リリカル龍騎5話

 アースラ艦橋。
「大型モンスターの反応を確認、現在はやてちゃんと手塚さんが迎撃に向かっています!」
 こちらでもディスパイダーの出現はキャッチしていたようだ。
なぜ念話はダメでレーダーは使えるのかは気にしてはいけない。
「それと…手塚さんとは別のライダーの反応が!」
「別のライダー?手塚が話していた13人のうちの一人か…?」
 別のライダーの存在を聞き、少し考えるクロノ。
読者の皆様には分かるだろうが、その別のライダーとは龍騎のことだ。
「はやてさん達に『別のライダーがいるから、話が通じるようなら協力を頼んで』と伝えて」

 はやてが何かを話している。
「え?別のライダー?…はい。」
『はやてちゃん、どうかしたんですか?』
「ああ、エイミィさんから念話や。別のライダーがおるから、話通じるようなら協力頼めって」
 そんなことを話している間に目的地へとついた。
「ああ、出たの私らの家の近くやったんか」
 はやての家の近くにはアパートが二つある。そのうちの一つが榊原のアパート…つまりディスパイダーが現れた場所である。
ミラーワールドへと入ろうとするが、車の前で何かを見つめている女性がいる。
ここで変身や甲冑の装備をしたら見られてしまう可能性がある。
だから近くの路地に行き、そこからミラーワールドへと入った。

 そして今に至るというわけだ。
「お前…ライアの手塚海之!?」
「俺はお前を知らない…だが、どうやらお前は俺を知っているらしいな」
 エビルダイバーを引きつれ、ライアが現れる。
さらに遅れること数秒、はやてが路地から現れた。
その事で龍騎がさらに驚く。
「はやてちゃん!何でこんな所に…しかも生身でいるんだ!?」
「え…その声、真司君?そのカッコどしたん?」
 どうやらこの二人は知り合いのようだ。
龍騎にしたって知り合いが生身でミラーワールドにいたら驚くし、はやてははやてで知り合いがライダーになってミラーワールドにいたら驚くだろう。
「ああ、もう!この際事情の説明は後だ!とにかくコイツを何とかするぞ!」
 全員それで納得し、臨戦態勢を取る。
戦闘再開である。

第五話『龍騎』

『SWINGVENT』
 ライアがエビルウィップを手に、ディスパイダーへと向かっていく。
そして例のごとく叩く。先ほどのライドセイバーと違い、結構効いているようだ。
そんな様子を見て龍騎も先ほど取り出したカードを装填しようとするが、腕の痛みが響く。
「真司君?もしかして腕を…」
「いや…大丈夫大丈夫!」
 はやてが心配して声をかけるが、真司は心配かけまいと強がる。
そして腕の骨折であることを思い出した。
「そうだ…手塚!」
 声に反応し、龍騎の方を向くライア。すると一枚のカードが飛んできた。
飛んできたカードをキャッチして見ると、『STRIKEVENT』と書かれている。
「それをベントインしてくれ!」
 ストライクベントを手塚のバイザーに装填させようとする。
ちなみにカードをバイザーに装填することを『ベントイン』と言うのだが、便宜上装填とさせていただいた。
ライアは指示通り受け取ったカードをエビルバイザーに装填する。
『STRIKEVENT』
 上空からナックル『ドラグクロー』が飛来する。
そして飛来したドラグクローは龍騎の右腕に納まった。
一部のカード以外は誰が装填しても持ち主に効果が現れるのである。
「っしゃあ!」
 ドラグクローという武器を得て、ディスパイダーへと突撃する龍騎。
『マイスターはやて、私達も!』
「わかっとる。二人ともよけてや!」
 はやての声を聞き、思い思いの方向へと飛ぶ龍騎とライア。
「彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け!石化の槍、ミストルティン!」
 魔法陣から7本の光の槍が飛ぶ。そしてそれらは全てディスパイダーに直撃した。
この魔法の名は『ミストルティン』。光の槍を飛ばし、当たった相手を石化させる魔法である。
着弾箇所からどんどん石化するディスパイダー。それを見て龍騎が驚く。
「何だよこれ…」
「驚いている場合か!終わらせるぞ、合わせろ!」
『COPYVENT』
 他のライダーの武器をコピーするカード『コピーベント』で龍騎のドラグクローをコピーするライア。
そしてそれを龍騎とともに構える。
「ハァァァァ…」
 構えると同時にドラグレッダーが飛来。口の中に炎を溜めこみ、それが球体となる。
その瞬間、龍騎とライアの動きが同調した。
「「食らえ!」」
 二人同時にドラグクローを突き出す。それと同時にドラグレッダーが火球を放つ。
これが、ドラグクローを前に突き出すことにより、ドラグレッダーの火球を叩き込む大技『昇竜突破』である。
昇竜突破を二人同時に放ったのだ。破壊力も増大するのは自明の理である。
炎が直撃し、爆発。ディスパイダーが木っ端微塵に砕け散った。

 決着の後、彼らはミラーワールドを出て、現実世界へと帰ってきた。
帰ってからいろいろ真司に問い詰められたが、「アースラに着いてから全て話す」と言って口を封じた。
で、現在位置はアースラの艦橋である。
「――――ということなんだ」
「…まあ、鏡の世界とかモンスターとか時間を戻すカードとか、そんなのがあるんなら魔法もあるよな」
 どうやら事情の説明が終わったところのようだ。
というかライダーバトルという非常識すぎる事に巻き込まれているのだから、今更この程度の非常識では驚きはしないだろう。
「ってちょっと待った。時間を戻す…って、どういう事なん?」
「…13人目のライダー『オーディン』は、時間を戻すカードを持ってて、それで時間を戻して戦いを調整してるんだ。
多分オーディンが勝ち残るまでやり直し続けるんだと思う」
「…なるほどな、あの次元震もそのカードの影響だと考えれば納得がいく。だが、なぜそれを知っている?」
「多分、何度も戻されてるから耐性が出来たんだと思う。このデッキを見つけたら、時間が戻る前の記憶が戻ったんだ」
「それなら手塚さんのこと知っとってもおかしくあらへんな。多分時間が戻る前にどこかで会っとったんやろ」
 手塚のことを知っていた件はこれで納得がいったようだ。
納得したところで真司が手塚に話を振る。
「手塚、お前は確かライダーの戦いを止めたいんだったよな?
だったら時間が戻るカードのことは覚えておいたほうがいいんじゃないか?
他のライダーにも、教えれば止められるかもしれないしさ」
 それを聞き、すぐさまユーノが理解する。というか、ユーノいたのか。
「それって、いくら戦っても願いは叶わないって分かるから、戦う理由も無くなるってこと?」
「そうそう、そういうこと」
 その後、手塚のときと同じようなやりとりの末、真司もアースラに協力することになった。

「せや。真司君医務室どこだか分かる?」
 突然はやてに話しかけられる。
「医務室?何で?」
「ほら、真司君左腕痛めとったやろ?治療してもらったほうがええんとちゃうかって」
「いやだから大丈夫だって」
 やはり気付かれていた。だが、心配させまいと再び強がる。
…近くにいたクロノがノックする要領で左腕を叩く。
「!!!!!!」
 もの凄く痛そうな反応だ。というか折れているのだから実際痛い。
「…ただの強がりだったようだな」
「ああやっぱり。ほら医務室行くで」
 はやてに連れられ医務室へと向かう真司。どっちが年上だか分からない。

 そして医務室
「あら?はやてちゃん、どうしたんですか?」
 医務室に行くと、そこにはシャマルがいた。
「私はただの付き添いや。真司君がモンスターに片腕やられてるみたいやったから」
「…ども」
 入りにくそうに医務室に入る真司。
「…え?真司さん?何でここに…」
「真司君も手塚さんと同じやったんよ。ライダーやった」
「…えぇ!?」
 あからさまに驚くシャマル。まあ、知っているのはさっき艦橋にいたメンバーだけだから仕方ないといえば仕方ない。
とにかく腕の治療をしてもらう真司。
さっきありえない方向に曲がっていたからまさかと思ったが…やはり折れていた。
この後真司は「骨折しとったのに何で無理して戦ってたん?」とはやてに問い詰められて四苦八苦していたのは別の話。
ちなみに治療魔法『静かなる癒し』をもってしても全治1週間程度まで治療するのがやっとだった。
ギプスを使わずに済むだけまだマシといったところか。

 アースラから帰ってきた真司は、まだ仕事の真っ最中だということを思い出し、急ぎOREジャーナルへと戻った。
途中で抜けたの怒っているだろうと思いながらバイクを運転しているといつの間にかOREジャーナルに着いていた。
すぐに編集部に行き、ドアを開ける。
「すいません、編集長。戻んの遅くなりまs「真司、お前ちょっとこっち来い」え?あ、はい」
 多分途中でさっさとどこかに行ったことでどやされるんだろうな。真司は最初そう思った。
だが、聞かれた内容でそれは違うと確信する。
「城戸君、あれはどういう事?」
 質問してきたのは令子だった。
「え?令子さん、『あれ』って…何のことですか?」
「とぼけないで、私見たのよ。あなたが特撮ヒーローみたいな姿に変身して窓の中に消えたのを」
 見られていた。いつ?どこで?
決まっている。ディスパイダーを倒すために変身したあの時だ。
「真司、お前何か隠し事してるな?」
 …言い逃れは不可能。ばれている。
「…分かりましたよ。話します。けど、これは絶対内緒ですからね!」

「なんか…一昔前の特撮ヒーローみたいね」
 エンジニアの島田奈々子がそうつぶやく。
「真司、嘘つくならもっと現実味のある嘘にしろ…って言いたいところだが、令子が見たのも合わせるとどうも本当みたいだな」
「そうですね編集長。それなら行方不明事件も『全員モンスターに食べられた』で解決できますし」
「行方不明事件の真相がこんなとんでもない物だとはな…」
 全員渋々ながらも信じたようだ。
「それで、お前はこれから先もその仮面ライダーとして戦うつもりか?」
「…はい。モンスターと戦って人を守れる、そういう力があるんです。ならそのために使いたいんです」
 真司の決意は固い。
もはや誰が何を言っても止まらない、大久保はそう感じ取った。
「よし、分かった。やってみろ!」

「ありがとうございましたー」
 OREジャーナルの近くにあるコンビニ。真司はそこにいた。
「早く戻らないと編集長がうるさいからな…えっと、俺のバイクは…」
 今回の締め切りが近いので、全員揃って残業である。
ならばなぜ真司はコンビニにいるのか?その答えは簡単、夜食の買い出しだ。
そして全員分の夜食を買い、OREジャーナルへと戻ろうとした…
キィィィン…キィィィン…
どうやら戻る前に一つやる事ができたようだ。
モンスターだと思い周りを見る真司。だが近くにモンスターの気配は無い。
気のせいだったかと思い、バイクに乗ろうとその方向を見ると、サイドミラーに神崎が映っていた。
『仮面ライダー龍騎…城戸真司か』
「神崎士郎…お前、こんな戦いを何回繰り返すつもりだよ!」
 それを言い終える頃には、神崎は映っていなかった…。
それもそのはず、真司の後ろにいたのだから。
『ほう、タイムベントの記憶があるのか。そのまま同じように繰り返すといい』
「残念だったな、もう前と違う進み方してるんだよ!」
『どういう事だ?』
「前はディスパイダーとの戦いで蓮に会った。でも今回は蓮じゃなくて手塚に会ったんだ」
 言い終える前に、神崎は再び鏡に戻っていた。
「それだけじゃない。この時点では前は誰にもばれてなかったのに、今回は何人かの人にばれているんだ」
『すでに前と違う進み方をしているのか…それもいい』
「神崎士郎!俺は絶対に、ライダーの戦いを止める!誰一人死なせたりしない!」
『それがお前の願いか。いいだろう。そのために戦え…戦え!』
 言い終えると、神埼が消えた。
(そうだ、誰かに死なれてたまるかよ…!)

   次回予告
「はやてちゃん、真司さんと前から知り合いだったみたいだけど…」
「いやー、アパート追いだされちゃってさ」
「イライラするんだよ…」
「何ですって?浅倉が!?」
仮面ライダーリリカル龍騎 第六話『蛇と蟹』

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2007年06月15日(金) 17:39:10 Modified by beast0916




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