元傭兵。伝記によれば
長子派?の法術に大家「ゴラムバ家」のディフワ・エマ・ゴラムバが自殺した後、その霊魂が酔っぱらって転んで気を失った傭兵エブグルブ・バフォウに宿ったのだという。
法術師ディフワの霊魂にとってそれは「人生をやり直せ」という神からのメッセージであり、風紀が良いとは言えなかったエブグルブもやがて自分の中のディフワに感化され、やがて両者は一体化したという。
傭兵エブグルブは周囲からは「突然法術ができるようになった」ように見えた。彼は傭兵として各地をまわるなかで各地の宗派が抱える問題を目にする。
エブグルブはそれぞれの土地で新たなる同志を見つけ出し、彼等と共に新たなる法術体系「汎用化法術」を開発した。
各宗派の法術を本来戒律上使えない主体や対象でも出来るようにすることで、そして広める事で世の人々を救おうとした。
各宗派が持つ法術が有する禁忌を解除し、新たな法術を作る。それは単に技術的な難点を解決する、という意味にとどまらなかった。それが出来たということじたいが神がそれを望んでいる証左である、と彼らは考えた。彼らは禁忌を解除するだけでなく、各宗派の法術使用において禁忌の対象となった人々(性的少数者、障碍者、特定の疾患を持つ人)を積極的に守り、自分達の宗派に引き込んだり同調者としていった。
しかしこの行為は既存の伝統諸宗派からの怒りを買うことになる。宗派ごとに禁忌の基準は異なり、他宗派にとっては正しくても自宗派にとってはそうでなかったりする。その点で伝統宗派同士も「悪」を行っていると言える。
だが、七先駆派は宗派同士ではその辺りに口出しをしない、という不文律を破り、しかも宗派ごとの法術を加工する、というタブーを侵した。しかもそれを大々的に広めようとする。
チャカ大陸北部の五大宗派(
長子派?、
法典派、
正塔派?、
歩守派?、
唯信派?)はこの事態を解決すべく宗派の壁を越えて結束、苛烈な迫害が開始される。
迫害者はルザナイ教徒だけでなくガンディスシャニティアを奉ずる異教帝国も含まれた。国や諸侯の後ろ盾の無い七先駆派に対し、帝国は伝統宗派信徒に対するよりもなおも強烈な弾圧を行った。
エブグルブたちは自衛を余儀なくされるが、迫害側を傷付ける事を避けた。正当防衛の範囲から外れないよう七先駆たちは踏ん張りをきかせ、首領であるバフォウは対話の窓口を最後まで残そうとしていたが、犠牲者の増加は止まらず最終的に全面闘争を余儀なくされる。最後は「
鷹匠殺しのシン=グロークス?によって殺害された。