作曲家・多田武彦〔通称・タダタケ〕のデータベース。

男声合唱組曲「草野心平の詩から・第二」(作詩:草野心平)

草野心平の詩から・第二クサノシンペイノシカラ・ダイニ指示速度調性拍子備考
1雷雨ライウやや早く、烈しく4分音符=約96ハ短調2/4
2アキおそく、暗い気分で4分音符=約76ト短調4/4
3鬼女キジョ中庸の速度で、不気味に2分音符=約83ト短調2/23群
4岩手荒巻イワテアラマキ極めておそく、素朴に2分音符=約40ニ長調2/2Bariton Solo
5フユ極めて早く、はっきりと4分音符=約168イ長調4/4
6龍安寺方丈の庭リョウアンジホウジョウノニワおそく、落ち着いて4分音符=約76ハ短調5/4
7タケ可也り早く、しっかりと4分音符=約138変ホ長調4/4
8タケ中庸の速度で、さわやかに4分音符=約92変ホ長調5/4Tenor Solo
9タケ早く、表情豊かに4分音符=約126変ホ長調3/4
10オホーツクオホーツク中庸の速度で、おおらかに4分音符=約88ニ長調2/4

作品データ

作品番号:T53:M43n
作曲年月日:1982年?月?日
吉村信良氏の昭和56年度京都市芸術奨励賞受賞を祝し献呈

初演データ

初演団体:京都産業大学グリークラブ
初演指揮者:吉村信良
初演年月日:1983年1月9日
京都産業大学グリークラブ第14回定期演奏会(於京都会館第2ホール)

作品について

合唱コンクールの常連団体からの委嘱作品ということを意識してか、他作品と比べて際立って難易度が高く、挑戦的な作風になっている。多田にしては特殊な技法に凝った作品で人数も必要なためか滅多に演奏されない。

「雷雨」ではクラスターに近い和音で稲光を表現したり、16分音符の難解な激しい動きでおどろおどろ雲や雨の表現を音だけでなく、譜面の見た目から感じるものが曲想を反映している。いずれも詩の持つ緊張感をいかんなく表現しようと試みている。
「秋」ではクラスターを多用し、虫の声を表現している。
「鬼女」は12声部(4部×3群)にまで分かれ、崖へのこだまを表現している。
「龍安寺方丈の庭」は終始単旋律である(ただし完全な斉唱ではなく、部分的にパートソロやオクターブユニゾンが使われている)。また詩に充ちている静けさと厳かさ、存在感を無声音の「KWO」で表現することを歌い手に求める、一種のチャンスオペレーションとなっている。
第7,8,9曲目の「竹」はアタッカで繋げて演奏される。
第8曲の「竹」は原詩によるテクストを歌うのが独唱だけで合唱はバックコーラスのハミングしか歌わない。

詩の出典
「雷雨」「鬼女」「龍安寺方丈の庭」「オホーツク」……『天』(新潮社、1951年)
「秋」……『絶景』(青磁社、1948年)
「岩手荒巻」「竹」「竹」「竹」……『牡丹圏』(八雲書林、1948年)
「冬」……『日本沙漠』(1948年、青磁社)※「竹林寺幻想」という連作詩の一篇。

なお「冬」については『牡丹圏』に収録される際に改作されており、改作版が「草野心平詩集」(豊島与志雄編 新潮文庫)に掲載されている。改作版の詩は本曲で用いられているものと大きく異なる。(参考:日本詩人愛唱歌集

歌詩

リンク

動画

このページへのコメント

(以下、京都産業大学グリークラブOB会BBSより引用。角括弧内の注は投稿者による)

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[※第14回定期演奏会の]第3ステージで、多田武彦先生委嘱作品・男声合唱組曲『草野心平の詩から・
第二』を吉村先生の指揮で初演しました。
(Tenorソロ・尾形先生、Bassソロ・山口先生)

この委嘱作品についての、多田先生のコメントをご紹介します。

「この組曲は、旧友吉村信良君の、昭和五十六年度京都市芸術奨励賞受賞を祝しこれを記念して作曲、献呈する。
また同君の真名弟子的存在であり現代日本学生合唱界の雄である京都産業大学グリークラブ演奏、吉村信良君指揮による初演を切に希望する。」
(『草野心平の詩から・第二』の楽譜より抜粋)

Posted by KAWASAKI Takuya 2013年05月14日(火) 00:43:26

「草野心平詩集」(豊島与志雄編 新潮文庫)に収録されているほうの「冬」は、おそらく「牡丹圏」から採録した改作後バージョンです。詳しくは安藤龍明さんの「日本詩人愛唱歌集」を。

Posted by とおりすがり 2012年02月03日(金) 23:50:24

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