騎士道

騎士道(きしどう)とは、中世ヨーロッパで成立した行動規範で、騎士たる者が従うべきとされたもの。現実の騎士の行動が常に騎士道に適っていたわけではないが、騎士は騎士道に従って行動することを栄誉と考え、また周囲の者もこれを賞賛した。

騎士が身分として成立し、次第に宮廷文化の影響を受けて洗練された行動規範を持つようになった。騎士として、武勲を立てることや、忠節を尽くすことは当然であるが、弱者を保護すること、信仰を守ること、貴婦人への献身などが徳目とされた。

特に貴婦人への献身は多くの騎士道物語にも取上げられた。宮廷的愛(courtly love)とは騎士が貴婦人を崇拝し、奉仕を行うことであった。相手の貴婦人は主君の妻など既婚者の場合もあり、肉体的な愛ではなく、精神的な結びつきが重要とされた。

騎士道は西欧の社交術にも影響を与えた。

騎士が守り倣うべき「騎士の十戒」(教会を守る、弱者を守るなど)がある。

PROWESS fighting skills 優れた戦闘能力
COURAGE 勇気
HONESTY no weaseling 正直さ 高潔さ
LOYALTY true to your leaders and your friends 誠実(忠誠心)
GENEROSITY open handedness 寛大さ
FAITH committment to ideals 信念
COURTESY dignified and mannerly behavior 礼儀正しさ、親切心
FRANCHISE noble behavior and leadership  崇高な行い、統率力

騎士道物語


これらが代表的な美徳とされるが、それ以外にも清貧、気前のよさ、信心 弱者の保護、などがある。

騎士道物語(きしどうものがたり)とは中世ヨーロッパに発展した文学のジャンルで騎士道をテーマとする物語。騎士文学、騎士道小説ともいわれる。騎士の武勲や恋愛を取上げている。

11世紀頃からフランスを中心に発達し、吟遊詩人により歌われた。 それまでのラテン語ではなくフランス語、スペイン語などのロマンス語で書かれたという点も重要である。つまり重々しさのない言葉で語られた。後に恋愛小説を意味することになるロマンスのはしりとなる。

騎士道物語は16世紀までが最盛となるが、その後下火となる。 17世紀、セルバンテスによる、騎士道物語をパロディにした小説『ドン・キホーテ』がその画期と見なされている。

主な騎士道物語

ローランの歌
アーサー王物語
トリスタンとイゾルデ
ニーベルンゲンの歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2007年12月28日(金) 19:01:39 Modified by b_eng




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