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キュトスの姉妹 ・ 結界の六十二妹

概要

キュトスの姉妹の18番目。【雲】の姿をしている。
雨を降らし、雷を落とすこともできる。ビームみたいに雷を撃つこともできる。しかしそれらは自らの肉体である【雲】を消耗する行為である。

ラスカーリの国王が地上人と交わって生まれた禁忌の娘、アルカンシュタット・フィシリ・ミブレル。窮地に陥った所をヘリステラに助けられ、18番の番号を振り分けられる。

雲霞ミブレル。
その瞬間最大火力はビークレットにも勝るとも劣らない。ただし持続させるとなるとビークレットに軍配が上がる。

ミブレルは気体のまま他者の体内に入り込み、血液中で液化することで赤血球を溶血させて対象を殺害する。

泡良の国

ミブレルは勿論気体で出来ていたりはしない。泡良の国に伝わった際、希代のという形容詞が気体と取られてしまったのである。

能力

アルカン?、というのはラカスーリの国の人々の姓の前に付けられる尊称であり、【空】という意味をもっている。ラカスーリでは東方の諸国と同様に称号・姓・名前の順に並べる慣習があり、称号とは彼らの「飛行能力」を示すものであり、ラカスーリにおいては血統や家柄などよりも重要視される。
蜘蛛人宙歩空気の民の浮遊など、その速度が速く安定しているほど良いとされる。
アルカンシュタット?は最高位の称号であり、ミブレルは若くして国王と同等の飛行能力を有していた

行い

  • 一度立ち入れば二度と出てこれないと言われるハール盆地?から生まれる。
  • 星見の塔トーナメントトチュア=リプルリリーフ?を招く。

関係

  • キュトス71兄衆?、ミブレルに兄と呼ばれたいのは、空撃ちのアルカンダルット。ミブレルの幼馴染であり、彼女の苦境の中でただ一人の味方だった。
  • 地人のデルミーニャ? : 国王と交わった地上人。ミブレルの母。ハール盆地の主にして化身。
  • トミュニとは気心のしれた仲である。

性格

無情動。

累卵の記述項

ミスティック=ブルーレイン

愛称:ミブレル

【雲霞】【雲上姫】【希代の魔女】

天の上の王国で生を受けた天人の国の姫。
誕生と同時に強い魔力を有するものの水分を奪わなければ生存できないという呪縛をかけられ、他者の血液を吸う吸血鬼として生きることを強いられた。
忌まわしき貴人として城の地下に幽閉されるだけの生に耐えられなくなった彼女は14歳の誕生日、ヘリステラの助けを借りて王国を出奔。
星見の塔にて先達の魔女達から魔術の手ほどきをうける。
天性の才能を示した彼女は瞬く間に水や風などといった天候に関連する魔術を修め、遂には師である魔女達すらをも凌駕する大魔女へと成長を遂げる。


彼女の真の苦難が始まるのはそれから後だった。

ある日のこと、彼女の祖国が突如として壊滅する。
最強の吸血雲?にしてアウター。真なる【燃える単眼?】・バッサルガーフ
脆弱な矮小種では抗う事すら出来ず、瞬く間に天上で栄華を誇っていた文明は滅び去った。
故郷の終焉の知らせを聞いてミブレルはすぐさま自分の祖国へ向かったが、そこにはもはや何も無く、ただ千切れ飛んだ雲の切れ端が漂うばかりだった。
その時、ふとミブレルは小さなうめき声を聞いた。生き残りがいたのだ。
それは数人の幼い子供達だったのだ。その小柄な身ゆえに難を逃れた彼らを、ミブレルは見捨てる事が出来なかった。
そうして、小さな雲の上で魔女と子供らの奇妙な共同生活が始まった。
その経過が如何なるものであったのか、その場に居合わせたわけではない私には知る由も無かったが、しかしその一時が幸福なものであったのは疑いようも無い。
しかし、平穏はあっけなく破られた。
気熱の巨人バッサルガーフの再来。
何の予兆も無く現れた災厄はミブレルに如何なる抵抗も許さなかった。巨人の暴力は彼らの楽園を崩壊させ・・・子供達の小さな命の火を吹き消した。
既に一度巨人をやり過ごした経験のある子供達は、自分達を身代わりにミブレルを救った。
守るべき子供達に守られ、自分だけが生き残った。
絶望に身を焦がし、喪失に涙したミブレルが瓦礫の中であげた顔は、凄絶な覚悟に彩られていた。
それは知性持つ矮小種の身には余る行為だ、たとえその身体が紀神の欠片であっても、希代の魔女と謳われようと、相手は摂理の超越者、飛来神群。
立ち向かうなど無謀すぎる。不可能だ、身の程を知れ。
姉妹達の案ずる言葉のいずれも、彼女には届かなかった。

復讐を決意した魔女が向かったのは、とある錬金術師の下であった。

スス?・バクスチュア。至高の七錬金術師の一人であり、錬金術の精髄たる王剣?を保有する彼に求めたのは、王剣の譲渡。
王者の剣は何者にも侵されず、またあらゆるものを支配する。世界に七振りしか存在しないそれを、彼女は仇の撃破の為に欲したのだ。
ススは当初これを拒否したが、彼女の不屈の意思を見て考えを変えた。
「この剣は私の一存で動かすわけにはいかない。お前が他の六人の錬金術師の了解を取り付けられたら、この剣を預けよう」
難題だった。だが彼女は錬金術師たちと時に真摯に話し合い、時に利害関係を結び、度重なる交渉によって五人までを完遂した。
更には、それぞれが保有する王剣までもの貸与を許可されたのである。
しかし最後の一人、名も無き錬金術師の行方は杳として知れなかった。その素性すらわからないまま、ミブレルはかすかな目撃証言だけを頼りに世界を彷徨った。
最後に辿り着いたのは、七人の錬金術師の名を世界に知らしめたペリグラント・アベルとの血戦の場所、鋸山脈
石化の魔女が封印された洞穴の中に踏み入ると、そこには妹であるペリグランティアと名も無き錬金術師の姿があった。
そこでミブレルは名も無き錬金術師の正体を知ったが、彼女は生涯それを口外することは無かった。
ともあれ名も無き錬金術師の了解を取り付けた彼女は、七振りの王剣全てを手中に収めた。
だが足りない。
それだけでは神には届かない。

故に彼女は、最果てへと向かった。
無人の廃墟オウズにて漆黒の魔眼竜バーガンディアと相対した彼女は、竜の魔の眼球を要求した。
これを拒否した竜に、ならば戦って奪うのみと断言したミブレルは竜を打ち負かし、その片眼を抉り出し奪い去った。
それ以降彼女は単眼となった魔眼竜に付けねらわれる事になるが、それはまた別の話である。
ともあれ七振りの王剣と魔眼竜の眼球を手にした彼女は、最後に決して踏み越えてはならない一線を越えた。

神滅ぼしの武具
自身の身を削る代償に、神をも駆逐する能力を得る事のできる禁断の武器。
忘れ去られた天の果て、うち捨てられていた祭壇に納められていたその武器の名は、雲霞の鎧?
肉体に埋め込む為の菱形の金属にしか見えぬそれは、心臓に突き刺した次の瞬間から所有者と同化し、その身を気体に変貌させてしまうと言うものである。
あらゆる物理的破壊を無効化し、拡散する身体は風よりも速く敵対者を包囲し、空を翔ければ鳥など遥か後方に置き去りにする。
魔術を放てばその一撃には雷火が伴い、誰も追随できぬ神速を以って遍く敵を駆逐する。
しかしその代価は重い。
一度身に着ければ決してそれを外す事は出来ず、魔術を使い魔力を消耗する度にその雲の体は削られていく。
更にはその鎧を装着したものはその体を魔力によって維持する事になり、ただ存在しているだけで疲労し続けることにもなる。
生きているだけで死に近付き、戦えば文字通り身を削っての血戦となる。
愚挙とも言える軽率な行為。
装備する事が自殺に等しい呪われた武器を心臓につきたてた彼女は、その身を雲に変えてしまう。
肉体を維持するための非道。
無辜の民たちを襲撃し、吸血行為による魔力の強奪。
その身に膨大な量の魔力を宿した彼女は、神を殺すために天へと舞い上がった。

決戦の地の名は、エピキュリアンの庭?
その地でバッサルガーフは一つの神話をその身の内に取り込み、更に強大な存在になっていた。
身を削り、神殺しの力を得てもなお絶望的な戦力差。

あらぶる巨神に相対したミブレルは魔竜の眼球を高々と掲げた。
眼球の魔力が発動し、巨人の単眼が呪詛によって蝕まれる。
全身がガスで構成された不定形の巨人の唯一の弱点、燃え盛る単眼。攻撃が唯一有効となるその部位を呪いによって封じ込め、火勢が衰えた単眼目掛けて打ち出したのは七つの軌跡、絶対なる王者の剣である。
並みの魔剣ならば近寄っただけで蒸発する熱を放出する単眼に、王剣はその鋭さを失わぬまま突き立った。
邪神の絶叫が天に木霊した。
ミブレルは最大にして唯一のチャンスに全力を注いだ。雷撃を乗せた七つの閃光はバッサルガーフの単眼を灼き滅ぼした。
巨神本体の消滅。成し遂げたのは前人未到の偉業、神殺し。
復讐の完遂に、見るも無残に縮んだ自分の身体も構わず歓喜しそうになった彼女は、バッサルガーフの揺らぐ巨体がまだ消失していないことに気が付いた。
まさか。
絶望がミブレルの心を塗りつぶすや否や、バッサルガーフの山のような巨体が拡散し灼熱の吹雪が荒れ狂った。
心臓を潰されてもなお神は不滅だった。
怒り狂ったバッサルガーフは王剣を吹き飛ばし、天の高みより世界各地にバラバラに飛散させた。

ミブレルは邪神の怒りになすすべもなかった。蹂躙され、踏みにじられ、その命は風前の灯だった。
その時彼女の思考は戦闘の中には無かった。去来する記憶は大切な子供達との短い時間。
なんのことは無い、平凡でありふれた日常だったけれど、その時間は彼女にとって何ものにも代えがたいものだった。
それを奪われた。
怒りが千切れた不確かな身体を駆け巡る。
既に断片しか残っていない魔女の身体。雲というカタチに身を窶したからこそ可能な、極小の状態での生存。
その時、千々に飛び散った肉体の断片が静かに脈動するのをミブレルは感じた。
魔女としての本能が告げる。キュトスの魔女達に固有に備わったそれぞれの固有能力。
性質と言い換えていいそれこそが、今感じ取っているそれだと彼女の中で眠っていた何かが知らせていた。
滅びを目前にして、ミブレルはその真の能力に覚醒したのだ。

次の瞬間、ミブレルの全身が再構築された。
周囲に溢れる潤沢なリソースをフル活用し、その身に膨大なエネルギーを宿す。リソースとは即ち彼女が自在に操る事が出来る水分と、それに連なる気体全てである。
この球状の大地の上に存在する限りほぼ無尽蔵に存在するそれらを、いまやミブレルは完全に掌握していた。
故に、気体によって全身を構築しているバッサルガーフはミブレルの支配下に置かれていた。

ミブレルは、その全身を略奪した。
生命吸収?
逆転した生命力の差。彼女の周囲に溢れていた神の身体を、残さず彼女は吸収し消滅させた。

ここに復讐は完遂され、ミブレルは独りどこかへ去っていった。
行き先は、おそらく天の彼方。

子供達が召された、神々の御許である。


こうして神の力を我が物とした彼女は、天空を司る神の一柱になったのだという。

表記ゆれ

アルカンシュタット・フィシリ・ミブレル、ミスティック=ブルーレイン、アルカンシュタット・フィシリ・ミスティック=ブルーレイン、Arcanstadt fusilli mystic-bluerain

想像図

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