本家保管庫の更新再開までの暫定保管庫です。18歳未満立ち入り禁止。2013/2/15開設

「男鹿くん」
呼びかけられて振り返る男鹿。
「鳳城……」
先日邦枝と対峙した鳳城林檎がそこにいた。

「オレに何か用か?」
林檎はにこりと笑う。
「話があるの。一緒に来てくれない?」
男鹿は無愛想に答える。
「……オレにはお前と話したいことなんてねーけど」

林檎は意味ありげな顔をする。
「邦枝の話だと言ったら?」
「……」
「決まりだね」
そう言うと、先に立って歩き出した。

校舎の奥まったところにある廃教室。
普段、殆ど生徒が寄り付かないところに、林檎は入っていく。

林檎に続いて教室に入った男鹿は、素早く辺りを見渡す。
(誰もいねえ……か?)
「そんなに警戒しなくても、ここにはあんたとあたししかいないよ」
男鹿の様子を察したように林檎は言う。
「ああ、あんたの子もいたね、そういえば。学校にまで連れてくるなんて、見かけによらず子煩悩なんだねぇ」
そう言いながらタバコに火をつける。

「それより、邦枝の話ってなんだ」
「首輪はどうしたんだい? 結構似合ってたのに」
「は?」
「今日はあの時の約束を果たそうと思ってさ」
そう言いながら近づいてくると、ツ――と男鹿の顔を撫でる。
「約束?」
「お姉さんがイカせてあげるって話」
「……なんだそれ」
その時の男鹿の中身はベル坊だった為、男鹿自身は覚えていない。

パン!!
足元に衝撃が走ったと思うと男鹿の視界は回転し、天井が目に映る。
一瞬遅れて足払いを掛けられたことに気付き、なんとか受身を取る。
「てめぇ……!!」
上体を起こしかけたところで、今度は腹に衝撃がきた。
それは林檎が男鹿の上に飛び乗ったことからくる重みだった。
男鹿は彼女にマウントをとられた状態になる。

「何しやがる!」
「女相手だとてんでダメだね、アンタ。……ガキをおろしな。それともその子を盾にするかい?」
「……ベル坊、部屋から出てろ」
「アイ……」
ベル坊は素直に男鹿から離れると、部屋の外へ出て行く。

「これで正真正銘の二人っきりだね」
「そーだな。で、何がしてーんだ? てめーは」
林檎はふーっと煙を吐き出す。

「邦枝とどこまでいった?」
「あ?」
「あいつの身体はどうだったかって聞いてるんだよ」
「何言ってんだお前……。オレと邦枝はそういう関係じゃねーよ」
「そうかい」
林檎は煙草を投げると、足で踏みつける。
「あいつは堅いからね。なかなかやらせてくれないだろうよ」

林檎の指が男鹿の胸に触れる。
「だから、さ」
指はツツ……と胸を滑っていく。
「おねーさんと楽しいことしましょ」

林檎は特攻服を脱ぎ捨てると、ブラウスのボタンを順に外していく。
その下からは、豊かな胸に黒のブラジャーが現れる。
「何してんだよ……」
男鹿が戸惑いの声を上げる。
「あたしがあんたとやったと知ったら、邦枝はどんな顔するだろうなぁ」
面白そうに林檎は言う。

「ねぇ男鹿くん? あたしと邦枝、どっちのおっぱいが好き?」
「鳳城、てめぇ、いい加減にしねーとはったおすぞ」
男鹿は自分に跨る女を睨み付ける。
だが、女は笑みを崩さない。
「あんたは女に手を出せない。そうだろう? ……それに」
男鹿の顔を見つめたまま背後に手を回すと、その股間を撫でる。
「こんなに大きくしちゃってさ。身体は正直じゃないか」
「……」
男鹿は反論しようがなかった。

「ふふ……」
微笑みながら林檎の顔が近づいてきたと思うと、男鹿に口付ける。
女の侵入を拒むべく、口を閉じようとしたが遅い。
林檎の舌に自分の口内を這い回られ、男鹿は不快感を示すように眉根を寄せる。

林檎が唇から離れる。
「どうだい? 大人のキスの味は?」
「……苦いだけだな」
心底嫌そうに男鹿は答える。
「ガキだねぇ」
そう言いながらブラウスを脱ぎ、ブラジャーのホックを外すと、肩のストラップを腕から抜いていく。
形の良い胸が零れ落ちるのが見える。

林檎は男鹿の顔の両脇に手を突いて、上体を倒す。
「それじゃあ口直しにどう?」
「はあ?」
男鹿は心底わけがわからないといった顔をする。
「むしゃぶりついてもいいって言ってんだよ」
「誰がてめぇなんかの……」
「やらねーと今日のことを邦枝にばらす」
男鹿の顔色が変わる。

「あんたがあたしとキスしただけじゃなく、こんなことまでしてると知ったら、邦枝はどう思うだろうなあ?」
林檎は冷たく見下ろす。
「お前はもうあたしの手の中なんだよ。あいつが大事なら言う通りにしな」
「……」
男鹿はものすごい顔で睨み付けるが、黙ったまま手を伸ばすと、林檎の胸を揉み始める。

「初めてにしてはなかなか上手いじゃないか……」
女は目を細める。
「次はここを吸って……」
掠れた声で言いながら片手で自分の胸を掴むと、乳首を口元に近づけてくる。
男鹿は鋭い眼光を崩さないまま、おとなしく口を開く。

「言っとくけど」
男鹿の口に触れるか触れないかのところで、動きをぴたりと止める。
「下手なこと考えんじゃないよ。万一噛み付いたりしたら、てめーの急所を潰す」
(……読まれてた)
男鹿は心の中で舌打ちする。
こうなったら、さっさとこの女を満足させて終わらせるしかないと腹を括る。
女の胸を揉みながら、差し出された乳首を口に含み、舌で刺激する。

「はあ……っ」
林檎はためいきをつくように息を吐き出す。
男鹿はその様子を冷たく見つめながら愛撫を続けていたが、不意に相手が体を起こしたことで中断させられた。
女は立ち上がる。

「そろそろあんたも良くしてやらないとね」
スカートの中に手を入れると、慣れた手つきで下着を下ろしていく。
黒のレースがあしらわれたそれを脱ぎ捨てると、先ほどとは逆向きに跨る。
いわゆる69の体勢になると、林檎が命令する。
「――舐めな」
男鹿は黙って舌を伸ばし、女のそこを舐め始める。
目の前の秘裂から滴る蜜を舐め取るように、ゆっくりと舌を動かす。

一方林檎は男鹿のベルトを緩めると、ファスナーを下ろし、硬く張り詰めた肉棒を取り出す。
「元気だねぇ」
舌なめずりしながらそう言うと、握った肉茎に舌を這わせ始めた。

「ぐっ……」
男鹿の口からくぐもった声が漏れる。
いやな女だが、下半身に与えられる刺激は別だった。
焦らすようでいて的確に男のツボを刺激してくる舌の動きに、射精感が一気に高まるのがわかる。
「イキたいんだろ? 遠慮なくおねーさんの口に出しな」
林檎にいいように弄ばれ屈辱を感じる男鹿だったが、その絶妙な舌技により我慢の限界に達する。

「で……るっ!」
「んんっ!」
先端が膨らんだと思うと、一気に粘液が迸る。
絡みつくように濃厚な白濁液が、ドクドクと林檎の口内を満たしていく。
やがて放出が収まると林檎は身体を起こし、再び男鹿の方に向き直った。
(なんだ……?)
男鹿が見上げると彼女は微笑んだまま、口を開けて中の液体を見せてきた。
さしもの男鹿も顔が赤くなる。
その隙を突いて、林檎が素早く男鹿の唇を奪う。

「んぐっ!」
男鹿の口の中に、先ほど発射した自身の精液が流し込まれる。
首を振って林檎を振り払おうとするが、当の林檎に顔をがっちりと押さえられている為、かなわない。
男鹿は流し込まれるそれを、飲み下すよりなかった。

林檎が顔を上げると同時に男鹿が咳き込む。
「ゲホッ!」
「あたしに飲んでもらえると思ってたかい? 坊や」
「……っのやろう……っ!」
「そんな顔するんじゃないよ。お楽しみはこれからさ」
そう言うと林檎は、脱ぎ捨てた特攻服の上に横たわると、足を大きく開く。
「出し足りねーんだろう? さっきのは濃かったねぇ。随分溜まってそうじゃねーか……来な」

こんな女に欲情したわけではなかったが、ここまでバカにされて退くのは男じゃねえと男鹿は考える。
躊躇なく林檎の上にのしかかると、硬度を保ったままの自身を充てがい、一気に貫く。
「ああっ!」
林檎が背を仰け反らせる。
男鹿はそんな女の様子に頓着することなく、激しく腰を打ち付ける。
この男慣れしているであろう女に、遠慮は無用と考えていたからだ。

実際、男鹿の動きはやや乱暴であるのに関わらず、林檎は快感に酔い痴れているかのように叫んでいた。
「いい……よ……、あんた、すごくいい……っ!!」
男鹿の腰に足を絡ませ、喘ぎ続ける。

そんな林檎に男鹿は何の興味も湧かなかったが、女と繋がっている部分だけは別だった。
出し入れする度に自分の物が肉壁とこすれ合い、快感が走る。
男の腰から下というのは別の生き物なのだろう。
本能のままに動き、貪欲に快楽を求め続ける。
冷め切った頭と熱く滾る下半身。今の男鹿には正反対の性質の物が共存していた。

「ねぇ……もっと深く……!」
求められるまま、女の足を肩に担ぎ上げるようにして、より深く挿入する。
「ひうっ!」
上げる声が一段と大きくなる。
男鹿の方も、先端が奥に当たる感覚が堪らなかった。
粘膜同士の擦り合いが激しさを増す。
限界が近づいてくるのがわかる。
「あぁ、奥、当たって……いい……いきそう……ああっ」
それを聞いて男鹿も、タイミングを合わせるようにピストンの速度を上げていく。
「イイよぉっ! イク……イッちゃうっ!! ……ああーっ!!」

男の精を搾り取ろうとするかのように収縮する肉襞から、男鹿は力ずくで肉棒を引きずり出す。
それは女の腹の上で痙攣しながら、胸、顔に至るまで、白い粘液を撒き散らしていく。
林檎は仰け反りながら特攻服を握り締め、ガクガクと全身を震わせていた。
お互いの荒い息遣いだけが聞こえる中、沈黙を破ったのは林檎だった。

「あたしにぶっかけるなんて、意趣返しのつもりかい?」
男鹿は無言で林檎を見据える。
「まあいいさ」
身体を起こし、口元の粘液を指で掬うと、ぺろりと舐める。
「思ってたより良かったよ、あんた」
「そうかよ」
男鹿はさっさと立ち上がる。

「抜きたくなったらいつでも来な。相手してあげるから、さ」
「ごめんだな」
元通りベルトを締め直しながら、そう答える。
「まさかまだ邦枝に期待してんじゃねえだろうなぁ? お前はもうあたしの――」
「オレを飼い馴らそうとか、つまんねー考えは捨てるんだな」
男鹿は吐き捨てるように言う。

「……あんたはもう邦枝なんかじゃ満足できないよ」
「お前に邦枝の何がわかる」
「わかるさ。あいつは……」
「可哀想な女だな、お前」
「なっ!」
出入り口の方へ歩き出す男鹿の背中に向けて、林檎は叫ぶ。
「必ずあいつの心を折ってやる! 二度と立ち上がろうなんて気が起きねぇように、ズタズタに……!」

男鹿は引き戸の取っ手に手を掛ける。
「やってみろよ。ただしその時は……」
振り返る。
「オレがてめーをぶち壊す。今日みたいに甘くはねぇ。泣き叫ぼうが許しを請おうが、ボロボロになるまでやってやる」
言い終えると、再び扉に向き直る。
「男をなめんじゃねーよ」

――ガラガラ……ピシャッ!
扉は閉じられ、教室に一人残される林檎。

「あいつじゃ満足できやしないんだから……」
林檎は座ったまま、自分の肩を抱いてうなだれた。





(終)

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