(79-352)台風の過ぎた朝



「ふう。一苦労だったの」

さゆみに捕まったれいなは、今は後ろ手に縛られ、脚にもぐるぐると紐が巻き付けられている。
口元をガムテープでふさがれ、服は着させられたままだったが、ソファの上に転がされていた。

「んんんんー」
「はいはい。静かにしてね」
「んんんんー!」
「とりあえず、人をバケモノでも見るような目で見ないでほしいの。今からちゃんとさっきの種明かししてあげるから」

さゆみが頭を撫でてやると少しだけれいなの興奮は収まったようだが、相変わらずガムテープの向こう側からは呻き声が聞こえてくる。
まぁ、こういうのもアリかもしれないの。
さゆみはそう思うが、とりあえずはちゃんと説明してやらないことには話が先に進まない。

「いい? まずチャイムの音と掃除機の音と、それから水道の音。これらは全部ね、この小型スピーカーを使ってたの。わかる?」
「んん」れいなはまだ怪訝な表情を浮かべていたが、小さく何度か頷いて見せた。
「次に鍵はね……はい、これ。合鍵だよー」
「んんんんー!!」再び暴れ出すれいな。
「すごい。さゆみ、天才かも。れいなの言ったことがわかっちゃった」
「!?///」
「いま、『絵里にもあげてないのに!』って言ったでしょ」
「//////」
「なに言ってるかわからないと思って大声で叫んだんだろうけど、残念だったの。さゆみをなめてもらっちゃあ困るなぁ」
「んん……///」
「あらら。顔が真っ赤っか。やっぱりれいなはガムテープで口塞いでても可愛いなぁ」
「んんん!」
「はいはい。説明に戻るよ。でも、れいなが話逸らしたんだからね。
 で、この合鍵は普通にさゆみが勝手に作りました。ま、悪事には使わないから安心していいよ。
 絵里と違って失くしたりすることもないから、その点でも合鍵の持ち主がさゆみで良かったね。
 まったく、れーなはなーんて恵まれてるんでしょうか」
「んんん、んん」
「なになに。『さゆみんが可愛すぎて、今にも失神しそう。
 よく美人は3日で飽きるって聞くけど、さゆみんは何年見続けても全然飽きないから不思議だなぁ。
 あぁ、こんなにも胸が苦しくなるなんて、いったい自分は幸せ者なのか、不幸者なのか、いまはそれすらもわからな――
「んんんんん!」

れいなは激しく身体を揺らし、さゆみを睨み付ける。

「えっと、『ん、の文字数と合ってないだろ!』って?
 そんなの、最初の『絵里にもあげてないのに!』のときから合ってなかったの。
 だいたい、『文字数』とかメタいから言っちゃダメでしょ。ちゃんと学校で習わなかった?」
「んー。んん、んんん、んんんんんん――」
「急に『ん』の文字数と実際のセリフの文字数を合わせようとしない」
「…………ん」
「はいはい。とりあえず、鍵の件もこれでいいね」
「ん、んんんん」
「音と鍵は良いとして、急に近くから現れた件はどう説明するか、って?」
「んんん、ん」
「あと、れーなが逃げ出した時に、さゆみの方が玄関から遠くにいたのに、鍵を閉められたのは何故かって?」
「んん」れいなは頷く。
「それは、まぁ、なんでもいいじゃない」
「!?!?」
「だいたい、現代人ってのは何でも理屈で説明がつけられると思ってるけど、それは大きな間違いなの。
 じゃあ、れーなはなんで日本にやってくる台風が全部反時計回りに巻かれた形状になってるか説明できる?」
「???」
「赤道の方が地球の自転に対して半径の大きい運動になるから、その分空気の移動も速くなるの。
 それに対して、緯度が高い方では自転による空気の移動速度は遅くなるから、
 赤道側の空気と高緯度側の空気の間では速度差が生まれて、それで空気が回転し始めるのね。
 竹とんぼを手の平でこすり合せて回転させるようなのと一緒の要領。
 ほら、れーなはこんな簡単なことすら理屈で説明できない。だったら『理屈で説明できないことがない』って、理屈で説明してみてよ。
 でもね、残念ながら、数学者のゲーテルが『理屈で説明できないことはない、ということはない』って証明したの。
 これをかの有名な不完全性定理って言うんだけど……」
「zzzzzzz…」
「はいはい、おはよ、れーな、イエイ、イエイ、イエーイ」

さゆみはそう言いながら、れいなの口元を覆っていたガムテープを剥がす。
結構な勢いでガムテープを剥がされたので、痛みで目を覚ますれいな。

「っ痛。てか、なんか挨拶の言葉変わっとらん?」
「挨拶の言葉って、『おっはー、れーな。やっほー。ヘイヘイヘーイ』のこと?」
「そう、それ」
「あぁ、それもう飽きたから掘り返さないで。さゆみの黒歴史だから」
「黒歴史認定しとぉわりには、新しいのもあんまり変わらんね」
「てか、そんなことより、せっかくさゆみが素晴らしく学術的なお話をしてたんだから、寝ないでほしいの」
「れーな、勉強嫌いやし。ま、でも、なんか色々とどうでもよくなったと。
 考えれば考えるほど、考えることがどうでもよくなるって、なんか不思議な気がするとー」
「それはれーながおバカだからじゃないかな?」
「あ、れーなのことまたバカにしようたい。でも、実際はれーなより、絵里の方が頭悪いけんね。
 れーなのことバカにしよーってことは、絵里のこともバカにしよーってことやけん、覚えといて」
「絵里はバカなんじゃないの。アホなの。アホ可愛いからいいの」
「れーなもバカ可愛かろ?」
「あーあ、いつかられーなはそんなこと自分で言えるようになっちゃったのかしら」

口元のガムテープが剥がされたとはいえ、いまだに手と脚は縛られたまま。
れいなは身動きが取れないまま、ソファの上でさゆみと向き合っている。

「そういえば、そんなことよりも、これ。もう逃げ出したりしないけん、そろそろ自由にしてほしいと」
「それはできません」
「なっ……ふざけとらんで、はよ取りぃよ」
「それはできません」
「じゃあ、脚は自分でやるけん、手だけでも」
「それもできません」
「融通の利かない電子機器みたいな反応せんでよ」
「お困りの場合は、次の番号のカスタマーセンターにご連絡ください」
「電話したところで、永遠と機械音声聞いて番号プッシュのたらい回しにあうだけやん。
 やっと人と話せるとこまで行っても、だいたい混んでて繋がらんし」
「他人にばっか頼ってないで、マニュアルとか読んで少しは自分で勉強して対処しなさい!」
「なっ……」
「ふう」
「な……なんでれーな怒られたとかいな?」
「さぁ。なんでだろうね」

さゆみはするりとソファから立ち上がり、そのままリビングから出て行こうとする。

「ちょ、ちょ、ちょっと、さゆ!?」

れいなが消えていく背中に声をかけるが、さゆみは振り向くこともなく足早に去っていく。
唐突なさゆみの行動にれいなは何をどうしていいかわからない。
ようやく冷静になって、このままここに放置されたらヤバイのではないか、
ということに気づくか気づかないかくらいのところで、さゆみがリビングに戻って来る。

「さゆ!」
「これ、取りにれーなの部屋に行ってたの」

さゆみはそう言って、手に持った1冊の雑誌を広げて見せた。
大きな胸を持った女性の裸体がそこには印刷されている。

「なっ、なんで、持って来たと!?」
「面白そうだし。ほら、ちょっとそこにちゃんと座って。そして、ここに雑誌を置いて……」
「なにを始めるつもりったい……」
「んー。ちょっと弱いかな。うん、やっぱり脱がそう」

さゆみは座っているれいなを再びソファの上に転がして、それからズボンのベルトに手をかけた。
当然のようにれいなは抵抗するが、あっけなくパンツもろとも膝の高さまで降ろされてしまう。

「はい、そのままもう一回ちゃんと座って」
「さゆ、いったいどういう……」
「ちゃんと座ったら、今度はさっきの雑誌を膝の上に乗せて……できた!」

下半身丸出しのれいなが、揃えた脚の膝の上にエロ雑誌を乗せて、ちょこんと座っている。
それを見ながらさゆみは満足そうな笑みを浮かべた。

「はーい。写真撮るから、じっとしててねー」
「なにバカなこと始めよーと!?」
「バカはれーなでしょ。さっきまでそういう話してたのに。もう忘れちゃったの、おバカさん?」
「こんなんどう考えても、バカはさゆの方やろ!」

れいなは必死で反論するが、その間にも既に数枚の写真がスマホで撮られている。

「いいねぇ、可愛いの。れーな、もっと可愛くなるから、おちんちん勃たせてみて?」
「な、なに言って……」
「ほら。さっき、さゆみの中にちょっと入ってたでしょ? そのときのこと思い出してみて? 気持ち良くなかった?」

れいなは自分の想像力が動き出さないようになんとか縛り付けておこうとしたが、そんな努力はもはや何の意味もなさなかった。
目の前ではさゆみが自らのスカートをたくし上げ、片足をソファの上に乗せて、パンツの湿っている箇所をれいなに見せている。
生地が薄く、細かいヒラヒラとした装飾のついた、ピンク色のパンツ。
パブロフの犬よろしく、れいなの下半身に反応が現れる。
パシャり。

「ふふふ。良い写真が撮れたの」
「そ、その写真は何に使うと……?」
「なんだと思う?」
「ま、まさか絵里には送らんよね??」
「そんなことしないの。送ったらさゆみまで殺されちゃうもん」
「ふう。よかったと。じゃあ、いったい何に使うと?」
「さゆみのオナニー用」
「……なんか、直接的やね」
「縛られて興奮しちゃってるれーな最高なの」
「さゆ?」
「なーに?」
「なんか、れーなむずむずしてきたと」
「ふふふ。縛られてるくせに、偉そうなんだから。じゃあ、次いってみますか」

さゆみはソファの下に手をいれて、ごそごそと何かを探し始めた。

「あった!」
「じ、自撮り棒? そんなんどこから出してきたと?」
「細かいことは気にするな、それワカチ――」
「ちっちゃいことは気にするな、ね」
「ま、まぁ、だいたい、お、同じようなもんでしょ」
「にしし。うろたえようったい。素の天然は恥ずかしいっちゃね」
「う、うるさいの。ほら、れーなは黙ってされるがままになってればいいんだから。もうちょっとソファに深くかけて」

さゆみはスマホを自撮り棒に取り付けると、れいなの露わになった部分に顔を近づけた。
舌をそこに這わせて一枚。
さらに、咥え込んだ写真も一枚。
れいなの恍惚の表情も一枚、写真に収めた。

「れーなぁ。いつもよりとっても固くなってるの。もしかして、撮られてることで余計興奮してる?」
「いつも盗撮しとるくせに」
「でも、こうやって自撮りっぽく撮られるのは初めてでしょ。
 ほら、れーなが今どきこんな雑誌買って興奮してるのと一緒なの。
 ちょっと角度を変えてみるだけで、全然違う感じがしない?」
「……する」
「ふふふ、ね? そうなの。じゃあ、こんなのはどう?」

さゆみはおもむろにパンツを脱ぎ、そしてそれをれいなの顔の前でひらひらとさせた。

「さ、さゆパン!」
「あらあら、そんなに必死で口突き出しちゃって」
「あ、あと少し……!」
「ふふふ、はい。ちゃんとお口で咥えてね」
「ぱくっ」
「はぁ、なんて可愛いの。ほっぺた真っ赤にして、鼻息荒くして、そしてさゆみのパンツをよだれで湿らして。
 ほんとさゆみがちょっと悔しくなっちゃうくらい可愛いんだから」

さゆみは夢中になってシャッターを切る。
今日はあえてピンク色のパンツを履いてきて正解だったかもしれない。
新品みたいに真っ白なれいなのワイシャツに、ピンクがよく映える。
紅潮するれいなの白い肌がまたいじらしく、町はずれにある小さなバラ園が人知れずひっそりと呼吸しているかのようだ。

「さてと」

さゆみは自撮り棒ごとスマホをテーブルの上に置き、ソファの上に上がる。
ソファに埋もれるようにして座りながらさゆみのパンツを噛み締めるれいなを上から見下ろした。
れいなの視線がさゆみのスカートの中を目掛けて、ちらりと揺れる。
何を今さら恥ずかしがっているのか、さゆみは少し可笑しくなるが、そんなれいなの反応に思わず悦びが込み上げてくる。
さゆみは膝を少し曲げて、一糸纏わぬ下半身をれいなの顔に近づけていく。

「舐めて?」

れいなはもう一度ゆっくりと視線を持ち上げ、さゆみのスカートの中を確かめる。
口が艶めかしく半分開かれる。
桜の花びらのようにパンツが口元から零れ落ち、それを追うようによだれの糸が、唇、あご、鎖骨へと伸びていった。
特別な1つの感覚器官のようにれいなの舌が唇の間から這い出して来る。
健康な内臓の色。
さゆみがもう少しだけ膝を曲げると、雨上がりの夏草みたいにむっとした温かさが敏感なところを包み込む。
さゆみの声帯が波打ち、小さな声が零れる。
ガムテープが口を覆っている訳ではないのに、それは言葉という形を取ることができない。
それでも、れいなにはその意味を解読することができた。
ほんの十数分前に、さゆみがそうできたように。
それが2人の関係性を表しているとも言える。

「ん……れーな?」
「ん?」
「さゆみ、美味しい?」
「ん……」
「ふふふ。ほら、もっと舐めて」
「ん、ん」
「ふふ、また喋れなくなっちゃったの。スカートの中に顔突っ込んじゃって」
「んっ」
「んぁっ。ふふふふ。暗くて何も見えないはずなのに。
 ちゃぁんと、さゆみの気持ちいいとこがわかるんだね。ほんとれーなは変態さんなの」

さゆみはできるだけ脚をしっかりと開き、そして自らの指で湿ったそこを押し広げる。
それから縛られてほとんど身動きできないれいなの顔の上で腰をゆっくりと振り始める。
さゆみの柔らかい肉で口を塞がれて思うように息が出来なくて苦しいのか、
時折、熱いものを食べたときのように断続的な吐息が漏れている。
さゆみの身体は快感に痺れ、下半身がびくりと震えると、それがまた次の快感を呼び寄せてしまう。

れいなは薄い酸素と、口や鼻を覆うとろとろとした液体のせいで次第に意識が朦朧としてくるが、
言いつけられた子供のように舌だけは何かを求めるように伸ばし続けた。
舌先、それから鼻先で、さゆみが自分を褒めていることを感じ取る。
その賞賛を後押しするように、さゆみの手がれいなの頭を撫でる。
れいなは嬉しさで、より舌に力を込めた。
さゆみの腫れ上がったところを自らの舌先が確実に捉えてる。
その実感がまた悦びに変わり、さゆみと交わっている場所は顔だけなのに、全身に快感が走った。

「イ、イっていい?」
「ん」
「イ、イクよ?」
「ん」
「イクっ、イク! あっ、んんっ!」

さゆみの関節という関節から力が抜ける。
その反対に、全身の筋肉が脈絡なく痙攣する。
びくびくと身体を震わせながら、さゆみはれいなの身体の上に倒れ込んだ。
口元からはだらしなく涎が零れ、れいなの真っ白なワイシャツに灰色の染みを作る。

「はぁ、はぁ」
「気持ち良かったと?」
「う、うん。ヤバかったの」
「……気持ち良かったと?」
「……」
「ちゃんと答えな」
「うん、き、気持ち良かった」
「じゃあ、れーなのことも気持ちよくして?」
「ふふ。縛られて動けないくせに」
「動けるとよ」

れいなは少し腰を浮かせて、さゆみの敏感なところに硬くなった先っぽを擦りつける。
絶頂を迎えたときと同じくらいにさゆみの身体が震える。

「ちょ、まだダメ! もうちょっと待って!」
「待てん」
「あん! ちょ、ホントに! やっ」
「にしし。なんの抵抗もなく入ったと」
「ば、バカぁ。だ、ダメだから。ま、またすぐっ」
「ほら、動かんとー」
「くっ……もう、怒ったの。れーなはドM専門でしょうが!」
「にゃ!?」

さゆみは下腹に力を込める。
さゆみに中で締め付けられ、あっという間にれいなは快感の渦に飲み込まれる。
しかし、同時にさゆみにも暴力的な刺激が襲い掛かった。

「ふ、ふふ、ふっ。こ、こうなったら、さゆみがイクよりも先にイカせてやるの」
「ひゃん!」

さゆみの爪がワイシャツの上かられいなの乳首を引っ掻く。

「ふふ。ワイシャツの下に何も着てなかったのが災いした……んあっ」
「にしし。さゆも限界ギリギリやん」
「う、うるさいの。顔どろどろのくせに!」
「これ、ほとんどさゆのお汁やけん!」
「顔どろどろにされて興奮してるくせに!」
「そりゃ、するったい! でも、さゆもれーなの顔にこすりつけて興奮しよったやん!」
「し、縛られて動けないくせに!」
「腰は動くけんね」
「じゃあ、さゆみが動くのやめてもいいの?」
「そ、それは、まぁ、困るっちゃけど」
「自分で動くのと、さゆみにシてもらうのどっちがいいの?」
「……さゆに動いてほしか」
「なら、ちゃんとお願いして?」
「じゃあ、ちょっとこっちに顔よせて」

さゆみは腰を振りながら、れいなをじっと見つめる。
ぱっちりとした二重。
女子のみならず、男からも度々セクハラを受けるような可愛さは健在だ。
さゆみが言われた通り顔を寄せると、その艶やかな黒髪の中に、れいなはすっぽりと収まった。
それはまるで、こうしてれいなを包み込むために伸ばされたようにさえ、れいなには思えた。
れいなは考えていたお願いの言葉を飲み込み、それから首を伸ばして、近づいてきたさゆみにそっと口づけをする。

「(きゅん)」
「さゆ、もうイキそうったい」
「ちゃ、ちゃんとお願いしてよっ」
「中に出したい」
「ねぇ、ちゃんとお願い――」
「イってよか?」
「もうっ。じゃあ、一緒にイこう?」
「さゆっ」

さゆみはれいなをぎゅっと抱き寄せ、激しく腰を振った。
長いれいなの髪。
シャンプーの匂いがする。
自分が抱きしめているはずなのに、なぜだかれいなに抱きしめられたような気分になる。
愛情が快感に拍車をかけて、さゆみの身体は、自らの内側に入って来たれいなをさらに強く締め付ける。

「い、イクっ」

れいなはさゆみに抱きしめられたまま、身体を震わせた。
自分の中の何かがさゆみの中に溶けだしていくような感覚がある。
絶頂を迎えてからも、動き続けるさゆみに引っ張られるようにして、何回か連続でさゆみの中で果てた。
頭が快感でぼーっとする。
そんな浮遊感の中で、さゆみの甲高い鳴き声が聞こえる。
よかった、さゆみもイったみたいだ。
れいなは一緒に果てられたことに嬉しさを感じながら、ゆっくりと瞼を閉じる。

「はぁ、はぁ」
「にしし。気持ち良かったと」
「さゆみも。てか、相変わらずれーなは早いね」
「我慢とかできんけん。でも、その分復活も早いけん、別にいいやろ?」
「ま、そうね」

さゆみは乱れた髪を手で梳きながら答える。

「さゆ、汗かいとう」
「ん? まぁ、れいなの代わりにずっと動いてたわけだし」
「さゆが縛るけん、動きたくても動けんやったと」
「あれ? 自分で動きたかったの?」
「……んーん」れいなは首を横に振る。「さゆに全部シてもらえて最高やった」
「でしょうね。こんな黒髪美少女にフルコースでシてもらえるなんて、世界で一番幸せ者だと思うの」
「にしし。汗かいてるさゆ、ばりエロか」
「そう? それは嬉しいの。でも、たしかにちょっと汗かきすぎたかも」
「シャワー使っていいとよ」
「うーん。じゃ、お言葉に甘えて……」

さゆみは腰を浮かせ、小さくなりつつあるれいなのれいな君を引き抜いた。
れいなに注いでもらった白濁液がソファとかに零れてしまわないように、すぐに指を当てがって、滴るそれを掬い取る。

「いっぱい出たね。朝、抜いたんじゃないの?」
「一時間も前の話ったい」
「さゆみ、女の子だからよくわからないけど、普通もっと時間おかないとこんなに出ないもんなんじゃないの?」
「れーなもよくわからんっちゃけど、まぁ、絵里に鍛えられとぉけん」
「そういうのって鍛えられるものなのかな?」
「もちろん、才能もあるとは思うと。でも、才能ってのは1%で、残りの99%は努力やけんね」
「なんていうか、エッチに使う言葉じゃないような気もするけど」

さゆみは最後にれいなの小さくなったそこを咥えると、きれいに舌で舐めまわし、それから尿道に溜まった残りまで全部吸ってあげた。
ついでに、さきほど指で掬ったのも口に入れて、まとめてごっくんと飲み込む。

「苦くないと?」
「良薬は口に苦し、って言うし」
「良薬とかいな」
「精子は美容に良いっていう研究もあるみたいだし」
「なんか『研究』って言えば、なんでも受け入れてもらえるみたいな風潮がある気がするったい」
「まぁ、現代人は科学っていう宗教にみんな入信してるようなものだからね」
「さゆって、時々頭良さそうなこと言うとねー。普段はヤバイ性犯罪者みたいなことしか考えとらんのに」
「本気でさゆみのことそう思ってるなら、よく友達続けられると思うの」
「ま、そんなことよりも、はよシャワー浴びてき」
「はいはい。じゃ、遠慮なく使わせていただくの」
「って、あっ! ちょっと! せめてこれほどいてから――ねぇ、さゆ!」

ふふふ、と笑い声をもらしながら、さゆみはそのままシャワーへと向かった。
手足を縛られ、下半身を丸出しにしたれいながソファの上に1人取り残される。
自由になるために何か使えるものがないか、辺りを見回してみるが、自撮り棒付きのさゆみのスマホと、
ピンク色のパンツが足元に落ちているだけだった。

「まぁ、10分かそこら待ってればいっか」

れいなは諦めて溜息をつく。
さゆみの中で果てた感覚を思い出しながら、にやにやとした顔で時計の針が進むのを待つ。
まだ学校に行くには時間あるし、さゆみが戻って来たら絵里の家にでも行こうか。
そんなことを考えているれいなであったが、その時にがちゃりと家のドアが静かに開いたことには気がつかなかった。
そして、合鍵こそ作って渡したわけではなかったが、この間れいなだけ居残りする羽目になったときに、
先にれいなの家に入っててもらうために絵里に鍵を貸していたことも完全に忘れていたのだった。


続けられるのか…… 
 

ノノ*^ー^) 検索

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