なのはStS+仮面ライダー4話A

四話
魔法少女リリカルリンディ

まずはじめに
作者がアニメの四話を見たところ、デバイスとの出会い以外必要そうな部分が無かったため、デバイスとの出会い以外のシーンを全て省かせてもらうことにした。
勝手を言って申し訳ない…
だがその代わり、作者は特別編を書くことにした。
読者の中には「昭和分が足りない!」「1号2号は?」と物足りなさを感じている人も多いだろう。
その物足りなさを、皆さんがこの特別編でほんの少しでも埋めてくれれば私も幸せである。
それでは…

リンディ「あの日から、どれぐらいの時間が経っただろう?
自分の人生に大きな影響を与えた、あの日…
強力な力と悪魔のような残酷さを持った「地獄の軍団」に出会ったあの日…
そして…世界の平和を守るため、命を懸けて、人間の自由の為に斗った、「平和の使者」に出会った、あの日…
魔法少女リリカルリンディ…始まります。」

(レッツゴー!ライダーキック!!(藤岡弘バージョン))
迫るショッカー 地獄の軍団!

我らを狙う黒い影 世界の平和を守るため
ゴー!ゴー!レッツゴー!! 輝くマシン 

ライダー(ジャンプ!)
ライダー(キック!)
仮面ライダー仮面ライダー ライダーライダー!

ライダー(ジャンプ!)
ライダー(キック!)
仮面ライダー仮面ライダー ライダーライダー!

「仮面ライダー・本郷猛は改造人間である。
彼を改造したショッカーは、世界制覇を企む、悪の秘密結社である。
仮面ライダーは、人間の自由のためにショッカーと戦うのだ!」

【ミッドチルダ 時空管理局本局】
三十六年前のこの日、リンディは特別任務があると言われ、本局に呼び出された。
最初は、「また何かロストロギア関連だろうか?」と思った。
リンディは最近Sランクになってからというもの、この手の任務が多くなった。
しかも回収対象のロストロギアは危険性が無い物が殆ど。
たまに少し危険なロストロギアの回収任務があっても、有能な魔導士である彼女にとって大した物ではなく、いつも簡単に任務を済ませていた。
彼女はそんな日々に少し飽き飽きしていた。
「もっとスリルがある任務がしてみたい」
その時の彼女はそう思っていた。

リンディ「地球…ですか?」
上官「そうだ。君には第97管理外世界「地球」に行ってもらいたい。」
リンディ「内容は?」
上官「ロストロギアの確保だ。」
リンディ「は、はぁ…(またこれか…)」
上官「退屈そうだな。」
リンディ「い…いえ!」
上官「安心しろ、私も最近君に退屈な任務ばかり与えて悪いと思っていたところなんだ。」

そういってリンディの上官はデスクから一つのファイルを取り出した。

上官「君が今回確保してもらうロストロギアはこれさ。」
リンディ「?」

リンディはファイルを開く。

リンディ「これは…「ローマの秘宝」!?」

ファイルの中にはそのロストロギアのデータが記してあった。
そのロストロギアは名称、出土した世界等殆ど全てが不明な代物であった。
ただ、このロストロギアは古代ローマで発掘され、密かに日本に運ばれたという説があるだけだった。
「ローマの秘宝」というのはそのロストロギアのコードネームであり、地球の考古学者達がそう呼んでいることからそう名づけられた。
だが、時空管理局はこの「ローマの秘宝」が、日本にある死神山という山の何処かに実在しているということを確信していた。
そしてこの「ローマの秘宝」からは物凄い量のエネルギーが本体に凝縮されていることが分かっており、爆発させれば都市の一つや二つは消し飛ばせるほどの威力を持っているということが予測されていた。
その危険なロストロギアを回収するため、管理局は死神山に調査隊を送ったのだが…

上官「調査隊は、三日前全員行方を絶ってしまった…二日前に死神山に送った捜索隊も同じように全員行方不明だ…」
リンディ「何ですって!?」
上官「そこで、我々は有能な魔導士である君を死神山に派遣したいと思っている。
これだけの調査員と魔導士が行方不明になっている今、もうSクラスである君に頼むしかない。
今まで以上に危険な任務ではあるが、引き受けてくれるか?」
リンディ「はい!喜んで!!」

リンディの心は躍った。
「やっと退屈な任務から開放される」
その時の彼女はそれだけしか考えていなかった。
この先に恐ろしい悪夢が待っているということなど、その時の彼女はまだ知らなかったのだ。

そしてその二日後、リンディは地球に向かった…

【地球 死神山】
リンディ「ゴク…ゴク…ぷは、美味しい!」

リンディは沢の水を飲んでいた。
山の水は水道水と違って有害物質が混じっていないため、安心して飲むことが出来る。
様々な世界の文化や知識を身に付けているリンディはこの程度の知識など当然の如く知っていた。

リンディ「それにしても、いつまで歩けば発掘現場に着くのよ…もうクタクタよ…」

リンディはもう六時間ほど山の中を歩いていた。
だが一向に発掘現場に辿り着けず、慣れない登山に悪戦苦闘していた。

リンディ「こんな山飛べれば楽なのに…あの上司、「目立つといけないから山登りに魔法は使うな」だなんて…もう最悪よ…」

リンディは愚痴を言いながら先へ先へと進んでいく…
そして二十分ほど歩き続けると、そこには広大な川があった。

リンディ「嘘ぉ…」

その川はかなり広く、深さもかなりありそうな川であった。
ゴムボートか何かでもない限り渡るのは無理だろう。
だが、リンディはゴムボートも何も持ってきては居なかった。
あるのは食糧と寝袋、そして自分のデバイスの三つである。

リンディ「うぅ…」

リンディは辺りを見回す。

リンディ「誰も見て…ないわよね?」

リンディは自分の周りに誰も居ないことを確認すると自分の背に翼を出現させ、空を飛んだ。
そして向こう岸まで飛んだ。

リンディ「ふう…楽勝楽勝!」

彼女が向こう岸に着地したその時…

戦闘員1、2、3「イー!」
戦闘員4、5、6「イー!」

地面の中から数人のベレー帽をかぶった黒ずくめの集団が出現した。

リンディ「な…何よ?あんたたち!?」
戦闘員1「生意気な女だな…、貴様こそ何者だ!」
戦闘員2「まさか少し前にこの山に来ていた奴らの仲間か?」
リンディ「!?、この山に来ていた調査隊の事を知っているの!?」
戦闘員3「ああ、知っているさ。」
戦闘員4「奴らは我々が探している「ローマの秘宝」を見つけ、それを奪おうとしていた。」
戦闘員5「だから火炙りにして殺してやったのだ!後に来た変な攻撃を使う奴らも一緒にな!」
リンディ「なんですって!?貴方達が調査隊と捜索隊を…」
戦闘員6「貴様も奴らの仲間か?貴様も殺してやる!かかれぇぇえ!!」
戦闘員全員「イィィィィイ!!」

戦闘員達は手に剣を持ち、リンディに斬りかかる。
だがリンディは眼前に待機状態のデバイスを掲げ、バリアで攻撃を防御した。

戦闘員1「イイ!?どうなっている!?」
戦闘員2「この前来た奴らのバリアより硬いぞ!」
リンディ「セェェェェット!アップ!!」

リンディはバリアジャケットを着用し、手に杖型に変化したデバイスを持つ。

戦闘員3「服が変わった!」
戦闘員4「この前来た奴らと同じだ!」

リンディは戦闘員達に向け、デバイスを構える。

リンディ「仲間の仇…討たせてもらうわ!」
「Stinger Snipe」
戦闘員5「ま…不味い!」
戦闘員6「に…逃げろ!」
リンディ「逃がさない!!」

リンディはデバイスから誘導操作弾を発射し、六人の戦闘員を一気に攻撃した。

戦闘員軍団「イ…イィィィィイ!!」

誘導弾を受けた戦闘員達は地面に倒れ、ドロドロに溶けて消滅してしまった。

リンディ「溶けた…こいつら…一体…?」
?「キヒヒヒヒヒヒヒ…」
リンディ「!?」

リンディの耳に怪しげな鳴き声が聞こえてくる。

?「中々やるなぁ女、貴様は俺のアリジゴクで、直々に殺してやる!死ねぇ!!」

リンディの足元に巨大な流砂が現れる。
その流砂はリンディを飲み込もうと物凄い吸引力で彼女を引き寄せる。

リンディ「きゃ…きゃあぁぁぁあ!!」

リンディは流砂に引き込まれていく。
飛んで脱出するにしても、体の半分が砂に埋まっており、翼は開けても飛び立つ事が出来ない。
そしてもがけばもがくほど、彼女の体は流砂に引き込まれていくのだった。

リンディ「た…助けて!…誰か…助けて!!」

リンディは必死に誰かに助けを求める。
だが誰も居ないことはさっき確認したばかりであるという事を彼女は思い出した。
ましてやこんな流砂の中まで助けに来てくれるような人間などそう簡単には居ないだろう。
そして彼女の体は段々砂の中に埋まっていった。

リンディ「あたし…死んじゃうのかな?もっと…やりたいことあったんだけどな…
…こんな死に方嫌だ…誰か助けて…」

その時、一本のロープが彼女の手元に現れた。
そしてそれと同時に上の方から男の声が聞こえる。

?「それにつかまるんだ!!俺が引き上げてやる!!」
リンディ「!?」

リンディは頭上を見上げた。
すると頭上には一人の青年が彼女に向けてロープを垂らしている。

リンディ「貴方…一体誰よ!?」
青年「いいから早くつかまれ!死にたいのか!?」
リンディ「え!?」
青年「早くしろ!!」
リンディ「う…うん!」

リンディはロープをしっかりと握る。

青年「よし!」

青年は物凄い力でロープを引っ張り、リンディを流砂から引き上げ、救出した。

青年「はぁ…はぁ…大丈夫か?」
リンディ「はぁ…はぁ…ありがとう…それにして、貴方力持ちね。」
青年「ハッハッハ、君の方が凄いじゃないか、なにせ、空を飛べるんだからな。」
リンディ「!?」

リンディはそれを聞いた瞬間、顔が真っ赤になるほど驚いた。

リンディ「み…見ていたの!?」
青年「ああ、君が川を飛んで渡る所から、変な攻撃で戦闘員を蹴散らす所まで全て、岩陰で見ていたよ。」
リンディ「だ…誰にも言わないで!お願い!」
青年「分かっているさ。その代わり、俺にだけは教えてくれないか?」
リンディ「え?」
青年「君がなぜそんな力を持っているのか、そして、なぜショッカーと戦っていたのかを…」
リンディ「…良いわ、命の恩人だしね。それに貴方、優しい人だもの。」
青年「ハッハッハ、嬉しいことを言ってくれるな。」
リンディ「その代わり、あたしにも教えて。貴方が誰で、何の目的でここにいて、あいつらが何者なのかを…」
青年「…後で後悔する事になるかもしれんが、良いのか?」
リンディ「構わないわ。」

青年はリンディの目を見つめる。

リンディ「な…何よ?」
青年「本当に…覚悟はあるのか?」
リンディ「あ…あるわよ。」
青年「…分かった、君にもショッカーの事を話そう。俺は本郷猛、君は?」
リンディ「リ…リンディよ。」
本郷「リンディか…綺麗な名前だな。」
リンディ「あ…ありがとう。」
本郷「じゃあ、まず君から話してくれ。」
リンディ「分かったわ…」

リンディは本郷に全てを教えた。
この世には地球の他に様々な異世界があるということ。
その様々な世界を守る為、ミッドチルダという世界に時空管理局という魔法使い達の組織があるということ。
自分もその組織のエリート魔導士であること。
そして世界には星一つ滅ぼすほど強力な力を持つものも存在するといわれている遺失物「ロストロギア」というものが安全なものから危険なものまでいくつも存在しているということ。
そして、自分はそのロストロギアの確保のために地球を訪れたこと。
先ほど襲ってきた黒ずくめの集団が、この死神山に眠っている「ローマの秘宝」というロストロギアを発見するために送られた管理局の調査隊を殺し、それを探すために送られてきた捜索隊も殺してしまったということ…
全てを包み隠さず話した。

本郷「うーむ…」
リンディ「信じて、貰えるかしら?」
本郷「簡単には信じられない…だが、世界中には突拍子もない大災害が起きたというケースがいくつも確認されている。
その大災害もそのロストロギアのせいだとしたら、全て説明がつく。
それに、昔絵本で呼んだものとは違うが、君は間違いなく魔法使いだしな。
俺は君を信じるよ。」
リンディ「ありがとう、猛さん。」
本郷「さて、次は俺の番が…」

次は本郷がリンディに全てを話す。
今この世界の裏にはショッカーという悪魔の組織があること。
ショッカーの目的は地球人類全てを皆殺しにし、世界征服をするということ。
自分はそのショッカーを叩くために戦っているということ。
この死神山では二週間ほど前から行方不明事件が多発しているということ。
そして自分はショッカーが何かを企んでいると読み、この死神山に来たということを…

リンディ「ミッドから調査隊が到着する前からそんなことが…」
本郷「成程、おそらく君達がここにローマの秘宝があるということを知っていたように、ショッカーもこの山に秘宝があるということを知ったんだ。
そして、ショッカーに出くわした時空管理局とやらの調査隊と、その捜索に来た者達は殺された…と言うわけか…
しかし…あの秘宝が実在していたとは…驚いたな。あれは単に御伽噺の類の物だと思っていたが…」
リンディ「それがロストロギアよ。どこかの物語にしか登場しないような代物が、他にも沢山あるわ。」
本郷「ホウ…興味深いな。一度、じっくり見てみたいものだな。」
リンディ「機会があったらね。でも、そのショッカーって奴らは、あの秘宝を爆弾として使うつもりなのかしら?」
本郷「爆弾?」
リンディ「ローマの秘宝には、とてつもない量のエネルギーが凝縮されているの。
爆発させれば、都市の一つや二つが吹き飛ぶほど強力な爆弾になるって言うことが、最近管理局内で解明されたの。」
本郷「そうか…」
リンディ「だからきっと奴ら、ローマの秘宝を爆弾代わりにしようと…」
本郷「いや…違うな。」
リンディ「え?」
本郷「奴らは秘宝の内部のエネルギーを原動力に使い、最新兵器を作るつもりだ。」
リンディ「なぜそんなことが言えるの?確証はあるの?」
本郷「奴らは都市の一つや二つで満足するような奴らではない。
利用するものは最大限に利用し、より多くの人間の命を奪おうと考えるのが奴らだ。
俺にはそれが分かる…!」
リンディ「…」

リンディはこの時、本郷猛の優しさの裏に隠れた強大な憎しみを感じ取った。

本郷「…すまんな、少し熱くなってしまった…」
リンディ「いえ…大丈夫よ。(この人一体なぜこれほどの憎しみを隠しているかしら?)」
本郷「…先に進みたいが、もうすぐ日が暮れるな。ショッカーの奴らが夜の闇にまぎれて奇襲してくる可能性も十分に考えられる。
今夜はここで野宿だ。」
リンディ「え!?」
本郷「どうした?」
リンディ「いや…あの…その…」

リンディは赤面しながらキョロキョロと両目を左右に動かす。

本郷「…ああ、そういうことか。」
リンディ「!?」

本郷はそれが何を意味しているか悟った(流石は知能指数600)

本郷「…君は俺が夜這いをするような男に見えるのか?…だとしたら少し心外だな」
リンディ「べ…別に猛さんを疑っているわけじゃないんです!けど…あたし、子供にしては結構胸も大きいし、スタイルも良いし、それに顔も美人だから、その…やっぱり心配で…」
本郷「(普通自分では言わないと思うが…)どうしても心配なら、俺が張ったテントの中で寝れば良い。
俺は外で寝るから、安心しろ。」

本郷は親指で自分の後方を指す。
そこには確かにオレンジ色のテントがあった。

リンディ「…中にカメラが仕込んであったりしませんか?」
本郷「しない。」
リンディ「あたしが寝た頃にテントに乗り込んで、無理矢理なんてこと…」
本郷「…君は本当に俺を信用しているのか?」
リンディ「し…してますよ!!でも…ほんとに…目が覚めたら純潔を失っていたなんてことになんて…なりませんよね?」
本郷「そろそろ怒りたくなってきたんだが…」
リンディ「ほ…ほんとに何もしないですか?」
本郷「ああ、神に誓う。」
リンディ「わ…分かりました。」

二人は長い討論(?)を終え、ここで野宿をすることに決める。

本郷「では改めて…」


本郷は右手をリンディに差し出す。

本郷「よろしく頼むぞ。」
リンディ「こちらこそ。」

リンディも猛の右手を握り、二人は握手を交わす。
だがこの出会いが、リンディの長い戦いの始まりを告げるものであるということに、彼女はまだ気付いていなかった。

(アイキャッチ 旧1号編)

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2007年08月12日(日) 11:58:15 Modified by beast0916




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