という座談会の記事が3回に渡って、掲載されています。

 この記事を参考に、行為計算否認規定である 法法132,繁)132の2 の違いを整理してみました。

 まず、座談会記事から明らかなのは、「法法132,繁)132の2の適用要件は同じではない。」「法法132の2は伝家の宝刀ではない(実際に使う規定だ)。」という点です。


 では、どう違うのか。ここから自分の解釈が入りますが、行為にはレベルがあると。
┌──┐
│合併│
└┬─┘
 ├── 合併直前に合併法人の役員を被合併法人の役員にする。
 └── 合併直後に合併法人の株主が、合併法人株式を売却する。

 合併が第1レベルの行為だとすると、それに付随する行為が第2レベルというようなイメージです。

 法法132,蓮第1レベルの行為からして不合理というようなケースを念頭に置いているようです。「合併すること自体おかしい」として否認する規定だと。

 しかし、納税者が事業目的を全く説明できない合併なんて、ほとんどなく、何かしら説明がつくと思われます。

 また、会社法に基づいて適正な手続きを踏み、合併特有の効果を生じさせているにも係わらず、「そのような効果を生じさせるには、通常、合併によらず、○○という行為によるのであるから合併すること自体おかしい」と主張できるケースがどれだけあるのかと考えると、組織再編において、法法132,僚佝屬聾造蕕譴修Δ任后
 ※複数の組織再編を組み合わせるケースでは、「なんで、そんな組織再編やったの。入口と出口で何も変わってないでしょ。」というケースもありそうです。同族グループ企業内で、そのような組織再編を行えば、法法132,砲茲詒歿Г發△襪里もしれません。

 対して、法法132の2は、主に組織再編税制の濫用を防止するための規定であり、純粋な事業目的から合併を検討し始めたものの、検討の過程で、「よりおいしい合併をしたい」という方向に傾いていったケースを念頭に置いているようです。

 つまり、適格要件や欠損金引継要件などを満たす(又は、満たさない)ためだけに行われた第2レベルの付随行為について、「その付随行為は、合併後の事業統合を促進することを目的にしているのではなくて、租税回避が目的でしょ。それは、制度の濫用に他なりません。」として否認する規定だと。


 このように整理すると、次のような主張は通じないということが分かります。

「この合併には、きちんとした事業目的があるのだから、法法132の2による否認はおかしい。」
 ⇒法法132の2で、合併自体を否認しているわけではありません。


「各個別制度の規定(適格要件や欠損金引継要件など)は文理解釈されるべきである。」
 ⇒その通り。各個別制度の規定では否認されないが、各個別制度の趣旨から考えて適当でない → 各個別制度の規定を逆手にとった不合理な 行為を否認するのが、法法132の2です。



「税負担を減少させるのは、企業行動として当然に合理的な行為である。」
 ⇒制度の濫用を防止することを目的としている法法132の2において、想定している合理的な行為の範囲に、租税回避行為が含まれないことは言うまでもありません。


 そして、いつものことですが、どのような行為が租税回避行為なのか。「不当」「不自然」「不合理」な行為とは、どのような行為なのか。は、他人から教えてもらうようなことではない(具体的に規定できるようなものではない)と。
 ※節税メリットを享受すべき者が、そのメリットを他社に売却する(他社が購入する)行為は、少なくとも租税回避行為といえます。



12-05-16
個別対応方式における課税仕入の用途区分

 いわゆる「95%ルール」の見直しにより、多くの会社で、課税仕入の用途区分を行わなければならなくなったわけですが、通達では取引ごとに用途区分せよとしています(消基通11-2-18)。
消基通11-2-18(個別対応方式の適用方法)
 
 個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合には、その課税期間中において行った★個々の★課税仕入れ等について、必ず、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとに区分しなければならない。したがって、例えば、課税仕入れ等の中から課税資産の譲渡等にのみ要するものを抽出し、それ以外のものを全て課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして区分することは認められないのであるから留意する。

 取引ごとに用途区分をするなんて、やらされる経理担当者からすれば、「勘弁してくれ」という感じかなと思います。

 用途区分を意識した科目整理を行わないと、会社によっては実務が回らないかなと思っていたところ、その辺を考慮したQ&Aが出ていますね。
(問14)課税仕入れ等の用途区分を事業部門ごと(又は勘定科目ごと)に行うことは認められますか。
 
(答)
 事業部門ごとに業務内容が明確に区分されており、当該事業部門が課税資産の譲渡等のみを行う事業部門である場合には、その事業部門で行う課税仕入れ等について、個々の課税仕入れ等ごとに用途区分した結果と、事業部門ごとに用途区分した結果は同じになると考えられますので、このような場合には、事業部門ごとでの用途区分が認められます。
 
 しかし、その事業部門で行う業務内容が事業年度の途中で変更されるなど、事業部門ごとでの用途区分の判定が、個々の課税仕入れ等について用途区分を行った結果と異なることとなる場合には、その用途区分は誤っているということになりますので、注意が必要です。
 
 なお、上記のような考え方は、勘定科目ごとに用途区分を行う場合も同様です。

 同業者の方から「通達のルールをQ&Aで緩和している」と聞いて、なるほど、そういう整理なのだなと思ったところです。



12-05-09
圧縮(zip形式)フォルダにパスワードを設定する方法

 昔は、フリーの圧縮ソフトをダウンロードして、ファイルを圧縮していました。そんな経験が邪魔をして、圧縮ファイルにパスワードを設定するフリーソフトなんてのを探してみたのですが、良いソフトが見つかりません。

 今は、フリーソフトを探す必要はなくて、Windows自体にパスワード付き圧縮ファイルを作成する機能が付いているのですね。パスワードの設定方法を忘れそうなので、備忘メモです。※WindowsXPの機能でした。Windows7にはパスワード設定機能はないそうです。
  1. 作成した圧縮(zip形式)フォルダをエクスプローラーで開く(右クリックで開ける)。
  2. エクスプローラ内で右クリックをして「パスワードの追加」を選択する。
  3. 「パスワードの追加」画面に2回パスワードを入力すれば設定完了。

 難点を言えば、圧縮ファイルを開く時に1回だけパスワードの確認を求められる仕様だとうれしいかなと。圧縮ファイル内にある1つ1つのファイルを開くたびにパスワードの確認が求められる仕様となっています。



12-04-13
特定資産の買換え特例とグループ法人税制

 法人が長期保有する特定資産の買換え特例(措法65の7”酋紂砲惑兒澆陵縦蠅任靴燭、平成24年度税制改正により、一定の要件を加えた上で、適用期限が平成26年12月31日まで延長されました。
譲渡資産国内にある土地等、建物、構築物で、所有期間が10年超のもの
買換資産(※1)国内にある土地等(※2)、建物、構築物、機械装置、コンテナ用貨車
圧縮額Min(譲渡資産の譲渡価額、買換資産の取得価額)×(譲渡益÷譲渡資産簿価)×0.8
※1 譲渡日を含む事業年度に取得し、且つ、取得日から一年以内に事業供用する場合に限る。
※2 用途制限(事務所・工場などの敷地の用に供される土地等)と、面積制限(300岼幣紊療效賄)が平成24年度税制改正により追加された。


 この特例には譲渡先の制限がありません。完全支配関係にある他の内国法人に譲渡した場合にも適用することが可能です。そこで、グループ法人税制との関係が気になりました。

 同業者の方に教えていただいたのですが、圧縮後の譲渡益の額を繰延べるように、ちゃんと法令が手当てされていました(法令122の14)。
 3 法第六十一条の十三第一項 の内国法人が同項 に規定する譲渡損益調整資産を同項 に規定する他の内国法人に譲渡した場合において、その譲渡につき・・・租税特別措置法・・・第六十五条の七・・・の規定によりその譲渡した事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額(・・・)があるときは、当該譲渡損益調整資産に係る法第六十一条の十三第一項 に規定する譲渡利益額(・・・)は、当該損金算入額を控除した金額とする。



12-02-16
優先配当額の定め

 今まで、いくつかの優先配当株式の発行に携わってきましたが、初めて気付いたことがありました。

<司法書士から示された定款案>
 
。措鏗式1株あたりのA種優先配当金の額は、A種株式1株あたり100円とする。
 
△△觧業年度において、A種株主又はA種登録株式質権者に対して支払う1株あたりの剰余金の配当の総額が、A種優先配当金の額に達しないときは、その不足額は、翌事業年度以降に累積しない。


有田:「定款案,覆里任垢、100円★を上限★とする。に変更できませんか。」

司法書士:「できますけど、A種株式を発行する際に、取締役会で確定金額を定める必要があり、その確定金額を登記することになりますよ。」

有田:「そうすると、1株あたり80円の優先配当しかできない状況の時は、どうなるのですか?」

司法書士:「それは大丈夫です。80円の優先配当ができます。定款案の△波麥濱儼燭任△襪海箸鯆蠅瓩討泙垢韻鼻△海猟蠅瓩蓮■隠娃葦澆魏鴫鵑詛枦が行われることを前提とした規定になっているのですよ。」

有田:「なるほど。やはり、餅は餅屋ですね...」


◆◆ 後日 ◆◆

有田:「十数年前から優先配当を行っている会社があるのですが、この会社の登記簿を見ると、『○○円を上限とする』となってます。変更登記の必要がありますか。」

司法書士:「その会社は、会社法施行前に優先配当株式を発行しているのだと思います。その場合には、『○○円を上限とする』という登記のままで構わないんです。ややこしいですよね...」


《司法書士が参考資料として送付してくれた資料》
 これが新増減資だ種類株式だ のP.86〜P.87
 商業登記ハンドブック のP.248〜P.249

 ご興味のある方は、読んでみてください。



12-01-17
会社法中間試案−会社分割等における債権者保護

(参考)
 会社法制の見直しに関する中間試案とその補足説明

 現在、議論されている会社法改正案。あまり興味なかったのですが、会社分割(分社型分割)・事業譲渡における債権者保護についての改正案が雑誌で紹介されていて、自分にも多少関係してくるかなと思いました。

 試案を読む前の基礎知識として、会社分割における債権者保護の要否をまとめておきます。

(1)承継会社の債権者 → 全債権者の保護が必要
(2)分割会社の債権者
 A.分割型分割 → 全債権者の保護が必要
 B.分社型分割
  〆通海承継会社に免責的に移転する債権者 → 保護が必要
  ∈通海承継会社に移転する債権者(分割会社が併存的債務引受け) → 保護が不要
  債務が承継会社に移転しない債権者 → 保護が不要


 上記のような区別をせずに、全ての債権者を保護対象とすれば話は早いのですが、それでは迅速な組織再編が出来なくなってしまうので、債権者詐害的な会社分割における(2)−B−の債権者のみを保護しようというのが試案の内容です。

 (2)−B−△虜銚⊆圓蓮△發箸發畔割会社・承継会社双方に債務の履行を請求できるので保護する必要はありません。

 準備運動が終わったところで、試案を紹介します(以下、太字が試案)。

第6 会社分割等における債権者の保護

1 詐害的な会社分割における債権者の保護

 ゝ杣分割会社又は新設分割会社(以下第6において「分割会社」という。)が、吸収分割承継会社又は新設分割設立会社(以下第6において「承継会社等」という。)に承継されない債務の債権者(以下「残存債権者」という。)を害することを知って会社分割をした場合には、残存債権者は、承継会社等に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができるものとする。

 ※「補足説明」では、『いかなる会社分割が残存債権者を「害する」ものであるかについては,基本的には,詐害行為取消権について定める民法第424条第1項本文の「債権者を害する」法律行為と同様に解されることになると考えられる。』とのこと。

 ただし、吸収分割の場合であって、吸収分割承継会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでないものとする。

 (注)株式会社である分割会社が吸収分割の効力が生ずる日又は新設分割設立会社の成立の日に全部取得条項付種類株式の取得又は剰余金の配当(取得対価又は配当財産が承継会社等の株式又は持分のみであるものに限る。)をする場合(会社法第758条第8号等)には、上記の規律を適用しないものとする。

 ※分割型分割の場合は、全債権者が保護対象となるため、追加で保護する必要はない。

 ∋賃減銚⊆圓、分割会社が,硫饉卻割をしたことを知った時から2年以内に,砲茲訐禅疔瑤呂修陵醜陲鬚靴覆ぞ豺腓砲蓮↓,砲茲訐禅瓩鬚垢觚⇒は、当該期間を経過した時に消滅するものとする。

 会社分割の効力が生じた時から20年を経過したときも、同様とするものとする。

 (注)事業譲渡についても、ゝ擇哭△汎瑛佑竜律を設けるものとする。

 ※買い手が、売り手側の債権者を害することを知りつつ事業を譲受けるのであれば、債務履行を求められるリスクがあるということか?⇒買い手側としては、「譲受ける事業だけの情報を開示せよ。譲渡後の後始末は譲渡側で勝手にしろ。」と言わざるを得なくなりますね。
 買い手側は、売り手側に承継事業の価額に相当する金銭を支払うのにも係わらず、さらに債権者にも承継事業の価額を限度として債務を負うのだろうか?⇒買い手側がのれんを認めなくなるでしょうね。売り手側は買い叩かれることになります。
 会社法に詳しい司法書士曰く、「この事業譲渡には現物出資も含まれるでしょう。」とのことです。


2 不法行為債権者の保護

 会社分割について異議を述べることができる債権者のうち、不法行為によって生じた分割会社の債務の債権者であって、分割会社に知れていないものの保護について、次のとおりの見直しをするものとする。

 ‥該債権者は、吸収分割契約又は新設分割計画において会社分割後に分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、分割会社に対して、吸収分割の効力が生ずる日又は新設分割設立会社の成立の日に分割会社が有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができるものとする(会社法第759条第2項等参照)。

 当該債権者は、吸収分割契約又は新設分割計画において会社分割後に承継会社等に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、承継会社等に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができるものとする(会社法第759条第3項等参照)。

 ※不法行為債権者が分割会社に知れている債権者であったとしても、個別催告を受けていないのであれば、分割会社・承継会社の双方に債務の履行を請求できる。


 (後注)株式会社が組織再編や事業譲渡をする場合に、従業員の意見等を開示するものとするかどうかについては、なお検討する。

 ※「補足説明」では、従業員の意見を集約して開示する時間的・手続的コストが迅速な組織再編を阻害しかねないという懸念があるとのこと。



12-01-04
今年もよろしくお願いします
 昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いします。
 

(初詣 寒川神社)

事務所情報

代表者略歴



都営地下鉄新宿線 岩本町駅A5出口から徒歩3分


管理人/副管理人のみ編集できます