壷は差し押さえられた

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2006年9月22日の夕刊フジの西村“失踪”報道において、西村に対して「怒りをあらわにする」「東京都の男性会社員(35)」という人物が紹介されていた。彼は2ちゃんねるにおいて本人や家族の実名、住所を暴露され、誹謗中傷を受けとして、書き込みを行った者の情報(IPアドレス)の開示を求める申し立てを東京地裁に行っていた。地裁は開示の仮処分命令を出したが、西村は裁判に出ないばかりか、この仮処分命令も無視。そのため地裁は間接強制として1日5万円制裁金を下していたという。

年が明けて、2007年1月12日。またもや夕刊フジが「ユーザーショック…2ちゃんねる、再来週にも強制執行」と題する報道を行う。東京都の男性会社員(35)が動いたのだ。
なにが強制執行かというと、この東京都の男性会社員(35)が西村氏の銀行口座、軽自動車、パソコン、そして、2ちゃんねるのドメイン「2ch.net」の仮差押えを東京地裁に申し立てたのである。9月に出された情報開示の仮処分を西村が100日にわたり放置し続けた結果、この時点で1日5万円の制裁金は500万円に達していた。この仮差押えに対する異議申し立ての期限は2週間。

ドメインが差し押さえられたら2ちゃんねるが見られなくなる!

すわ、今度こそ2ちゃんねる閉鎖かっ!?世間は騒然となる。

まぁ、仮にそうなっても別のドメインを取得すればいいんですけどね。

これに対する西村のブログでのリアクション

''>おいらの自動車が大変なことに〜
>やばい。やばい ''

そんでとりあえず、2ちゃんねるのトップページの壺に差し押さえの赤紙が貼られる。

「この壺を損壊し、または無効にした者は
  刑法第九十六条により処罰されます。
     賠償金滞納処分差押物件
            赤羽地方裁判所」

そして、2ちゃんねるの黒幕とひそかに噂される札幌のサーバ屋さんの夜勤も動く。自サイト「夜勤の巣」において緊急招集をかける事態に。


■ 緊急幹部会議開催のお知らせ

未曽有の危機にみまわれた我らの2ちゃんねる。
この難局をいかに乗り切るかが問われています。
この件につきまして緊急幹部会をひらきます。
名誉固定はただちに集合のこと、
また二級固定以上はロビーにて待機のこと。

2007/01/12 夜勤 ★


名誉固定?二級固定?そんなものいたのか?
とにかく、これはなかなか大変なことである。

翌13日、2ちゃんねるに新板が開設される。

軽自動車(仮)@2ch掲示板 返してください
 http://hobby9.2ch.net/kcar/

なめてんのか?

さて、なんでも、ドメインの差し押さえというのは前例がないらしく、この実効性についてブログで疑問を呈する弁護士などもいて、2ちゃんねるがこの先どうなるのか皆目分らない状況となる。

どうなるんだろうね?

というわけで、「2ch.net」のドメイン情報を軽く調べてみると、Registrant は Monsters Inc という正体不明の会社になっている。西村博之個人ではないワケだね。これで本当に東京都の男性会社員(35)はドメインを差し押さえられるのだろうか?謎である。

この閉鎖?騒動に接した当時のわたし(筆者)は当初の高揚した気分が急激に冷めて、この騒ぎは実にしょぼい結果になるような気がしてきたのをよく覚えている。

騒ぎのさなか西村が取締役を務めるニワンゴが15日に独占インタビューを同社が提供する動画共有サービス「ニコニコ動画」で配信すると発表。
ところが、ドジっ子の西村がノートPCにジュースをこぼして壊してしまい、1日延期されて、翌16日に西村のインタビューが配信される。
インタビューはジュースをノートPCにこぼしたどうでもいい話をだらだらと続けて、結論は

おいらはまだ閉鎖する気はないですー

やはり、この騒動は実にしょぼいなぁ・・・と、つくづく思ったモノである。

しかし、ことはこのままでは納まらず、第二撃、そして第三撃が待っていた。


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この作品は実話を元にしたフィクションであり、実在の人物、団体、インターネットサイトとは関係ありません。
ここに書かれている内容は、実際とは異なる場合がかなり多いでしょう。
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2008年03月22日(土) 05:55:29 Modified by battlewatcher




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