組曲の題名は『鐘鳴りぬ』の最後の行に拠る。「あかぬ日のつひの別れぞ
わがふるき日のうた――」
各曲が四季の順に且つそれが人間の一生のようにドラマ性を帯びるよう配列されている。1曲目『甃のうへ』は16分音符の刻みによって風に流れる花びらを表していると思われる。ちなみに1曲目『甃のうへ』と終曲『雪はふる』の始まりの和音が同じであることは偶然ではないと思われる。3曲目『Enfance finie』は後年改訂され、詩に忠実になった。4曲目『木兎』における木兎の鳴き声を模したヴォーカリーズのリズムは従来の多田作品に見られないものである。5曲目『郷愁』は詩の形式の変化にあわせ途中からフォーク風のメロディーとなる。6曲目『鐘なりぬ』は多田作品の中でも屈指の名作であると評価されている。そしてこの曲で組曲が終わらない所にもまたこの作品の凄みがうかがえる。終曲『雪はふる』は同じ旋律のメロディーのソロが前半と後半2回出てくるが、前半はマイナーコードで後半はメジャーコードであり異なる。これは主人公が悟りの境地に至った事を示すと考えられる。ちなみに混声版では簡略化され前半と後半で同じ和音となっている。中間部「わがかたのへにゆきはふる」の「る」の内声パートの上昇音階による盛り上げは従来の多田作品に見られないものである。
「多田武彦 男声合唱曲集3」の前書きには「今回は初演のときの楽譜を一部改訂しています」と記されている。
しかし2002年4月27日に開催された第2回東京六大学OB合唱連盟演奏会で、明治大学グリークラブOB会合唱団駿河台倶楽部が、初演のときの譜面で演奏した。
同楽譜第12刷(2000年11月30日)の際に、「Enfance finie」を改訂(
参照)。歌詞のページに明記されている。