【基本理論】母子関係への回帰

認知症の高齢者が最終的に求める関係は、
「家族的な関係」です。

ここでいう「家族的関係」とは、
文字通り家族が介護に関わっている、という
外面的な関係ではなく、
子供と母の関係、母と子供の関係のような、
「相手との一体感を強く感じられる関係」を
指します。

一般に、認知症の高齢者は、
「まだ子供が小さい時に、全面的に頼られていた
親としての自分」
または
「まだ小さかった時に、親に全面的に頼っていた
子供の頃の自分」に戻りたがる傾向にあります。

「親として頼られていた頃の自分」に
戻りたがる背景には、他人から面倒を見てもらわなければ
生きていけない状態になってしまった現在の自分を
忘れ、子供の面倒を見ることで、自分の尊厳を
取り戻したい、という心理があります。

また「親に頼っていた自分」に戻りたがる背景には、
無力になってしまった自分を無条件で受け入れてくれる
「母」という存在を渇望する心理があります。

基本的に、家族以外の人間が行う介護は
れっきとした「契約関係」に基づいて行われるものですが、
その中身は「家族的関係」に近づけていく必要があります。



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2007年03月21日(水) 16:32:59 Modified by ID:xNTPHfa01Q




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