THE BELKA OF ELEMENTAL6話

魔装機神 THE BELKA OF ELEMENTAL ラ・ギアス編6話

「いまだ!ラングランの国王、アルザールは死んだ!我に続けえ!」
シュテドニアスの兵士はおおお!と叫びながら前進する。
作戦は完璧だった。
協力者が魔装機神を誘い出し、アルザールがいる議事堂を降魔弾で議事堂ごと亡き者にし、混乱したところを転移魔法で一気に攻め落とす作戦である。
勿論ラングランの兵士は突然の事で驚き混乱して、倒すのは容易ではない。
しかし、その中で奮闘するものがちらほら。
オリジナルの魔装機である。
立った数人の魔装機が踏ん張って戦線を持ちこたえている。
だが、流石に多勢に無勢でだんだんと押されていく。
「ぬお!」
その中、マドック・マコーネルの操る魔装機、ディアブロが攻撃を喰らい転倒する。
マトック自身が既に高齢の老体で、こういう乱戦には向いていない。
「くっ!」
どうやらあたりどころが悪かったらしく、傷も深い。
マドックはその場に倒れこむ。
「大丈夫か?」
それを見て何とか駆けつけたのは以前マサキが持っていた魔装機、ジャオームを操っているゲンナジー・イワノフ・ゴズイレフ。
ゲンナジーはマトックをかばおうとするが、この数。
流石にやばいと思ったときだった。
「プラズマランサー、ファランクスシフト」
上空からシュテドニアの兵士だけを狙って無数の雷が落ちてきたのだ。
両軍の兵士は何が起きたのかと思い上を見る。
そこには一人の女性が立っていた。
6枚の漆黒の翼を身にまとった長い銀髪の女性。
「私はラングランに召還されし者。名はリィンフォース」
そういった瞬間リィンフォースは瞬時に敵の後ろに回りこみ、魔力を込めた思い一撃を放つ。
敵は予想を裏切らずに吹き飛び、他の敵は驚いた目でリィンフォースを見る。
「お前達、私が相手になってやろう」
そういって、今度は桃色の魔法陣が展開される。
今まで戦った事が内的にシュテドニア兵士は困惑する。
「スターライト……」
リィンフォースは静かに詠唱を開始する。
膨れるように膨大する魔力。
「ブレイカー」
それが一気に放射される。
空中で放たれたそれは地面に到達すると砲撃は衝撃波となり兵士を襲う。
ちゃんとラングランの兵士には結界を張って衝撃から守る。
衝撃波が止むと、そこには死んではいないが重症を負った兵士が倒れこんでいる。
リィンフォースは敵の方を見る。
すっかりリィンフォースの力を見て震え上がっている。
この力は魔装機神に匹敵…いや、それ以上の力を持っているかもしれないと思って。
リィンはまだ無事な敵兵士の仲から適当に一人を乱暴にこちらに引き寄せ。
「お前達の国王、もしくは今この戦いを指揮している大将に伝えろ。アルザール国王は生きている、とな」
そういって手を離すとうわああーーー!!と叫びながら一目散に逃げていく敵兵。
残ったものは皆捕虜となった。
だが、空を飛び周囲を見るとあちらこちらで火の手が上がっている。
はっきりいって状況は不利そうだった。
自分もまた別の戦場移ろうとしたときだった。
「マトック!」
ふとリィンフォースは振り返ると、そこには老人を抱える一人の男性がいた。
その老人は重症を負っていて、悪いがおそらく助からないだろう。
「ご老人、もしかして地上から召還されたものですか?」
リィンフォースは、そのマトックという男に近づく。
「お前もそうなのか?」
その老人を抱えている男、ゲンナジーは答える。
以前マサキとから聞いた。魔装機に乗らなくてもかなり強いやつが地上から召還された、と。
ケンナジーとマサキは、ジャオームを使っていた縁でちょくちょく話をしている。
しかし、ほとんどは影が薄いので忘れられがちであるのがちょっと難点だが(本人が無口なので余計に)
二人は取り合えずマトックを安全なところへと非難させる。
しかし……
「すまないのう、二人とも……」
これ以降、マトックはしゃべり、目を開けることはなかった。
ただ、少しばかりリィンフォースに寄り添っていた感じがするが、そんな事は彼女は気にも留めない。
こうして、マトックを看取ったリィンフォースは、王都近くに煙が立っているのでそっちに行こうとする。
ちょうど、猛スピードでイナ時ところへ迫っているマサキを確認して。

「なんだよ、これは……」
マサキはラングランの町を見て愕然とする。
ものの見事に破壊されているのだ。
一体何が起こっているのか、と思っていると
「遅かったですね、マサキ」
聞いたことのある声にマサキは振り向くと、そこにはシュウがいた。
「やれやれ、うまくいくと思ったのですが、予想よりも被害が少なかったようですね」
シュウは肩を落とした感じのように言う。
作戦成功が遅れるのならともかく、まさか失敗するとは……
シュウの言葉にマサキはシュウを睨む。
「シュウ!貴様がやったのか!」
マサキの顔を見て、シュウは不適な微笑を浮かべる。
「ちがう、といってもあなたは信じないでしょう。あなたは事実よりも真実のほうが大切なようですしね」
「貴様……」
マサキは剣を抜き、シュウに向ける。
「あなたの相手をしていては実が持ちません。私は地上で一仕事あるのであなたの相手をしている暇はありません。では、これで失礼します」
そういって消えていくシュウは地上へと転移していった。
「待ちやがれ!」
そういってシュウの後を追おうとしたとき、誰かの声が聞こえた。
「マサキ…」
この声は……
「この声は、ウェンディか!どこだ!どこに……」
そういって探していると、ウェンディの姿を見つけて、マサキはウェンディのところへ向かう。
マサキはウェンディの怪我を見て驚く。
「その怪我、大丈夫か!?」
だが、ウェンディは怪我の割には元気そうだった。
どうやら自分の回復魔法で傷口は塞がっているらしい。
ちょうど、ヤンロンもマサキのところへやってきた。
「……マサキか……」
だが、今の彼は悔しさをあらわにしていた。
「すまない…僕がいながらこの様だ……」
「ヤンロン!」
そんな事を言うヤンロンに、マサキは掴みかかろうとするが……
「いや…俺も同罪だな…ランドール・ザン・ゼノサキスなんて名前をもらっておいてこの体たらくかよ……」
そんな二人を見て、ウェンディも俯くしかない。
「ヤンロン、どうなっているんだ?」
マサキは今ここに着いたばかりで、状況がよく分かっていない。
「それが、いきなり所属不明の大量の魔装機がやってきたんだ」
ヤンロンの言葉に、ちょっとまてよとマサキは言う。
「シュウの仕業じゃねえのか!?」
ヤンロンのほうもシュウと言う言葉が出てきて驚く。
今度口を開いたのはウェンディだった。
「彼はすべてが終ってから現れたわ。事の成り行きを届けるかのように…」
ウェンディの言葉に、二人はシュウが何をしたいのか考える。
それと、シュウがいっていた「地上で一仕事」と言うのはどういう意味なのか…
そんなときだった。
「おい、まだ生き残りがいるぞ!」
ふと見ると、そこには魔装機がいた。
敵の魔装機の名前は知らないが、敵魔装機の中ではなかなか強かったような気がする。
一人の操作が正樹たちに向かおうとすると、もう一人の操作がとめる。
「おい、あれは魔装機神じゃないか、俺達だけじゃ無理だ。それに、作戦は失敗したという声も聞こえている」
弱気な男に、突っ込もうとしている男は叫ぶ。
「ふん、さっきの戦いを見る限り、大した事ないだろ。それに、作戦が失敗?どうせラングランの見苦しい工作だろうよ」
そういって男はマサキたちに突っ込む。
だが、彼を止めた兵士は一度彼らと一戦交えた事がある。
それで知っている、彼らの強さを。
そして、彼らは今恐ろしく不機嫌であることもわかる。
「はあ!」
「ぐあ!」
案の定、男はマサキによって一撃で倒された。
ひ、と男はその場から後ずさろうとする。
しかし……
「まて」
そこには謎の男がいた。
「貴様には最後の仕事を手もらう。君は部下を扇動し、邪神徒にそそのかされた反乱兵というね……」
その男の言葉に男はおびえる。
「ラセツ…ま、まさか貴様…謀ったのか!?」
男は泣き叫ぶように言うと、男、ラセツは何を、と言った感じで男を見る。
「この程度の策略も見破れない貴様にはちょうどいい最後と思うがね」
そういってラセツは持っていた剣で男を突き刺した。
その場でぐったりと倒れる。
「さて、これで私の仕事も終わりか」
そういて立ち去ろうとしたとき、待ちやがれ!とマサキに呼び止められる。
「手前、一体なにもんだ!?」
マサキの言葉に、ラセツはさあ、と答える。
「ああ、これだけは言っておこう。近々、シュテドニアスはラングランに対して宣戦布告を行う。
最も、この様子じゃ宣戦布告する相手がいないのも同然だが……」
ラセツの言葉にヤンロンは怒る。
「貴様、シュテドニアス兵か、奇襲をかけるとは卑怯な!」
「これは一部の反乱軍の仕業だよ。君達も見ていただろう?この一軒はシュテドニアスは関係ない」
ふざけるな、とマサキは言う。
「そんな理屈が通ると思っているのか!?」
だが、そんなマサキの言葉にもラセツは顔色変えずに言う。
「形式さえ整っていれば、お蔵でも言い逃れは出来るもんだ。それでは諸君、さらばだ」
そういってその場を後にするラセツ。
それを追おうとしたマサキだが、それはヤンロンに止められる。
「よせ、あいつを追っても始まらん。まずはこの始末をするほうが先決だ」
ヤンロンの言葉に、ああとマサキは頷く。
「遅かったか」
すると、リィンフォースも戻ってきた。
「ああ、見事に出し抜かれたもんだな……何が魔装機神操作だ!何がランドール・ザン・ゼノサキスだ!!」
マサキは叫びながら言う。
「大事なときに何もできなかった大間抜けだぜ」
だが、不幸ばかりの知らせだけではない。
「とりあえず、国王と合流しましょう。この町の再建を考えなければ」
リィンフォースの言葉に、マサキたちは驚く。
「国王と議員達なら、私が転移魔法で助けた。敵の捕虜もいくらかはいる」
その言葉に驚くマサキたち。
そしてテュティも戻ってきて、一同は国王の元へと向かう。
……最悪ともいえる報告を携えて。

「そうか、リカルドが……」
フェイルはとても残念で、悲しそうに嘆く。
リカルドが死んだのだ。
マサキと別れてから、リカルドとテュッティは敵、サフィーネと対峙する。
しかし、敵はそれだけではなかった。
テュッティの家族を殺した男、ルビッカ・ハッキネンがいたのだ。
さらにルビッカはテュッティを洗脳させ、リカルドを襲わせた。
しかし、リカルドは何とかテュッティを説得の末に洗脳の呪縛から解き放つ事に成功。
だが、その後のルビッカとサフィーネの攻撃をテュッティから守るために身を犠牲にして守ったリカルド。
いくら硬さが売りのザムシードでも限界があり、何とか追い払う事に成功しても、そのあとリカルドはテュッティの腕の中で息絶えてしまった。
先ほどリィンフォースからマトックも死んでしまった事を聞いたのに今度はリカルド……これは正直痛い。
さらに……
「クリストフ……あいつの目的は何なんだ?」
シュウが言っていた地上での一仕事とは一体何なのか……
そこで、フェイルはある提案をした。
「マサキ。お前は地上に戻って、クリストフをとめてきてくれ」
フェイルの言葉に一同は驚くが、すぐに納得が行く。
あのまま彼をほうっておいては後に危険が降り注ぐ事は日を見るより明らか。
フェイルの言葉を来てああ、と思いっきりヤル気を見せるマサキ。
さらにフェイルはリィンフォースを見る。
「おまえもマサキと協力してくれ」
わかりました、とリィンフォースも会釈する。
その時、
「国王、ちょいと待っておくれ」
そういったのは、一人の老婆だった。
「イブンばあさん?」
いつもはソラティス神殿にいるイブンがやってきたのだ。
「モニカ皇女から予言に関してマサキにあれを渡せという予言が出たのじゃ」
そういってイブンは取り出した壜を正樹に渡す。
「ばあさん、何なんだこりゃ?」
そういって壜を見るマサキ。
そこには緑色の液体が入っていた。
「これはラ・ギアスの魔術と錬金額を総動員して創りあげた貴重なクスリじゃ。
あまりにも貴重なので予言が出たときにしか使うことしが許されておらん。
その代わり、それに治せない怪我や病気はないといわれている」
…よくRPGで効くような設定棚とマサキは思った。
ついでに聞く。
「もしかして、この薬の名前ってエリクシルとかそんな名前なのか?」
マサキの言葉にイブンが驚く。
「何でその名前を」
やっぱり、とマサキは思った。
ふと、ヤンロンが思い出す。
「そんなクスリがいるということは、マサキに危険が迫ると?」
ヤンロンはイブンの近くにいるモニカに尋ねる。
「いいえ。マサキさんが危ない目にあうか、それとも別のものなのかは私もわかりません」
つまり、マサキが危険な目にあうのか、それとも誰かに使うのかさっぱりわからないという事だ。
それと、とフェイルはマサキに大きな袋を渡す。
「地上に戻っても金に困るだろう。召還されたものたちに頼んで地上の通過を分けてもらえる分だけ分けてもらった」
確かに、地上へ戻っても文無しは流石につらい。
さらにラ・ギアスの通過は地上では使えない。
そこで、フェイルは地上にいる者たちに召還されていたときに持っていた財布から地上の通過とラングランの通貨を両替してマサキに渡したのだ。
これで準備は整った。
「転移魔法、起動。目標、地上…」
リィンフォースが転移魔法を展開する。
マサキも意気込みなのかすぐさまサイバスターへ魔装化する。
「それじゃあ行ってくるぜ!」
マサキの言葉と同時に二人は地上へ向かう。
二人はいなくなったところで、皆は二人の無事を祈った……

魔装機神 THE BELKA OF ELEMENTAL ラ・ギアス編 完

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2007年07月08日(日) 14:14:42 Modified by beast0916




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