リリカル某2-1話

平凡な、復讐に燃えるネオ○チス少佐(三階級特進していた)だったはずのこの私、武乱知得 某に訪れた突然の事態!
 渡されたのは赤い宝石!
 手にしたのは魔法の力!
 出会いが導く偶然が、今閃光を放って動き出していく!!
 繋がる熱意と始まる黙示録ッ!
 それは魔法と、世界中の軍人・超人・魔人・企業戦士が一国に集うジュエルシード争奪戦争が平行する日々のスタート!!
 
魔法戦士リリカル某!!これより状況を開始するッッッ!!!


 【OP……構想中につき省略!】


 私は煙の塊のような敵をサンドバック代わりにして、装備の変化による調子を見た!

「うむ!コレは使える!!」
 
我が身に纏った魔法防護服、バリアジャケットに満足する!
 うむ、まずまずな出来だ。全身の関節駆動の妨げにならない柔軟さと、確かな力強さを感じる!
 これを昔に着ていれば、COSMOSなど一人で壊滅してくれていよう!
 過去の辛い思い出と共に、私は己の拳を握り締める!
 ギリギリギリィ……。
 
「フッ……だが今は過ぎ去った過去の事など忘れよう……。
 そう、後悔は一人布団に入ってからすればよい!
しかし何より重要なのは後悔を超えた"反省"をすることなのだ!ワハハハハハッ!!
 そうは思わないか?フェレット君!!」
「え、え〜と、スゴク正しいと思います。ハイ……」
「フーーッ……グルルルゥ……」

 常人が聞けば恐ろしいと思ううめき声を上げる相手……怪物と呼ぶに相応しいだろう……それが再び立ち上がる。
 それに向け、マガジンを交換し終えたUMPを、右手だけで構え、一弾装分30発をフルオートで撃ち込む。
 
   第二話『魔法の呪文はリリカルなのだッッ!!』

 発砲音を抑えるサイレンサーを取り付けているので、ブスブスという鈍い音がする。
 ちなみにサイレンサーは音を小さくするのではなく、「可聴領域音」を抑えて、目立たなくするのだ。
 
「ほう……」

 45ACPを30発与えたが、さっきと違って意に返さず一歩一歩近づいてくる。
 怪物の踏み込みで地面がひび割れる。

「こいつは……体重が変化するのか?さっきサンドバックにしてた感触とはエライ違いではないか!
フェレット君、こいつはどういう」

 そう言った時だった。
 怪物は一瞬で飛び上がり、空中で私たちのほうに向け、その赤い眼をむき出しながら突っ込んでくる!

 フッ……とろいッ!!
 あの程度の落下速度、私の鍛え上げられたこの肉体を持ってすれば、コンマ数ミリで回避できよう!
 そう思ったときだった!

『Protection』

 突然左手に持っていた杖そう言うと同時に青く輝くドーム状の壁が出来上がり、回避開始地点よりも手前で怪物の体当たり攻撃を防いでしまった。

「ムゥ……」
「あ、これはデバイス…貴方が持っているレイジングハートという名前の杖に備わっている自動防御システムの一つです」
「なあにぃ〜それでは、ハッ!いかん」
 私は余計な機能と言いそうになったのを止め、肩にとまっているフェレット君とレイジングハートを放り出す!
 壁の輝きはいっそう強くなり、そして!

 パリ〜ン♪
 ドンッ、ガンッ、ズザササァ……

「グエエ……!」
 
 吹き飛ばされた私は、太さ1メートル大木を突き破り、巨岩に我が肉体の痕跡を刻みつけて反射し、茂みの中を顔面から滑っり、また大木をへし折り……!300メートルくらい。
 う…うむ、これでこのバリアジャケットの防御力は実証された……ような気がする。
 しかし過去にも同じような目に会っても無事だったような気がしたが、別にそんなことはなかったぜ!?
 
「グオオオオオォン!」
 
 怪物が雄叫びを上げ、木々をなぎ倒し、駆けよってくる!
 私はすぐさまバリアジャケットのポケットに移し替えていたスタングレネードと手榴弾を取り出す!
 もはや御近所の迷惑や騒音被害などと考えてる暇は無い!

 思えば、道に迷った若者達が集う暴走族を壊滅させ"続け"ていた日々がまた懐かしい!!
 フッ……特攻服を着るということの意味がなんたるかを身を持って教えてやったものだ。
 過去、祖国とそこに暮す家族、国民のために、自ら命をかけた者のみが着る事を許されたのだと……。
 湘南地域の若者達の中には、私の薫陶を受けて、中学校教師や警察官になったという手紙が来た。
 またある者は政治家を志し、市長選挙立候補者の秘書をしているという。
 うむ、正しき指導者を目指す、一ネオ○チとしては赤面してしかたがない!
 機会があれば応援しに行ってやろう!
 しかし許せんのは、某少年漫画雑誌に連載している「身近な恐怖」を扱った漫画に、暴走族に襲い掛かる怪物の話があるということだ!
 タイヤをパンクさせて横転させるなどといった、危険な止め方はやっておらん!
 私がPSG‐1で狙撃したのはエンジンのクランク軸だけだぞ!まったく失礼千万な漫画だ!!

 過去回想終了!
 まずは円筒型のスタングレネードと閃光弾を進路方向に同時に投げる。
 強烈な閃光と爆音で、さしもの怪物も三半規管が乱されたか?
 転げまわり、巨木に当たって止まる。
 そこにすかさず持っているM67手榴弾を、持ち合わせた三個全部放り投げ、私はすぐさま遮蔽物となりそうな大地のくぼみに隠れる!。
 三重爆音!!
 揺さぶられる木々!吹き飛ぶ枝!
 そして怪物の安否を確かめることもなく、すぐさま煙幕弾を投げ、さっき吹き飛ばされた位置まで退避する!

 過去の経験によれば、ああいう手合いの怪物には手榴弾ぐらいでは倒せないとわかるのだ!
 特にライカンスロープとかジャン・ジャックモンドとか獣人とか、だ!!
 ……他にも死徒やら真祖やらいろいろ通常兵器では倒しにくい奴らがいるが、そこは置いておく。思考の単純化も一つのものの考え方の一つだ!
 今はとにかく相手の情報が不明確すぎるので、フェレット君に会わなければ!
 自分の作った道をたどり……見えた!
 レイジングハートをその小さい身体で懸命に引っ張るフェレット君のけなげさに、思わず応援したくなるのを堪える!
 とりあえず二人(?)を回収し、怪物から距離を離すべく、林を爆走しながらフェレット君の話を聞いた。

「……僕らの魔法は発動体に組み込んだプログラムと呼ばれる方式です。そしてその方式を発動させるために必要なのは術者の精神エネルギーです。
 そして、"あれ"は忌まわしい力のもとに生み出されてしまった思念体。
 あれを停止させるには、その杖で封印して元の姿にもどさないといけないんです」
「思念体?残留思念による悪霊か何かなのか!?退魔は私の専門外だが……除霊とは違うらしいな!この状況ではどうすれば良い!?」

 近所の女子寮に一人退魔士の卵なら居なくは無いが、今ココでケリを着けたほうが良さそうだ。
 あんな突進力のあるのを市街に入れては騒音迷惑どころではない!!

「封印そのものはボクのほうで行います。
それよりあれの動きを止めるためには魔法の力が必要です!
 質量兵器ではほとんどダメージを与えられないというのは、もうお分かりになっているはずです。
 さっき見た防御とか攻撃の基本魔法を使うには、願うだけで発動できますが、より大きな力を必要とする魔法を使うには呪文が必要なんです」
「呪文か!呪文が唱えられればさっきみたいに、どこぞの研究所のバリヤーみたく破られないんだな!?……あと、魔法陣や媒体……生贄とかは要らないんだな!?」
「さっきのは……え〜と、さっきのはですね……え〜、きっと違うマスターだからズレちゃったんだと思います!
 たぶんそうに違いないです!!(……たぶん)
 あと、貴方が持っている、その杖が媒体になるので魔法陣とか他は要りません。
 呪文を唱えるには心を澄ませ。心の中に貴方の呪文が浮かぶはずです!」

 よろしい!
 ならば集中だ!!
 私は木々の間を跳躍するのを止めて大地に降り、ヤツがやってくる気配を感じながら心を研ぎ澄ます!
 フッ……私はこんなこともあろうかと"水の心"を習得していたのだ!
 絶えず様々な経験、様々な思想文化、そして武術を学んでいたことが生かせる!!
 これぞネオ○チに求められるべきことなのだァッッ!!

「しゅ、集中して下さい!!」

 怪物が太いロープのような触手を突き出してくる。
 レイジングハートのコアが輝き、機械的な音声ガイダンスが流れる。

『Protection』

 突き刺そうとする触手が、魔力で造り出された壁に防がれるが……。
 パリ〜ン♪
 また良い音色で砕け散る防御魔法!
 だめだこりゃ!
 フェレットに変身している少年は思った。

(ああああああああああああああああああああああ!!!
やっぱりそうだったのかぁッッ!!
ボクが一番恐れていたこと……。この人、魔法の素質が全く無いんだあああああorz
くうううゥ……次の攻撃が当たる前に、この命を駆けて強制転移魔法でこの人だけでも……!)

 そして、攻撃が当たると思ったその時。
 フェレットの中の人は信じられない瞬間を目撃する。
 
 大男が意識を澄ませた表情のまま、怪物の攻撃をミリ単位で"前方に進みなが"ら避け……
 ズンッ!
 左手の拳を怪物の腹部にめり込ませる。
 突き入れるために前に出した左足は、大地が蜘蛛の巣状にひび割れて足首まで沈んでいた。
 そのときはもう怪物は、くぐもった呻き声とともに10メートル以上吹き飛んでいた。
 苦悶を表すように転げまわる怪物の姿を見て驚愕する小動物!

「魔法?いま?ええええええ〜〜!!?」

 足を強く踏み込む事を「震脚」と言い、親指を上にした縦拳で中段に突き込む事を「崩拳」と言うが、少年が中国武術では基本とも言えるその型を知るのは、もうちょっと先の話である。
 プロテクションの崩壊、回避、攻撃、その後になっても某は涼しげな顔をしていた。

「半歩崩拳、あまねく天下を打つ。……にはまだ及ばず!
 行くぞ、フェレット君!」
「はッハイ!」
「リリカルッ!マジカルッッ!!」
「封印されるべきは忌まわしき器!ジュエル・シード!!」
「ジュエルシードォッ!封印ッ!!」

 唱え終わったその時、右手のレイジング・ートが輝き『SealingMode Setup』と言い、魔法プログラム停止のための最適な形態を取る。
 杖の形状が変化し、輪形状の基部から桃色の光翼が出現する。

「ぬううううう……!」
「ど、どうしましたッ!?」
「無性に恥ずかしいぞ!何故だあああッッ!!」
「そ、そんなこと言ったって……」
 
 某の訴えを無視してレイジングハートは勝手に続きを行う。
 翼から伸びたピンクの帯が怪物にからまり、怪物の額にローマ数字が浮かぶ。

「つ、次行きましょう!」
「むうう……リリカルッ!マジカルッッ!!ジュエル・シードシリアル21!封ッ印ッッ!!!」

 レイジングハートからさらなる光撃が加わり、身動きが取れない怪物は最後の咆哮を挙げ、消滅する!
 怪物の居た地面に小さく光るものが……。

「これがジュエル・シードです。レイジングハートを向けて」

 某が杖をその物体に向けると、その物のほうから引き寄せられ、レイジングハートのコアたる赤玉に収納される。
 完了した、というメッセージをレイジングハートが出した後、光が某を包み込み、衣類を元に戻した。
 左手の掌にレイジングハートだった赤い珠が静かに乗る。

「終わりか……」
「はい。貴方の御蔭で……ありがとう……」
「おい!フェレット君、しっかりしたまえ!!」

 気を失ったフェレットを抱き上げ、某は天上を見上げる。
 ふむ……。あんな小さな結晶があの怪物のコアになっていたか……エリア51のマッドサイエンティストどもに知れたら……。
 いや、もう知られているな!最新の情報収集衛星が、あれほどのエネルギーを感知されていないはずが無い!!

「とりあえず急いで銃と薬莢を回収したらベース(高町宅道場)に戻るとするか」

[戻る][目次へ][次へ]
2007年08月01日(水) 11:18:32 Modified by beast0916




スマートフォン版で見る