THE BELKA OF ELEMENTAL5話

魔装機神 THE BELKA OF ELEMENTAL ラ・ギアス編5話

「シュウ様、入ります」
サフィーネはシュウに呼ばれて彼の自室に入る。
「あ…」
今シュウは上半身裸で休んでいた。
(なんておいしそう……じゅるり)
などと思っていると、サフィーネは主の胸についている傷を見つける。
シュウもその視線に気付く。
「ああ、この傷跡ですか。ちょっとした事故のようなものですよ」
主は懐かしむように天を見る。
「ところでサフィーネ。あなたは自分の心と体が、自分のものでは二様に感じたことはありますか?」
シュウの言葉にサフィーネは笑いながら言う。
「ええ、勿論。私の心と体は、いつまでのシュウ様のものですから」
そういて笑うサフィーネに、シュウは少し笑う。
(微笑を浮かべるシュウ様もス・テ・キ…)
そう思っていると、シュウはサフィーネを呼び寄せた理由を尋ねる。
「サフィーネ、例の準備は整っていますか?」
シュウの言葉に、はいと頷くサフィーネ。
「いつでも開始可能です」
それを聞いたシュウはしばし考え…
「わかりました。それでルオゾールと連絡を取ってください。これより作戦を決行します。サフィーネ、準備をしてください」
わかりました、といってサフィーネは部屋を後にする。
そして、シュウは少し深い息を継ぐ。
(なにかはわかりませんが、急がねばなりません……)
しかし、何かもどかしい感じがするのは何故だろう、とシュウは思うのだった。

「そんなことが……」
認知から戻ってきたリンディとリカルドは、この前のシュウの出来事を知る。
自分達がいない間にそんな事が起こっているとは思わなかった。
「それで、二人の様子は?」
リカルドが聞くと、フェイルは答える。
「マサキのほうはもう大丈夫だが、やはりプレシアがまだちょっとな……」
まあ、まだ小さい女の子が目の前で父親を失えば誰だってああなるだろう。
「お、テュッティ、リカルド。もう帰っててたのか」
振り返ると、マサキがそこにいた。
無理をしているようにも見えないし、確かにフェイルのいうとおりもう大丈夫のようだ。
「マサキ、プレシアの様子は?」
テュティに聞かれ、マサキは少し機を落としながら話す。
「見た感じは普通だけど、絶対無理してるな。まあ、リィンフォースがいるから大丈夫だろうけどな」
そう、とテュッティは悩んだ顔をする。
そういえば、とマサキは思い出す。
テュッティも目の前で家族を殺された事があると本人から聞いた。
テュッティの家族を人物の名前はルビッカ・ハッキネン。
彼にテュティと一緒にラングランに召還され、テュッティの家族を殺した事を知ると彼は地上へ強制返還された。
しかし、その途中で二人ほど警備兵を殺し脱走。
そのあとシュセドニアにいた事がわかった。
それでちょっと自分の重ねているのかもしれない。
そう考えてきたときだった。
「お、全員揃っているな、ちょうどいい」
フェイルロードとセニアがなにやら様々な資料を持ってこちらへやってきた。
「殿下、それは?」
ヤンロンが尋ねると、変わりにセニアが言う。
「次にゼオルートが出現しそうなポイントをいくつか絞ってみたの」
そういってセニアは大量の資料を広げる。
ちなみに、なぜそんな事ができるかというと、この世界には預言者と言うものがいて、その予言と言うのは地上世界での占い師や預言者とは比べものにならないほど正確で、ラングランの災いも予言でわかっている。
もう一つはデュカギスと言うコンピューター。
製作者はセニア。
論理飛躍が可能なコンピューターで、入力されたキーワードから雅ざまな予測を導き出してくれる。
彼女曰く「勘のいいコンピュータ」だからすごいものには違いない。
そこから導き出された結果をこうやって見ていて、どうせなら魔装機神の操作にでも聞いてみようということになった。
「数々の予測をした結果、次にやつが現れるのはここの可能性が一番高い」
そういってフェイルが指差したのは、結界の維持装置はあるイラ湾だった」
「イラ湾か、なるほど、そう来たか」
リカルドはくそ、と舌打ちしながら悔しがる。
つまり、ルオゾールの目論みはこうだと予測する。
何度も王都に現れて注意を王都のほうへ向け、手薄なイラ湾を叩く。
イラ湾は最も大きな結界の維持装置がある。狙うにはぴったりと言う事だ。
「今まではこっちが守りっぱなしだったからな。今度はこっちが攻める番だ!俺が言ってくる」
そういってマサキはこの場所を跡にしようとしたとき
「本当にルオゾールがいたら危険だから私も行くわ」
といって……
「テュッティが行くんだったら俺も行かなくちゃな。なんたって俺達は一心同体だからな」
と、まるでいもづる式のようにマサキについていこうとする。
「リカルド!いるから私とあなたが一心同体になったのよ!?」
テュッティの言葉に、意外だといわんばかりにリカルドはテュッティを見る。
「いつからって昨日からじゃねえか」
と言う言葉に顔を真っ赤にするテュッティ。
「な、なにいってるのよバカ!ほ、ほらマサキ、行くわよ」
そういってマサキを引っ張っていこうとするテュッティ。
しかし、待てよとマサキは突っ込む。
「なんでお前らまでついていこうとするんだよ!俺一人で十分だっての!」
そういうマサキに、まあまあとリカルドは言う。
「おまえ、ここからイラ湾まで迷わずにいけるか?」
リカルドの言葉にうっと反論できないマサキ。
方向音痴の事を言われたら何もいえない。
「じゃあ俺はここへ残ろう。王都の警備も必要だからな」
そういうヤンロンに、じゃあ頼むぜ、とリカルドはイラ湾へと(というよりテュッティを緒って)向かっていった。
「全くリカルドのやつ…じゃ、言ってくるぜ」
そういってマサキも向かって言った。
そのイラ湾へと向かっている最中。
「なあ、その結界維持装置ってのはどこにあるんだよ?」
マサキの言葉にテュッティは普通に言う。
「海の中だけど」
テュッティの言葉にうげ、とマサキは思う。
まあ確かに水中ならより安全なのはわかるがよくもまあ水中に創ったものだと思う。
その時、リカルドが異変に気付く。
「くそ!一足遅かったか」
よく見ると、湖が紫色ににごっている。
マサキたちは急いで結界維持装置へと向かった。

「プレシア、大丈夫ですか?」
二人は皿洗いをしながらリィンフォースはプレシアの事を案ずる。
プレシアは大丈夫だというが…
ガシャン
とプレシアが持っていた皿が滑り落ち、そして割れる。
ゼオルートの死から、ほぼ毎日1枚は皿を割っているプレシア。
プレシアは皿を落としてからそのまま突っ立っている。
そこからは涙が出ている。
「私…情けないよね……お父さんが死んでから結構時間たつのに……」
まだショックを隠し切れないプレシア。
「おにいちゃんだってもう普通に生活してるのに……なのに私は……」
そういってなき始めるプレシア。
リィンフォースは優しくプレシアの頭をなでる。
「そんな事はありません。普通は誰だってそうです。マサキも心の中では悲しんでいるでしょう」
けど、とプレシアはいう。
そういうプレシアに少々困るリィンフォース。
どうやらなかなか重症のようだ。
そんなときだった
「!!」
突然、膨大で、邪悪な魔力を感知したのだ。
暴走プログラムとは違う、だがとてつもなく大きな魔力を感じた。
(これが、ラングランに降りかかるといわれている災い?)
いきなり様子が変わったリィンフォースに、プレシアは何が起こったのかと思った。
ふと、リィンフォースはプレシアを見る。
「プレシア、絶対のここから出ないでくださいね」
そういってリィンフォースは急いで外へ出て、魔力の源を探しにいくのだった。
「ち、くそ!」
マサキは悪態をつきながらデモンゴーレムの大群と戦っている。
結界内にいくと、ちょうどルオゾールがいたので戦おうとしたら、ルオゾールは何をするまでもなくいつもどおりデモンゴーレムを出すだけだった。
さらに、結界の維持装置を狙う気配もない。
まるで、マサキたちを足止めさせようとしている。
ルオゾールもルオゾールでさっさと姿をくらました。
とりあえずマサキはの請ったデモンゴーレムを片付ける。
そしてテュッティは気付く。
「しまった、これは罠よ!」
テュッティが言うにはこうだ。
この結界維持装置自体を襲う事自体が罠で、それで自分達がいないときに王都を攻める、と言うものだった。
ま、あくまで予測だが、大いにありえる事だった。
とりあえず3人は急いでゴーレムを倒す。
マサキはディスカッターを構え。
「一気に吹き飛ばしてやる!」
そして意識を集中する。
「いけえ、サイフラーーーッシュ!!」
マサキを中心にエネルギーが急速に広がり、なぜかテュッティたちや維持装置は破壊されず、デモンゴーレムだけが破壊される。
光がやみ、マサキはふうと一息つく。
「大丈夫か、マサキ。急いでるからってサイフラッシュなんか使っちまってよお」
リカルドの心配をよそに、マサキはああと言う。
どうやらちゃんとサイフラッシュをコントロールして放てるようになったらしい。
サイフラッシュは一度で大量のプラーナを消費する。
だからこのようにコントロールが大事なのだ。
「とにかく急ごうぜ!王都が危ない!!」
そして3人は急いで王都へ向かう。
しかしその途中、敵の反応に気付く。
なるほど、足止めを用意するあたりテュッティの言うとおりかもしれない。
「マサキ、お前は先に王都へ行ってろ!サイバスターなら一番足が速い!」
リカルドの言葉にテュッティの頷く。
マサキはそれを聞いて驚くが
「なあに、魔装機神が2体もいるんだ、オクレを取るかよ!」
そういうリカルドの言葉を信じて、わかったとおってマサキは先に王都へと行く。
(二人とも、死ぬんじゃねえぞ……)
そう思いながら……

今アルザール国王は議事堂で会議をしていた。
「だから、この抗議書には外交的な意味合いよりも、むしろ……」
と、いつもどおりの、頭の固い連中に国王は少し苛立ちながら話しているときだった。
いきなりサイレンが鳴り響いたのだ。
「む、何だ?まさか、またクリストフが……?」
そう思っていると、兵士が中に入ってきた。
「陛下、早くここから避難してください!!」
兵士のあまりのあわてように何があった!?と尋ねる国王。
すると、兵士の口から驚くべきことが言われた。
「魔装機です!正体不明の魔装機の大軍が、突如出現しました!!」
その言葉にアルザールは驚く。
(突如だと……バカな、転移術でも使ったというのか……?)
そう思い、すぐに市民の事を考えるアルザール。
「一般市民の避難を急がせろ!特に、重要施設から遠ざけるんだ!敵の狙いは間違いなく……」
その時、急激な爆発が起き、周囲が光に包まれる。
「うおっ!?」
「へ、陛下っ!!」
アルザールと兵士、そして議会にいる人は光に包まれる。
「こ、これは……魔力弾の輝き……降魔弾か」
降魔弾。それは、今は禁止とされている、大昔に作られた広域破壊兵器。
その爆発は生物だけではなく、精霊をも滅ぼす。
「うおおおおっ!!」
「陛下ぁぁぁっ!!」
光につつまれる一同。
しかし、光がアルザールたちや議事堂を包み消し去る前に、周囲一体を謎の魔法陣が展開された。

フェイル達は突然の激しい光りに驚く。
「今のは議事堂の方角だぞ!!」
そして今議事堂には父地であるアルザールや議員達がいる。
「まさか、父上が!?」
フェいつがく、と目をつむって悔しそうにする。
それを見た絵ニアはまずは非難を促す。
「兄さん、避難を急いで!!モニカも、ほらっ!!」
そういって非難しようとしたときだった。
すっかり光も止んだところで、いきなり自分達の前に奇妙な魔法陣が出現したのだ。
そこから現れたのは……
「ち、父上!?」
フェイルは驚いて父を見る。
いきなり目の前に父や議員たちがいるのだ。
驚くのも無理はない。
一方アルザールも何が起こったのかわからなかった。
自分は魔力弾で死んではずだとばかり思っていた。
しかし周囲を見ると、議員や息子達、さらにはくずれさっている議事堂を見る。
「ご無事ですか、国王」
ふと上から声が聞こえてきてそのほうを向くと、そこにはリィンフォースがいた。
「すみませでした」
リィンフォースは地上に降りるなり国王の前に立ち詫びる。
「本来なら、あの魔力の塊を処理しようと思ったのですが、気付くのが遅くこのような結果になってしまいました」
話の内容から察するに、どうやら彼女のおかげで助かった事はわかった。
「市民は別の安全な場所へ転移させました」
それを聞いてアルザールはほっとする。
「いや、きみのおかげで助かった、本当にありがとう。議会の代表をして礼を言おう」
もったいないお言葉、とリィンフォースが言葉を返す。
スルト、遠くのほうで爆発が起こった。
「そうだ、まずは正体不明の軍団をどうにかしなければな」
国王がそう思っていると、リィンフォースがすぐさま翼を出し高く飛び上がり、すぐに現場のほうに向かった。

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2007年06月16日(土) 20:31:28 Modified by beast0916




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