季節のたより
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chorus_mania 2023年12月31日(日) 17:37:16履歴
混声合唱組曲「季節のたより」（作詩：三好達治） 
| 季節のたより | キセツノタヨリ | 指示 | 速度 | 調性 | 拍子 | 備考 | |
| 1 | 冬のもてこし | フユノモテコシ | 速く、さわやかに | 4分音符=約138 | ヘ長調 | 2/4 | |
| 2 | 松径 | ショウケイ | ややおそく、のどかに | 4分音符=約76 | ニ短調 | 4/4 | |
| 3 | 七月は鉄砲百合 | シチガツハテッポウユリ | 速く、鮮かに | 4分音符=約138 | ホ短調 | 4/4 | |
| 4 | 祖母 | ソボ | ややおそく、思いをこめて | 4分音符=約76 | ホ長調 | 4/4 | Mezzo Soprano Solo |
| 5 | 虫くひ寺の | ムシクイデラノ | 速く、寂しく | 4分音符=約120 | ホ短調 | 4/4 | |
| 6 | 蟋蟀 | イトド | ややおそく、清らかに | 4分音符=約84 | ニ長調 | 4/4 | |
| 7 | 剥啄 | ハクタク | 速く、凛として | 4分音符=約144 | ニ長調 | 4/4 | |
| 8 | こんこんこな雪ふる朝に | コンコンコナユキフルアサニ | ややおそく、しみじみと | 4分音符=約76 | ホ短調 | 4/4 |
作品データ
作品番号：T36:G04n
作曲年月日：1977年1月15日
混声合唱団京都木曜会の創立20周年を記念して委嘱
作曲年月日：1977年1月15日
混声合唱団京都木曜会の創立20周年を記念して委嘱
初演データ
初演団体：混声合唱団京都木曜会
初演指揮者：吉村信良
初演年月日：1977年7月9日
混声合唱団京都木曜会第19回定期演奏会（於京都会館第1ホール）
初演指揮者：吉村信良
初演年月日：1977年7月9日
混声合唱団京都木曜会第19回定期演奏会（於京都会館第1ホール）
楽譜・音源データ
作品について
「祖母」は原詩によるテクストを歌うのが独唱だけで合唱はバックコーラスのハミングしか歌わない。この曲は、作曲者が初演指揮者のために初演指揮者の妻のソロをイメージして作曲された曲である。
参照先：http://www.saikodo.com/news090401.htm
参照先：http://www.saikodo.com/news090401.htm
詩の出典
「冬のもてこし」……『駱駝の瘤にまたがつて』（創元社、1952年）
「松徑」……『春の旅人』（三好達治詩集頒布の会、1945年）
「七月は鐵砲百合」「蟲くひ寺の」「こんこんこな雪ふる朝に」……『定本三好達治全詩集』（筑摩書房、1962年）：「百たびののち」より。
「祖母」……『測量船』（南北書房版、1947年）：「測量船拾遺」に収められている。
「蟋蟀」……『故郷の花』（大阪創元社、1946年）
「剝啄」……『三好達治全集第3巻』（筑摩書房、1965年）：「『百たびののち』以後」に収められている。
「松徑」……『春の旅人』（三好達治詩集頒布の会、1945年）
「七月は鐵砲百合」「蟲くひ寺の」「こんこんこな雪ふる朝に」……『定本三好達治全詩集』（筑摩書房、1962年）：「百たびののち」より。
「祖母」……『測量船』（南北書房版、1947年）：「測量船拾遺」に収められている。
「蟋蟀」……『故郷の花』（大阪創元社、1946年）
「剝啄」……『三好達治全集第3巻』（筑摩書房、1965年）：「『百たびののち』以後」に収められている。
歌詩
冬のもてこし
冬のもてこし
春だから
この若艸に
坐りませう
海のもてこし
砂だから
砂にはをどる
松林
無限の時が
來て泊まる
岬のかげの
入江です
風のもてこし
帆が二つ
帆綱ゆるめて
はたと落つ
それらのものの
一つです
さらばわれらの
語らひも
春だから
この若艸に
坐りませう
海のもてこし
砂だから
砂にはをどる
松林
無限の時が
來て泊まる
岬のかげの
入江です
風のもてこし
帆が二つ
帆綱ゆるめて
はたと落つ
それらのものの
一つです
さらばわれらの
語らひも
松徑
王ならば宮居の廊を
もの思ひかくはわたらむ
わがゆくは松のほそみち
海�悗慶海劼箸弔泙�
彼方なる加賀の白山
まどかなる麥の丘べの
春の日の空にましろし
彼方なる加賀の白山
わがゆくは松のほそみち
何ごとをねがへるひまに
老いはてしこれの影とや
松の根に立てるこの影
彼方なる能登の岬は
こゑありて波のはたてに
日もすがら呼ばへるごとし
彼方なる能登の岬は
もの思ひかくはわたらむ
わがゆくは松のほそみち
海�悗慶海劼箸弔泙�
彼方なる加賀の白山
まどかなる麥の丘べの
春の日の空にましろし
彼方なる加賀の白山
わがゆくは松のほそみち
何ごとをねがへるひまに
老いはてしこれの影とや
松の根に立てるこの影
彼方なる能登の岬は
こゑありて波のはたてに
日もすがら呼ばへるごとし
彼方なる能登の岬は
七月は鐵砲百合
七月は鐵砲百合
烏揚羽がゆらりと來て
遠い昔を思はせる
七月はまた立葵 色とりどりの
また葡萄棚 蔭も明るい
彼方の丘の松林 松の香りに蟬の鳴く
こんな明るい空のもと
昔のひとはどこへいつたか
忘れたふりはしてゐるが
風だから聲はやまぬか
來ただけはどこやらへゆく
その道の上 七月のまつ晝ま
まてしばし
烏揚羽がゆらりと來て
艶な喪服をひるがへす
烏揚羽がゆらりと來て
遠い昔を思はせる
七月はまた立葵 色とりどりの
また葡萄棚 蔭も明るい
彼方の丘の松林 松の香りに蟬の鳴く
こんな明るい空のもと
昔のひとはどこへいつたか
忘れたふりはしてゐるが
風だから聲はやまぬか
來ただけはどこやらへゆく
その道の上 七月のまつ晝ま
まてしばし
烏揚羽がゆらりと來て
艶な喪服をひるがへす
祖母
祖母は蛍をかきあつめて
桃の実のやうに合せた掌の中から
沢山な蛍をくれるのだ
祖母は月光をかきあつめて
桃の実のやうに合せた掌の中から
沢山な月光をくれるのだ
桃の実のやうに合せた掌の中から
沢山な蛍をくれるのだ
祖母は月光をかきあつめて
桃の実のやうに合せた掌の中から
沢山な月光をくれるのだ
蟲くひ寺の
山寺の 蟲くひ寺の ふる廂
垂木のひまにかけし蜂の巣
颱風すぎて秋はくれ
廢れし壁に日は黄ばみ
大廂出で入る蜂の �邁�蜂見ずになりにけり
砌の石はあたたかに 空は�悗�に
まどかに築きし大ひさご
この城すてて兵ものどもの影を見ず
木の芽たつ春はかへれど
奇し むなし ただうつろ
やがてはそれもくづほれん
かの山寺の 蟲くひ寺の 生り瓢
今宵ふとまなこにうかぶ
――百歳の半ばののちに
木枯の夜をすがら ゆかしみ思ふ
すでにして 己がうへに 似たらずとせず
垂木のひまにかけし蜂の巣
颱風すぎて秋はくれ
廢れし壁に日は黄ばみ
大廂出で入る蜂の �邁�蜂見ずになりにけり
砌の石はあたたかに 空は�悗�に
まどかに築きし大ひさご
この城すてて兵ものどもの影を見ず
木の芽たつ春はかへれど
奇し むなし ただうつろ
やがてはそれもくづほれん
かの山寺の 蟲くひ寺の 生り瓢
今宵ふとまなこにうかぶ
――百歳の半ばののちに
木枯の夜をすがら ゆかしみ思ふ
すでにして 己がうへに 似たらずとせず
蟋蟀
今宵雨霽れて
月�罎�
四方の壁にも
厨にも
また落葉つむ廂にも
屋根のうへにも鳴く蟋蟀
屋根のうへにも鳴く蟋蟀
かくて彼らは夜もすがら
主が貧とかたくなと
才短きうたふなり
今宵雨霽れて
月�罎�
月�罎�
四方の壁にも
厨にも
また落葉つむ廂にも
屋根のうへにも鳴く蟋蟀
屋根のうへにも鳴く蟋蟀
かくて彼らは夜もすがら
主が貧とかたくなと
才短きうたふなり
今宵雨霽れて
月�罎�
剝啄
なら ぶな かんば
稀れに とどまつ
枯木には枯木のこずゑ
梢には朝の木つつき
胸赤きかのそまは
朝霧にまぎれてたたく 斧の音
いづこにかふと友を呼び
かへり見は せず またたたく
せはしげな仕事のひまに
友呼ぶは何のこころか
ひとすぢに 瀬の音に
つぶてのやうに 降りしか
明け放れゆくあさぎ空
さやかにも聲はあがりし
いと�發� 揚りて 渡れ！
――行くへは知らず
そも我れの何をか知らん 旅人なれば
ゆくりなく すぎこし方を思へども
稀れに とどまつ
枯木には枯木のこずゑ
梢には朝の木つつき
胸赤きかのそまは
朝霧にまぎれてたたく 斧の音
いづこにかふと友を呼び
かへり見は せず またたたく
せはしげな仕事のひまに
友呼ぶは何のこころか
ひとすぢに 瀬の音に
つぶてのやうに 降りしか
明け放れゆくあさぎ空
さやかにも聲はあがりし
いと�發� 揚りて 渡れ！
――行くへは知らず
そも我れの何をか知らん 旅人なれば
ゆくりなく すぎこし方を思へども
こんこんこな雪ふる朝に
こんこんこな雪ふる朝に
梅が一りんさきました
また水仙もさきました
海にむかつてさきました
海はどんどと冬のこゑ
空より�悗げ�のいろ
沖にうかんだはなれ島
島では梅がさきました
また水仙もさきました
赤いつばきもさきました
三つの花は三つのいろ
三つの顏でさきました
一つ小島にさきました
一つ畑にさきました
れんれんれんげはまだおきぬ
たんたんたんぽぽねむつてる
島いちばんにさきました
ひよどり小鳥のよぶこゑに
こんこんこな雪ふる朝に
島いちばんにさきました
梅が一りんさきました
また水仙もさきました
海にむかつてさきました
海はどんどと冬のこゑ
空より�悗げ�のいろ
沖にうかんだはなれ島
島では梅がさきました
また水仙もさきました
赤いつばきもさきました
三つの花は三つのいろ
三つの顏でさきました
一つ小島にさきました
一つ畑にさきました
れんれんれんげはまだおきぬ
たんたんたんぽぽねむつてる
島いちばんにさきました
ひよどり小鳥のよぶこゑに
こんこんこな雪ふる朝に
島いちばんにさきました
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