多人数で神話を創る試み『ゆらぎの神話』の、徹底した用語解説を主眼に置いて作成します。蒐集に於いて一番えげつないサイトです。

健康や信条の理由からCUTOSssをインプラントしていなかった人々はsssバベルの影響も受けず、暴徒と化したsss難民からも離れた場所で静かに暮らしていた。

 wwwで未使用のCUTOSssのありかを突き止めた倉城瑕納?は、祖父の病を治すため、sssに残る医療技術と経験を求めて単身山から降りていく。

 街ではすでにsss全域を肉とし脳とする超越知性体を崇める宗教団体によって秩序が回復されていた。共同体の外部からやってきたことで怖れられながらも人々に迎えられ、瑕納は未踏査の廃墟からCUTOSssを手にいれることに成功する。

 sssは想像を絶する異様な空間であった。後で瑕納が思い出すことができたのは、T字型に切り取られて繰り返し再生され続ける看護士の幼児期のトラウマと、それを等間隔に貫いている様々なひとびとの海に関する記憶、その周りには顔だけを刳り貫かれた上で混ぜ合わされたいくつもの性体験が四角い区切りの中で波打ち、体が不意に傾いた瞬間の記憶がより合わされて格子状に重なった周りを音声イメージ化されたローズマリーの香りで模様が書かれていたことくらいだったし、それがその様な姿だったと記憶の中で確認できるようになったのはずっと時間が経ってからのことだった。

 脳にかかる負荷のために早々にsssを切り上げて擬態テントで睡眠をとった瑕納は、目覚めて後に体験した覚えのない記憶に悩まされる。だが、やがて未知の記憶と混濁していた中に自分を呼ぶ声が混じっているのを見付だす。

「だいじょうぶ、怯えないで」

 正確にはそれは瑕納の持つ語彙の範囲で表現できる中では近似的に声とするしかなかっただけで声がしたわけではなかったが、最初から最後まで、かぎかっこの中まで含めてここには比喩以外の何事も語られてはいない。いくらミアスカが日本語に似ているといっても、sss以降の人間がわれわれに理解できるような会話をするはずがない。

「CUTOSssを持っている人は誰でも見るの。古き魔法使いたちの遺産よ。眠っている間にsssのポートが開いて、他人の思考やコキューネーが入り込んでしまうの。夢、って私たちは呼んでいる。あなたはテクストをたくさん読んでいるから知っているでしょう。妄想や願望を表す古い言葉。他にも呼び方はあるけれど、これが一番気に入っている。他のどれより意味が豊穣でね」

 遥かな昔、神々を滅ぼすために何千年もの間戦い続けた魔法使いたちがいた。リーダー格の魔法使いが使った最後の魔法で、CUTOSssは人類の遺伝のシステムに組み込まれた。その魔法使い自身はコキューネーに脳を食い荒らされて死んだけれど、今ではコキューネーたちもずっとおとなしくなった。共生ということを覚えたのだ。今では、コキューネーが餌とするのはほんの一パーセントの人くらいだ。天然の脳は自然保護の観点から大事にされている。たまにマナーの悪いのがいて夢に殺されることがあるけれども。というのはぜんぶ私の当て推量で、ほんとはぜんぜんそんなことないのかもしれませんが。自ら魔女を名乗るその女は、sssをそのように説明する。

「種の記憶に残る恐怖から、みんな無意識に回路を封じちゃっているんだけど。sssの力を使えば、たとえばこんなこともできる」

 瑕納の体が勝手に動き、背中を反らせて宙に舞う。そのすぐ下を銃弾が飛んでいく。

「力を抜いて。抵抗しないで。怖かったら目閉じてていいから」

 視界がぶれる。目で感覚する世界の先に逆さ向きの残像となって未来が重なる。ほんの僅かなずれだった一瞬後の視界が未来方向に引き伸ばされていく。時を刻む一瞬ごとに目の前の未来が溶けて現実に重なり、次第に色薄らいでいく視界の奥にさらなる未来が影を覗かせる。空気の動きを数秒先までの予測ごと受け止め、風を流れを俯瞰する位置から感じとる。溝に沿って流れるように時間の中を進み、着地の反作用が輪唱する。

 銃を構えた男へと向かって床を蹴り、一本だった未来の視野が枝分かれしはじめる。命中に至る道を避けて回避へと走り、刻一刻と姿を変える未来の奥のさらに先まで予測して銃弾を二発、三発とかわす。血が煮えたぎって脳まで上ってきたように頭の奥に熱を感じる。枝分かれしていた未来がさらにその道筋を分化させ支流を作り、無数の未来が姿を現す。グラデーションを描いて並ぶ未来の中に一筋の破調を見つけだし、かすかな声がわずかな指先の動きがそのルートをなぞるにつれて一本の線に過ぎなかった道筋が周囲に滲み出し膨張して枝分かれをし、刺客の足元につむじが巻きはじめる。風が強まり分岐した未来が網状に重なって未来視野を覆い始め、全方位が確率1でカタストロフィの視像となって男は足元の床板ごと巻き上げられて天井に激突する。

 未来が収縮をはじめる。未来に覆われていた感覚が晴れていき、現実が露出する。先触れなく靴が着地する、ないはずのもう一段下に下りようとして踏み外したような感触。

Chaos?っていうの。確率論の平衡に入ったヒビ割れをみつけだして、あとはそれをなぞるだけ」

 疲れ果てて倒れこむ姿をイメージした瑕納を魔女が抱きとめるイメージが支える。

「教会の秩序に従わない外部の人間がsssにアクセスすることをやつらは許さないわ。しばらく私と一緒にいなさい、いろいろ教えてあげるわ。Future Sightを使ったテクニックとか、バタフライの起こし方とか。人の頭のいじくり方とかね」

 テントの中で倒れこんだ瑕納の額に、手のひらが跳ね返る感触を直接脳に送り込まれて朦朧とした意識が一瞬晴れる。

「ポートはちゃんと閉めてから寝なよ。また見つかるから」

 そして行動を共にしはじめた瑕納と魔女ニースフリルにsssとリアルワールドの両面から襲い掛かる教会の魔女狩り師たち、神出鬼没の脅威コキューネー、sss末期の超機械技術を操るエルネ・クローザンド?。出会い、別れ。なんだかまだ生き残っていた128人の生き残り、大魔女トルソニーミカ。暗躍する大司教グレンデルヒ、最強の魔女ナイン・シスターズ?との文字通り時空を超えた戦い。そして、明かされる意外な真実。

「あたしもそう。コキューネーの巣だったのよ、生まれつき。犬、って呼ばれてね。惨めなもんだったわ。点よりも狭い思考空間の中で、混乱と悲鳴だけがあたしの世界のすべてだった。やれ、って言われれば何でもやっていた。何でもよ。自力でCUTOSssの回路を開けた私はsssからばらばらな意識を寄せ集めて自我をつくりあげて逃げ出した。あいつらだけは許さないわ。犬以下の存在に落としてやる」

純正化処理施設?の狙いは血の純化なんかじゃない。真の目的は、サヴァンたちの脳に眠る魔法使いたちの記憶だ。高度な計算能力や知性はコキューネーのお気に入りだからな」

「究極のウィザード。sssの神的知性。シナプスの動きだけでバタフライ効果を起こせる化け物。それが。あなたの脳の中に」

 ナイン・シスターズのsss結界を突破し、ついにグレンデルヒを追い詰めた瑕納たち。しかし、その頃すでに叡智のかけらを集め、エルネ・クローザンド最高の技術者テンボトアンを捕らえていたグレンデルヒは、人体とネットワークとの接触事故によって生じた電気回路とでも比喩するしかないようなものの世界内表現としてのブラックホールを潜り抜け、ゆらぎの神話宇宙(Unstable Uncanny Universe)を記述していたプログラマーとでも比喩するほかないようなものの体内のエーテル電流と合一したとでも言うしかない状態に到達する。プログラマーの脳を流れる電流に対応するといえば対応するといえなくもない部位とでも呼ぶべき領域からプログラマーの身体を操り、uuuの時間の流れの素材となっている上位の時間の流れからぎこちない探る手つきで宇宙を書き換えはじめるグレンデルヒ。時空間が混濁し、架空の神々や猫竜たちが地上に現われる。そして、グレンデルヒの約束の下に蘇りさらに凶悪な超時空存在となって立ちはだかるナイン・シスターズ。

 uuuを超えて記述し記述されるもの、物質と現象との二重存在となったグレンデルヒを止めることができるのは、sssの神的知性体との両面現象体となった瑕納しかいない。

 行け、僕らの魔法少女クラギ!グレンデルヒ率いる滅びの九天使(デビル・ナイン?)の野望を打ち砕け!!!!!←←←

 to be continued to : "ヴァーミリオン・キュラギ Witch of CUTOSss ver.1'000'000: QURAGI"
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