49 : fob22016/01/11(月) 21:03:51.77 ID:1QP4JPn90
シルキーズより発売された「flutter of birds II 〜天使たちの翼〜」のあらすじ。
前作同様、何人かのヒロインには死別エンドが用意されています。


■共通パート
主人公・進矢シンクレアは、イギリス人の父と日本人の母(夭折)を持つハーフである。
進矢は父から言われるままに、母の故郷である倉町を訪れ、叔母の瑞枝田美蔓(みつる)の世話になる。
美蔓は修道女として街の教会に住んでいた。

この地には弓を用いた神事が伝わっていた。
神事には女性のみが、生涯で一度だけ参加することができ、参加者同士で弓術の技量を競う。
優勝者には特殊な護符が手渡され、それによれば何でも願いが叶うのだという。

50 : fob22016/01/11(月) 21:04:23.55 ID:1QP4JPn90
■ゆず編
雪柳ゆずの幼少時代について説明しよう。
ゆずの両親は、彼女が子供のころに離婚していて、その後、母は死亡、父は行方知れずになっていた。
さて、ゆずと進矢は美蔓の紹介で親しくなるも、雪崩に巻き込まれ、脳に大きなダメージを負ってしまった。
美蔓は医師としてふたりを診察したものの、治療に失敗する。
進矢は雪崩事故までの記憶を想起できなくなり(逆行性健忘)、ゆずは忘れっぽくなってしまった(前向性健忘)。
とりわけゆずの健忘は重篤で、事故までの記憶こそ保たれているとはいえ、事故後の記憶がすぐに零れ落ちてしまう。
美蔓は責任を感じ、医業を捨てて修道女になり、ゆずを引き取って育てていた。
記銘を苦手とするゆずのために、美蔓は「経典」と称して備忘録を手渡していた。ゆずは備忘録をいつも持ち歩いていた。

話を現代に戻す。
進矢はゆずのお目付け役を務めているうちに、異性として惹かれるようになった。やがて恋仲になる。(→死別エンドの分岐)

ゆずは神事に参加して護符を受領したいと考えていた。進矢の記憶(特に亡母についての)を取り戻すためだ。
ある日、進矢は彼女を探して森に入っていたところ、熊に襲われ、重傷を負った。
彼女はすかさず矢を射て熊を追い払い、彼を助け出した。彼はその後昔の(雪崩の前の)記憶を取り戻した。

エピローグ。相変わらずゆずは記憶障害を患っていて、いつも幼子のようでいる。
しかし天使のような彼女を、進矢は愛していた。


※死別エンド
ゆずは神事に参加しないことにした。
その後ゆずの病状は進行していき、ついに自我を失って廃人同然になってしまった。
進矢はゆずの備忘録を読んでいて、彼宛てのメッセージが書き込まれていることに気づいた。
ゆずは自我を失う前に、「遺言」を残していたのだ。感謝と慟哭で埋め尽くされた文面に、彼は涙を零した。

エピローグ。ある日進矢はゆずとピクニックに出かけた。するとゆずが正気に戻った。
彼は大喜びして、美蔓にも知らせようと教会に急いだ。独り残されたゆずは、息を引き取る。
(死亡したと明記こそされていないが、イラストの彼女は弛緩し切っている。)

51 : fob22016/01/11(月) 21:06:06.35 ID:1QP4JPn90
■成美編
楢原成美(なるみ)は子供のころから死病に罹っていた。
父・七尾は多忙の身であった。診療所を経営しながら、成美の治療法を探っていたのだが、見つけ出せずにいた。
成美は七尾に構ってもらえず、寂しい思いをしていた。
さて母・薺(なずな)は診療所の金策に奔走した末に、無理が祟って病死した。
落胆する七尾を見て、成美は母のような女性になって、七尾の精神的支柱になろうと考え、
母の遺した大量の本を片っ端から読み漁った。以降、成美と七尾は、余所余所しい関係に陥ってしまう。
成美は七尾に甘えられなかったが、祖母にはよく懐いていた。(→死別エンドの分岐)

しかし成美と七尾は、進矢に仲を取り持ってもらいながら、父娘らしい普通の関係を結べるようになった。

成美には八重子という友人がいた。
八重子は盲目の少女であったが、神事の日(3月3日)に東京に行って手術を受けるのだという。
成美は弓矢の神事で優勝して、八重子の快復を祈願したいと考えて、練習に励んでいた。

ところが神事は豪雨により翌日に延期になってしまう。
成美は会場で茫然と雨に打たれていたせいで体調を崩し、寝込んでしまったのだが、
代わりに出場したゆずが見事優勝してくれた。
一方、東京では3月3日の夜に大規模な停電が発生し、八重子の手術は翌日に延期になった。
ゆずの護符が助けてくれたのだろうか、八重子の手術は成功する。
エピローグによると、成美は回復して見習いの看護婦をしているらしい。進矢は医学部に進んだようだ。


※死別エンド
成美は神事で優勝して、護符によって父と仲良くなりたいと考えていた。
進矢は成美と付き合っているうちに、彼女と七尾との橋渡しを務めるようになった。父娘は交流を取り戻す。

しかし成美の容体は悪化していた。彼女はやがて昏倒し、皆に看取られながら永眠する。
結局、大会に出場すらできなかったのだが、護符の力など無くとも、本願を達成できたのだ。
エピローグ。進矢とゆずはイギリスに旅に出ることにした。この地には成美の想い出が多過ぎた。

52 : fob22016/01/11(月) 21:06:40.71 ID:1QP4JPn90
■かずら編
榧場かずらは名家の出身。祖父やその秘書・御影美奈(みな)にはよく懐いていたが、父母や兄とは折り合いが悪かった。
やがて祖父が亡くなった。
父母は亡き祖父が密かに投資していたという物件を利用するべく、美奈を身内に引き入れて、情報を聞き出そうとした。
その最中、兄が美奈を襲ってしまう。榧場の一族は、美奈が兄を誘惑したことにして、彼女に濡れ衣を着せた。
かずらは美奈を庇い、自分の側近として召し抱えることにした。
胸病を患っていたので、倉町で静養するにあたって、美奈も連れてきていた。

かずらは弓術の神事にエントリーしていた。美奈との変わらぬ友誼を祈願するためである。
森で練習しているうちに、進矢と親しくなる。怪我をして診療所に入院したのをキッカケに、さらに距離を縮めていった。

美奈は榧場本家から呼び出しを受けた。美奈は勿論、かずらの力を以ってしても、本家の意向を覆せなかった。
美奈は進矢にかずらの世話を頼みながら、東京に戻っていった。ふたりは屋敷で同居し、身体を重ねる。
かずらは美奈を守り切れなかったことを悔やんでいた。大会で護符を手に入れ、幸せを願おうと決心した。
大会の日、かずらは進矢に励まされながら会場に向かっていった。

エピローグ。かずらは大会で優勝したようだ(明記されてはいない)。美奈はかずらの下に帰還していた。
かずらの兄が本気で美奈を愛するようになり、榧場家の権謀術数から美奈を護ったらしい。
美奈は兄の求婚に関して、まだ態度を決めていないようだ。

53 : fob22016/01/11(月) 21:07:10.15 ID:1QP4JPn90
■鈴葉編
秋月綾乃(あやの)という女郎がいた。綾乃は春原高志と駆け落ちし、娘・鈴葉(すずは)を設けた。
ところが高志は酒や博打に溺れ始め、他に女を作った末に死んでしまった。
綾乃は絶望し、鈴葉を連れて心中を試みるも死にきれず、鈴葉を知人・小林源次に預けて失踪した。
鈴葉は源次から「母親は死んだ」と嘘を教えられてきたので、そのように信じていた。
成長した鈴葉は、源次の経営するカフェー「プランタン」で女給を務めながら、独り暮らしをしていた。
源次に迷惑を掛けたくなかったのだ。

鈴葉はプランタンで進矢や東木茜(あかね)と知り合った。
進矢と茜は店で働き始め、さらに鈴葉の家で同居生活を送ることに。
(茜は放浪中で、衣食住に事欠いていた。茜編を参照のこと。)
進矢は鈴葉に告白したのだが、返事を貰えないまま、曖昧な関係を続けていた。
三人とも家族愛に飢えていたから、今の居心地の良い雰囲気を壊したくはなかったのだ。

さてこの頃、綾乃は源次と会うために、密かにプランタンに足を運んでいた。
子守唄をヒントとして、母娘は互いの正体に気づいた。綾乃はこの街を去ろうとしたが、進矢に慰留された。
そして鈴葉と対面し、自分が母親であることを認めた。ふたりは抱き合って涙した。

やがて綾乃は、高志と似ているという進矢に惹かれていった。
ある夜、綾乃は進矢に抱き付いて言い寄ったが、進矢にたしなめられ、正気に戻った。
しかし鈴葉はその場を偶然目撃してしまう。かねてから綾乃と進矢の仲を疑っていた鈴葉は、動転して家を飛び出し、
入水しようとしたが、進矢に止められた。ふたりはこの夜結ばれた。

綾乃は結核の治療のために、僻地の診療所に入院した。鈴葉も同行した(進矢は倉町で待ち続けた)。
しばらくして、綾乃は自分の死期を悟り、進矢の下に戻るようにと言った。
こうして進矢と鈴葉は同じ街で暮らし始め、結婚する。綾乃は式の途中で息を引き取った。

エピローグによると、鈴葉は妊娠したらしい。進矢は会社勤めをしているようだ。

54 : fob22016/01/11(月) 21:07:45.43 ID:1QP4JPn90
■茜編
東木茜は小村で育った。村には奇習が伝わっていた。一人の子供をクジで選出し、雪原に置き去りにするのだという。
生贄となる子供は、背中に墨で「痣」のような模様を描かれ、諦念を迫られる。
(墨には刺激物が混ぜられていた。村人は子供を説得するために、腫上った肌を示して、託宣だとでも偽証したか?)
茜もまた、追放された子供の一人だった。彼女は背中の「痣」が証どころか只のラクガキであることを、
事実として知っていたとはいえ、それが消えてなお、自分の背中に「見えて」いたのだという。彼女の心の傷は大きかった。

茜は倉町に流れ着き、進矢や鈴葉と出会う。近所のオッサンに励まされながら、プランタンで健気に働いていた。
そのうちに進矢と恋仲になる。

さて茜と同郷の、南寺皐月という青年がいた。皐月は有力な家柄の出身であったが、村の因習を忌み嫌っていた。
皐月は彼女を愛していたので、彼女の行方を捜し続け、ようやく発見したのだが、隣には進矢が居るではないか!
こうして事態は三角関係に。もっとも進矢も皐月も、彼女の意向を第一に考えていた。

オッサンが熱を出して入院するも、単なる風邪と判明した。だが茜は必要以上に心配して、付きっきりで看病した。
彼女の過剰なまでの対応は、まるで居場所を求めて媚びているようだった。
皐月は自分こそが彼女を包容するに相応しいと言わんばかりに、進矢とオッサンを責め、村の因習について説明した。
ここで居眠りしていた彼女が目を覚まし、皐月と口論した揚句、病室を飛び出してしまった。
(皐月はこの時、驚いている。皐月は、てっきり彼女が今なお「痣」を本物の神託と錯覚・錯視しているのだろうと誤解していた。
しかし事実は違ったのだ――彼女は村人の酷薄さ、つまり「痣」が本当は人工の産物に過ぎないことを、既に看破していた。)
進矢と皐月は彼女の後を追った。彼女は公園の噴水に入り、憑りつかれたかのように、「痣」を落とそうと試み続けていた。
もちろん「痣」など今も昔も存在しない。あるとしたら、欺かれ棄てられたトラウマとして、だ。
進矢は彼女を抱き留め、「痣」を共有しながら一緒に幸せになろうと囁いた。
彼女は一旦村に戻ることにした。

エピローグでは、茜はすぐにプランタンに戻っている。村の人間にもどうやら受け入れられたようである。

55 : fob22016/01/11(月) 21:08:25.43 ID:1QP4JPn90
■摩緒編
槇樹村家の一族は代々、卜占術を得意としていて、政財界から重宝されていた。
術は長女にしか伝えられない。今代では毬藻(まりも)が長女として、任に当たっていた。
さて薬品業界大手・井豪製薬が、毬藻の卜占術を独り占めしようと画策した。
毬藻は「空気を毒に変える薬」の合成プロセスを予知するように命令され、憤死してしまう。
妹の摩緒(まお)は復讐を誓い、出奔した。報せを受けた森王寺桃香(ももか)は、摩緒を追って倉町までやってきた。
(桃香の実家・森王寺家は、槇樹村家の分家筋にあたり、本家同様に占術を生業としていた。
桃香と毬藻は双子の姉妹であったが、幼いころに桃香は森王寺家の養子に出されていた。
つまり桃香は摩緒の遠戚どころか、実の姉にあたる。なお摩緒はこの事を知らない。)
倉町に着いた摩緒は、井豪製薬の工場に向かっていた汽車を爆破した。
一方、井豪は摩緒を探し出すべく、倉町付近で高圧的な聞き込みを続けていた。

進矢は森で偶然摩緒と出会い、以降、度々顔を合わせているうちに親しくなった。
また彼は桃香ともよく鉢合わせしていた。桃香から摩緒の居場所を何度も尋ねられたのだが、知らぬ存ぜぬを貫いた。
(桃香は摩緒を助けるべく動いていたのだが、彼はそれを汲み取れず、警戒していたのだ。)
やがて彼と摩緒は恋に落ちる。摩緒の予知によると、このまま復讐を続けていると、いつかは死んでしまうらしい。
摩緒から全てを教えてもらった彼は、復讐を止めて一緒に暮らし、未来を変えようと提案した。
摩緒の気持ちは揺れ動いていたが、やがて彼を受け入れる。
このまま日本にいると、進矢の身柄も危ないから、いっそふたりでイギリスまで逃げてしまおうと約束して。
しかし摩緒の気分は晴れなかった。進矢が危険に巻き込まれる運命は、依然変わっていないことを、
占いで予見していたのだから。(→死別エンドの分岐)

桃香は摩緒の身代わりとして槇樹村家に入って、摩緒と進矢を助けようと考えた。
(桃香には勝算があった。後になって兄たちが自分を助けてくれると、予知できていたのである。)
桃香は進矢と身体を重ねる。初めての相手くらいは、好きな男を選びたかったのだ。

エピローグ。進矢と摩緒は結婚してイギリスに逃亡した。桃香は半年後に兄たちに救出された。

56 : fob22016/01/11(月) 21:08:56.93 ID:1QP4JPn90
※摩緒編の死別エンド
摩緒は進矢から離れて、独りで復讐劇を演じることにした。そうすれば彼に危害は及ばないのだから。
単身で投降するフリをして井豪製薬の工場に潜入し、毒薬の資料を全て破壊したのだが、自分も毒を吸って瀕死の状態に陥った。

一方、進矢は眠りから覚め、隣の摩緒が居ないことに気づいた。訪ねてきた桃香と共に、彼は摩緒を探した。
そして工場で摩緒を発見した。進矢は摩緒を背負って街まで逃げようとしたものの、森の中で摩緒は息絶える。

エピローグ。年老いた進矢は独身を貫き、ゆずと共に教会で暮らしていた。そこへ少女がやって来る。
少女は摩緒の転生体であり、摩緒の記憶を有していた。ふたりは抱き合って再会を喜ぶ。


■苺編
苺の出生について記す。かつて井豪家の令嬢が男性と駆け落ちし、「苺(まい)」という娘を設けていた。
ところが令嬢は倉町付近で列車事故に遭い、死亡してしまう。
この時現場に駆け付けた浮浪者(「爺」と作中では呼ばれている)が、苺を保護した。
産着には「苺」と刺繍されていたので、爺は子供を「苺(いちご)」として育てた。
もちろん、爺も苺も、出生の経緯を全く知らずにいた。

話を現代に戻そう。井豪家当主・泰三は既に年老いており、遺産を全て娘に贈与したいと考えていた。
しかし娘は先述の令嬢であり、既に死亡していたから、泰三は孫の苺を探し回っていた。

一方進矢は苺と親しくなる。ある日、苺は井豪家の黒服たちによって連れ去られてしまう。
(爺の手引きによる。爺は井豪家から苺の出自について説明を受け、彼女を井豪家に引き渡した方がいいと判断したのだ。)
進矢は苺を取り戻すべく、井豪邸に行ってみたものの、中に入る事すら叶わなかった。

さて、黒服たちの長は伊織という男だった。
伊織は進矢や苺の様子を見て、彼女を屋敷から解放してやろうと考えた。相続人の証拠となった産着を隠滅したのである。
解放された彼女だったが、しかし爺は既に他の街に移ってしまっていた。
彼女はついに天涯孤独となってしまい、海岸で泣き叫んでいたところを、進矢に発見される。
浜辺でHしてエンドロール。エピローグによると、ふたりは結婚して子供もできたらしい。

57 : fob22016/01/11(月) 21:09:28.91 ID:1QP4JPn90
■茂美エンド(バッド? エンド扱い)
進矢が日本にいる間、父は茂美(しげみ)という女性と意気投合し、進矢と結婚させたいと思い立った。
知人に「依頼」(脅迫に近い)して、危篤を告げるウソの手紙を書いてもらい、進矢に送りつけた。
進矢は手紙を受け取り、慌てて帰郷する。港で待ち構えていたのは、ピンピンしている父と茂美であった。
縁談は「順調に」進み、進矢は強引に茂美と結婚させられてしまったようだ……………………
(なお、茂美はクリーチャー級の女性である。)





あらすじは以上です。


関連:flutter of birds 〜鳥達の羽ばたき〜

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