THE BELKA OF ELEMENTAL0話

魔装機神 THE BELKA OF ELEMENTAL 〜プロローグ?〜

一つの物語の始まりは、一つの物語の終幕からであった。
人のいない、雪が積もった小高い丘……
そこに数人の女性達と犬がいた。
「リィンフォース……なんで……」
車椅子に乗っている……今は転げ落ちている少女、八神はやては目の前にいる、自分が名前をつけた夜天の魔道書、現在はリィンフォースと名づけられた女性を見る。
その目は涙であふれている。
彼女は、まだ自分の中に闇の書の暴走プログラムがあること察する。
これ以上被害を出さないためにも、自分は消えるべきなのだ。
だが、はやては……
「これから、やっと始まるのに…これから、うんと幸せにしてあげなあかんのに……」
今まで散々嫌な、つらい目に目にあってきたリィンフォース。
だから、主として、家族の一員として自分が彼女を幸せにしなければいけない。
はやてはそう思いリィンフォースを見る。
リィンフォースはゆっくりとはやてに近づき、自分を手をはやての頬に添える。
「大丈夫です。私はもう、世界で一番幸福な魔道書ですから」
そういってにっこりと笑うリィンフォース。
「リィンフォース」
そしてリィンフォースは大事なことを話す。
「主はやて、一つお願いが…」
お願い?とリィンのほうを見るはやて。
「私は消えて、小さな無力と化したかけらへと変わります」
ですが、と真剣な目ではやてを見るリィン。
「私の名前はそのかけらではなく、いずれ手にするであろうあなたの魔道の器に青くって上げていただけませんか」
祝福の風、リィンフォース。
自分の魂は、きっとその器に宿るはず。
「リィンフォース……」
そういってはやては静かに頷く。
それを確認したリィンは、自分の後ろにいる二人の少女に挟まれるような位置に立つ。
リィンはゆっくりと上を見上げながら目を閉じる。
「主はやて、守護騎士達。そして、小さな勇者達」
リィンは最後に、心を込めて言う。
「ありがとう……そして、さようなら……」
ゆっくりと消えていくリィンフォース。
はやてはそれをなきながら見る。
そしてリィンフォースは光となって消え、はやてはその光を追うように見る。
そして、上から何かが落ちてくるのでそれを手にする。
はやてはそれを握りしめる。
「はやてちゃん」
「はやて」
友人、そして自分の家族はそんなはやてに集まっていく。

(そうだ、これでいい……)
リィンフォースは、軽くなる体、薄れいく景色の中でそう思う。
もうすぐ自分は消えてなくなる……
だが、それに恐怖などは感じなかった。
むしろ、これほど安らげる時間など今までなかった。
ただ、たった一つだけの心残りは……
(結局、主の笑顔は見れなかったか……)
夢の中では笑っていたが、こうして出会ってからも笑っていて欲しかった。
これだけが唯一の心残りといえば心残りかもしれない。
そして、彼女の意識もうつろになり、目を閉じる。
こうして自分は永遠に消えていく。
……はずだった。
「へえ、こいつが新しく召還されたってやつ?」
「ええそうよ」
何か声が聞こえる。
そう思ったリィンはゆっくりと目を開く。
どこか、昔仕えていた古いマスターの世界を思い出す。
なぜ、こんなところに来たのだろうか……
「あ、目が覚めたわね」
ふと横を見ると、金色の髪をした優しそうな女性と、緑の髪をした活発そうな少年がいた。
「ここは?……」
ふいにリィンが尋ねると、女性は笑いながら答える。
「ここま地底世界ラ・ギアス。地球の裏側の世界。私はテュッティ・ノールバック」
「俺はマサキ・アンドー。よろしくな」
いろいろ謎が残っているが、こうしてリィンはこのラ・ギアスという世界で新しい出会い、別れ、そして再開が待っているのだった。

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2007年06月15日(金) 18:02:00 Modified by beast0916




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