マクロスFのキャラクター、早乙女アルトとランカ・リーのカップルに萌えた人たちのための二次創作投稿所です。





お兄ちゃん  BYアヤ




2人はすぐにでも結婚するんだと思っていた。
オズマお兄ちゃんとキャシーさん。
2人が想い合っているのは、改めて紹介される前から分かってた。
私の所為、かな?
不安定な私が入院したり、沢山心配かけたりしちゃったから。
でもね、もう大丈夫なんだよ?
だから嬉しかったんだ。
「ただいまぁ。」
やっと仕事から解放されて、自宅の玄関に辿り着いたのは、深夜2時を回った頃。
ブレラお兄ちゃんは、SMSの宿舎に泊まるって言ってたし、家に居るのはオズマお兄ちゃんだけ。
もう眠っちゃってると思って、そろりと静かに自分の部屋に向かおうとしたら、リビングに薄明かりが灯ってた。
そうっと覗けば、だらしなくソファに寝転がったお兄ちゃん。
テーブルには、飲みかけのボトルとグラスが転がってた。
「お兄ちゃん!こんなトコで寝たら、風邪ひくよ!」
揺すっても、うんともすんとも言わない。
その内コトリと小さな音がして、足元を探った。
手に触れたのは、小さな白い箱。
好奇心に負けてゆっくりと開ければ、キラリ光ったそれ。
「指輪?」
薄灯りの中でも、輝きを失わないリング。
「お兄ちゃん?」
これって、婚約指輪・・・だよね?
もしかして、やっと結婚する気になったとか。
「デカルチャ〜!」
小さく叫んだ。
「う・・ん。ランカ、か?」
慌てて指輪の箱を、お兄ちゃんのジャケットのポケットに押し込んだ。
「もっ、もう!こんなトコで寝ないでよ。お兄ちゃん。」
「ああ、・・スマン。そういや、風呂・・・。」
「これだけお酒飲んだんだから、お風呂は朝!ほら、もう寝て。」
お兄ちゃんを寝室に押し込んで、私はお風呂に。
上手くいけば、キャシーさんがお姉さんかぁ。
何だか嬉しくなって足で蹴ったお風呂のお湯が、ばしゃばしゃと跳ねた。
アルト君にメールしなくっちゃ。
お風呂に持ち込んだオオサンショウウオくんを、ぎゅっと握った。
だけどそんなに上手くはいかないのが人の気持ち、なんだよね。




「ああっ、もう!お兄ちゃんってば!」
興奮して円形のちゃぶ台を、思い切り叩いた。
その拍子にちゃぶ台の上の三つの湯呑みが、中味のお茶を跳ね上げた。
「ほらほら、ランカちゃん落ち着いて。」
「ランカ。そんなに興奮するなよ。」
「あっ、ごめんね。シェリルさん。アルトくん。」
仕事の合い間、ちょっと長めのオフタイムにアルトくんのアパートにお邪魔してる。
「ところで、何でお前まで家に居るんだよ、シェリル。」
「あら、良いじゃない?私もオフタイムなんだし。」
「まあまあ、2人共。」
前に住んでたアパートより広いらしくって、お風呂つき。
だけど、銭湯の大きいお風呂も捨て難いんだよなぁ、って。
本物の畳じゃないから、畳の香りは人工的だけど和むんだよね。
だけど、こうして興奮してるのは、お兄ちゃんの事。
「お兄ちゃんってば、一週間経つのに何やってるんだろ。」
「タイミングもあるし、ね?」
「そうですけど〜。」
キャシーさんが家に来て、一緒に食事したりしたりとか。
もう、家族みたいに思ってる。
知ってるんだよ?
お兄ちゃんがよくポケットの箱をいじっているのを。
だから、見ていて歯痒くて仕方ない。
大好きな人とずっと一緒に居られるのは幸せな事でしょ?
どうして躊躇うのかな。
勿論、楽しい事ばかりじゃ無いのは分かってる。
歯痒く思うのは、私がまだ子供で単純だから?
アタッカーとして戦場では先陣を切って突っ込んでいくのに、プライベートはどうして・・・。
「私が心配ばっかり掛けちゃうから、妹離れ出来ないのかも。」
しゅんと萎んだ私の髪を、アルトくんが撫でてくれる。
「二人は大人だから、色々慎重になるんだと思う。気持ちは固まってるんなら、隊長が何とかするさ。」
「・・・それに、ランカに心配させて貰えんのも寂しがるだろう。」
「「「ブレラ(お兄ちゃん)!!」」」
カラリと戸を勝手に開けて入ってきたのは、ブレラお兄ちゃん。
「オズマはかなりのシスコンだから、な。」
「「お前も、な。(アンタも、でしょ。)」
「?・・・そうかも。」
兄妹として馴染んできた証拠だよね。
「なっ、ランカ!・・・それより、シェリル。時間だ。」
「えっ、もうそんな時間?じゃあね、2人共。」
若干ショックを受けたブレラお兄ちゃんを引き摺りながら、シェリルさんはアルトくんの部屋を出て行った。
「ほんとに何しに来たんだ、シェリルのヤツ。」
「あはは。」
「なあ?まだ少し時間良いんだろ?・・ほら。」
アルトくんが腕を広げて、ちょっと拗ねた様に言うから。
私は大人しくアルトくんの腕の中に落ち着いた。
触れるだけのキスを何度か交わして、ぎゅっと互いに近付き合う。
アルトくんの顎下に頭が当たるらしくて、時々くすぐったそうに笑うの。
会話が無くてもお互いの心音が気持ち良くて、すごく幸せ。
それなのに携帯が鳴って、もう時間なんだって残念に思いながらオオサンショウウオくんをぎゅっと握れば、メールの着信。
アルトくんと2人で覗き込めば、シェリルさんからのメール。
「お兄さんの事。ランカちゃんが動いてみても良いんじゃない?」




純白のウェディングドレスを身に纏った花嫁さん。
同じ様に真っ白のタキシードを纏った花婿さん。
雲一つ無い青い空に、輝く太陽。
小さな白い教会に、彩る花や緑、そして海。
最高の結婚式日和。
「いい加減、泣き止め。」
外の白いベンチにアルトくんと2人。
泣き腫らした私に苦笑しながら、アルトくんは私の肩を抱いてる。
後ろのレストランからは、結婚披露宴の賑やかな声が響く。
キャシーさんはマーメイドラインのドレスで、髪を緩く結い上げた本当に綺麗な花嫁さん。
オズマお兄ちゃんは白いタキシードで、肩が凝りそうだと言いながらも照れた花婿さん。
こんな日くらい、無精髭を剃れば良いのに。
SMSの皆やシェリルさんにナナちゃんも参列した、ささやかだけど華やかな式だった。
私は嬉しくって泣きっぱなし。
こんな私を愛して育ててくれた、父の様なお兄ちゃん。
オズマお兄ちゃんの幸せは、私とブレラお兄ちゃんの幸せでもあるんだよ。
何て言ったって、家族なんだもん。
そして今日、キャシーさんって言うお姉さんが増えた。
嬉し過ぎる。
披露宴では、ボビーさんが二人を抱きしめて号泣するし。
シェリルさんを筆頭に、クランちゃんやナナちゃんも歌い出して。
本当に賑やか。
「いい式だ。これもランカの一押しの結果だな。だけど、あの時は驚いたぜ。」




「キャシーさん!」
私はSMSのロビーに来ていた。
「あら、ランカさん。差し入れ?」
「はい。キャシーさんにも、ローカロリーなお菓子を。」
「嬉しいわ。ちょうど休憩時間なの。お茶していかない?」
タイミング良く会えたキャシーさんと、SMS内の待機室に向かった。
「はい。紅茶で良かったかしら?」
「ありがとうございます。キャシーさん。」
持ってきたお菓子をトレーに広げて、入れて貰った紅茶に口をつけた。
「ランカさん、忙しそうね。大変なんじゃない?」
「お仕事貰えるのは、ありがたい事ですから。時間のやり繰りにもなんとか慣れました。」
こんな風に仲良くなれるなんて、嬉しくって。
このまま、本当のお姉さんになってくれれば良いのに。
だから、どうしても聞きたくなった。
「キャシーさん。単刀直入に聞きますね。・・・お兄ちゃんの事好きですか?」
一瞬きょとんとしたけど、キャシーさんは真面目に答えてくれた。
「ええ。愛してるわ。」
キャシーさんは綺麗に笑う。
「お兄ちゃんと結婚したいって思わないんですか?」
「今のままでも十分。でも、そうね。結婚出来たら・・・。」
「キャシー。さっきの書類なんだが。」
「オッ、オズマ!」
機械音の後に扉が開いて、お兄ちゃんとアルトくんが入って来た。
キャシーさんは頬を赤く染めて、ガタガタと椅子から立ち上がった。
「どうした?って、ランカ。来ていたのか。」
「うん、差し入れにね。」
お兄ちゃんの後ろで、笑いながら手を上げるアルトくんに笑顔で手を振れば、お兄ちゃんの視線が。
もう、いくらアルトくんとのお付き合いを認めてなくても、そんな嫌な顔しないでよね。
「キャシーどうした?顔が赤い。熱でもあるんじゃ。」
「何でも無いわよ。大丈夫よ。」
2人共、良い雰囲気なんだよね。
すっごくお似合い。
うん、今だよね。
「お兄ちゃん。ごめんねっ!!」
ズボッって、お兄ちゃんのポケットに手を突っ込んで、取り出したアレ。
「なっ!ランカ!?」
「はい、お兄ちゃん。」
白い小さな箱を、慌てるお兄ちゃんの手の平に乗せた。
「キャシーさん以外のお姉ちゃんはいらないからね?」
そう言ってお兄ちゃんの背中を押して、呆然としたアルトくんの腕を引っ張って部屋を後にした。
「ランカ・・・。お前って、本当にびっくり箱だな。」
上手くいきます様に。
そう、祈ったの。




「それって、さっきのブーケか?」
漸く泣き止んだ私が握る、小さなブーケをアルトくんが覗き込んだ。
ブーケトスで受け取ったブーケを、女性陣で少しづつ分けた小さなブーケ。
「うん。小さくなったけど、綺麗でしょ?」
「・・・そのレースのハンカチ、ちょっと貸せよ。」
ブーケを握る手とは反対の手に握られていたレースの白いハンカチ。
アルトくんに渡すと、それを広げて私の頭に乗せた。
「指輪は無いからこれ、な。」
「アルトくん?」
ブーケから小さな花を一本取り出すと、器用に私の左薬指に巻いた。
「花嫁さんの一丁上がり。ほら、笑えよ。」
目元が赤く腫らしている私を、携帯で楽しそうに撮ったアルトくん。
今の顔は、はっきり言って撮ってほしくなかったのに。
だけど嬉しくて、何だかまた泣きそうになる。
「まだまだ先の事だろうし、俺達の先に何があるのか分かんねえ。けどまあ、何時か、な。」
「うんっ!」
「アルト。お前に易々とランカはくれてやらん。」
「「ブレラ(お兄ちゃん)!」」
そろそろ戻って来いと、気配もなく背後に立ったお兄ちゃん。
いつもの様にアルトくんとブレラお兄ちゃんの言い合いが始まってしまう。
その光景に、くすくすと笑みが込み上げる。
きっとこれから、色んな事があると思う。
ケンカしたり、離れ離れになっちゃったり?
嫌だなって事も、嬉しい事もきっと一杯。
だけど、ずっとこの手は離さないでいようね。



END

このページへのコメント

なかなかない二人のお話しありがとございます(*≧∀≦*)
ランカがお兄ちゃんの背中をおす

新しいことでしたので面白かったです!
ホントにビックリ箱ですね(笑)
ありがとございます(*≧∀≦*)

0
Posted by ととまる 2013年01月23日(水) 10:48:40 返信

コメントありがとうございます(^O^)
家族や友達とか色んな話しも書きたいし、アルランでいちゃいちゃもさせたいし。ムズカシイですね〜(^。^;)

1
Posted by アヤ 2013年01月23日(水) 09:01:22 返信

ついにオズマとキャシーが身を固めましたか(笑)
ランカの行動も笑えましたよ
とても楽しかったです
さて、次はどんなお話かなぁ〜(*^◯^*)

0
Posted by YF-29 2013年01月21日(月) 22:42:14 返信

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