リリカルなのはBstS外伝1話

なのは「皆、元気にしてる?元気がないときは」
ナっちゃん「俺様が慰めてやるぜ〜♪」

なのは「じゃあ、極上時空管理局はじまります♪」

チータス「おおー、なのは腹話術(インフェルノの頭で)うめぇじゃん♪」
フェイト「な、なのは。楽しそうだねι」


外伝「いぬかにさい合戦」


ここは海鳴市自然公園。
市内に住む人々の多くは幼い者からお年寄り、様々な者まで緑の豊かなこの公園に訪れている。
ミッドチルダで多くのトランスフォーマーが発見されていく中、夕暮れ海鳴市の自然公園においても二人の少女とトランスフォーマーが邂逅を果たしていた。
それはほんの数分前、少女達が学校帰りに自然公園に立ち寄った時の事だった。

少女達は何気ないその日の学校生活で起きた事を楽しげに話していた。だが

「ね、ねえアリサちゃん?草むらに何かいるみたい」

アリサと呼ばれた少女は言われた方向の草むらを見遣る。
微かに揺れていた。まるで何かが居るように。

「アリサちゃん、なんだろう?」

「わ、わからないわ。見てみなくちゃ。」

恐る恐る、慎重にアリサは揺れる草むらに近づいていく。その後ろからもう一人の少女も心配そうに草むらに歩み寄る。
そして意を決し、アリサは思いきって草むらの中を覗き込んでみる事にした。
そこに居たのは……

「ね、ねえ。すずか?」

アリサはそこから視線を外せずに後ろにいたすずかに尋ねる。

「ど、どうしたの?」
「狼……翼ついてる」

「お、おおかみさん!?」

アリサの言った言葉に驚いたすずかは直ぐさま草むらの中を見る。
そこには灰色の見事な毛並みに翼が生えた狼がふらふらと立っていた。普通なら狼を見た瞬間に怖くなって逃げてしまうだろう。
だが、二人は逃げない。
傷ついた命をそのままにして逃げるような事はしない、それに二人は動物が好きであったからだ。

「あんた、ふらふらじゃない……」

「おおかみさん、大丈夫?」

怖がりもせずに二人は狼に駆け寄る。二人は眼を見てこの狼の優しさを感じたからだ。他を敬っているような優しさを。
一方、狼は困惑していた。

(ひ、人……だ。記録でしか見た事な…い…デス。どう……したら)

意識が朦朧とする中、狼はしばらく考えこみ。心配そうに背中をさすってくれている二人に告げた。

「すいません……ぼくのことは………ないで−−」

だが、狼の意識はそこで途絶えてしまう。

「ちょ、ちょっと大丈夫!?すずか、ここからだとあんたの家が近いでしょ?」

「う、うん!」

狼が喋った事に何の疑問も浮かばなかった。二人は「事情があるのだろう」と直ぐさま思い浮かんだからだ。すずかは狼を自分の家に連れていくために家に連絡して車を呼び寄せる。

連絡してから数分程でリムジンが迎えにきた。


「ゆっくり……」

「う、うん」

翼を傷つけないように優しく抱き上げて二人は狼を抱き上げる。運転士も手伝ってなんとか車の後部座席に乗せ、直ぐさま
運転士も運転席に戻る。

「家まで急いで下さい!」

すずかの声に頷き、運転士は狼の身体に障らないようにスピードを出して月村邸に向かう。


(……ダイノボットさん……駄目です、……生きなきゃ駄目です)

狼は夢を見ていた、それはダイノボットが一人でメガトロンの人類抹殺計画を打ち破りに行った時の。サイバトロンのメンバーで助けに行った時の……夢を。

(ダイノボットさん!……っ。ここは?)

眼を覚ました狼は暗い中部屋で自分が高級ベットで寝かされている事に気付く。

(そうです……僕はあの時、人に…女の子達に助けられて……)

そこで狼は自分の前足が誰かの手に握られている事に気付く。
暗い中、眼を懲らして眼の前をよく見ると気を失う時に自分を見つけてくれた少女の一人がすやすやと寝息を立てていた。


その頃、すずかの家から車で送ってもらったアリサは再び自然公園に訪れていた。
すずかの家で狼を寝かせてからはしばらく居たがなかなか起きるそぶりも見せなかったのでアリサは「起きたらすぐに教えて」と言い。帰路についたのだが、

途中、もしかしたらあの狼は時空管理局で働いているなのは達の仕事に関連するのでは。とふと考えてしまう。

そして今、狼が倒れていた草むらに何か落ちてないか見ていた。

「何もない……か。」

一息ついて立ち上がるアリサは草むらから出る。だが、その時彼女は声をかけられる。

「かわいこちゃんはっけーん♪」

「うわ、聖祥中等部の制服着てんじゃん、しかも上玉。」

いやらしい男達がにやにやとアリサを見て声を漏らしていた。
それは地元でも有名な不良達であった。

「何の用よ、あんた達。」

だが、アリサは怯える事なく。キっと男達を見据える。見たところ男はざっと5人。

「うわぁこわいこわい。ちょっと俺達と遊んでかない?」

「楽しいぜ?」

「良いわ、私帰るから」

アリサはそう言い、公園を出ようとするが前を遮られてしまう。

「つれない事言わないでさ。俺達と遊ぼうよ?」

前を遮った男はアリサの顎に手を沿えてくいっと上げる。

すると、アリサは男の頬をビンタし一喝する。

「私は暇じゃないのよ!帰るからさっさとどきなさいよ−−ぐぁっ!!」

だが、その瞬間。お腹に激痛が走る。
アリサの行動に逆上した男がアリサのみぞおちに拳を入れたからだ。
アリサは余りの激痛にうずくまってしまう。


「おいおい、やり過ぎだろ」

「うるせぇっ!!ちょっと優しくしてやりゃ調子に乗りやがって、ぶっ殺してやろうか!!」

「うほーーちょうど殺人ってやってみたかったのよ♪」


今だ意識が激痛に襲われるアリサを男は髪を掴みあげてナイフをちらつかせる。

「痛っ、ぐ……な、何すんのよ!!」

怒声をあげるも男達は気にせずナイフでアリサの制服を切り刻む。

「い、いやぁぁぁ!!」

「うわっ超興奮するぜ♪」

「やっぱ、ばりびびった顔して死ぬんじゃね?あっはっはっは!」

「なんでよ…なんでこんな事になんのよ……っ!?」

アリサの悲鳴に興奮した男達は互いに嫌な笑顔を見合わせるのだが、その時。アリサは眼の前の男の背後に信じられないものがそこにいた。

「おい、お前……後ろ」

他の男達も固まった表情で後ろを指差す。

言われて振り向こうとした男はいきなり何かに掴まれ持ち上げられる。

「お前ら恐怖味わいたいんかぁー?ならワシがばきばきにしてちょっきんしちゃるけんのーう!!」


「か…蟹−−ぎゃあぁぁ!!」

持ち上げられた男はそのまま近くの木にたたき付けられる
暗闇から姿を出したのは蒼い中に赤い甲羅を持つ巨大な蟹であった。

「た、助けて!化け蟹だぁぁ!!」

「くらえ、蛇王炎殺黒龍波パンチじゃコラー!!」

それをみた残った男達は逃げようと背を向けるが直ぐに大きなハサミに掴みあげられたり、ハサミで殴り飛ばされたりなど次々に駆逐していった。

「何じゃつまらんのう、もう終わりか人間相手はブチつまらんわ。」

どこか訛りがある喋り方で呆れたように気を失った男達を見遣って告げる。
一人取り残されたアリサは蟹を眼に収めたまま先程から固まっていた。

そんなアリサに気がついた蟹は「変身じゃい!」と言ってロボットに変形し、歩み寄る。

「もう、大丈夫じゃ人間。怪我は……ちょっとまっとれや。」
「あ、あんた!!……誰よ?」

ようやく言葉が出たアリサは蟹−−もといロボットに名を尋ねる。
ロボットは気を失ってた男から上着を剥ぎ取り、アリサに投げる。

「それより、これ着て父上隠しとけや」

「父…上?……Σっ〃〃!!」

ロボットの言葉の意味を理解したアリサは茹蛸みたいに顔を赤く染めて切り裂かれた制服の上から渡された服を慌てて着る。

「ワシはランページじゃ。(しかし……まさか、また人間世界に送り込まれるとはのう……)」

「あ、わ、私はアリサ・バニングス。あ……ありがと。ランページ……〃〃」
「弱いもんいじめが嫌いなだけじゃ、んじゃな」

そう、ぶっきらぼうに答えて背を向けるとアリサに声をかけられる。

「ま、待ちなさいよ!!、話はなんとか通してみるから家に……きてよ。お礼するから〃〃」
「紅葉まんじゅうだしてくれるんならいっちゃる。」

この日、海鳴市においての出会いは後に新たな戦いを巻き起こす火種になる事を誰も解らない、想像もしていないだろう。


ここで再び、舞台をミッド・チルダ戻そう。

コンボイがギンガ・ナカジマとの邂逅、チータスとラットルがなのは達と邂逅する数日前に遡る。

時空管理局第4訓練校のSランク試験においてにすで到着していた一人のトランスフォーマーが合否の判定を受けていた。

「またせたなライノックス一等陸尉。」

「コラード三佐殿。いえ、大丈夫なんだな。」

「そうか、では判定だ。防御力、魔法、応用力、指揮力、どれも申し分無く見事な成果だ。合格だ。Sランクおめでとうライノックス。」

合格、と普通なら浮かれてしまうものであったりしたがライノックスは違った。直ぐ様、この第4訓練校の学長であり今回の特別教導官であるファーン・コラードに敬礼する。

「まだまだ。未熟ではありますがこれに浮かれないように精進いします。なんだな。」

「ははは、普段はのんびりしているが戦う時は戦士としての力量を見せ付ける……。君みたいな生徒は初めてだよ。頑張りたまえライノックス」

肩を手を置かれ威厳ある笑みでファーン・コラードにエールを送られ。ライノックスは彼が退出するまで敬礼をしていた。

そして、ライノックスが時空管理局に入った経緯が後に現れるトランスフォーマーに語られる事となるまで。彼は過去の事件、歴史、他のトランスフォーマー、レリックの情報収拾を行っていた。

……残るサイバトロン戦士はあと一人。その名はダイノボット。
彼もまた見えぬ場所にて新たな戦いに身を投じる準備をしていたのであった。


ナーター:フェイト・森本・ハラウオン

それは聖王教会の模擬室
で剣戟が鳴っていた。

「ダイノボット、いい加減その口調をなんとかしなさい!!」

「うるせぇぇ、シャッハ。俺には俺の戦い方があんだよ!!ダァーー!!」


外伝1・完

おまけ


な「ね、ねぇ。フェイトちゃん。私のレイジング・ハートおかしな所ないよね?ι」

レ『わちきは壊れてないでありんす。ごっつんこ!』

フェ「わ、私も。バルデッシュの調子がι」

バ『窮屈だぶーん』


チータス(あれってインフェルノとワスピーターだよな?)

ラットル「直ぐにモンゴルの岩塩で除霊をする事を薦めるぜ。二人ι」

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2007年08月03日(金) 17:01:13 Modified by beast0916




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