その他49

「ごめんね、でもこれ本当に危ないものなの」
 ティアナの言葉――少女は少し首を傾げる=多少の動揺。
 滲み出る殺意/レリックを確保するという断固たる決意。
 少女――すぐに平静さを取り戻す=頼れる仲間の参上。

「ホーホッホ!」
「……?」

 次の瞬間、奇矯な声にティアナは上を向いた。
 ぽかんと口が開く/瞬間的に見たものを判別できない。

 上を走る高架通路――そこに、いた。
 前屈みの姿勢――赤いシルクハット/赤革のジャケット/赤い防火マスクの男。
 背中から太い腕にかけてピンク色の防火布。
 フラミンゴそっくりの異常に長い足――鋼鉄製の義足。
 ぬっと背中から両腕を突き出す――両方とも鋼鉄の義手。両手に噴射機。
 背中には何かのタンク。

 ティアナ――悪寒。
「火の臭い!」
 スバルが絶叫した。
 フラミンゴ男がティアナめがけて真っ白い液体を撒き散らしながら翔んだ。
 白い液体は空中で炎に変化――周囲が火に包まれる。
 いつのまにか脱出していた少女の呟き。

「この人の名前はブランドマン・スピットファイアー。焼きごて趣味(ブランドマニア)
の“火吹き男”(スピットファイアー)よ。その人の炎は水でも魔法でも消せない
燃性のモロトフゼリー。体についたら骨まで焦げるから気をつけて」

「退がってティアナ!」スバルの叫び/魔法で防御する/ティアナを突き飛ばす
ように後退させる。

 フラミンゴ男――跳躍しながら、少女を守るように炎を降り注ぎ続ける。
 軽快なダンス、ティアナの銃弾はことごとくかわされる。
「ホーホッホ! ホーホッホ! ホーホッホ!」
 火炎の驟雨/全員自身の防御に必死で身動きできない。

 不意に側面から殺気――飛び出してきた何者かとギンガの拳が激突。
 互いに弾かれる。
 ごくりと唾を飲む。
 分厚いオフロードタイヤ――その上にエンジン。その上に人間の上半身。
 赤いヘルメット、赤い革のライダージャケット。
 両手に太いゴム管のようなもの――鋼鉄製の鞭。
 まるでタイヤに搭載された案山子。

「その人の名はスパンキー・モノライダー。“ぶっ叩き”(スパンキング)が生き甲斐
の男、見たままの“一輪者野郎”(モノライダー)。一日中エンジンを唸らせて、
何でも叩くのが大好きなの。その人の鞭、象も一撃だから気をつけて」

「ブルブル! ブルブル! ブルブル!」
 モノライダーのエンジン音のような叫び――ギンガに向けて突進。

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2007年06月28日(木) 21:40:24 Modified by beast0916




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