なのはA's×ギアス3話

「ここか・・・魔力反応があった場所は・・・」
「ん?なんだありゃ・・・」
「はやてちゃん位の子供が2人、ですか・・・?」
「我と同様の者もおる様だが・・・」
「まさか、”奴ら”か?」
「それにしちゃーおかしくないか?なんか俺らスルーして戦ってるみてーだし」
「そうですね・・・少なくとも探索、している様には見えませんし・・・」
「どーする?俺らの事知られる前に殺っちまうか?」
「いや、主の命だ、こちらからは仕掛けるな、観察のみに留めろ」
「いいのかよ?もしあいつらが”奴ら”の手先ならやべーぞ」
「我等の事に気付かれたら主にも塁が及ぶ事にもなり兼ねんぞ」
「いや、我々の事に気付いているならとうに仕掛けてくるはずだ、
それにここで我々が仕掛けたらそれこそ”奴ら”に我々の存在を知らせる様なものだ
不用意な接触は絶対に避けろ、いいな、ヴィータ」
「・・・わかったよ」

5月初旬、グレイおじさんが僕達の家に1年振りに来てくれた
「久し振りだね、朱雀君、はやてちゃん、前に来た時もこれ位の暖かさだったから
1年振り、になるのかな、とにかく元気そうでなによりだよ」
「お久し振りです!おじさん!」
「着てくれてホンマうれし〜わぁ〜!お久し振りです!」
「はやてちゃんは少し大きくなったかな、月日が経つのも早いものだ」
「わぁ〜ありがとうございます〜」
「それでおじさん、例の件なんですが・・・」
グレイおじさんは、僕達の傍に居た彼女達を見回した
「うむ、彼女達が、例の・・・?」
「はい、そうです」
妹に言われるがまま、皆はおじさんに軽い礼と自己紹介をした
「見た限りでは、あまり普通の人間と変わらぬ様だが・・・」
「うん、みんなはウチの大事な”家族”や」
「そうか・・・朱雀君、話の続きは家の中でいいかね?ちょっと込み入った話になるのでね・・・」
「あっ、すみません・・・気が付かなくて・・・」
「いや何、構わんよ、それと彼女達にも話を訊きたいのだが、いいかね?」
「はい、わかりました」
僕と妹はグレイおじさんを居間へと案内し、そこにあったテーブルを囲む様にして
全員を座らせた
「変わらないね、ここも・・・では、本題に入ろうか、朱雀君、はやてちゃん、
今から私が話す事は決して誰にも話してはならない、いいね」
彼が話してくれたのは、僕達の世界とは違う”異世界”についてだった

ミッドチルダ
僕達の宇宙とは異なる次元に存在する世界で、極めて高度な科学技術と魔法技術を持ち
僕達と同じ”人間”が使い魔や魔法と共存し、平和で安定した文明を作り上げていると言う事
また、その世界にある”時空管理局”という組織が僕達の地球を監視している、という事を・・・

”時空管理局”という言葉を聞いてシグナムさん達の顔が少しこわばったのが気になったが
妹の突拍子の無い質問が、僕の考えを吹き飛ばした
「おじさん、1つ聞いてもいいか?」
「ん、なんだい?」
「もしかして、ウチらって、その人達に支配されてるとか・・・」
妹の言葉を聞いて、おじさんは大笑いをし始めた
「ぷっ!、はっはっはっはっ・・・・、はやてちゃん、変なSF小説の見過ぎではないのかね?」
「えっ!?違うん・・・!?ウチてっきり・・・」
「話は最後まで聞きたまえ、えーっと、あっそうだ、実は地球側、つまり国連とその異世界の
行政府との間に盟約が結ばれていてね・・・その内容が・・・
1・互いの政治、経済、文化に原則的には一切干渉しない
2・魔法やミッドチルダの事は地球側の一部の者以外には秘匿とする
3・地球外の者からの不当な干渉、もしくは魔法絡みの事件が発生した場合、
時空管理局の者がそれらの事件に応対、または処理すること
4・3の様な事象が発生した場合、こちら側は全面的に協力すること
と、いうことなのだよ、決して支配という物騒な真似をする者達では無いよ」
余りにもスケールの大きな話に僕自身半信半疑だったが、彼の言葉を聞いて
ある1つの疑問が僕の脳裏をよぎった
「ちょっと待って下さい、全面的に協力するって・・・」
「・・・その通りだ朱雀君、本当ならば私は彼女達の事を国連の諮問機関、もしくは
時空管理局に報告せねばならんのだよ・・・」
彼女達の顔が鬼気迫る表情になっていった
(どーする?殺っちまうか)
(待て、まだ様子を見るのだ)
「あの、その人達にこのことバラすとこの子たちどうなってしまうん?」
それは僕も訊きたかった
「分からん・・・恐らく彼女達はその異世界に連れて行かれるだろう・・・
それだけではない、君達も機密に触れた者として何らかの処分、制限を受けることになる・・・」
僕は目の前に突きつけられた”現実”に身が竦む思いだった
「そんな・・・ウチはこの子達と離れとう無いんや!おじさん、何とかならんか?」
「わかっている、だからこそ私は今日ここに来ているのだ」
「ホンマですか!?ホンマにみんなと別れずに済むんですか!?」
「ああ、だが・・・」
おじさんはシグナムさん達を見回した
「正直私も迷っている・・・そこでだ・・・今日一晩彼女達の人となりを見させて欲しい
彼女達が信用するに値する人間だと、そう私が思える様になったら
私が責任を持って彼女達の身分証明証を作ろう」
「ホンマに!?おじさん!ありがとう!!」
「礼を言われるのはまだ早いよはやてちゃん、全ては私が認めてからだ」
「うん!!みんな、いい子にしてるんやで!!」
皆は互いの顔を見合わせてから嬉しそうに頭を下げた

その日の夜・・・
夕食を食べ終わりテラスで一息をついていたグレイおじさんに
シグナムさんが話しかけてきた
「グレイ殿、この時期はまだ夜風も冷たくなります、どうぞ中へ」
「いや、君とここで話がしたいのだが、いいかな?」
「私は構いませんが・・・」
おじさんはヴィータやシャマルさんと楽しそうに話す僕や妹を見ていた
「本当に久し振りだな・・・あの子達がこんな風に笑うのを見るのは・・・」
「そうなのですか?」
シグナムさんは首を傾げていた
「ああ、あの子達の父親が亡くなってから、相当辛い思いをしてきたからね・・・
少し塞ぎ込みがちになっていたのだよ」
「そう・・・ですか・・・」
「だけど君達の存在があの子達に笑顔を取り戻させた・・・それは君達とあの子達の間に
強い絆が生まれている証なのだ・・・」
「・・・」
「私は君達の過去について知るつもりは無いし、知ろうとも思わん」
「・・・!?」
「だが、もしあの子達の事を真に想うのならば、これからもあの子達に尽くしてやってはくれないか」
「えっ・・・!?」
「これまでとは違う生き方を強いられて、悩み苦しむことになるだろう・・・
だが、それらを全て受け入れて平和に穏やかに生きていくと、君は私に誓えるかね?」
「・・・我等が主は、こんな私達を”家族”として受け入れてくれました・・・
その誠意と大恩を私達は決して裏切りはしません、それが私達の意思です」
「信じても、いいのだね・・・?」
「誓います、主達の”平穏”は命に代えても護ります・・・」
「そうか・・・」

翌朝、僕達はおじさんに呼び出された
「これを、君達に渡しておこう」
おじさんは数枚の書類をシグナムさん達に手渡した
「これは?」
「君達の身分を英国政府が保護するという特例の身分証明証だよ、これがあれば通常の法的な身分証明の手続き・・・
つまり住民票を取得することができる筈だ」
「おっさん、それって・・・」
「そう、つまり君達はこの家の住人として正式に認められた、という事だよ」
僕も含めて皆で喜んだ、本当に嬉しかった・・・
「おじさん、ホンマに・・・ホンマにありがとな・・・」
妹は涙をぽろぽろ流していた、そんな妹を囲って、皆は喜びを分かち合っていた
「だがそう喜んでもいられないぞ」
おじさんはそう言い放った
「それはあくまで通常の身分を証明する物に過ぎない、時空管理局が担当する事象に触れた場合での
身分の保証はその証明書では出来ないのだ」
「じゃっ、じゃあ俺達はどうなるんだよ!?」
ヴィータはおじさんに詰め寄った
「いや、だから要は君達が今までどおりトラブルを起こさない様努めてくれればいいのだよ
余計な揉め事には首を突っ込まない様に、いいね?」
「じゃああいつらには出来るだけ鉢合わせしねー様にしなきゃなんねーな」
「ヴィータ!!」
「隠してもしょーがねーだろ!!朱雀やはやてにも注意してもらわなきゃなんねーんだからよ」
「そうね・・・その通りだわ・・・」
ヴィータのいう話だと最近この付近で妹と同じ位の女の子達が妙な戦闘を繰り返しているらしい
その内の1人が僕のよく知る人物だと、当時の僕には知る由も無かった・・・
「あの・・・私の分の身分証明は・・・?」
ザフィーラが尋ねてきた
「いや・・・君の耳と尾は何とかならんのかね・・・」
「・・・それは私では何とも・・・」
「済まないのだが君はその、獣形態というのか・・・とにかくそちらの方で何とか誤魔化してくれんかね・・・」
「うっ・・・ぐぐぐ・・・いっ、致し方ござらん・・・!!」
皆の間にどっと笑い声が響いた

「おじさん、ほんまにありがとうな」
「構わんよ、それよりも他に何か問題があったら遠慮無く言ってくれたまえよ」
「本当に有難うございました、おじさん」
「朱雀君、これからも大変だろうががんばってくれよ、ああ、それと・・・」
おじさんは僕のズボンのポケットに1枚の紙切れを差し入れた
僕がその紙を開けて見てみると、僕の口座番号と3000万円という数字が書かれていた
「おじさん、これ・・・」
おじさんは自分の口に人差し指をつけた
(!?・・・有難う御座います・・・)
僕は自分達のためにここまで尽くしてくれたおじさんに心の中で深く感謝した
「さて、いくか・・・と、その前に・・・」
おじさんはシグナムさん達の前に顔を突き出した
「言っておくが今回の件で私もかな〜り無理をしたのだからね!!君達が何か騒ぎを起こすと
私まで責任を取らされるのだからね!!ほんっと〜〜に気をつけてくれたまえよ!!」
「はっはぁ〜、善処します・・・」
シグナムさん達は顔を引きつらせながらそう言った
「心配すんなよおっさん!!朱雀とはやてを狙うヤツァ俺がブットバ・・・」
おじさんはヴィータの両頬を思いっ切りつねった
「君が一番分かって無さそうだねぇ〜〜〜」
「ひょっ、ひょ〜ひゃんひゃよひょっひゃん・・・!!」
「すっすみません・・・後でヴィータにはきつく言っておきますさかい・・・」
妹も顔を引きつらてそう言った
「頼むよ・・・じゃ、また近い内に様子を見に来るよ、元気でね」
おじさんはそう言って僕の家を後にした
(どうしますシグナム、追跡、掛けますか?)
(・・・いや、必要無いだろう、彼は、大丈夫だ)
(そうですね、私もそう思います)

「あの、シャマルさん、僕に魔法を教えてくれないでしょうか・・・」
「えっ?」
「僕にもあるんですよね?魔法の才能が、でしたら教えて欲しいんです、妹の介護の役に立つと思うんです」
「まぁ、私の障壁をデバイス無しで破った位ですから、才能は確かにあるのでしょうけど・・・
ですが私達にデバイスを作る技術はありませんから簡単な魔法しか行使できませんよ
それでもよろしければ・・・」
「あっ、それならウチにも教えてほしいー」
「ええ、御願いします、シャマルさん」

(騒ぎを起こすな、か・・・私もよくも白々しい事を言う・・・、だが、この付近に出没する謎の少女達か・・・
詳しく調べる必要がありそうだな・・・)

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2007年06月15日(金) 16:26:21 Modified by beast0916




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