H×Hクロス2話

「お前達 何者だ?」
ビルの二階程の所に浮遊しながら女の子は話しかけてくる。
「えっと… ちょっと待ってくれない すぐ済むから」
キルアはそう言うと女の子に背を向けゴンにひそひそ話しかけた。
 「(……。分かってるよな?ゴン あの女ただもんじゃねえ)」
 「(…うん。『凝』でオーラか何かそれらしい物が見て取れた。
どうしよう?あんまり無駄な戦いはしたくない)」
 「(それは俺も同意。情報がまるで無いからな
だからこの辺りの情報引き出したら、女まいて街へ行こう)」
そういうとキルアは目配せした。
この廃墟とは対照的な、明るく輝く街があった。
 「(OK でまく方法はどうする?)」
 「(俺が念で何とかめくらましするから、それが合図な。合図後お互い別方向に逃げる。
  廃墟にまぎれりゃなんとかなるだろ)」
「おい 質問に答えろ いつまで無視するつもりだ!」
無視されていた少女はちょっとキレ気味に言い放った。
「わりい わりい で質問に答えるけどこっちの質問にも答えてくれるならいいよ」
キルアがそう答えると少女は頷いた。
「商談成立ね。俺はキルア プロハンターだ。でこっちが」
「ゴン。ゴン=フリークスです 俺もプロハンター」
少女はそれを聞いて質問を続けようとした。しかしキルアは
「だめだめ。今度はこっちの質問の番ね。こっちは二人分答えたしこっちも二つね
じゃあ質問 ここは何処?もひとつ、あんたの名前は?」
と聞いた。
「あたし?ヴィータだ。ここは昔ひどい火事があってな。
人が住まなくなってゴーストタウンさ。
だから此処の名前はない。今は廃墟、兼管理局の所有物てところだな」
「へえ なるほど(管理局って旅団みたいな集団名か?)」
「じゃ 次はこっちが聞くぞ。此処に何しに来た?」
落ちていた廃墟のコンクリート欠片を拾いつつ
「うーん。ちょっと頼みごとされてさ。色々調べごとを。
 収穫は少なかったけどね。 
じゃこっちからは最後の質問 それはさ…」
そう答え、

そして静かにキルアはイメージした。
『練』精孔を開き
『纏』オーラを体に留め
『流』足と手にオーラを配分する
 「(そろそろ逃げるかな)」

足のオーラをバネの如く使って加速。
一気にヴィータの目の前に接近する。
「くっ!」
ヴィータは一瞬にして消え、また至近距離に現れたキルアに反応できなかった。
宙に浮いた状態で、ヴィータの目の前にキルアは欠片を軽く投げ、
オーラを変化させて作った電気を放出した。
 パーン
軽い爆発音が鳴った。と同時に二人は走り出した。
閃光が視界を奪った上に、目に粉塵が入ったヴィータ。
そのため動くタイミングが一瞬遅れてしまった。
見えないままハンマー型デバイス=アイゼンを無茶振りしてキルアの頬をかすめる。
しかしかすった攻撃はかすり傷をつけるだけだった。
 「(あぶね かすっただけでこれかよ)」
「ちっ!あの猫目のチビふざけやがって!」
内心焦りながらヴぃータはキルアの後を飛んで追いかけた。

廃ビル群の中をキルアは走っていた。その後ろには追いかけてくる気配がする。
 「(うーん 俺の方追ってきてるか… 思った以上に早いな
  あの形状の武器は強化系か具現化系か…爆発か何かの付加効果もあるかもしんない
 こうなるとダメージ覚悟しないとだめだな でも今、余計な力を消費したくねえ…
 何か良い手立てねえか…)」
キルアは逃げながら考え、周りを見回す。
するとボロボロのビルを見つけた。壁はひびが入り所々崩れていた。
 「(ボロビルの中なら崩れる可能性も考えて安易に攻撃できないか。
  そういやあの時ゴンが…そうか!ちょっと試してみるか)」
高速で追いかけてくるヴィーダを誘うかのようにビルの一角にある部屋に誘い込む。
部屋には窓はなく、ヒビはあるもののコンクリートの厚い壁が四方を囲んでいる。
キルアはその囲まれて逃げ場のない部屋の一番奥で待っていた。
ヴィータは唯一の逃げ道である入り口を塞ぐ様に立ち、そして言った。
「ふぅ…やっと追いついた。そろそろ観念して捕まれ」
「友達と約束してるんでね。残念だけど捕まるわけにはいかないんだ。」
「何いってんだ。逃げ道なんて…」
キルアはヴィータが言い終わらないうちに微笑した。
「何事も最後まで気を緩めちゃだめだね」
そういうと、キルアはオーラを手に集中させた。
全体のオーラを拳に集中させるイメージを練る。
そして右を向くと一気に拳にオーラを集中させた『硬』の状態で右手の厚い壁を殴った。
ドゴゴォォォン
けたたましい音をならして壁に穴があいた。
 「(…おいおい 素手で壁破っちまった…!!)」
ヴィーダは突然の出来事に思考が一瞬止まってしまった。
その隙にキルアは開けた穴から素早く隣の部屋に動く。
「しまった!待て!!」
後を追ったが隣の部屋の窓ガラスが割られていた。
おそらくそこから逃げ出した後であろう。
「畜生!!逃げられたか…… あの動き、力、普通じゃない…
 厄介だな 一応なのは達に知らせておくべきか…」

同時刻 一連の動きを、遠くの廃ビルの屋上から望遠鏡で覗いている人物がいた。
「これでよかったのかい?」
黄色がかった髪色の若者、シャルナークは携帯でそう声をかけた。
「上出来だ 今のところはな。金はこっちの世界の口座に入れてある。
 金でも宝石でも女でも好きなもの買っていけ。
それで…引き続き契約維持してくれるか?」
相手方の馬鹿で偉そうな声にシャルは内心イラつきながらも、
「ああ。契約続行でお願い。」
と答えた。相手は、そうか と短く答え、一方的に電話はそこできられた。
シャルはきられた後、ふー っとため息をついた。 
「屑の相手は疲れるね。
フェイ達はこっちに来るんだろうか。一応仕事なんだけどなあ
まぁ 俺はせいぜいこっちでのんびりさせてもらうよ。
ウボォーにも異世界土産持って帰らないといけないしな…」
シャルは仰向けに倒れた。
そして物思いに耽りながら、星が瞬く夜空をシャルナークは長い間見続けた。

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2007年06月26日(火) 19:50:07 Modified by beast0916




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