マスカレード12話B

次の瞬間、ザビーはカブトに向かって走り出していた。
前回の雪辱を晴らす為に、なんとしてもカブトを倒さねばならない。
「はッ!」
「……甘い。」
接近したザビーはカブトに殴り掛かるも、片手で流されてしまう。
「クソ……!」
もちろんそれで終わる訳が無く、ザビーは次々とパンチを撃ち込む。
だがそれも全て受けられ、逆にカブトの打撃を受けるザビー。

「アギト……!お前は一体何者なんだ!」
「……ッ!」
フェイトが振り下ろすバルディッシュを、フレイムセイバーで受け止めるアギト。
「いきなり襲ってきたり……敵を倒すのに協力してくれたり……何を考えてるの?」
後ろから聞こえる声に振り向くと、ピンクの球体が自分に向かって飛んでくるのが見える。
「ハッ!」
アギトは咄嗟にそれをフレイムセイバーで叩き斬る。
しかもよく見れば自分の周囲を無数の球体が飛び交っているではないか。
これはなのはのアクセルシューター。無数の球体がアギトを襲う。

「止めろお前ら!こんな戦いに何の意味があるんだ!」
ガタックは戦闘を中止するように叫ぶが、一同はまるで聞く耳を持たない。
ならば無理矢理聞かせるしか無いか……
「……俺の話を聞け!!」
言いながらザビーを羽交い締めにするガタック。
「ク……離せ!」
ザビーも慌ててガタックから逃れようとするが、中々離そうとはしない。
なら……
『Cast off(キャストオフ)!』
「うわ……!」
ガタックと密接したままキャストオフ。
それによりガタックはザビーのアーマーと一緒に弾き飛ばされる。
「クソ……いい加減にしろーッ!」
頭に来たガタックはダブルカリバーを装備、そのままザビーに斬り掛かる。
「チッ……やっぱりキミもカブトの仲間か!」
ガタックに殴り掛かるザビー。
こうしてザビーの相手は一先ずガタックへとシフトした。

「カブト……いや、天道総司……!」
そして次にカブトの前に現れたのはブレイドだ。
「まったく……次から次へと……」
呆れるように言い、そのままクナイガンでブレイドに応戦する。
「……お前は本当に俺達の敵なのか!?」
「お前達が俺の邪魔をすると言うのなら、容赦はしない」
二人はクナイガンとブレイラウザーを激突させる。
赤と青のカブトムシライダー対決だ。
「俺はあんたを信じたいんだ……同じライダーとして!」
「何……?」
カブトの動きが一瞬だけ止まる。
「あんただって何か、使命を背負って戦ってるはずだ!」
「使命……か。」
呟きながらブレイドの攻撃をクナイガンで受け止めるカブト。

その時……
「……ッ!?」
大きな音と共に時空が裂け、巨大な電車が現れる。
「なんだコレ!?」
「電車……だと?」
またしても驚くカブト、ガタック、アギト。
地面にレールを敷きながら走る電車はギリギリ建物を破壊しない場所を走り、
やがて連結していた白い車両から一台のバイクが飛び出した。
白いバイクはサイレンを鳴らしながら地面に着地。
そのまま電車−『デンライナー』−は別の空間へと消えていった。

バイクに乗っているのは、管理局製の強化スーツを身に纏ったライダー……『G3』だ。
『氷川君、これがG3の初陣、頑張りなさい!』
「はい、小沢さん。」

白いバイク−ガードチェイサー−から降りたG3はサブマシンガン状の銃『GM-01 スコーピオン』を構えた。
『GM-01、アクティブ。』
Gライナーから遠隔操作でスコーピオンのロックを解除される。

「カブト!お前を捕獲する!」
G3はどこか滑舌の悪い喋り方でカブトにスコーピオンを向けた。
「……やれやれ、また管理局か。」
こうなるとカブト・ガタック・アギトの三人に対し、敵はなのは・フェイト・ザビー・ブレイド・G3の五人という事になる。
「(津上があの魔導師二人を、俺がこの男と今現れたライダーを相手にすればなんとかなるか)」
瞬時に状況を判断するカブト。出来ればあと二人、味方が欲しい所だが、無い物ねだりをしても仕方が無い。

「ハァッ!フン!」
一方、アギトはフレイムセイバーでなのはの放ったアクセルシューターを一つ一つ叩き落として行く。
「これなら……!」
『Haken Saber.』
フェイトがバルディッシュを振るうと、バルディッシュの魔力刃がアギトに向けて飛び出した。
「ク……!」
アギトは咄嗟にフレイムセイバーを両手で構える。すると、次の瞬間にはフレイムセイバーは二本に分裂していた。
「ダブルフレイムセイバー……!」
アギトは二本のフレイムセイバーでフェイトが飛ばした魔力刃を迎撃する。
「次!」
『Divine buster.』
「な!?」
今度は斜め上方向からのディバインバスターだ。
「(……かわすしか無いでしょこんなの!)」
常人を遥かに凌ぐ反射神経を持つアギトは咄嗟に転がってディバインバスターを回避。
ここまでやってまだお互いに一撃も入れていないというのがまた凄い。

「天道が一体何したって言うんだよ!」
「キミが知る必要は無い!」
ザビーの放つパンチをクロスさせたダブルカリバーで受け止めるガタック。
「それで納得できる訳無いだろ!」
「別にキミには関係無いんだ!納得して貰わなくて構わない!」
ザビーが放つパンチを一方的に防ぐだけのガタック。
「確かに天道は目茶苦茶な奴だけど、管理局に追われるような覚えは無いだろ!」
「それがあるんだよ!キミの知らない所でね……!」
ザビーは防戦一方のガタックを殴り続ける。ガタックもそろそろブチ切れそうだ……

「ふん……!」
「速い!?」
カブトは一気にG3の後ろに飛び上がり、G3も慌てて振り向く。
だが時既に遅く、クナイガンの一撃を受けたG3はそのまま倒れこんでしまう。
「止めろ!話を聞いてくれ!」
ブレイドもカブトに駆け寄るが……
「くどい。言ったはずだ……お前達と話すことなど何も無い!」
再びブレイドに接近し、クナイガンを振り上げるカブト。
ブレイドはそれを上手くブレイラウザーで受け止める。
「…………!」
G3はすぐに起き上がり、カブトに向けてスコーピオンを連射する。
「……諦めの悪い奴だな」
カブトはその銃弾を全てクナイガンで打ち落とす。
カランカランと音を立てて落下する銃弾を見て悔しそうな表情を浮かべる氷川。
なら……
『GS-03、アクティブ。』
次に右腕に装着した超高周波振動ソード、『デストロイヤー』を起動。そのままカブトに突進する。
「ほぅ……」
それに対しカブトはクナイガンで応戦。
ぶつかり合うデストロイヤーとクナイガン。
デストロイヤーはこれでも振動剣だ。いかに超高温のクナイガンといえどこのままではまずい。
「フン!」
カブトはすぐにG3の腹を前蹴りで突き放し、一回転して何かを取り出す。
カブトが持っているのは『ゼクトマイザー』だ。
すぐにゼクトマイザー本体のプレートを押し、大量のカブト型マイザーボマーを射出。
連続で発射されるマイザーボマーの数は100に近い数となり、管理局勢力の全員を襲う。
「チッ……なんだ、コレは!」
ガードしながら防ぐザビー。
「これは……爆弾!?」
G3もマイザーボマーの能力に気付く。これは迂闊に攻撃するのは避けた方がいいだろう。

すると……
「皆、すぐに退避して下さい!私がまとめて吹っ飛ばします!」
「「なのは!?」」
見ると、上空からマイザーボマーが集中している場所に向けてレイジングハートを構えるなのはの姿が。
「ディバィイイイイイン……」
しかも既にチャージに入っている。一同は急いでその場から退避。
「バスタァアアアアアアア!!!」
『Extension.』
カートリッジを2発ロードし、高密度の魔力を撃ち出す。
桜色の閃光がマイザーボマーの群れを一気に消滅させる。
想像以上に早く対処され、カブトも少し驚いているようだ。と、いうよりなのはの魔法まで計算に入れてはいなかった。
と、言うより「自分の学校のグラウンドでそんなもん使うなよ」と突っ込みたい。

「……カブトォーーー!」
ディバインバスターとマイザーボマーの爆発により発生した煙りが晴れると同時に、クロノはカブトに向かって走り出す。
だが、そんなザビーの前に突如現れた赤いバイクが立ち塞がる。
「……なんだお前は!?」
「お前がザビーブレスの所有者か」
言いながらバイクから降りてヘルメットを外す。
「お前は……橘!?」
驚くクロノ。ヘルメットを外した男のは、自分も面識がある橘だったのだ。
まさかここにギャレンが現れるとは思っていなかった。
そしてそれ以上にブレイドは驚いているようで……
「ダディャーナザン!?」
「剣崎か……これが今の俺の仕事だ」

剣崎をちらっと見て、左腕を胸の前に持ってくる橘。
そして……
「変身!」
『Turn Up(ターンアップ)!!』
右手を回すような変身ポーズを取り、ギャレンバックルのハンドルを引く。
同時にベルトから現れた光のゲートがザビーを弾き飛ばし、橘はすぐにそのゲートを通る。

「仮面ライダー……ギャレン……!」
「悪いがザビーブレスは返して貰う」
同時にザビーに向けたギャレンラウザーを発射。
「クッ……!」
ザビーはガードしながら距離を取るが、ギャレンの連射は止まらない。
「あんた、このエリアの司令官の天道総司だな?」
連射しながらカブトに話し掛けるギャレン。
「俺はシャドウ隊長の橘朔也だ。」
誰だコイツ?という雰囲気のカブトに簡単な自己紹介をするギャレン。
「そうか。ならばザビーはお前に任せる」
「言われなくても奴は俺が倒す!」
連射しながらザビーに接近するギャレン。
「橘さん!どういうこと何ですか、これは!?」
一方ブレイドは橘を止めるように叫ぶが、ギャレンの射撃は止まらない。
「俺の任務はザビーゼクターの奪還だ!」
「そんな……橘さん……ZECTに入ったんですか!?」
さらにギャレンに接近するブレイド。だが……
「お前の相手はこの俺だ」
ブレイドの前に立ち塞がったのはカブトだった。
カブトにしても早く終わらせて帰りたい。そろそろ帰らねば樹花が心配するからだ。
そしてその障害となる者は倒す。
「く……どけ!」
こうして再び斬り合いになるカブトとブレイド。

一方、G3もグレネードランチャーである『サラマンダー』をカブトに向けている。
ブレイドとの戦いに集中している今なら倒せる。そう思ったのだが……
「止めろーーーッ!」
「うわ……ッ!!」
いきなり飛び掛かってきたガタックが、飛び蹴りでG3を蹴り飛ばしたのだ。
「お前達、なんでこんなこと……!」
「これも全てカブトを倒すためです!」
言いながらサラマンダーを自分に向けるG3に、ガタックはついにブチ切れた。

「……舐めるなぁああああ!!!」
『Clock Up(クロックアップ)』
ガタックは腰のスイッチを押し、クロックアップ空間へ入る。
『One-Two-Three!!』
「ライダーキック!」
『Rider Kick(ライダーキック)』
ガタックの脚をタキオン粒子が駆け巡る。そのままG3に向けて飛び上がるが……
「させない!」
『Plasma Smasher.』
次の瞬間、ガタックのボディに輝く雷が炸裂。
そのまま数メートル吹っ飛ぶ。
『Clock Over(クロックオーバー)』

「クソ……何だ!?」
「加賀美……クロックアップできるのはライダーだけじゃ無いんだよ?」
「フェイトちゃん……!?」
どうやらガタックを吹っ飛ばしたのはフェイトらしい。咄嗟にG3を守る為にクロックアップをしたという事だ。
「氷川さん……でしたっけ?貴方はアギトの相手をして下さい!ガタックは私が引き受けます」
フェイトの指示を受けたG3は「了解しました」とだけ言い、すぐにその場所を離れた。

「橘朔也……!キミは管理局の味方じゃなかったのか!?」
「今の俺の目的はザビーゼクターの奪還だ!」
ザビーはなんとかギャレンのレンジに入るが、なかなかダメージを与えられない。
何よりも恐ろしいのは零距離でのギャレンラウザーの連射だ。
「ふざけるな!今のザビーゼクターの資格者は僕だ!」
スキをついてギャレンにパンチを入れるザビー。
一方ギャレンも攻撃を受けながらカードをラウズ。
『ファイア』
『アッパー』
刹那、ギャレンの右腕を燃え盛る炎が纏う。そして……
「たぁッ!」
ザビーのボディにファイアアッパーを炸裂させる。
「うわぁああッ!」
そのままザビーは数メートル吹っ飛ぶ。

「(ク……この位置からじゃ攻撃のしようが無い……!)」
アギトはなのはの攻撃をかわし続けながらそう思っていた。
今のアギトには射撃攻撃など無いに等しい。ずっと上空から射撃系の攻撃を続けるなのはは本当にやっかいな敵だ。
その時……
「うわッ!?」
突然の後ろからの射撃攻撃に慌てて振り向くアギト。そこにいるのはさっきの青いライダー、G3だ。
「……チッ!」
すぐにG3に接近、ダブルフレイムセイバーでスコーピオンを弾き飛ばし、G3のボディを切り裂く。

「お前……さっき使命がどうとか言ってたな?」
クナイガンとブレイラウザーをぶつけ、お互いの顔を近付けながら言うカブト。
「ならば聞くが、お前の使命とは何だ?」
「俺の使命……それは、人間を守る事だ!」
ブレイラウザーでクナイガンを弾き、再び振り下ろすが、やはりクナイガンで受けられてしまう。
カブトは「そうか……」と言いながらクナイガンでブレイラウザーを弾く。
そこで、ブレイドはある事に気付いた……。
「カブト……!本気で戦うつもりは無いのか!?」
「何……?」
「さっきから殆ど守ってるだけで、たいした攻撃をしてこない!何故だ!?」
「……偶然だ。」
カブトはそう言い、素早くブレイラウザーを弾き、ブレイドのボディに一撃を入れる。
「ク……!お前は一体何の為に戦うんだ!?」
のけ反りながらブレイラウザーを構えて言うブレイド。
「……俺は人を殺め、小さな夢や希望をも踏みにじる……そんな奴らを倒すだけだ……!」
「……何!?」
その言葉に驚くブレイド。

しかしその時……
「仲間割れをしている場合か……」
再び現れた喪服の女。
今度はさっきとは違い、結構な量のサリスを引き連れている。
20匹くらいだろうか?まったく空気を読まない登場だ。

カブトもブレイドもワームに向き直る。
同じように戦闘に集中しているギャレン・ザビー以外の一同は皆、ワームに反応する。

「橘さん!クロノ!」
ブレイドは二人に呼び掛けるが、二人は聞こえていないのか戦い続けている。
「無駄だ。奴らは最早ライダーの目的を忘れている。」
「カブト……」
カブトを見つめるブレイド。

「一時休戦……かな?」
アギト・フェイト・ガタックもなのはの言葉に頷く。
まずはワームを倒す事が先決だ。

「おいおいおいおい、なんか面白そうじゃねぇか!今度こそ俺も交ぜて貰うぜ?」
さらに校門から堂々とグラウンドに現れたのは髪の毛を逆立て、野獣のような目をしている良太郎だ。
「変身!」
『Complete(コンプリート)』
良太郎はデルタフォンをデルタムーバーにセット。
再びデルタへと変身する。
「あれは……デルタギア!?」
「もう乱入しすぎだろ……」
驚くフェイトと呆れるガタック。まさに大乱闘だ。
そしてデルタはすぐに派手なポーズを取り……
「今度こそ……俺、参上!!」

「おいテメェ、それ貸しやがれ!」
「え……ちょっと……!?」
「いいじゃねぇか2本あんだからよ!」
そう言いアギトからフレイムセイバーを分取るデルタ。
フレイムセイバーを構えたデルタはさらに意気揚々と喋り出す。
「俺に前フリは無ぇ!最初っから最後まで徹底的にクライマックスだ!!」
ワーム集団にフレイムセイバーを向けて叫ぶデルタ。
それに続いてなのは・フェイト・ガタック・アギトもデルタの横に並ぶ。
こうなるともうどこぞのスーパー戦隊みたいだ。
「行くぜ行くぜ行くぜぇーーーーー!!」
デルタが走り出すと同時にアギト、ガタックもワームに向かって走り出す。
デルタとアギトはフレイムセイバーでサリスを斬り倒してゆき、ガタックはダブルカリバーでサリスにトドメを刺していく。

「私達も行くよ、フェイトちゃん!」
「うん、なのは!」
フェイトとなのはも上空からワームに攻撃を開始する。

「(ワームよりも今はコイツだ……!)」
ザビーはワームに気付いているにも関わらず、ギャレンへの攻撃を続けていた。
ギャレンもザビーのパンチを上手く流しながらギャレンラウザーの発射を続けている。
今回のワーム殲滅はなのは達に任せる事にした。

「カブト……いや、天道総司。お前は……」
「お前……名は何と言う?」
ブレイドの言葉を遮り、名前を聞くカブト。
「名前……?俺は、仮面ライダーブレイド……剣崎一真だ。」
カブトに聞かれたブレイドは自分の名前を名乗る。
「そうか……行くぞ、剣崎」
「……ああ、天道……!」
カブトとブレイドの二人はお互いの名前を呼び合い、ワームへと突進していく。

同時にサリス軍団の奥からカタツムリのような姿をしたコキリアワームと、
三葉虫のような姿をしたトリロバイトアンデッドが現れる。
どうやらこのアンデッドはたまたまワームと協力体制にあったらしい。
「現れやがったな大ボスが!」
それに対しさらに張り切るデルタ。
ワームの数は20匹。5人いれば一人4匹の割り当てでワームを殲滅できる。

「はぁ!」
「うぉおお!!」
さらに後からきたカブトとブレイドがお互いの武器をサリスへと振り下ろし、爆発させる。
お陰でサリス軍団は完全に壊滅。結局サリスを連れて来ても意味は無かったようだ。

「行くぜぇー!」
デルタはフレイムセイバーでコキリアワームに斬り掛かる。
横、縦、斜めとあらゆる角度から斬って斬って斬りまくる。
コキリアワームは少し距離をとろうとデルタから離れるが……
「フン!」
今度はアギトのフレイムセイバーに斬られてのけ反る。
そこで右腕のムチを近くにいたライダーに飛ばすが……
「当たるかよ!」
ガタックはそれを回避。さらにダブルカリバーで鞭を叩き斬る。
これはまずい。そう感じたコキリアワームはクロックアップを発動。そのまま逃走を謀ろうとするが、やはりそう上手くいく訳も無く……
「逃がさないよ!」
『Plasma lancer.』
すぐにフェイトの放ったスフィアがコキリアワームに全弾直撃。
すぐにクロックオーバーだ。

「んじゃ、そろそろラスト行くぜ!」
フラフラと立ち上がるコキリアワームにフレイムセイバーを振りかぶるデルタ。
「必殺……俺の必殺技ぁ!」
デルタは力任せにフレイムセイバーを振り下ろす。それに直撃したコキリアワームは苦しそうに悶えるが……
「はぁーーー!」
今度は燃え盛るフレイムセイバーを持ったアギトのセイバースラッシュが直撃。
それだけでも十分致命傷なはずだが、それで終わらせてはくれない……
「ラスト行きます!本日三発目っ!!」
言いながらコキリアワームにレイジングハートを向けるなのは。

そして……
「ディバイィン……バスタァーーーーーーーッ!!」
『Divene buster.』
そのまま凄まじい勢いで発射された閃光にコキリアワームは飲み込まれた……。


「はぁ!」
クナイガンでトリロバイトアンデッドを斬りつけるが、相当固い皮膚らしくなかなか傷を付けられない。
ブレイドも同じようにブレイラウザーを振り下ろすが、あまり効いている気がしない。
ならば……
「同時攻撃だ……!」
そこでカブトは次の作戦を立案。ブレイドと二人で同時に攻撃を仕掛ける。

「「たぁッ!」」
クナイガンとブレイラウザーを同時に叩き付ける。
すると今回は少しダメージが通ったのか、数メートル後ずさる。
これなら行ける。

「今だ!」
「ああ、やるぞ!」
二人はお互いの顔をみた後、すぐにトリロバイトアンデッドに目線を戻す。
そしてブレイドはラウザーから3枚のカードを取り出し……

『キック』
『サンダー』
『マッハ』
『One-Two-Three!』
ブレイドはカードをラウズ、カブトはフルスロットルを三回押す。
『ライトニングソニック』
『Rider Kick(ライダーキック)』
そして三枚のカードが宙に浮かび、そのままブレイドの体に吸収される。
一方カブトはベルトから放たれたタキオン粒子が右足にチャージアップされる。
そして同時に飛び上がった二人は……
「はぁーーーーーーーー!!」
「うぇーーーーーーいッ!!」
ほぼ同じフォームで空中で一回転し、そのままトリロバイトアンデッドを蹴り飛ばす。
ダブルライダーキックが炸裂したトリロバイトアンデッドはさらに吹っ飛び、地面に転がる。

カシャッ!

そしてトリロバイトアンデッドのアンデッドバックルは開く。
これは「封印できる」という合図だ。
ブレイドは一枚のプロパーブランクのカードをトリロバイトアンデッドへと放り投げる。
カードはヒュンヒュンと音をたててアンデッドに突き刺さり、そのままカードに吸収される。
そのカードはすぐに自分の元へと帰ってくる。

「天道……お前は一体何者なんだ?」
カードを受け取ってすぐにカブトに尋ねるブレイド。
その質問に対し、ゆっくりと太陽を指差すカブト。
「俺は天の道を往き、総てを司る男……天道総司だ……」
その言葉を聞いたブレイドは「ははっ」と笑い出す。
カブトもそんなブレイドの反応に「フ……」と笑みをこぼす。
「俺……あんたを信じてみるよ。あんたの言葉を……」
「いいのか?俺を信用して」
「ああ。信じてみたいんだ……」
さっきカブトが言っていた戦う理由。その言葉に嘘があるとは思えないのだ。
カブトもブレイドの言葉を聞き、誰にも解らないように仮面の下で微笑んだ。

周囲を見回せば、いつの間にかアギトの姿は消えていた。
どうやらアギトはこの混乱に乗じて姿を消したらしい。
まぁ翔一とはまたいつでも会える。カブトはあまり深く考え無いことにした。
「さて……そろそろ終わらせるか。」
天道はそう呟き……
「加賀美、クロックアップだ!」
大声で指示するカブト。
「え……何でだよ!?」
「そろそろ終わりだ。」
ガタックは訳が解らないといった感じだが、とりあえず指示に従う事に。
『『Clock Up(クロックアップ)』』
二人は再びクロックアップを発動させる。
「おい天道……何するつもりだよ?」
「クライマックスだ。最後のライダーキック……行くぞ。」
言いながらほぼ止まっているに等しいギャレンとザビーを見るカブト。
ガタックも「なるほどな……」と納得し、二人はゼクターのフルスロットルを押し始める。
『『One』』
ゆっくりと歩きながらザビーとギャレンに近づく。
『『Two』』
カブトはザビー、ガタックはギャレンに向かってゆき……
『『Three』』
「ライダー……キック。」
「ライダーキック!!」
二人はザビーとギャレンの目の前で立ち止まり、勢いよくゼクターホーンを倒した。
『『Rider Kick(ライダーキック)!!』』
「はぁッ!!」
「おぉりゃあああああ!!」
カブトは回し蹴り、ガタックは飛び蹴りでそれぞれのライダーキックを直撃させる。
蹴られた二人はゆっくりと浮き上がり……
『Clock Over(クロックオーバー)』
ゼクターがクロックオーバーを告げると同時にクロックアップは終了。
「「な……ッ!?」」
さっきまでゆっくり浮かんでいたザビーとギャレンも一気に吹っ飛ぶ。

過度のダメージにより変身が解除されたクロノは悔しそうにカブトを見上げる。
「お前達……少し頭を冷やせ。人々を守るはずのお前達がその目的を忘れてどうする?」
カブトに言われたクロノは返す言葉を無くす。
「そして橘、お前もだ。……今回はもう帰れ」
「だがザビーゼクターがまだ……!」
「これは命令だ!」
「……ッ!?」
キツい口調で言うカブトに、橘も黙ってしまう。確かに権力は橘よりも天道の方が上だ。
橘は不服だが「……わかった。」と了解する。

カブトはそのまま変身を解除し、ゆっくりと歩き始めた。
「お、おい天道……アイツどうするんだよ!?」
加賀美が指差すのは白いライダー……デルタだ。
天道は少し「……」と考えるが……
「知るか。」
そのまま再び歩き始めた。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
加賀美は慌てて天道を追い掛ける。


「へへ……俺、最強!」
言いながらデルタギアを外す良太郎。
同時に良太郎から赤い何かが離れ……
「アレ……?どこ……ここ……」
キョトンとした顔で周囲を見渡す良太郎。
周囲ではなのはとフェイトが険しい表情で自分を睨んでいる。
「あ、あの……ボク、もしかして何かしちゃった……?」



次回予告

橘の前にエリアZから来たという人物が現れる。

その一方で異形の姿と力を手に入れてしまった二人の男は邂逅する。


そして決着をつける為、ついに激突する二人……!

次回、リリカルなのは マスカレード
ACT.13「激突!なのはvsハイパーカブト!!」
に、ドライブイグニッション!!


スーパーヒーロータイム

小沢「なんで氷川くん最後スルーされてたの?」
氷川「アギトから受けた攻撃のせいでバッテリーが完全に上がったんですよ!」
小沢「あ、そうなんだ?だったらそう言いなさいよ」
氷川「いや、そんなこと言われても……」
良太郎「……貴方も、結構不幸なんですね……」
モモタロス「次回もよろしくな!」

[戻る][目次へ][次へ?]
2007年08月12日(日) 11:40:39 Modified by beast0916




スマートフォン版で見る