なのはStS+φ’s正伝10話

『今回皆と模擬戦を行なうのは訓練の話を聞いてぜひ協力させてもらいたいと自ら立候補した……』

降り立った巧はシャーリーの適当に並べ立てられた美辞麗句を耳に入れながら準備運動をしていた。
熱さに関わることが巧は嫌いだがだからといってこのような薄ら寒くなるような話が好きなわけじゃない
……この熱さだというのに作業着で隠された中はほとんど鳥肌状態だった。

(人が涼んでたとこにいきなり呼び出しておいてこれかよ……くそったれ)
『ねえファイズ君? ちょーっとだけ付き合ってくれないかなー?』
「くそったれ! ちくしょう!」
借りがあったとはいえあのような怪しさ全開な言葉に付き合った自分の愚かさに腹が立つ。
頭の中がしだいに熱を帯びていくのが嫌になりデバイスを起動させようとしたが
目の前にいた4人組もどうやら自分のデバイスを持っていたらしく起動させたのはほぼ同時だった

「マッハキャリバー!」「クロスミラージュ」「ストラーダ!」「ケリュケイオン……」
「「「「 セ ッ ト ア ッ プ ! ! 」」」」
“スタンバイレディ”

「くそったれ……仕方ねえ。ファイズメモリー、いくぞ!」
"Mode Set“Normal Faiz”Standing by!"
「変身!」"Complete!"

5人はそれぞれのバリアジャケットを装備し、魔力を変換した力を送るための道が浮かび上がる
巧のデバイスがジャケットと融合し赤い光が広がるのを見て場にいる全員が少し驚く。
暑苦しい空気が遮断されるこの瞬間が巧はたまらなく好きだった。

〔ちょっとなにアイツ? 模擬戦の前なのににやけた顔しちゃって……〕
〔頬も緩んでる……ひょっとしてあの時に頭がおかしくなったんじゃ〕
〔変な目で見るんじゃねえ! いったい何考えてやがったんだおまえら〕

直接口で言えば簡単にことは済むのだがたまには念話を使って突っ込んでみた
一定期に使わなければいつやり方を忘れてしまうかわからない……巧は物覚えがあまりよくない
ただでさえ仕事に厳しい啓太郎のクリーニングのまともな手伝いができるようになるまで数ヶ月掛かった
……たったの3日で完璧にできるようになっていた真理が未だに信じられない

「見たことのないタイプのジャケットとデバイスだね……」
「ユニゾンデバイス……にしては人格がないみたいだし……」
『それはこれから明らかになりますよ! さーって』

なのはとフェイトを差し置いてシャーリーが嬉しそうにモニターを制御する
『午前はストラーダとマッハキャリバーのデータを取ります!』
「はい!」「わかりました!」
『射撃魔法は禁止! 接近戦だけで相手してね!』
「ってちょっと待て! まさか午後もやるのかよ!?」
『そうそう、午後は4人のコンビネーションプレーでやるからね?』
「4vs1……苛めと何が違うんだそれは!?」
『大変そうですねぇ? でも、楽しいですよねー♪』
「・・・・・」

歯牙にもかけずに口にした。この瞬間巧はようやく悟った、こいつには何を言ったところで無駄だろうと
馴れ馴れしいだけならともかく人の話を聞いてない……いや聞いてるんだろうが
おそらく何を言ったところで自分の意見は変えないだろう。こいつはマイペースすぎる。

『それじゃあなのはさん、お願いします!』
「うん、わかった。それじゃ……午前の部最後の訓練、特殊模擬戦・・・レディー、ファイトっ!!」
(特殊ってなんだよ……)
突っ込む気力も惜しい巧は大人しく訓練に付き合うことにする・・・負けを認めたような気がした。

「スバル、思いきりぶつかってきなさい!」
「エリオくん、気をつけて!」
「わかった!」「うん!」
〔じゃあエリオ、わたしが先に相手をするから……〕
〔わかりました!〕

ティアナとキャロの言葉に力強い答えを返しエリオとスバルが迫ってくる巧に向かって突っ込んでいく
一瞬自分が傷つけた頬のことが頭を過ぎったがこうして模擬戦に出られるという事は大丈夫ということだ
そう自己暗示をかけマッハキャリバーをさらに加速させ右腕をしならせながら歩いてくる巧に急接近。

(手加減はできない……勝負っ!)
(よりによっていあいつか……殺されたくねーな)

かち合う巧とスバルの目線、お互いに受け止め先制攻撃をしかけようとするスバルにやや遅れる巧。
姉直伝のシューティングアーツが巧を襲うがわずかに動いただけで回避される
スバルの気合に気圧されたのかはたまた最初からやる気がないのか距離を離した巧を追った。
顔面を狙うリボルバーナックルとマッハキャリバーを狙うローキックが同時に繰り出された。

「うおおおぉっ!!」
「……ちっ!」
ナックルを避けずに額で受けても蹴りを止めない巧、デバイスには当たらなかったがブーツに直撃。
体勢を崩すが転び慣れているためすぐに立て直すスバルと後ろに仰け反りながらも踏ん張る巧。
額に受けたリボルバーナックルが効いたのか少しふらつく……確認したがどうやら割れてはいないらしい
「ああやって切り返すなんて……やっぱりすごい!」
「何嬉しがってやがるんだよおまえは!」

相手が想像以上に強いことを知りスバルの心は燃え上がるがそれとは対照的に
フィールドがなかったら間違いなく額が粉砕されていたと感じる巧は恐怖で心が冷えていく
しかもスバルが嬉しそうに笑う場面を見てさらに増大していく不安。
過去の傷の一部……というか火傷の跡がほんの少しだけ痛んだ。

「けど、これからが本番だよ!」
「何・・・!?」

反応が一瞬遅れた、スバルの膝蹴りが身体に減り込む。好機を逃がさずリボルバーナックルを放つ
生み出された衝撃波と共に殴りつけ吹き飛ばす、リボルバーキャノンが巧のこめかみに入った。
倒れた巧を追いながら繰り出される蹴りが数回。なおも巧は避ける、全部避ける
対するスバルも独楽のように身体を回しつつ蹴った。攻撃が速く拳も警戒するためにさばくのが精一杯。
少々乗り気じゃなかった巧は並のオルフェノクを軽く凌駕するほどの少女の動きに戸惑っている。

「この……しつこいぞおまえ!」
「こうでもしないと君には勝てないの!」
「なんでだよ!?」
「絶対にあのキックは打たせないよ!」

それは新人フォワードの間で決まったことで既にエリオとキャロにも伝えてある。
スバルとティアナにとって記憶に刻まれたクリムゾンスマッシュの威力は脅威となっていた。
エリオがキャロのツインブーストを受けてやっと倒したガジェットを瀕死の重傷の身で一撃……

(殺されてたまるか……!)
「まだまだぁ!!」

恐怖を拭い去るためにもなおも迫り来てラッシュをかけてくるスバルの攻撃を受けながら
心を決めた巧は容赦をかなぐり捨てていつも通りに戦うことにする。
いつもファイズとしてオルフェノクと戦ってきたように、いつも通りに戦うことに。

「はあっ! ……う!?」
「たまにはこっちにも攻撃させろ!」

突き出してきた左拳を避けつつ掴みそのまま押すようにして動き壁に追い詰める
もがいて振り解いたスバルの顔をぶん殴りよろめかせたところにバリアジャケットの裾と襟を掴み
自分ごと建物に向かって体当たり。壁が壊れたが多少の物理攻撃なら勝手に守ってくれる為気にしない。

「痛…くうっ!?」
「やられた分は返す!」

倒れたスバルを引き摺り起こして打ち上げる拳、よろめいたところに放った拳が突き刺さる。
自分の手首を掻き鳴らしながら一発、また一発と的確に殴る。がら空きの腹部に執拗に連打を続ける。
スバルのガードが下がった瞬間顎を跳ね上げる。躊躇う必要はない、仰け反ったところを蹴り飛ばした。
一度攻撃に入らせたらこの女は手がつけられない。だから手を出す前に倒すか、あるいは
「くぅっ……だあっ!」
(次が来る前に入れて、止める!)

スバルが拳を振り被ったところに巧の蹴りが突き刺さる、よろめいた最中に目の前まで前進
繰り出した蹴りは避けられさらに殴られる顔面。攻撃が来たら避けて殴る、ただそれだけ。
こういう単純な作業は巧にとって容易い。少なくともクリーニングで啓太郎に認められるよりかは
「ううっ……まだまだっ!」
「まだやる気か」

殴っても殴ってもその度に立ち向かってくるスバルの頑丈さに再び恐怖を感じる巧
軽く30は殴っただろうか、いい加減に巧も固めた拳が痛くなってきた
"φ's Shot Ready"
一撃で決めるべきだと考えた巧は生成したブラッドスフィアを変換させる
デジタルカメラ型パンチングユニット、『ファイズショット』を右手に握り締めた

“リボルバーキャノン” "φ's Shot Exceed Charge"
同時に音声が鳴り響きそれぞれの魔力を込めた右拳同士がぶつかり合う
鍔迫り合いのような状態になり次第に押してきたのは巧。
体力が落ちていたスバルのリボルバーキャノンでは巧の一撃を押し返すことは不可能。

大地を揺るがすほどの衝撃を放つ必殺拳『グランインパクト』が直撃した瞬間、動かなくなる少女
その身体に"φ"の紋章が刻み込まれがくりと項垂れる……声をかけるが応答はない。
呼吸があることから死んではいないようだが立ったままで気絶した、ということだろうか?

「―――だああぁっ!!」
「ちっ、新手か!?」

気絶した少女を蹴り飛ばすことも考えたがまた一瞬躊躇した、瞬間何かが割り込んでくる
巧が後退すると同時に上がった砂煙の中から現れたのは赤い髪をした子供の男だった。
年は10に届くかどうかで背は小さい……どう見ても戦うような人間には見えない。
その少年――エリオ・モンディアルが動こうとしないスバルの殴られた痕跡を見て怒りに震えた

「今度はガキかよ? まったく何考えてやがるんだこいつらは!」
「ひどい、ここまで痛めつけるなんて……こんな戦い方! あなたはそれでも騎士なんですか!?」
「そんなこと俺が知るかよ。……くだらねえこと言ってる暇があったら、さっさと来い」

気だるそうに手招きする巧(実際にはいつもの癖で手首を回していただけなのだがそう見えた)
のその言葉を聞いたエリオは怒りでストラーダを握り締める手に力が入る。
一人前で立派な騎士を目指しているエリオは聖王教会の騎士である巧との戦いを楽しみにしていた。
しかし正々堂々とは思えない立ち振る舞いの挙句に近づいて追い討ちをしかけようとするとは……

自分の理想の騎士像を汚されたと思ったエリオはストラーダを構え高速攻撃を仕掛ける。
当然巧には怒られる理由を完全に理解することはできない。
「許さない……ストラーダ、いくよ!」
“ソニックムーブ”

巧の目の前からエリオが消えた瞬間、身体に突き刺さる衝撃。最初は腹部次は背中その次は足……
まるで電気が全身を走るかのように痛みが駆け巡っていく……違う、実際に電気が走っている
自分が魔力を光と血に変換できるようにあの少年は電気エネルギーに変換できるのだろう
防御に回る巧の頭の中に声が聞こえてくる、エリオが念話で話しているのだ

〔信じられない、あなたが聖王教会の騎士だなんて……!〕
〔……ああ、まったくだな〕
(まだ速く走れる! そうだよね、ストラーダ!)
“OK,フルドライブ”

歯牙にもかけない巧に反応しさらにスピードを上げていくエリオの動きは目で追えないほどとなる。
文字通り雷のごとき動きに戸惑い攻撃の糸口をつかめないまま傷つけられていくバリアジャケット。
その執拗なまでの攻めに巧も次第に苛立ってきたが今は我慢するしかない
モニターで見守っていたなのはとシャーリーも目まぐるしく動くエリオについていけない
ただ1人、エリオより性能の高いソニックムーブを自在に操るフェイトだけは別だったが

「デバイスの力なのかな? この前のシュートイベーションのときよりスピードが上がってるよ……」
「すごいでしょう? そろそろなのはも4人を同時に相手にするのは厳しくなってくるかもね」
『でもなのはさんたちにはリミッターもありますし、まだまだ大丈夫ですよ!』

そんな会話が呑気に交わされていることなど露知らず巧は防御に回りっぱなしだった。
傷つけられている間にも念話は止まらない、なぜこうまで傷つけたのか
それは騎士の道に反しているふと先ほどのエリオの言葉が思い出される。
“こんな戦い方をするなんて、あなたはそれでも騎士なんですか!?”

〔立派な騎士は誰かを守るための存在なのに……なぜであなたはこんな誰かを傷つけるような戦い方を〕
〔おまえもべらべら喋る奴だな……つーかうるさいからいい加減口を閉じやがれ〕
〔あ・・・あなたって人はぁ!!〕
〔騎士がどれだけ凄いか知らないが……おまえの考えを俺に押しつけんな、迷惑だよ。〕

只でさえ堪え性がない上に先程から我慢の限界を超えていた巧は大人げない言葉を叩きつける
しかも自分の年の半分に満ちてるかどうか分からない相手に向かって
念話で話しているのだから口は最初から開いてないのだが考える間もなく
頭部に振り下ろされたストラーダを両腕で掴み受け止められたエリオの目が驚愕で開かれた

「……どうだ? 捕まえてやったぜ」
「まさか!?」
『0.1秒後出しだ! 俺はファイズだから超人的な動態視力でどんな後出しジャンケンも見逃さない』
じゃんけんに負けた言い訳の筋を通すための手段として以前真理と啓太郎に向かって口にした言葉。
あれは苦し紛れの発言だったとは思うが別に巧は嘘を言っていたわけではない
“動態視力”とそれを最大限に活かす“反射神経”はウルフオルフェノクとして覚醒していた巧にあった。

気が動転したエリオは自分の魔力を全開にしてロケットを吹かし魔力の雷を使いとなんとかして
巧の手を振り解こうとしたがうまくいかない。エリオは焦っていた。
ストラーダのロケットを全開で噴射しているのに腰がやや落ちた程度で防御は抜けない
『スピードだけが取り得』と自称してはいたがまるで通用していないのに驚いていた

現に巧には先ほどのソニックムーブとの応用で与えたダメージもまるで意味がなかった。
せいぜい鬱陶しさに苛ついたくらいでスバルの重い攻撃に比べると、軽い
子供はあくまでも子供、要するにエリオそのものの力はとても非力なのだ。
そして何よりもファイズとして戦った最後の敵、ホースオルフェノク……
自分の夢を絶望の闇に閉ざされてしまった男が繰り出してきた剣と比べるとあまりにも重みも、力もない。

「そんな……ストラーダが、押し返され……!?」
「子供と遊ぶのは別にいいんだけどな……」

不意に海堂が可愛がっていた勇介の無垢な顔が浮かぶ、今ごろどうしてるのか。もう会えないのか……
その気持ちをぶつけるかのごとく言い放った巧は腕を瞬時に振り上げエリオごとストラーダを押し返す。
身体が軽く握ったストラーダとごと宙を回転するエリオに叩き込まれる一撃。

「ガキに痛めつけられんのは大っ嫌いなんだよ!!」

背中に突き刺さった巧の蹴りはエリオの身動きをとれなくさせるダメージを与えるには充分な重さだった。
手加減はしなかった。散々痛めつけたんだからこれくらいしてもいい。先ほどの言葉へのお返しもある。
人を裏切るのが嫌な巧だが、だからといって要らぬ期待に答えてやるほど酔狂でもない。

「……おいシャーリー、聞こえたか? さっき言ったとおり2人とも倒したぞ」

倒れたまま動かなくなっているエリオと未だに動かないスバルをしばらく見つめたままで通信をする。
シャーリーから咎められたが巧は黙ったまま空間シミュレーターから立ち去ろうとした。
確かに少々やり過ぎたとは思う、模擬戦とはいえ本気を出せと言われたが確かにここまでやる必要もない
あの子供が言ったことも少しはわかるがだからといって謝る気にはなれない
――不意にめきり、と何か音がした。何かが身体に減り込んだような感覚が巧を襲う

「――ぐ、っ・・・え?」

背中に激痛が走った、突然のことだった。衝撃が身体を貫通していく。膝ががくんと折れた。
心臓が爆発したような感覚がしたがそれは痛みから来る錯覚。だが少なくとも巧には現実に思えた。

『え? 何今の声……どうしたの、ファイズ君?』
「……なんでもねえ、通信は終わりだ!」

シャーリーがまだ何かを言っているが話している暇はないため一方的に通信を切る巧。
何が起こったのかは背後を振り返るだけでわかった。呼吸が少し苦しいが立ち上がって戦闘態勢を取る
拳を突き出したまま立ち尽くしている青髪の少女の姿……模擬戦はまだ終わってないということらしい

「おまえ、騙し討ちなんて趣味があったのか……?」
「・・・・・」

巧の問いにスバルは答えない、動かない。その顔に表情はなかった、自分がやったことを理解していない。
唐突にマッハキャリバーの車輪が動く、さっきの不意打ちで動きと反応が若干鈍くなってしまった
攻撃を仕掛けてきた。しかしさっきから何か様子がおかしい、何も答えようとしないならともかく
なぜか動きが先程より速くなっているような気がする……自分が遅くなったのか? 答えは否

(こいつ、まさか……攻撃に躊躇いがなくなってるのか!?)
「ハァァァァァ・・・・ッ!!」

リボルバーナックルを叩きつけ壁まで吹き飛ばした巧に向かってさらに拳を突き出す
避けた巧の後ろを容易く破壊しローラーブーツを振り上げて巧の顔面を狙う。
顔面への致命傷は避けたがバリアジャケットに一本の線が入る、車輪で切られたのだろう
よろめいた巧を追って再び回し蹴りを叩き込むスバル、ガードした巧が吹き飛んだ。
腕の骨が軋む。攻撃力も上がっている、一体何が起こっているのかわからない

「……“ロードカートリッジ”」
「!! "φ's Pointer Ready"」

リボルバーナックルが回転したのを見て背筋が寒くなった巧は反射的に右手のファイズショットを外し
再び形状変化、デジタルトーチライト・ファイズポインターを右足部分に装着して置き上がる
技の体勢に入ったのはほぼ同時。スバルは拳を引いて構え、巧はやや腰を落としてエネルギーを装填。

“ディバインバスター” "φ's Pointer Exceed Charge"

先に動くのは巧、低く跳び上がって空中回転。足を伸ばして必殺の一撃の準備を始める
狙ったのはスバルの前に生成されている魔力スフィア……前の戦いの時に技の概要は聞いている
巧の魔力を注ぎ込んだ真紅のポイント弾が青色のスフィア弾に当たり開いた。
巧ごと撃ち抜くために構わずに魔力スフィアに向かって拳を打ち込むスバルとポイント弾に蹴り込む巧。

「「――――うわあああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

ディバインバスターとクリムゾンスマッシュがぶつかり合う瞬間、周囲に魔力と共に異常が走る
サーチャーの全機能が一瞬だけ停止する、巧が初めてこちらに来た時と同じことが起こった
相殺した魔力に飲み込まれた巧はどこからか漂ってきた匂いに意識を持っていかれる

それが不意に周囲を取り囲んでいた花びら――薔薇の匂いだと巧が気付く時には岩壁に叩きつけられていた。

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2007年07月21日(土) 11:33:53 Modified by beast0916




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